伊吹有喜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中高年向けの恋愛もの、なのかな?
孤独死が3件も出てくるし、主人公の美紀は48歳にして、夫も家も仕事も失い、死に場所を求めてかつての恋人の故郷である鎌倉へ赴く。そして、彼の面影のある男性を見かける。
いつ死んでもいいとまで考えていたのに、雨宿りに招かれた台湾茶カフェでマダムに心にしみるお茶を淹れてもらい、やはり生きていたい、と思う。そして、そこで働く事にする。
マダムの孫である髙橋紫釉(しゆう)は年齢不詳のちょっと素敵な中年男性だった。
新しい土地で新しい仕事と新しい人間関係。やむを得ずとはいえ、羨ましいかも。まぁ、健康だからよかったのよね。
恋愛小説ならではのドキドキの展開と台湾茶と着物や布の知識がふんだんに盛り込まれ、高等遊民という説明がピッタリの紫釉さんとの会話など、知的な雰囲気の小説。
お茶は奥が深い。茶器も蓋椀?など日本のものと違い、小さめの飲杯で何回かに分けていただく。一杯目、二杯目と重ねていくたびに香りも変化して味わいも変わるとか。こんな素敵なカフェが近くにあれば通っちゃうよねー(^-^)
なんとなく疲れていて人生を半分くらい投げてる人におすすめします。立ち直る気になれるかも。恋人が出来るかはわからないけど(´∀`*)
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Posted by ブクログ
台湾茶葉の種類と作法に則り淹れたお茶の一煎毎の表現が何と豊富な事か。
人生に疲れた美紀が思い出の鎌倉で出会った茶藝館。
死への思いに囚われていた美紀も、マダムの淹れたお茶を飲むうちに少しずつ癒されて行く。
鎌倉に引っ越し、茶藝館で働くようになった美紀はだんだん自分の人生にも前向きになって行く。
マダムは美紀のメンターのような存在だ。時に優しく包み込み、時には大胆に美紀をけしかける。
同い年の紫釉とのお互いの弱みを見せられるやり取りも、元カレの息子の直哉との溺れるような恋も、美紀は一煎毎に開いてゆく茶葉のようだ。
奥深さに虜になったお茶とずっと携わって来た大好きな着物が再び仕事となり、居場所を見つけた美紀。マダムの言う所の、女として「菩薩」を目指すか「をんな」の業を背負って行くか、どちらを選ぼうが自分の選んだ道を行くだけだ! -
Posted by ブクログ
京都も好きだけれど、鎌倉も好き。
一口に古都と言っても、その町々によって違った雰囲気をまとっているもの。
鎌倉の特徴はやはり、湘南の海に面していることだろうか。
海はキラキラと輝いて、いつでもサーファーが浮かんでいる。
そして、さしたる距離もないところに小山の間の谷戸や切り通しといった仄暗い場所がある。
光と闇のコントラストを強く感じるのが鎌倉だろうか。
仕事を失った、48歳の美しき未亡人・相生美紀(あいおい みき)は生きる意味を見失い、東京の自宅を片付けて身辺整理をし、初恋の人との思い出の地である鎌倉に向かった。
そこで、『鎌倉茶藝館』という店にたどり着き、マダムから心と身体を癒やすお茶のもてなしを受ける。
お茶は、一煎目、二煎目と味を変えた。六煎目、七煎目もまた違った味わいがある。
でもいつかは出がらしになるでしょう?
するとマダムは「香りや味が薄れても、良いお茶はどこまでも美しい味わいを残すのですよ。女が死ぬまで女であるように」と言い切った。
物語を彩る男たち。鎌倉出身の、昔の恋人・伊藤智也(いとう ともや)三つ上。
茶藝館の離れに住む、美紀と同年代の男性・高橋紫釉(たかはし しゆう)はマダムの孫で、普段は和装で過ごしている。
そして、伊藤智也とそっくりな青年実業家・篠崎直哉(しのざき なおや)
紫釉に求婚され、直哉との肉欲に溺れ、常連客の元カメラマンの老人にはセクハラをされ・・・(いや、「カメラの先生」はこの際どうでもいい)
美紀って、魔性の女?
