【感想・ネタバレ】娘が巣立つ朝のレビュー

あらすじ

どうしてなんだろう――
それでも人はつながろうとする

高梨家の一人娘・真奈が婚約者の渡辺優吾を連れて実家に来た。優吾は快活でさわやか、とても好青年であることは間違いないが、両親の健一と智子とはどこか会話が噛み合わない。
真奈は優吾君とうまくやっていけるのか? 両親の胸にきざす一抹の不安。
そして健一と智子もそれぞれ心の中にモヤモヤを抱えている。健一は長年勤めた会社で役職定年が近づき、最近会社での居心地が良くない。週末は介護施設の母を見舞っている。将来の見通しは決して明るくない。
智子は着付け教室の講師をして忙しくしているが、家で不機嫌な健一に辟易している。もっと仲のいい夫婦のはずだったのに……。

娘の婚約をきっかけに一家は荒波に揺さぶられ始める。
父母そして娘。三人それぞれの心の旅路は、ときに隔たり、ときに結びつき……
つむがれていく家族の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルからだけだとほっこりする家族の物語かと思っていたが、読み進めていくと何やら暗雲立ち込めてくる感じ。父、母、娘の章ごとに一人称でそれぞれの立場から少しずつ気持ちのすれ違いが起こっていく様を丁寧に描かれていて、側から読む立場からすると面白かった。穏やかにいってそうに見える家庭にも夫婦間のわだかまりや不満はあるものなのだな。父の立場を考えると酒もギャンブルもせずに真面目に働いているのに行き違いで母に愛想を尽かされる結末になるのは可哀想に感じた。

娘と義理の父母とのやりとりも難しい。結局、娘はなんだかんだ言って婚約者と最終的には結婚したのだけど、この先果たしてうまく行くのだろうか?婚約者は自分の母の事を、本にされて黒歴史だとは言え偏っていたとは言え愛情を持って育てられてきたおぼっちゃまなのでなんだかんだ言って愛しているように思える。娘と義理の母との間の嫁姑問題が結婚前からかなり修復が難しいレベルに思えたのだけど。両親においても嫁姑問題があるのと同じ構造で娘と義理の母とも今後うまくいかないことは予想されるため、考えられるのは義母とほぼ絶縁状態になったり口を聴かないくらい険悪な関係、あるいは娘の方が我慢を強いられるか、あるいは分かり合えずに夫と離婚するか。
この本の後日譚を是非知りたい気がする。

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2025年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

他人と家族になるということの難しさ、熟年夫婦のすれ違いなどとてもリアルに描写してあり、読んでいて、重苦しさを感じました。

読書に何を求めるかにもよりますが、私は、どうせ読むなら、明日も頑張ろうとか、人生捨てたもんじゃないとか、前向きになれる作品を読みたい派なので、その観点からはこの小説は好みではなかったです。

マルコさんの発言は、天然とかいう問題ではないし、それに対する真奈の発言は私は支持しますが、互いにそこまで言われて、今後、親戚として果たしてやっていけるのだろうかと、色々、考えさせられました。
相手を傷つける可能性のある不用意な発言には気をつけないといけないですね。

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2025年09月14日

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