伊吹有喜のレビュー一覧
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昭和…1988年のある日、三重県の高校に迷い込んだ一匹の白い子犬が「コーシロー」と名づけられ、平成、令和と入学し卒業してゆく生徒とともに学校生活を送ってゆく話。
小説は5章あり、高校で飼われるようになり、時代とともに高校の生徒も変わってゆくが、コーシローはずっと高校にいて、青春時代を送る生徒らを見つめ続けている。
ネタバレになってしまうが、その間にはF1レースが流行ったり、阪神大震災が起きたり、生徒の環境も家族とともに変わる。そして第5章のラストでコーシローは老犬として生涯を閉じる。
最終章は令和元年、コーシローが逝ったあとに高校100周年のイベントがおこなわれ、各章に登場した高校生らが同窓 -
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伊吹有喜さんの連作短編集
『今はちょっと、ついてないだけ』
収録は以下7つの短編
・今はちょっと、ついてないだけ
・朝日が当たる場所
・薔薇色の伝言
・甘い果実
・ボーイズ・トーク
・テイク・フォー
・羽化の夢
●あらすじ
バブル期に「ネイチャリング・シリーズ」という冒険番組でもてはやされた「タチバナコウキ」こと立花浩樹。
バブルがはじけ、番組も終了し、プロデューサーの連帯保証人となっていた浩樹は、多額の負債を背負わされる。
自己破産もせず、十五年かけて地道に全額返済した浩樹だが、ふと気が付けば、家庭も持たないまま、夢や希望も見失い、人生に行きづまっていた。
そんな時、母の見舞い先 -
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感想を書き漏れていた。3ヶ月ほど経ってしまったが、思い返して。
題名や事前の紹介文からなんとなく、犬と高校生との交流を描いた青春ものなのかと思って手に取ったのだが、読後の本棚整理で、「恋愛もの」カテゴリに分類し直した。時の流れが美しく描き留められた、まさに絵画のような物語だった。
題名を正確に読み解けば、「そういえば私たちの通っていた高校には犬がいたよね」といった感じなのだろうか。子どもから大人へと変わっていこうとする「高校三年生」の旅立ちを、ただそこにいて変わらずじっと見つめ見送っていく犬の視点。その即かず離れずな距離感が絶妙。「四日市」という地域設定も絶妙で感服したのだが、実は作者は三重ご -
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ネタバレあまりにも生活がカサついているため急遽キュンを摂取しようと恋愛小説(ただし甘すぎないもの)を検索し本作に辿り着いた30代女です。
私の学生時代は、コーシローが生きた時代より10年ほど後かと思いますが、いつの時代にも変わらない思春期の甘酸っぱさや爽やかさ、苦さに共感が止まらず、心が若返ったような気がしました。
一点だけ、女子のメインキャラ2人の容姿が突出して美しい点は違くても良かったのになぁと思ってしまいました。外見に関係なく素敵なキャラクターなので、中身に惹かれる描写がもっと見たかったかもしれないです。
その分映像したらとても映える作品だと思います。主演は有村架純ちゃんかなーなんて、妄想し -
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感想を書くために調べたらシリーズ物で4冊目だった。
最初のページに「人物相関図」があり、それを何度も見返すほど色々な人が複数の名前で出てきて混乱する。相関図は2つの家系しか無く、全く足りない。半ばまで名前に苦しめられて大変だった。
それと親戚や地元の人達の悪意が出てきて辛い。
配送センターが火事になってから一気に展開してきて面白くなって行く。多勢の人達の助けにより、事業を含めたフェスが成功して行く。
父親の死は悲しいけど、皆んなの人生も好転していって救われた気持ちになる。
感想を書くために再度読み直したら、親戚含めて人間関係が明瞭になるとともに、感動で涙が溢れてきた。
多分、シリーズを最初から