あらすじ
夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。生徒の名にちなんで「コーシロー」と名付けられ、その後、ともに学校生活を送ってゆく。初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めながら……。昭和から平成、そして令和へと続く時代を背景に、コーシローが見つめ続けた18歳の友情や恋、逡巡や決意をみずみずしく描く。2021年本屋大賞第3位に輝いた、世代を超えて普遍的な共感を呼ぶ青春小説。
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Posted by ブクログ
題名を見て、犬好きの私は躊躇なく手に取りました。「コーシロー」は高校で飼われている白い犬で、さまざまな悩みを乗り越えて卒業していく生徒たちを、優しく温かく見送っています。一つ一つの話は時間的には離れていますが、しっかり繋がっていて、最後は「 そうきましたか」という感じです。読みながら、若さ・熱さ・切なさを味わい、最後まで大切に読ませていただきました。
Posted by ブクログ
読みたいなと思って、本棚に入れたまま、なかなか手をつけていませんでしたが、先日妻が同窓会から帰ってきて私の母校がモデルなんだってと教えてくれました。
先に読んでみると確かに知っている名前の土地が多く出てきていて、妻はもっと楽しく読めるんだろうなと思いながら、普通の作品とは異なる視点で楽しむことが出来ました。
内容的にも書かれている世代が自分達と同じ所もあり、ものすごく懐かしく、そして共感できました。犬を通して、それぞれの世代の生徒達の様々な想いが丁寧に描かれていて、そして世代を超えた人の繋がり、とても心が温まる素晴らしい作品でした。
母校がモデルとなる作品があるなんて、妻を羨ましく思いました。
匿名
すごく感動しました。
沢山の物語が詰まっていて、どれもが切なくて愛しいです。自分の過去と重ねてしまったり、過去の色んな事を思い出させてくれました。
コーシローは沢山の人に愛されて大事にされて幸せだったでしょう。
Posted by ブクログ
「コーシローと過ごした季節は、誰の心にも残る青春のかけら。」
迷い込んだ白い犬と生徒たちの日々が、懐かしさと切なさを呼び起こす。
卒業しても消えない思い出が、静かに胸を温めてくれる物語でした。ハードル低かっただけになんとも言えないエモさにちょっと泣いた。
Posted by ブクログ
読み始めてすぐに引きこまれ、ほぼ一気読みでした。
三重県の伝統高を舞台にした、みずみずしい青春小説です。
第一章は1988年。
通称が「ハチコウ」の高校に迷いこんだ白い犬。
引き取り手が見つからず、生徒の有志によって高校で面倒を見ることになります。
この章の主人公は高3の生徒、光司郎と優花。
迷い犬はいつも光司郎の席に座ることからコーシローと名付けられます。
男尊女卑の考えが色濃いこの時代。
進路に悩む優花、主人公2人の純粋でまっすぐな恋心、母親の強さや懐の大きさ、その全てに胸をうたれました。
2章以降は章ごとに時代が少しずつ先に進み、主人公も変わります。全ての章において主人公は高3の生徒。18歳という子どもから大人へ変わっていくその心の揺れ動きが見事に描かれていました。
5章の1999年には優花は教員として八高に戻ってきています。
コーシローは老犬となり、より人間の気持ちに敏感に。
最終話は2019年。八高が100周年を迎え、記念式典で光司郎と優花、その他の登場人物達が総出演。読者の満足度が非常に高い終わり方だと思います。
コーシローの存在はさりげないようで、しかしながらコーシローがいなければ登場人物達の人生は全く違う展開になったでしょう。
よい本を読みました。
強く人に薦めたいです。
Posted by ブクログ
三重県の進学校で飼われている犬と、昭和から令和、高校に通う生徒達の物語。
東京の学校を受ける娘に対する家族のこと、
美大受験のこと、その当時にはやった音楽、テレビ、漫画、、
自分の高校時代の風景とも重なり、
読んでいるうちに涙。
嗚呼、こんなことあったなあ、という
懐かしい気持ちでいっぱいになる、ひだまりのような作品でした。
Posted by ブクログ
