あらすじ
どうしてなんだろう――
それでも人はつながろうとする
高梨家の一人娘・真奈が婚約者の渡辺優吾を連れて実家に来た。優吾は快活でさわやか、とても好青年であることは間違いないが、両親の健一と智子とはどこか会話が噛み合わない。
真奈は優吾君とうまくやっていけるのか? 両親の胸にきざす一抹の不安。
そして健一と智子もそれぞれ心の中にモヤモヤを抱えている。健一は長年勤めた会社で役職定年が近づき、最近会社での居心地が良くない。週末は介護施設の母を見舞っている。将来の見通しは決して明るくない。
智子は着付け教室の講師をして忙しくしているが、家で不機嫌な健一に辟易している。もっと仲のいい夫婦のはずだったのに……。
娘の婚約をきっかけに一家は荒波に揺さぶられ始める。
父母そして娘。三人それぞれの心の旅路は、ときに隔たり、ときに結びつき……
つむがれていく家族の物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイトルから、娘が嫁ぐまでのハートフルな物語を想像していたが、良い意味で裏切られた。
【あらすじ】
高梨家の一人娘の真奈が、婚約者の渡辺優吾を連れてくる。結婚の話が具体的に進むに連れ、次第に明らかになる両家の格差婚。
真奈と優吾の若い2人においては、避けては通れない
家族や親戚との付き合い、結婚後の家計、将来の子どもの有無や、マイホームの計画など、先行きの不安が次々と押し寄せる。
果たして、このまま夫婦になるのが2人にとって幸せなのだろうか。
一方で、真奈の心に寄り添い、母として妻として、
正しくあろうと奮闘するのが、高梨家の母 智子。
両親の想いを胸に嫁いでから、大切に愛しみ手入れをしてきた着物がその象徴となって描かれている。
着付け教室の講師をしている智子だが、手に職という意味で、新しい女性の生き方を予感させる。
また、高梨家の父 健一は、役職定年を前に人生の岐路でひとり悩んでいた。これまで、家族を養い、真面目に計画的に人生を歩んで来た健一。父親の役目として理解はするものの、身の回りで起こるのは、お金の話ばかりで辟易していた。
そんな折、遠方にある母の介護施設を見舞った健一にある出会いが訪れる。
【レビュー】
冒頭は、時々クスッとする場面もあり、垣谷美雨さんのような現実的な家族小説だと思った。
しかし、結婚する若い2人目線だけでなく、次第に両親に目線が移っていき、夫婦のあり方や、結婚そのものの意味について考えさせられるのが、本作の面白いところ。
これから結婚を控えている方はもちろん、結婚をされた方は、既視感を時々感じながら、否応なく自分の時と比較して読み進めるだろう。
特に、智子目線と健一目線には、それぞれ共感する部分もあり、長年連れ添った夫婦だからこそ抱える問題や、時代背景の影響もあり、他人事とは思えない。
ラストの智子と健一の其々の今後を予感させる章は、読み手によって賛否ありそうだ。私は、中性的でバランス感の優れた伊吹有喜さんらしい結末だと感じた。
タイトルの『娘が巣立つ朝』の本当の意味は、ラストの一文に託されているのが意義深い。
Posted by ブクログ
娘が巣立つまでの家族の機微を描いた小説。夫婦仲を保つのが難しそうという印象。相手の家族との価値観があわなくて崩壊しかけるのはありがちな話よね。
Posted by ブクログ
一人娘である真奈が結婚を考えている優吾が家に挨拶にやってきた。健一も智子も一人娘の結婚を嬉しく思う。その後両家の顔合わせが行われ、自分達とは違う雰囲気の優吾の父親カンカンと母親マルコに戸惑ってしまう。
結婚式への思い、考え方など結婚する2人の気持ちが一致していればまだ良いけれど、親の考えが優先されてしまうとうまく行かないのは目に見えてわかる。
私も娘2人を嫁に出したので、色々な事が思い出されてすごく共感してしまう所がありました。
更にこの小説は娘の結婚だけではなく、健一と智子という長年連れ添った夫婦の危機に関しても描かれていてそちらにも共感しきりで…。智子の気持ちは痛いほどわかります。
ただ健一の話を読んでみて、夫もそんな感じで仕事や中高年になってからの体調の変化などと密かに戦っているのかしら?と思うとお互い様なのかな…と思ったり。
優吾の元カノやマルコの相手を見下した発言は本当に許せなくて、そこは1番腹が立ちました。家の格式や育ちの違いがあるのは仕方ないにしても、真奈がそういう発言をする人は品性が下品だと言い放ってくれたのは胸がスカッとしました。
娘の結婚の話から自分の時の事と重なり、胸は痛くなるし、涙は溢れるしでなかなか一気に読めませんでした。でも現在進行形で悩んでいる所もあるのでこのタイミングで読めたのは良かったと思います。
智子が決断した後に生き生きしている様子には心からほっとしました。何はともあれ、健一も智子もそして真奈と優吾も幸せであって欲しいです。
Posted by ブクログ
単にフィクションとして読んで、とても面白い。
ただドラマ化される前提で書いてるのかな?という感じがあった…伊吹氏の本は好きなので、この傾向が少しあるように思えるのは残念
内容は引き込まれ一気読み。
一人娘の結婚へ向けての父、母、娘、それぞれの立場の描写が面白い。そうだろうなーそーだよね、と共感したり、気をつけなきゃ、と引き締めたり…
娘が父と仲良しなのがとても好感度あがる。
そして母との距離もとてもいい。
彼氏くんがクズなのかと思いきや漫画のような家庭で育ってきて最後がハッピーエンドでよかった。
じげんせ、わげんせ、あいごせ
慈眼施、和顔施、愛語施
「慈しみある眼、和やかな顔、愛ある言葉」
離婚、別居、卒婚!