堅物が四十を過ぎて恋に溺れると始末に追えない、と昔から言われ、ある種の皮肉と憐憫と滑稽味を持って描かれてきた。
「いい歳してみっともない」と。
そうやって描かれる対象は、多くは男性だった。
台湾茶の香りと、和服の描写、日本古来の色を表す名前、七十二候の言葉といった優雅なものに彩られているが、美紀の恋も四十過ぎて開花した悪あがきである。
死の「陰」への反動は「陽」の官能に向かうと紫釉は言っていた。
女としての死への反動で、燃え上がった欲求なのかもしれない。
それとも、鎌倉の「光と影」がなせる技なのか。
物語に登場する女たちは、美紀も大概だが、彼女の元夫の姪・玲奈や、直哉の母親・志津子は強烈なキャラクターである。
元夫を慕っていたらしき玲奈は、美紀を蛇蝎の如く嫌い、「おばさん」」と呼び(続柄的には正しい)とことん金を吸い上げようとする。
直哉の母親はセレブ。ミュージカルに通い詰め、マツエクで容貌を盛り、甘ったれた声で息子を言いなりにしようとする。
押しも押されもせぬ大物はやはり、鎌倉茶藝館のマダムこと林淑恵だろう。「はやし としえ」と読んでいるけれど、中国語読みもできそう。
美紀の女性としての生き方に、道案内の灯りを掲げてくれる人でもある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
あの人と過ごす「おやつ」の時間が、
今日を乗り切る力をくれる。
おいしいものを愛する作家陣が、
心とおなかの空腹をあたたかく満たす短編小説集。
●作品紹介
妻子ある政治家と逢瀬を重ねる画家の朱莉。
マスコミを避けるため延泊した伊豆の山奥のホテルで回想する、
これまでのこと。
――島本理生「楽園の代わりのカッサータ」
なりゆきから、派手めギャルとして高校生活を送る陽子。
クラス替えで再会した関優征は、かつて放課後をともにした相手だった。
――織守きょうや「ファースト・アンド・オンリー」
両親の交通事故がきっかけで瀬戸内海の島に住む叔父に引き取られた碧。
果樹が茂る庭の手入れをし、
その恵みをいただく中で回復していく少女の物語。
――友井羊「春とマーマレード」
アイドルグループの一員として活動している泉水。
テレビ番組のお題で、まもなく卒業するメンバーの大地と一緒に、
スイーツをプロデュースすることに。
――畑野智美「アンパッサン」
息子の大学進学にあわせて上京した尋乃。
そっけない息子の隣で思い返すのは、
幼い彼とふたりで東京に滞在したときの記憶で……。
――名取佐和子「ドーナツ息子」
休学中の高校を中退して、食の仕事に進もうかと悩む美也。
東京で郷里の友達、瀬里が暮らすシェアハウスに滞在するなかで、
食事とスイーツづくりを担当することになり――。
――伊吹有喜「ストロベリーの歌」
【個人的な感想】
どの話もほっこりするだけじゃない、深い悲しみや辛さが描かれていて読んでいて飽きなかった。 -
Posted by ブクログ
それぞれ全く違う味わいの作品ですがそれそれ大変、力作ぞろいで私はかなり好きですね
概要
「料理」をめぐる極上の7つの物語
うまいものは、本気で作ってあるものだよ――
最高級の鮨&ワイン、鮪の山かけと蕗の薹の味噌汁、カリッカリに焼いたベーコンにロシア風ピクルス……
おやつに金平糖はいかがですか?
物語の扉をそっと開ければ、今まで味わった事のない世界が広がります。
小説の名手たちが「料理」をテーマに紡いだ
とびきり美味しいアンソロジー。
【本書登場の逸品たち】
塩むすびと冷たい緑茶
ハルピンのイチゴ水
全粒粉のカンパーニュに具を挟んだ
サンドイッチ
きときとの富山の海の幸・ゲンゲ汁
生クリームと栗の甘煮のパンとアイスコーヒー
食堂のカレーライスと福神漬
星屑のような白い金平糖