伊吹有喜のレビュー一覧

  • なでし子物語

    Posted by ブクログ

    境遇の違う子どもたちの成長物語。立海と曜子やりとりが微笑ましい。
    作者は違うが「そして、バトンは渡された」のようにまわりの大人次第で、子どもってこんなに成長できるのかと感じた。
    舞台は天竜川上流地域。自分が浜松市出身だけに、読んでいて一層懐かしい気持ちになった。

    それにしても、伊吹さんの作品はどれも読み終えたあとに何とも言えない温かみが残る。
    伏線未回収っぽいところも多く、決してすべてがきれいに片付いていないが、それもまた味。
    ドリフとか、時代のキーワードを盛り込む巧さは最新作「犬がいた季節」を彷彿とさせた。 ★4.5

    0
    2021年12月02日
  • 天の花 なでし子物語

    Posted by ブクログ

    出版順に読んだので、なでしこ物語はこれが3作目になる。
    なんて切ないのだろう。
    読み終えてしばしどっぷりこの世界から抜け出せなかった。

    「地の星」で疑問に思ったままになっていたことが次々にわかってくる。
    こちらを先に読むのと後に読むのでは、龍治の印象ががらりと変わる。
    環境は恵まれていたけどずっと孤独で、心の拠り所があまりない人だったんだな。

    心の奥にある14歳の燿子と10歳の立海、そして龍治との思い出を
    そっと大切に開ける。
    後に語られる方がその大切さが際立つ。
    だから、「天の花」が後になったのかなと思った。

    立海の一途な思いが報われてくれたらとは思うが、
    小さい頃の4歳差、大人になっ

    0
    2021年10月29日
  • なでし子物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    常夏荘をとりまく人々、しきたり、地域の風習などが
    あまりにも昔のもののように感じていたら、
    1980年とそれほど前ではなかった。
    前時代的な雰囲気と、
    都会から持ち込まれる現代的なものとの違和感を感じた。

    複雑な家庭の事情を持ち、
    子どもたちからはいじめの対象となっている燿子と立海。
    2人が出会い、
    お互いの中に自分の安らげる居場所を見つけていくのが
    ほっとすると同時に、
    この状態がいつまでも続くとは思えないという気持ちで、
    ずっとドキドキしながら読んだ。
    突然の別れは、とても悲しくやりきれなかったが、
    立海のたくましさに救われた。
    次作もあるようだが、2人が再会できているといいなと思った。

    0
    2021年10月11日
  • カンパニー(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    窓際に追い詰められて、バレエ団に出向したしがない会社員と素敵なダンサーたちのお話。元気がでる。
    2021/9/29

    0
    2021年09月29日
  • 地の星 なでし子物語

    Posted by ブクログ

    つ、、続きが気になる、、、

    主人公の一人の耀子がここまでずっと芯がなく流され続けてて、好きになれなかった。
    やっと自立自律に向かっていったお話。

    立海くんがどうにもこうにも切なかった、、、
    龍治さんも心配、、、、

    0
    2021年09月27日
  • 地の星 なでし子物語

    Posted by ブクログ

    『天の花』から10年後。
    常夏荘の女主人となった耀子は、子育てしながら働き始める。
    『自立』と『自律』に心に止めて歩んできた耀子の頑張りにエールを送りながら読んだ。

    立海のことが気になって仕方ない。
    続きがあるのだろうか?

    0
    2021年09月15日
  • 天の花 なでし子物語

    Posted by ブクログ

    こちらは3冊目なのだが、時系列からこちらを先に読んでしまった。
    『なでし子物語』から8年後。
    高校卒業を間近に控えた耀子が常夏荘を出た。「母の元で暮らす」の置き手紙を残して。
    あ~ダメだよ。そんな母親の元へ戻ったら。
    そこから始まる話に、暗い予感が…。

    耀子が中学2年の時、立海と過ごした夏の回想シーンが素晴らしく。ふたりの運命の出会いからお互い惹き付けられているのがよくわかり、胸がキュンとなる。

    なのに、なのに、なぜ?
    切なすぎます。

    0
    2021年09月15日
  • カンパニー(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    お仕事小説。
    久々にバリバリサラリーマンが主人公。