Posted by ブクログ
タイトルからだけだとほっこりする家族の物語かと思っていたが、読み進めていくと何やら暗雲立ち込めてくる感じ。父、母、娘の章ごとに一人称でそれぞれの立場から少しずつ気持ちのすれ違いが起こっていく様を丁寧に描かれていて、側から読む立場からすると面白かった。穏やかにいってそうに見える家庭にも夫婦間のわだかまりや不満はあるものなのだな。父の立場を考えると酒もギャンブルもせずに真面目に働いているのに行き違いで母に愛想を尽かされる結末になるのは可哀想に感じた。
娘と義理の父母とのやりとりも難しい。結局、娘はなんだかんだ言って婚約者と最終的には結婚したのだけど、この先果たしてうまく行くのだろうか?婚約者は自分の母の事を、本にされて黒歴史だとは言え偏っていたとは言え愛情を持って育てられてきたおぼっちゃまなのでなんだかんだ言って愛しているように思える。娘と義理の母との間の嫁姑問題が結婚前からかなり修復が難しいレベルに思えたのだけど。両親においても嫁姑問題があるのと同じ構造で娘と義理の母とも今後うまくいかないことは予想されるため、考えられるのは義母とほぼ絶縁状態になったり口を聴かないくらい険悪な関係、あるいは娘の方が我慢を強いられるか、あるいは分かり合えずに夫と離婚するか。
この本の後日譚を是非知りたい気がする。
Posted by ブクログ
結婚を控えた娘が結婚まで実家に戻ってくる家族の話。父母の結末は意外でしたが、今どき夫婦の結末なのかな。顔に雑巾を投げるような物言い、ため息をつかれてじわじわと首を締められるように息ができなくなる。大事な人は大事にしないといけないと自分に振り返って思いました。
Posted by ブクログ
限りなく5に近い4です。話自体は本当に面白いです!!
ただ優吾君にすごくイライラして嫌いだなーと思った、そのくらい引き込まれて読んだのだと思います。
Posted by ブクログ
人生何が起こるか分からない。娘の結婚相手の両親が名のある有名人。そして裕福な家。考え方も育ちも違い何時しか破談の方向に。そうこうしてるうちに、自分も妻と怪しい関係に。ボタンの掛け違いは、どこまで続くのか、、娘は山を乗り越えて結婚と相成る。自分は取り敢えずの卒婚。人生、本当に分からない。
Posted by ブクログ
えぇ〜っとこれはハッピーエンドなのか?