犬のコーシローが世話されていた高校の、昭和最後から平成12年まで、1989・1992・1995・1998年に卒業した生徒たちによる5話、そして令和の始まり 2019年の最終話。
それぞれのかたちの青春と後日譚に、すがすがしさと優しい気持ちを味わう。
25-14
Posted by ブクログ
タイトルを見て「犬の話かなぁ」と思っていた、過去の自分に言ってやりたい「最高だぞ、、、。」と(笑) 温かい、切ない、甘酸っぱい そんな本でした。悩みながらも進んで行く登場人物に励まされた気がしました。
Posted by ブクログ
高校に迷い込んだコーシローを巡って色々な年代の高校生を描く連作短編集。どの短編も本当に満足度が高く、読後感も最高だった。特にバイク乗りのバンドマンと援交女子の短編が好き。
Posted by ブクログ
温かく優しい気持ちになる一冊。
一気に読み終えて、なおまだ余韻に浸る。
八稜高校で過ごすことになる犬のコーシローと高校生達の物語。
主軸は早瀬と塩見のストーリーだが、いくつもの時代のハチコウセイを通して、その世代の葛藤や恋愛、成長が描かれていて胸に刺さる。
コーシロー目線と高校生目線でのストーリー展開がテンポよく進み、短編でありながら、どこかでつながりを持ちつつ紡がれていく。
伊吹さんの作品は『雲を紡ぐ』に続き二作目。
好きだなぁ。
三重県四日市という伊吹さんの青春を過ごした場所や母校への愛も感じる。
青春を描いた物語がこんなに純粋に心に響いたのは久しぶり。自分の高校生時代を思い出してしまった。それは、各時代の描写がリアルだからかな。
Posted by ブクログ
以前読んだ「雲を紡ぐ」の優しい感じが好きで、伊吹さんの2冊目として読みました。読んで良かったです。
とても優しく心が温かくなるようなお話でした。いろいろな時代の18歳が登場しますが、そのときを思い出させるようなモノ・コトが散りばめられていました。
高校卒業は大きく人生が変わっていく時。大人になってもその歳なりの悩みをみな抱えているけれど、高校卒業時に自分なりにいろいろ考えたことを思い出しました。
また、伊吹さんの作品を読みたいです。
Posted by ブクログ
ある地方都市の高校を舞台に、時代や立場の異なる複数の登場人物たちが織りなす青春群像劇です。物語の象徴として登場するのが、「シロ」という野良犬です。シロは特定の誰かに属するわけではなく、街や学校にふらりと現れては人々の心に寄り添い、時には人生の転機をもたらします。シロの存在が、主人公たちにとって「何かをつなぐ」象徴となっていることが、物語全体を通じて描かれています。
印象深かったのは、教師として登場する人物が、過去の悔恨と向き合う場面です。彼はかつての教え子に対して適切な言葉をかけられなかったことを後悔し続けています。しかし、シロとのさりげない触れ合いがきっかけで、自分の弱さを受け入れることができるようになります。この場面では、人間の弱さや過去の傷が、時間とともに癒されていく過程が丁寧に描かれており、心に響きました。
また、ある女子生徒が進路に悩みながらも、シロと共に過ごすひとときによって自分の中に眠っていた夢を再確認する場面も印象的です。シロは言葉を持たない存在ですが、ただそこにいるだけで、不思議と人々の心を軽くしてくれます。これは、人が自分自身と向き合うために、時に他者や何か特別な存在の「静かな見守り」が必要であることを示唆しているように感じました。
この作品から学んだことは、日常にあるささやかな存在が、人間関係や心のあり方に大きな影響を与えるということです。シロのように、特に何かを言葉で示すわけでもなく、ただ寄り添うだけで誰かの支えになることがあります。私たちもまた、無意識のうちに誰かに影響を与え、また与えられているのだと気づかされました。自分の人生だけでなく、周囲の人々や出来事に意識を向け、他者とつながりを持つことの大切さを再認識しました。
Posted by ブクログ
少し前に「雲を紡ぐ」を読んで、伊吹有喜さんの別の作品をと思い読んだ作品。
舞台は高校、登場人物は高校生たちと学校で飼われることになったコーシローという犬。
5話の短編と最終話の6編で、5話の短編は違う年代で主要人物も別々。コーシローは変わらず学校にいて。昭和の終わりから平成の学生生活が描かれて、最終話は令和に。
どの短編も好みだけれど印象に残るのは、、と続けようとしたけれど、どの話も印象に残る。
1話、めぐる潮の音