    バレエ団に出向になって、
    そこで出会った人たちに刺激を受けて
    変わっていく。

    人が変わるスイッチは自分の中にあって、
    自分で押すしかないんだろうけど、
    押そうと思うきっかけは、
    やっぱり出会いなんだよなあ。

    0
    2021年08月23日
  • 地の星 なでし子物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「なでし子物語」では、なぜ時代設定が昭和後期だったのか分かった気がした。
    前巻とは全く異なった物語。本当はこちらが言いたかったことなのか?とも思える。
    諦観した照子に対し、起業して自立しようとする耀子。これをリアルにするには平成の設定が必要だったのかも。

    さらさらと流れる文章は読みやすくて止まれない。三巻も気になる~

    0
    2021年08月11日
  • 風待ちのひと

    Posted by ブクログ

    最近、青春小説ばっかり読んでいたので、久々に大人のお話。
    心のバランスを崩し休職中のエリートサラリーマン哲司が紀伊半島の港街、美鷲を訪れる。そこで出会った喜美子。明るい振る舞いの裏には悲しい過去があり。
    最初はこの喜美子の田舎のオバちゃん然とした感じがイヤだったけど、読み進めていくうちにそれが彼女の自信のなさやあきらめてきたものからくるものだとわかってくる。本当は誰よりも純粋でまっすぐで。だから哲司もそんな彼女に癒され、徐々に自分を取り戻していくんだね。大人の夏休み。
    「風待ち」という言葉がいいね。「道を踏み外したのではなく、風待ち中。いい風が吹くまで港で待機しているだけ」
    惹かれあう二人だけ

    0
    2021年08月08日
  • カンパニー(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    宝塚の演目の原作とあるが、テレビドラマにもなった作品のようだ。
    ストーリー、キャラクターが魅力的で、絵になる場面も多い。
    なるほど、人気があるのもうなずける。

    主人公は二人いる。
    製薬会社勤務の青柳は、リストラ寸前。
    おまけに妻子に見捨てられる。
    そんな彼にとってはまったくお門違いのバレエ団運営に出向させられる。
    もう一人は、青柳と同じ会社のトレーナーの瀬川由衣。
    彼女も会社が後援していたマラソンランナーのマネジメントに失敗し、崖っぷち。

    初期状態がこれなら、浮揚するしかないわけで。

    新たに担当となった世界的バレエダンサー、高野のマネジメントにがむしゃらに取り組む由衣。
    悩みながらも「王

    0
    2021年07月23日
  • 注文の多い料理小説集

    Posted by ブクログ

    料理をテーマにしたアンソロジー。
    女性作家ばっかりかなと思ったけど、中村航さんは男性かな?色んなテイストの作品が詰まっていて、美味しくて嬉しいアンソロジーでした。

    以下お気に入り作品。
    柚木麻子「エルゴと不倫鮨」
    不倫を嗜む男たちの隠れ家的鮨屋に、明らかに場違いなくたびれたおばさんが襲来する。そのおばさんはなぜかとても料理に詳しく、次々と美味しそうなオリジナル創作鮨をオーダーしはじめ…まさにタイトル通り注文の多い料理小説。ラストのオチも痛快でよい。

    伊吹有喜「夏も近づく」
    悠々自適な田舎暮らしをしている主人公が、兄から半ば押し付けられる形で甥っ子を預かることに。田舎の豊かな自然と触れ合うこ

    0
    2025年05月20日
  • なでし子物語

    Posted by ブクログ

    「どうして、って思いそうになったら、どうしたら、って言い換えるの」「『どうして』グズなの?この質問に答えは出ない。だけど『どうしたら』グズではなくなるの?この質問には考えれば答えがでる。 答えが浮かばなかったら誰かに相談してもいい」
    自立、かおをあげていきること。
    自律、うつくしくいきること。
    やらまいか。
    あたらしいじぶんを、つくるんだ。

    これは、父親を早くに亡くし、母親が男を作っていなくなってしまったことで、常夏荘に連れてこられた、燿子に、立海の家庭教師・青井がかける言葉だが、いい大人の私にも十分に響く言葉だった。
    それと同時に、子供にかける言葉は本当に大切で、安易に悪い言葉を使ってはい

