伊吹有喜のレビュー一覧
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夫が亡くなり16年経ち、勤務先も倒産し職を失った美紀は、ファストフード店で働くがその店も閉店する。
ひとりでいると鬱々として、最後に青春の記憶が残る鎌倉にもう一度と旅に出るが、山中で道に迷って辿り着いたのは「鎌倉茶藝館」だった。
その佇まいとオーナーのマダムに惹かれ、働き始める。
そんな彼女が昔の恋人によく似た青年を見かけ…。
中国茶と着物という普段馴染みのないものにも触れ、その中心には大人の揺れ動く恋愛が軸となっている。
(大人の男性の着物姿とお茶を入れる所作はたまらなく色気を感じた)
50近くになっての恋愛に溺れながらどうすることもできずに思いのまま突き進む美紀だが、後悔しないならい -
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【鎌倉茶藝館】
私自身、いつの日からか毎年のように紅葉散策で心が穏やかになるスポットとして訪れるようになった鎌倉。
そんな鎌倉を舞台にした物語です。
物語の主人公はひとりの女性美紀。夫と死別、その後会社の倒産で仕事も失った48歳、心を寄せ合った恋人と過ごした鎌倉に最後の旅のつもりで訪れ、そこで台湾茶カフェ「鎌倉茶藝館」と出会い、生きる力を取り戻していく姿を描いた恋愛・再生小説です。
台湾茶カフェでは、かなり細やかな台湾茶や着物の融合が描かれていて、それに古都鎌倉の美しい風景や文化の奥ゆかしさが目に浮かびます。そして二人の異なるタイプの男性との恋愛の行方も「人生まだまだこれから」ということ -
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タイトルから、娘が嫁ぐまでのハートフルな物語を想像していたが、良い意味で裏切られた。
【あらすじ】
高梨家の一人娘の真奈が、婚約者の渡辺優吾を連れてくる。結婚の話が具体的に進むに連れ、次第に明らかになる両家の格差婚。
真奈と優吾の若い2人においては、避けては通れない
家族や親戚との付き合い、結婚後の家計、将来の子どもの有無や、マイホームの計画など、先行きの不安が次々と押し寄せる。
果たして、このまま夫婦になるのが2人にとって幸せなのだろうか。
一方で、真奈の心に寄り添い、母として妻として、
正しくあろうと奮闘するのが、高梨家の母 智子。
両親の想いを胸に嫁いでから、大切に愛しみ手入れをし -
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タイトルに、四十九日、とあるくらいだから涙的な作品なんだろうなとは思っていたが、やっぱりじんわり泣けた。人が人を思う気持ちに心が熱くなった。この作者の作品は2冊目だが、前回も似たような感想をもったなぁと思い出した。「人が人を思う気持ち」たぶん、そこが私のツボなんだろうなぁ。他の作品も読んでみたい。
「夢はかなわぬこともある。努力は報われぬこともある。正義は勝つとは限らない。だけどやってみなけりゃわからない。さあ、頑張ろう」
きっと人生には何かが必要だ。
食って寝て起きての日々を鮮やかに彩る何かが。幸せな気持ちを作り出す何かが。笑い、喜び、驚き、ときめき、期待する、心を動かす美しい何かが -
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一人娘である真奈が結婚を考えている優吾が家に挨拶にやってきた。健一も智子も一人娘の結婚を嬉しく思う。その後両家の顔合わせが行われ、自分達とは違う雰囲気の優吾の父親カンカンと母親マルコに戸惑ってしまう。
結婚式への思い、考え方など結婚する2人の気持ちが一致していればまだ良いけれど、親の考えが優先されてしまうとうまく行かないのは目に見えてわかる。
私も娘2人を嫁に出したので、色々な事が思い出されてすごく共感してしまう所がありました。
更にこの小説は娘の結婚だけではなく、健一と智子という長年連れ添った夫婦の危機に関しても描かれていてそちらにも共感しきりで…。智子の気持ちは痛いほどわかります。 -
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読みたいなと思って、本棚に入れたまま、なかなか手をつけていませんでしたが、先日妻が同窓会から帰ってきて私の母校がモデルなんだってと教えてくれました。
先に読んでみると確かに知っている名前の土地が多く出てきていて、妻はもっと楽しく読めるんだろうなと思いながら、普通の作品とは異なる視点で楽しむことが出来ました。
内容的にも書かれている世代が自分達と同じ所もあり、ものすごく懐かしく、そして共感できました。犬を通して、それぞれの世代の生徒達の様々な想いが丁寧に描かれていて、そして世代を超えた人の繋がり、とても心が温まる素晴らしい作品でした。
母校がモデルとなる作品があるなんて、妻を羨ましく思いました。 -
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単にフィクションとして読んで、とても面白い。
ただドラマ化される前提で書いてるのかな?という感じがあった…伊吹氏の本は好きなので、この傾向が少しあるように思えるのは残念
内容は引き込まれ一気読み。
一人娘の結婚へ向けての父、母、娘、それぞれの立場の描写が面白い。そうだろうなーそーだよね、と共感したり、気をつけなきゃ、と引き締めたり…
娘が父と仲良しなのがとても好感度あがる。
そして母との距離もとてもいい。
彼氏くんがクズなのかと思いきや漫画のような家庭で育ってきて最後がハッピーエンドでよかった。
じげんせ、わげんせ、あいごせ
慈眼施、和顔施、愛語施
「慈しみある眼、和やかな顔、愛ある -
Posted by ブクログ
パッと見て、面白そうだと思ったこの本
お勧めもされていたので読みたくて購入しました
インスピレーションで選んだ本はあまり情報を入れずに読むのですが
タイトルと表紙で、昔の友人に向けたストーリーなのかと思っていましたが、全然違って笑
どちらかというと、お仕事小説
それも、戦前、戦時中の雑誌社の話
予想と違うストーリーでしたが、素晴らしかった
こんなに素晴らしい物語に出会えて心から良かったと思えます
戦争のさなかに雑誌が求められていること
国の方針に従いながらも、理想を追い求め、読書のために作る雑誌
戦後80年の今、これを読めて良かったと思います