コーシローとの出会いや名前の由来に触れる1話。あとの話でも触れることが多いためか、ここでの登場人物たちが最も印象に残る。最後にコーシロー視点では胸がキュッと。
2話、セナと走った日
F1をきっかけに男子生徒2人が友情を育む物語。自転車で鈴鹿サーキットまで走る様子は、目に浮かび疾走感がある。レーシング動画を見てみるけれど、現場では相当な迫力を感じるはず。大人になってからは、こんな関係を築くことはないだろうと青春を感じていた。
3話、明日の行方
読んでいて泣いてしまった短編。阪神淡路大震災で被災した祖母と暮らす生活で、現場にいた祖母の描写から震災の恐ろしさが伝わってくる。読んでいる途中で当時の動画を見ると、小さな画面からでも恐怖が感じられる。これを経験した人は夜落ち着いて眠るまでに、どれだけの時間を要しただろうと。。その後も地下鉄サリン事件に触れたりと。
4話、スカーレットの夏
解説で書かれていたけれど、急に援助交際の話が出てきてドキッとしていた。今の辛い現状を変えようとする姿に心が痛む。一方で、こんなことを考えたこともない自分は恵まれているのだと、呑気に生きている自身と将来のために考えて行動する姿が対比として映る。
5話、永遠にする方法
祖父の見舞いをする青年の姿が描かれたあとに、今までの資金援助や相続の話をする親や親族が痛々しく見える一方で、現実もそうだろうと少し悲しくなる。自身が出来ることは何だろうかと考えて行動する姿が心に響く。思い出すたびに、地元の祖父に会いにいきたくなる。
「雲を紡ぐ」でも感じたけれども、焦点を当てる人が少なく、情景描写が好みだから、すごく丁寧に物語が進んでいく。複数の視点で物語を描いていることも丁寧さを感じることの1つかもしれない。
読んでいると同じように、丁寧に日々を生きていこうと感じる一冊。
Posted by ブクログ
青春モノはあまり得意ではないけれど、伊吹有喜さんの作品なので手に取ってみた。が、ページをめくって、しまったーとちょっと後悔してしまった。タイトルの犬らしき犬が一人称で語っている。切なすぎるー。最近の保護犬保護猫のテレビ番組が、小さな命を救っているはずなんだけど、何故か見ていられない私。人間のエゴが、現実が、あまりにも私には強すぎるからだろうなぁ。冒頭のシーンでそれを思い出してなかなか読み進められなかった。
少しずつ少しずつ読み進めてみたが、コーシロー(犬)の第1話の主人公ユウカへの想いが切なすぎてたまらなかったー。
個人的には第3話「明日の行方」が印象に残った。神戸に住んでいるおばあちゃんが震災にあって想定外に同居が始まる。この話の最後、用務員のクラハシの言葉も心に残る。おばあちゃんが亡くなって、この主人公なっちゃんが「効率の悪い」と思っていた医師を目指した。最終章に登場した時は安心したー。おばあちゃんにも伝えてあげたいなぁ。
安易にベットを「購入」する事ができる昨今、最初に犬を飼う事を許してくれた校長先生の言葉を皆がきちんと理解してほしいなぁと願う。
「責任とは何か。命を預かるというのはどういうことか。各自、身をもって、それを考えていきなさい」
Posted by ブクログ
とてもあたたかくて、静かに心にしみる青春小説。
犬のコーシローを中心に、いくつもの世代の高校生たちが描かれていて、時間の流れと人の成長を感じられます。
どの章にもそれぞれの悩みや喜びがあって、「こんな高校生活だったらいいな」と思わせてくれる物語。
大きな事件はないけど、読後はやさしい気持ちになれる作品でした。
Posted by ブクログ
ある日、高校に迷い込んだ犬
「コーシロー」と名付けられて生徒たちと一緒に日々を過ごしていく12年間を描いた物語
18歳ならではの、友情、恋、悩み、葛藤、決意など、、、、
まさに青春といえる日々を過ごす18歳たちを見守り、生徒目線、コーシロー目線で描かれていく
甘酸っぱかったり、キラキラ輝いていたり、
それだけじゃなく抱える悩みや陰もしっかり描かれている
この作者の本は2冊目だけど、
風景や日常を描く言葉がとっても心地よくてすき
また読み返したい一冊
Posted by ブクログ
犬と子どもで泣かせるのはズルいと常々思っている。
どうせ犬とともに成長して、犬が虹の橋を渡るまでの話だろうと思っていたが、犬は語り部で、主役は八高コーシロー会の生徒たちだった。
ナンダ!めっちゃ青春やん!
みんな悩んで大きくなった〜!!