私的にスッキリした終わり方ではなかったです。仮面夫婦という言葉もあるぐらいだから仕方のないことですが、なんだかなぁって感じです。
お話しは、挙式を上げるまでの父、母、娘の3人の視点が描かれているストーリー。夫サイド、妻サイドが結構リアルなのでちょっと読むのが辛かった(;_;)
結婚式の諸々決めるのって本当に大変…こんなことあったなぁなど懐かしい思いで読みました。
優吾さんいい子なのに親が嫌すぎて私だったら耐えられないかも笑
Posted by ブクログ
平凡な家庭の普通の娘とセレブでイケメンの彼氏の結婚物語。本人達だけでなく両親のストーリーもあれこれ展開して次が気になり一気読み。
思っていたのとラストは違っていたけど、そーいうこともあるよね、と。
面白かった。
Posted by ブクログ
友人が読み終えた本をもらいました。
結婚を控えた一人娘と、その両親と、相手方の両親との
様々なもめごと・・・というか、
家庭環境や家柄の違いによって
どこの家庭でも起こりそうな問題が描かれていて
うんうん、わかるわぁ。。。
などと思いつつ、読み進めました。
初めて読む作家さんでしたが
とても読みやすくて、面白かったです。
Posted by ブクログ
娘の結婚とは、幸せをもたらすもの。
そんな簡単な事ではないと思い知らされる。
両家の価値観の違い、結婚の先の二人の未来にさえ、その時には気が付かないほころびが生じる。
体調や社会的な立場が微妙な年代の親の目線、心の変化に共感を覚えた。
Posted by ブクログ
装丁があまり好みではないが、内容は面白かった。自分にも娘がおり他人事ではない内容。今まで彼氏だけ見てきたが、結婚に向かうことで、相手の家族や親族、これまでの生活習慣、周囲の環境などなど、初めて知ることだらけ。受け入れ難いことも多々ある。戸惑いながらも乗り越えるべく娘を応援する父母。まぁいろいろあったが、そこはいい。しかし、父のプライベートがいかん!それはカミさん怒るのは当然。言い訳いろいろあってもそこは納得いかない。
Posted by ブクログ
見送る側、見送られる側、どちらの立場にもなったことがないので参考になった。ちょうど最近の悩みと被る内容だった。自分が結婚で一番懸念しているのは、生活の違い、考えの相違よりも、双方の親との関係だと気付いた。毎日関わるわけではないけど、切り離せない。良くも悪くもそれだけ親の目を気にしてしまう自分なんだろうな。
そこから派生して登場人物と重ね合わせ、いろんなことを考えてしまった。結果、未来のことは分からないから、いま自分がどうしたいか少し時間をかけて向き合おうと思った。
Posted by ブクログ
我が子が婚約者を連れてくる時
それは見知らぬ誰かと唐突に親族になるということ
自分とかけ離れた価値観の人たちだったら
折しも親は思うところがいろいろな熟年期…
これはそんなお話
短章が娘、母、父と細切れに入れ替わる
それぞれの思いや状況が細やかに綴られてるから、客観的にこの家族の経過を見守っている気分になるよね
このストーリーは娘の結婚についてのみならず、年頃の子を持つ夫婦の在り方や葛藤、そしてすれ違いにも大きく焦点を当てている
同年代として熟年の男女の心の機微が刺さる作品
Posted by ブクログ
タイトルから若い2人が結婚式を迎えるまでの数々のハードルを乗り越える物語、と、勝手に思い込んで読み始めました。
読み始め当初は想定通りありきたりな展開で中弛み感を感じながら読んでいたのですが、暫くすると物語の流れに違和感が漂い始めました。
いつの間にか物語は式を迎える2人ではなく、娘の家族に均等にフォーカスされていて、むしろ子供が成長した後の晩年の親夫婦の在り方に比重を寄せて描いています。
どうしてどうして。
さすが伊吹先生。
なかなかの読み応えがありました。
一筋縄では行かず、いい意味で裏切られました。
Posted by ブクログ
送り出す側として読んだ
送り出すと同時にまた人生動き出すのも良くわかる、それぞれの事情がいろいろあるのも良くわかる、分かっててもうまくいかないのもそうだろうなと納得してしまう
答えなし、うまくいかないもんだけど、前には進んでる
Posted by ブクログ
娘の結婚の頃には親の介護や定年とかを考えなくてはいけないタイミングとも重なる。結婚式にかかる費用をどうするのか、両家の考え方や価値観の違いをどうするのかいろいろと考え、話し合わないとなくてはいけないことが多くなる。
娘が家を出ていくだけではなく、それとともに夫婦の関係性も変わる可能性をもっている。
父親の自分中心の考え方、自分はそんなには悪くないという考え方がよくないと認識させられた。
Posted by ブクログ
予想外のラストに少しモヤモヤ。