    0
    2021年06月15日
  • カンパニー(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    伊吹さんのおかげでまた新たな世界を知ることができました(^ ^)最後のキュンとさせる場面は伊吹さんにお馴染みですね。希望が持てる終わり方に毎回ほっとします。

    0
    2021年05月25日
  • カンパニー(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    すき。
    主人公の不器用ながらもマメで手際は良いところも、プリンシパルの性格も、人想いなトレーナーも、EXILEを思わせる集団の若者も、それぞれのキャラクターがしっかりでてていい。

    2021.5.2
    59

    0
    2021年05月02日
  • 天の花 なでし子物語

    Posted by ブクログ

    なるほど・・・
    そういう経緯だったのか。
    なんだろ?
    やっぱり面白い!
    まだまだなでしこ物語の世界にいたいな。

    「地の星」を読んだ時、この空白の18年の間に、特に耀子が龍治と結婚するに至った10年の間に、一体どんなことがあったのだろう?という思いが凄く強かったので、「天の花」も興味津々で、なでしこ物語の世界にどっぷり入りながら読み終えました。
    時系列でいうとこの「天の花」が2番目に来るので、「地の星」よりこちらを先に読む方も多いみたいだけど、私は刊行順に読んで良かったなと思いました。

    0
    2021年04月06日
  • 地の星 なでし子物語

    Posted by ブクログ

    「なでしこ物語」から18年後
    28歳になった耀子は『おあんさん』となり、
    そして1児の母になっていた。

    先の「なでしこ物語」では、
    自分は何もできない、
    何をしてもグズだと、自信を持てないでいる
    小さい女の子だった耀子が、
    「どうして?ではなくどうしたら?」
    と自分で考え、女性として、母として、
    自立・自律した大人になっていく耀子の
    成長していく姿が描かれていて、
    とてもカッコ良くうつりました。

    ***ネタバレ***
    しかし
    龍治と結婚していたのにはビックリ!
    どこがどうなってそうなったのだろう?
    その辺りの事が次に出版された
    「天の花 なでしこ物語」
    で描かれているようなので、
    引き続き

    0
    2021年04月04日
  • 地の星 なでし子物語

    Posted by ブクログ

    『なでし子物語』の続編。出版は『なでし子物語』『地の星』『天の花』の順だけど、時系列としては『なでし子物語』『天の花』『地の星』の順。『天の花』から読めば良かったかなぁ?とちょっとモヤモヤ。

    『なでし子物語』では10歳だった耀子も今は28歳で一児の母。
    高校卒業と同時に結婚、出産した耀子は社会人経験がないが、家庭の事情や色々思うところあってスーパーでパート勤めを始める。そこから起業するまでのお話。
    これだけ書くと奥さんの奮闘記って感じだけど、耀子が嫁いだのは地域の名士の家。そんな家の奥さんがパートに出ていることで陰で没落したのかと噂を立てられ、起業しようとみんなに出資金を募れば、あんたんちみ

    0
    2021年03月14日
  • 地の星 なでし子物語

    Posted by ブクログ

    「どうして」じゃなく「どうしたら」

    働く場所がなければ自分で作る

    この物語の土地とは違うけど
    私の地方も「やらまいか」っていうんや
    いい言葉やな

    ずっと 変わらないままではいられない
    良くも悪くも
    せつない でも 前を向いて

    0
    2021年02月20日
  • カンパニー(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    バレエは全く未知の世界。読み終えてバレエを実際に観てみたくなりました。

    思うようにいかない事態にも黙々と対処するリストラ要員で出向中の青柳。一方、予期せぬ事態で同じく崖っぷちのスポーツトレーナー瀬川。
    共に社が後援するカンパニー(バレエ団)の舞台を成功させるべく奮闘する。
    舞台は無事成功するの?二人の進退も気になるしチラホラと見え隠れする恋の予感の方も気になる。

    作中にでてきた「日本で受け入れられないなら海外で」という発想が良かった。自分次第で可能性は広げられる。
    みんなで1つのものを作り上げる一体感が気持ちいい。そして舞台裏をちょっと覗いた気分です♪
    面白かった!

    『気持ちさえ決まれば

    0
    2021年01月18日