Posted by ブクログ
迷い犬を高校で飼うことになった、代々の学年のお話
以下、公式のあらすじ
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1988年夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。「コーシロー」と名付けられ、以来、生徒とともに学校生活を送ってゆく。
初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めながら…。
昭和から平成、そして令和へと続く時代を背景に、コーシローが見つめ続けた18歳の逡巡や決意を、瑞々しく描く。
山本周五郎賞候補、2021年本屋大賞第3位に輝いた青春小説の傑作。
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県内では進学校の八稜高校(略してハチコウ)に白い犬が迷い込む
美術部の生徒が座っていた席にちなんでコーシローと名付けられた犬は、生徒が校長先生と交渉した結果、希望者が世話をする事になる
校内で生徒と一緒に授業を受けたり、用務員さんの部屋で休んだり、野球場のバックネットの下で人を待ったりと自由なコーシロー
そんなコーシローの代々の世話係の生徒達の青春の出来事
コーシローの世話をする高校三年生たちの物語5+1編
・めぐる潮の音:昭和63年度
・セナと走った日:平成3年度
・明日の行方:平成6年度
・スカーレットの夏:平成9年度
・永遠にする方法:平成11年度
・犬がいた季節:令和元年
昭和的なジェンダー観を持つ祖父母が営むパン屋の娘
F1を通じて鈴鹿サーキットで結ばれる友情
阪神大震災により祖母を引き取った家族
東京で生まれ変わるために援助交際でお金を貯める美少女と、バンド活動をする男の子
祖父を看取ろうとしている男子生徒と教師として母校に戻ってきた英語教師
コーシローが見てきたものと、その背景にある人間模様
恋や友情、将来への迷いや決意、秘められた想いなど
多感なじきだからこその経験でもあり、地方都市のために上京か地元に残るかという自分の進路に関する悩みもあり
もちろん、地元には家族がいて、家族だからこそのしがらみがある
そんな生徒たちが過ぎ去る傍らに居続けたコーシロー
元気でね、という言葉を聞くと、長いお別れが来るという現実
多くの卒業生を見送ったコーシローの認識が切なさを感じる
それぞれの世代に時代を感じる出来事が描かれている
鈴木大地のバサロ泳法による金メダル
アルジャーノンに花束をのヒット
牧瀬里穂のJR西日本CM
F1のセナの活躍と事故
阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件
音楽にしても、光GENJIに始まり、Mr.Children、ブルーハーツの「TRAIN TRAIN」、ドリカムの「LOVE LOVE LOVE」、スピッツの「スカーレット」等など
自分がそうなのもあるかもだけど、現役の高校生よりは、大人が懐古的に高校の頃を思い出しながら読む方がぐっとくると思う
ついこの前、高校の同窓会があって
その帰省途中に読んだからなのか
ものすごく郷愁を感じてしまった
正にど真ん中な世代の章もあるしね
そして、最後に過去の登場人物達の近況が描かれていて
本当に同窓会に参加しているような気になった
Posted by ブクログ
コーシローを軸に繋がる人々の物語。
最終章では、卒業後の登場人物たちの姿も描かれ、彼らのその後を知ることができて嬉しかった。
大好きなユウカと過ごす幸せな時間の中で最期を迎えるコーシローの姿に、胸が温かくなった。
↓心に残ったフレーズ
絵や写真って一瞬を永遠にする方法だと思うの。
もっといろいろな写真を残しておけばよかったな。永遠にする方法を持っている人がうらやましい
Posted by ブクログ
学校で飼うことになった犬を中心に物語が展開する。ショートストーリーが繋がって最初に戻るロングストーリー。どのストーリーも心がほっこりして、最後も良いです♪ワンコ好きにもたまらん!