結婚が決まった娘と、その父親、母親の目線から話が進む。都内で一人暮らしをしていた娘が結婚までの半年、色々訳あり郊外の実家に戻ってくる。最後の家族水入らずの3人での生活。その中でそれぞれに色々悩みがあり、お互いに気を遣い、すれ違ったりする。花嫁のドレスの仮縫い場面はかなりショッキングで印象に残った。いつも緩やかなフワフワしたイメージの娘真奈が義母にハッキリとした凛とした態度をとったところは最高!でも後にエピローグで涙ぐむ真奈と母智子、義母マルコにこちらまで涙を誘われた。それぞれ生きてきた環境が違うし、勘違いや、上手く思いが伝わらないこともあると思うけれど、女3人が未来に向けてそれぞれにいい関係を持てたらいいなと心から願った場面だった。
途中、こんなに風呂敷を広げて大丈夫なの?と残りページを気にしつつ読み進めたけど、やっぱりなんかこんな感じで終わるのかと、ちょっと寂しい。そんなラストだった。本当にいいの?お父さんって感じ。
Posted by ブクログ
他人と家族になるということの難しさ、熟年夫婦のすれ違いなどとてもリアルに描写してあり、読んでいて、重苦しさを感じました。
読書に何を求めるかにもよりますが、私は、どうせ読むなら、明日も頑張ろうとか、人生捨てたもんじゃないとか、前向きになれる作品を読みたい派なので、その観点からはこの小説は好みではなかったです。
マルコさんの発言は、天然とかいう問題ではないし、それに対する真奈の発言は私は支持しますが、互いにそこまで言われて、今後、親戚として果たしてやっていけるのだろうかと、色々、考えさせられました。
相手を傷つける可能性のある不用意な発言には気をつけないといけないですね。
Posted by ブクログ
伊吹有喜さんの小説は大好きで、8~9割方読んでいる。この物語、悪くはないけれど、今まで読んだお話に比べるとちょっと物足りなさを感じるところもありました。
タイトルから、娘が結婚するまでのことを著した物語と思って読み始めたけれど、それだけではない。
娘の結婚、格差のある相手の家族、友人関係、そして夫婦関係。
最後までどっちに着地するのだろうかと分からなく、そのあたりは楽しめたけれど、スッキリする結末が個人的には好き。
ただ、夫婦関係の描写のところは、もうものすごく共感。それを最後に口に出して言えた智子は強いと思う。そして、それを、一瞬たじろぎはするけれどかっとすることなくどうしようかと考えようとした夫・健一もよいと思う。
娘の真奈と婚約者の優吾。2人の関係にだんだんともどかしく感じるようになったけれど、最後の最後、ちゃんと言葉にして思いを伝えたこと、どうせ無理だからと、これ以上傷つきたくないからと、投げやりにならず思いをきちんと伝えたところは、読んでいて「よくやった」と思いました。
はっきりと口に出して言いたい事を言えたらいいのだけど、自分のこととなるとなぜか言えない。自己防衛本能の故なのか。
言って後悔するのと、言わないで後悔するのとどっちがいいか。それに正解はないけれど、本作のように、言わないで思い悩むよりは、思い切って言って、スッキリすれば一番。ただ、それを受容できるかどうか、人間性が試されるのかな。
Posted by ブクログ
娘の結婚騒動に親夫婦も離婚の危機。身につまされて気が重くなってくる。
元々口の重い父親が役職定年で会社に居場所が無くなって来て、家庭でも不機嫌でいる。小さなイライラから、妻も爆発寸前。そこに娘の結婚話。相手の家庭との格差にどんどんストレスが溜まる関係者。読んでいて、こちらもストレスが溜まる。
お互いの爆発で破談へ。親も分裂の危機。最後は半分収まり、半分は中途半端な解決。スッキリとさせて欲しかった。
Posted by ブクログ
結婚の話になってからスムーズに進まない感じがリアルだった、家問題も
読後はややもやっとした。途中や最後で思ってた話題からは逸れていて、それが良いのか悪いのかよく分からない、おもしろく感じる箇所もあったが途中で逸れていたところは話が長く感じた
Posted by ブクログ
一人娘の真奈が結婚することになったごく普通のサラリーマン家族が婚家の両親との関係性のズレに気づいてながらも、なんとかやり過ごしている。そのうちに家庭内でも更年期や介護、夫婦のギクシャクなど問題は山積み。お互いの思いやりが大切。
Posted by ブクログ
若い2人にはこれから起きることを思うと「前途多難」と考えてしまう。最後の方で「私には何をしてもいいと思ってる。」はキツイ。。でも当然。こうなったらダメだと自分を戒めた。
優吾が二重人格みたいだった。
Posted by ブクログ
最後は夫と妻ふたりになる。
だからお互い、いくつになっても大切に思う
ことが大事だ。
読んでいて辛くなることもあったが、
人生ってこんな感じなのかも。