伊吹有喜のレビュー一覧
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温かく優しい気持ちになる一冊。
一気に読み終えて、なおまだ余韻に浸る。
八稜高校で過ごすことになる犬のコーシローと高校生達の物語。
主軸は早瀬と塩見のストーリーだが、いくつもの時代のハチコウセイを通して、その世代の葛藤や恋愛、成長が描かれていて胸に刺さる。
コーシロー目線と高校生目線でのストーリー展開がテンポよく進み、短編でありながら、どこかでつながりを持ちつつ紡がれていく。
伊吹さんの作品は『雲を紡ぐ』に続き二作目。
好きだなぁ。
三重県四日市という伊吹さんの青春を過ごした場所や母校への愛も感じる。
青春を描いた物語がこんなに純粋に心に響いたのは久しぶり。自分の高校生時代を思い出してしま -
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ネタバレこの作家さんが気になって手に取ったのですが、実は、シリーズ最終巻だったことが後で判明。
でも、初見でも登場人物たちの背景を丁寧に描いてくれたので、特に引っかかることなく読むことが出来ました。
私も田舎生まれで、村のコミュニティみたいなものに嫌気が差してる部分が大きいのですが、登場人物たちはこの村を愛しているのが何だか良いなと思いました。
「美しさとは・・・」という文章は心に沁みましたし、私の教訓にしようと思いました。
そういえば叔父さんのことが好きだったあの女の人、2年後どうなったんだろう・・・?
一途だからこそ意地悪だった気もするし、打算的だから2年も待っても脈がなくて年齢的にあっさりとあき -
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ネタバレ不登校になってしまった少女が、父方の祖父が営んでいる山崎工藝舎へ弟子入り。羊毛と触れ合い、試行錯誤していく中で自分の好きなものを見つけ、成長していく物語。
『羊毛は死んだ動物のものじゃない。生きている動物の毛を分けてもらうんだ。だから人の身体をやさしく包んで守ってくれる。』p121
『大事なもののための我慢は自分を磨く。ただ、つらいだけの我慢は命が削られていくだけだ。』p140
『心にもない言葉など、いくらでも言える。見た目を偽ることも、偽りを耳に流し込むことも。でも触感は偽れない。心と繋がっている脈の速さや肌の熱は隠せないんだ。ものだって同じ。触ってみなさい。』p255
『ただ、腹を -
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自分に自信がなくて、いつも笑顔を貼り付けて過ごすことで友達から揶揄われて学校にいけなくなる。母も父もそれぞれに仕事で大変さを抱えていて、逃げるな、と言われながらも耐えられずに新幹線に乗って盛岡にいる祖父の家に訪れる。
祖父はホームスパンを作る職人をしており、驚きながらも暖かく迎え入れ、本人が置かれている状況を知り、逃げることも大事、自分を守ることも大事だと支えてくれる。
自分の嫌なことはたくさん知っているのに、自分が何色が好きで、何が好きか、いいところに目が向けられていない、と教えてくれたことが印象的だった。
学校に行かなくなったとき、両親、祖父母などの家族は将来のことをそれぞれ心配し、本人を -
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ネタバレ高校でいじめにあって、向かった先は岩手県の祖父の工房。
純白の羊毛に触れる内に美緒も工房の作業に興味を持ち出す。
職場で問題を抱える父の広志と母の真記の関係も怪しい方向に。
祖父の鉱治郎の存在が美緒を再生していく姿が頼もしい。
「大事なもののための我慢は自分を磨く。ただ、辛いだけの我慢は命が削られていくだけだ」
「『大丈夫、まだ大丈夫。』そう生きながら生きるのは苦行だ。人は苦しむために生まれてくるんじゃない。遊びをせんやと生まれけん」
生きることは、しんどいことだなと思う。大人であっても、子供であってもそれは変わらないだろうし。
どこが自分の限界か、人は我慢大会のために生きているのではと思 -
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ネタバレ2014年頃「なでし子物語」を読んで以来、ずっとシリーズを追いかけてきました。ついに収まるべきところに収まったという感があり、満足です。
一方で気になる点もいくつかありました。
・カネとコネで物語がどんどん展開していく
ご都合主義でちょっと鼻につく感じがしました。
・利害が必ずしも一致しない登場人物の小物っぷり
例えば里莉子。仕事のできる有能秘書みたいな扱われ方をしていますが、耀子や瀬里に対する言動が危うくてそうは思えない。それ親戚の立海にチクられたら公私ともに破滅しかねませんけど、脇が甘すぎやしませんか。
ただ、これらは、この小説が群像劇ではなく、いかに耀子が立海と結ばれる -
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どんぐりさんの投稿を見て読みたくなった作品。
なでしこシリーズの第1弾♪
好きな予感がする!と思って手にしたけれど、やっぱり予感的中、どっぷりハマってしまった。
あ〜これしみじみ良かったな〜(´ー`*)
父を亡くし、母にも捨てられ、いつもいじめられてばかりだった小4の耀子。
遠藤家の御曹司という重圧に苦しむ、とても病弱な小1の立海。
そんな2人が、静岡県の天竜川上流にある、遠藤家の別邸「常夏荘」で巡り合う。
勝手に昭和初期のイメージを持って読んでたけど、どうやらもっと最近で50年くらい前の設定のお話だったみたい。
山奥の自然豊かな場所、ちょっぴり厳しくもあたたかい周りの人達、そして