伊吹有喜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
伊吹有喜作品、初読み。
山崎美緒、高校2年生。クラブ活動での出来事が原因で不登校に。
美緒が未だに大事にし続ける、亡くなった祖母・香代が最後に織った赤いショール。
両親、学校との悩みから居た堪れなくなった美緒は、祖父・紘治郎のいる盛岡へ。
盛岡では紘治郎が、羊毛を染め、紡いで織る、ホームスパンの工房を営んでいた。
自分でも自分の色を紡ぎたいと思い始める美緒…
うまく自分の思いを人に伝えられない美緒。
それゆえ、まわりから誤解されてしまう。
父・広志も母・真紀もそんな美緒の思いを理解できずにいる…
広志は広志で女の子だからわからないとばかりに真紀に丸投げ。
真紀は真紀で不登校の娘・美緒の存在が教師である自身への不信感へとつながり、悩まされている。
お互いがお互いを理解できずに、家族はバラバラ…
もっと話をしないといけないのだろうが…
口下手な美緒と広志は真紀の前ではうまく話せない。
真紀がもっと話をさせるような環境を作らないといけないのだろうが、そこまで余裕がない…
このまま空中分解するのか…
紘治郎も口下手で、広志との関係はうまくいっていなかったが、広志が紘治郎の広志に対する思いをわかり始めたことで、変わり始める。
子どものことを思わない親はいないはず。
うまく伝えられるかどうかだろう。
なんでも話ができる環境がいかに大事か。
最後にわかりあえてよかった。
糸を紡ぐように。
美緒のショールが評判になる未来が楽しみだ。
太一もまた山崎工藝舎に戻ってくるんだろうな。
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Posted by ブクログ
フォロワーさんの本棚から美味しそうな匂いにつられ手に取った作品。
タイトルからガッツリした料理と美味しいご飯のグルメ小説かと思いきや人間の毒や業のスパイスがピリッと効いた人間味溢れる話だった。
特に面白かったのは柚木麻子の『エルゴと不倫鮨』、高級料理で女性をつまみ食いしようとした男達が、ある女性の注文によって食いっぱぐれてしまうのがなんとも滑稽でスッキリした後味が爽快!
伊吹有喜の『夏も近づく』も良かった。
拓実の優しさと美味しいご飯のセットが、葉月の心に刺さった棘の傷を癒してくれる。
まさに「心の栄養」を与えてくれる一編。
『味の分からない男』が不穏な話で後味が悪かったぶん、『どっしりふわふわ』が焼きたてのパンと美味しいコーヒーが出てきたような
最高のお口直しだった。
そして最後はまんまと「隠し味(仕掛け)」に騙されてしまった。
どの話も結構なお手前でお後がよろしゅうようで御馳走様です。和洋折中楽しませていいただきました。 -
Posted by ブクログ
青春モノはあまり得意ではないけれど、伊吹有喜さんの作品なので手に取ってみた。が、ページをめくって、しまったーとちょっと後悔してしまった。タイトルの犬らしき犬が一人称で語っている。切なすぎるー。最近の保護犬保護猫のテレビ番組が、小さな命を救っているはずなんだけど、何故か見ていられない私。人間のエゴが、現実が、あまりにも私には強すぎるからだろうなぁ。冒頭のシーンでそれを思い出してなかなか読み進められなかった。
少しずつ少しずつ読み進めてみたが、コーシロー(犬)の第1話の主人公ユウカへの想いが切なすぎてたまらなかったー。
個人的には第3話「明日の行方」が印象に残った。神戸に住んでいるおばあちゃんが震災にあって想定外に同居が始まる。この話の最後、用務員のクラハシの言葉も心に残る。おばあちゃんが亡くなって、この主人公なっちゃんが「効率の悪い」と思っていた医師を目指した。最終章に登場した時は安心したー。おばあちゃんにも伝えてあげたいなぁ。
安易にベットを「購入」する事ができる昨今、最初に犬を飼う事を許してくれた校長先生の言葉を皆がきちんと理解してほしいなぁと願う。
「責任とは何か。命を預かるというのはどういうことか。各自、身をもって、それを考えていきなさい」