伊吹有喜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『雲を紡ぐ』がとても良かったので、伊吹有喜さんの2作目として手に取りました。
バレエ団とそこに協賛等関連するグループ会社が、バレエ公演の成功に向けて切磋琢磨していくお話です。
様々な企業、そしてその中でも立場の異なる人間が出てきて、それぞれの発言や対立するシーンはサラリーマンなら誰しも体験のあるようなリアルなものが多かったです。特に、主人公の中堅サラリーマンである青柳の、仕事での立ち回りや各方面との調整の仕方、仕事のまわし方は勉強にもなります。
バレエの華やかな世界や雰囲気というのはあまりなく中盤まではわりと淡々と話が進んでいきますが、最後の公演をトラブルありつつもそれぞれが知恵を絞って熱意 -
Posted by ブクログ
心が風邪を引いてしまったら、どうする?
そんなことで寝込んでなどいられないと、自身を叱咤激励するか、それとも、癒されるまで、ゆっくり過ごすか。
心が風邪を引いてしまったら、無理をしちゃいけない。周りの速度が速いから、取り残されてしまうのではないかと心配になるかもしれないけれど、焦らなくていい。
「風待ち中。いい風が吹くまで待機しているだけ」
いい風が吹いてきたら、帆を上げて漕ぎ出せばいい。
でも、それは一人じゃ無理。傍にいてくれる誰かが必要。支え、励ます、時にはユーモアをもって。その中で、もしかしたら、風邪が治りきっていなかった自身も癒されていく。
読後感がとてもあたたか -
Posted by ブクログ
ネタバレ結末がもう少し面白みのある展開であれば、もうちょっと点数が上がっていただろう。
都会や家族関係に運んだりした高齢の女性が鎌倉に移り住んで茶芸館の手伝いをするという話。私も鎌倉は好きで1人で行ったりもするが、この本を読んでより一層将来的には住みたいなと思った。鎌倉は海が近く自然が溢れていて、とてものどかな場所である。そして電車で都会にもすぐ出れるし、駅の近くにはいろんなお店があるし、また海沿いにあるハンバーガー屋さんとかバーとか、その鎌倉特有のお店というのがとても魅力的だ。
この本を読んでいて、お茶の素晴らしさを非常に感じた。お茶というとコンビニで売っているペットボトルのお茶位しか飲まなかっ -
Posted by ブクログ
48歳、夫を亡くし、勤めていた会社も倒産、
傷心の主人公の相生美紀は、かつての恋人との
思い出の場所、鎌倉に出かけ、偶然の出会いから
その場所で営んでいる「鎌倉茶藝館」で働き始める。
かつての恋人とそっくりの、息子と言ってもいいほど歳の離れている男性と、歳の近い美形の男性との間で揺れ動く主人公。
うーん‥そんな都合のいい話、ある?と、
ツッコミを入れつつも、これはこれで、
成熟した大人の恋愛の話なんだろうなと
思う(好き嫌いは別として)ドキドキするような
シーンもあり、この話、ドラマ化したら
誰が主人公を演じるのだろうと思いながら読んだ。
鎌倉に台湾茶、着物、素敵なマダム‥
素敵な要素がたっ -
Posted by ブクログ
憧れている鎌倉、そして茶藝館への興味でこの本を読み始めました。装画を見ると、湯気の立つお茶を「どうぞ」と勧められているような感じがしました。同時に小説の中へ誘われる感じもしました。
主人公が夫を単身赴任先で亡くし、夫の隠された真実に傷ついたのが16年前。その後、生き甲斐にしてきた仕事も失くした後、鎌倉茶藝館で働くことになり······。といった感じで物語が進んでいきました。
自然描写に丁寧さを感じ、季節感溢れる物語でした。身近にある花や木々に季節を感じると、生活が豊かに感じられるのが伝わってきました。各章で出てくる様々な台湾茶と、お茶の味の移り変わり、台湾のスイーツにも、興味が湧きました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
相生(あいおい)美紀は16年前の32歳の時に夫竹内賢一を亡くし、3ヶ月前に着物と和装小物を作っていた勤務先が倒産し無職になる。
人生最後の旅になるかもしれないと全てを断捨離し、初めての恋人、伊藤智也(同じ大学の経済学部で3歳年上)との思い出の地である鎌倉に足を運ぶ。彼はアメリカに留学し、遠距離恋愛を続けていたが、「ずっと好きでいるけれど、忘れて欲しい」と言われて別れていた。その後異業種交流会で出会った竹内と結婚したが、大阪への転勤で単身赴任生活になり、しばらくして風呂場で倒れて亡くなってしまう。竹内と親しくしていた姪の玲奈とは遺産相続で仲が悪く、竹内の性癖も知ってショックを受ける -
Posted by ブクログ
ネタバレ【目次】霜降の青竹/冬至の山茶花/麋角解(サワシカツノオル)/春分の桜/虹始見(ニジハジメテアラワル)/芒種の紫陽花/菖蒲華(アヤメハナサク)/大暑の夏水仙/大雨時行(タイウトキドキフル)/秋分の曼珠沙華/桃始笑(モモハジメテサク)
お茶の世界も奥が深い。
更年期世代の美紀は偶然訪れた鎌倉の茶藝館で人生をやり直す力をもらう。
茶の魅力を知り懸命に働いていたら、元彼の息子が正体を隠して現れたり、カフェのマダムの孫に認められたりと、私生活も忙しくなる。
ちょっと生々しいところがあって苦手だが、決断できないのもわかる。紫釉がだんだん魅力的にみえてくる。 -
Posted by ブクログ
料理をテーマにした7人の作家さんによるアンソロジーです。
こちらのお目当ては柚木麻子さんと伊吹有喜さん。あと未読の井上荒野さんが気になってました。装丁のデザインとタイトルがなかなか洒落てますよね。
『エルゴと不倫鮨』柚木麻子
最初は不倫の話かぁ…ちょっと嫌だな、と思いきや、さすがの柚木さん。吹き出しそうになるくらい痛快でおもしろかったです。
『夏も近づく』伊吹有喜
自然の中で食べるちゃんと手をかけた料理が本当においしそうでした。
『好好軒の犬』井上荒野
初めましての井上荒野さん。最初から最後まで独特で不穏な雰囲気のあるお話でしたね。
『色にいでにけり』坂井希久子
こちらも初めましての