伊吹有喜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最近、青春小説ばっかり読んでいたので、久々に大人のお話。
心のバランスを崩し休職中のエリートサラリーマン哲司が紀伊半島の港街、美鷲を訪れる。そこで出会った喜美子。明るい振る舞いの裏には悲しい過去があり。
最初はこの喜美子の田舎のオバちゃん然とした感じがイヤだったけど、読み進めていくうちにそれが彼女の自信のなさやあきらめてきたものからくるものだとわかってくる。本当は誰よりも純粋でまっすぐで。だから哲司もそんな彼女に癒され、徐々に自分を取り戻していくんだね。大人の夏休み。
「風待ち」という言葉がいいね。「道を踏み外したのではなく、風待ち中。いい風が吹くまで港で待機しているだけ」
惹かれあう二人だけ -
Posted by ブクログ
宝塚の演目の原作とあるが、テレビドラマにもなった作品のようだ。
ストーリー、キャラクターが魅力的で、絵になる場面も多い。
なるほど、人気があるのもうなずける。
主人公は二人いる。
製薬会社勤務の青柳は、リストラ寸前。
おまけに妻子に見捨てられる。
そんな彼にとってはまったくお門違いのバレエ団運営に出向させられる。
もう一人は、青柳と同じ会社のトレーナーの瀬川由衣。
彼女も会社が後援していたマラソンランナーのマネジメントに失敗し、崖っぷち。
初期状態がこれなら、浮揚するしかないわけで。
新たに担当となった世界的バレエダンサー、高野のマネジメントにがむしゃらに取り組む由衣。
悩みながらも「王 -
Posted by ブクログ
料理をテーマにしたアンソロジー。
女性作家ばっかりかなと思ったけど、中村航さんは男性かな?色んなテイストの作品が詰まっていて、美味しくて嬉しいアンソロジーでした。
以下お気に入り作品。
柚木麻子「エルゴと不倫鮨」
不倫を嗜む男たちの隠れ家的鮨屋に、明らかに場違いなくたびれたおばさんが襲来する。そのおばさんはなぜかとても料理に詳しく、次々と美味しそうなオリジナル創作鮨をオーダーしはじめ…まさにタイトル通り注文の多い料理小説。ラストのオチも痛快でよい。
伊吹有喜「夏も近づく」
悠々自適な田舎暮らしをしている主人公が、兄から半ば押し付けられる形で甥っ子を預かることに。田舎の豊かな自然と触れ合うこ -
Posted by ブクログ
「どうして、って思いそうになったら、どうしたら、って言い換えるの」「『どうして』グズなの?この質問に答えは出ない。だけど『どうしたら』グズではなくなるの?この質問には考えれば答えがでる。 答えが浮かばなかったら誰かに相談してもいい」
自立、かおをあげていきること。
自律、うつくしくいきること。
やらまいか。
あたらしいじぶんを、つくるんだ。
これは、父親を早くに亡くし、母親が男を作っていなくなってしまったことで、常夏荘に連れてこられた、燿子に、立海の家庭教師・青井がかける言葉だが、いい大人の私にも十分に響く言葉だった。
それと同時に、子供にかける言葉は本当に大切で、安易に悪い言葉を使ってはい -
Posted by ブクログ
バレエは全く未知の世界。読み終えてバレエを実際に観てみたくなりました。
思うようにいかない事態にも黙々と対処するリストラ要員で出向中の青柳。一方、予期せぬ事態で同じく崖っぷちのスポーツトレーナー瀬川。
共に社が後援するカンパニー(バレエ団)の舞台を成功させるべく奮闘する。
舞台は無事成功するの?二人の進退も気になるしチラホラと見え隠れする恋の予感の方も気になる。
作中にでてきた「日本で受け入れられないなら海外で」という発想が良かった。自分次第で可能性は広げられる。
みんなで1つのものを作り上げる一体感が気持ちいい。そして舞台裏をちょっと覗いた気分です♪
面白かった!
『気持ちさえ決まれば -
Posted by ブクログ
『雲を紡ぐ』がとても良かったので、伊吹有喜さんの2作目として手に取りました。
バレエ団とそこに協賛等関連するグループ会社が、バレエ公演の成功に向けて切磋琢磨していくお話です。
様々な企業、そしてその中でも立場の異なる人間が出てきて、それぞれの発言や対立するシーンはサラリーマンなら誰しも体験のあるようなリアルなものが多かったです。特に、主人公の中堅サラリーマンである青柳の、仕事での立ち回りや各方面との調整の仕方、仕事のまわし方は勉強にもなります。
バレエの華やかな世界や雰囲気というのはあまりなく中盤まではわりと淡々と話が進んでいきますが、最後の公演をトラブルありつつもそれぞれが知恵を絞って熱意 -
Posted by ブクログ
心が風邪を引いてしまったら、どうする?
そんなことで寝込んでなどいられないと、自身を叱咤激励するか、それとも、癒されるまで、ゆっくり過ごすか。
心が風邪を引いてしまったら、無理をしちゃいけない。周りの速度が速いから、取り残されてしまうのではないかと心配になるかもしれないけれど、焦らなくていい。
「風待ち中。いい風が吹くまで待機しているだけ」
いい風が吹いてきたら、帆を上げて漕ぎ出せばいい。
でも、それは一人じゃ無理。傍にいてくれる誰かが必要。支え、励ます、時にはユーモアをもって。その中で、もしかしたら、風邪が治りきっていなかった自身も癒されていく。
読後感がとてもあたたか -
Posted by ブクログ
数年前に,「なでし子物語」を読んで非常に感動し,続きが読みたいと思っていました。
最近,続編が出ていることを知り,早速手に取りました。
本書では,耀子が立海ではなく,龍治と結婚していましたが,「龍治」って誰よというのが正直なところで,全く印象に残っていません。
なぜ,あんなに強い絆で結びついていた立海が結婚相手ではないのか,意味が分かりませんでしたが,物語自体は面白く,一気読みでした。
耀子が龍治と結婚するまでを描く物語も既に出版されているとのことで,読むのが楽しみです。
なぜ時系列ではないのか疑問はありますが,きっと作者の何らかの意図があるのでしょう。
ラスト近くの立海とのやり取り,