Posted by ブクログ
目次
・めぐる潮の音
・セナと走った日
・明日の行方
・スカーレットの夏
・永遠にする方法
・犬がいた季節
三重県にある公立高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。
里親を探すも見つからず、学校で飼うことになる。
コ―シローと名付けられたその犬と、生徒たちの姿を3年ごとに定点観測しながら緩くつながる連作短編集。
最後の『犬がいた季節』だけはすでにコ―シローはいなくて、創立100周年記念行事に集う元生徒たちが、その後の彼らの姿を教えてくれる、という構成。
3年ごとの定点観測なので、生徒たちに直接繋がりがないことも多いが、美術部顧問の先生と用務員が犬と生徒を見守っている姿も垣間見える。
最初にコ―シローの世話をした優花と早瀬が、コ―シローにとってはとても懐かしくて大好きな存在。
お約束通り優花と早瀬は両片想いである。
ふたりとも一歩を踏み出せなくて、卒業後は別の人生を歩むことになるのだが、二人の互いへの好意はコ―シローだけが知っている。
気持ちには匂いがあるんだって。
高校生は、可能性をたくさん秘めているのに、制約が多い。
目指す夢を認めてくれない家族、応援してくれているのに家計的にまたは家族の健康問題が障害になっていることもある。
夢に向かうことが困難な彼らが、夢に向かって自分のできることを精一杯、時に大人が眉を顰めるようなことすらも手段として割り切って、世界を広げていく。
彼らの姿を見守っているコ―シローさえも、彼らのすべてを見ているわけではない。
読者だけが、誰にも見せない彼らの思いを、痛みを知り得るのだ。
優花と早瀬が卒業をして30年。
創立100周年記念日式典で再会した彼らのこれからを、きっとコ―シローはしっぽを振って応援してくれると思う。
Posted by ブクログ
犬好きの私は 題名からてっきり犬が主人公のお話かと、手に取った。
脇役だつた。が 充分役目を果たしてくれていました。
ある高校に迷い込んだ子犬と昭和、平成、令和とその時々の高校三年生たちの青春を描く。
恋、初恋、友情、家族関係、成績や進路。
悩み多き青春真っ只中。
第一話の胸キュンから 最終話の涙ウルルンまで
胸熱のお話でした。
高校生活なんてずっと前のことだったけど
状況は違うけど 思わず色々思い出してしまいました。
Posted by ブクログ
昭和…1988年のある日、三重県の高校に迷い込んだ一匹の白い子犬が「コーシロー」と名づけられ、平成、令和と入学し卒業してゆく生徒とともに学校生活を送ってゆく話。
小説は5章あり、高校で飼われるようになり、時代とともに高校の生徒も変わってゆくが、コーシローはずっと高校にいて、青春時代を送る生徒らを見つめ続けている。
ネタバレになってしまうが、その間にはF1レースが流行ったり、阪神大震災が起きたり、生徒の環境も家族とともに変わる。そして第5章のラストでコーシローは老犬として生涯を閉じる。
最終章は令和元年、コーシローが逝ったあとに高校100周年のイベントがおこなわれ、各章に登場した高校生らが同窓会のように、今の姿を見せる…中には夢を叶えた者もいれば、そうでない者もいる。また、ある登場人物が当時気付かなかった思いを成就させ、ラストは心がほっこりする素敵な小説でした。
Posted by ブクログ
感想を書き漏れていた。3ヶ月ほど経ってしまったが、思い返して。
題名や事前の紹介文からなんとなく、犬と高校生との交流を描いた青春ものなのかと思って手に取ったのだが、読後の本棚整理で、「恋愛もの」カテゴリに分類し直した。時の流れが美しく描き留められた、まさに絵画のような物語だった。
題名を正確に読み解けば、「そういえば私たちの通っていた高校には犬がいたよね」といった感じなのだろうか。子どもから大人へと変わっていこうとする「高校三年生」の旅立ちを、ただそこにいて変わらずじっと見つめ見送っていく犬の視点。その即かず離れずな距離感が絶妙。「四日市」という地域設定も絶妙で感服したのだが、実は作者は三重ご出身とのこと。もしかしたら作者の自伝的な要素も少し含まれているのかと、楽しい想像が膨らむ。
それぞれの時代のどこかに自分を重ねたり、いつに変わらぬ「学校あるある」に思わず吹き出したり。過ぎし日のすべてを包み込み優しく微笑む、春の木漏れ日のような一冊だった。
Posted by ブクログ
一番切ない終わり方をした話が最後に回収されて心がやっと落ち着く。
この本は他のエピソードがあろうが、やはりこの2人の物語だったのだと改めて気が付かされる。
だから何か読んでてソワソワしていたのか。
色々な青春が味わえる本。
Posted by ブクログ
あまりにも生活がカサついているため急遽キュンを摂取しようと恋愛小説(ただし甘すぎないもの)を検索し本作に辿り着いた30代女です。
私の学生時代は、コーシローが生きた時代より10年ほど後かと思いますが、いつの時代にも変わらない思春期の甘酸っぱさや爽やかさ、苦さに共感が止まらず、心が若返ったような気がしました。
一点だけ、女子のメインキャラ2人の容姿が突出して美しい点は違くても良かったのになぁと思ってしまいました。外見に関係なく素敵なキャラクターなので、中身に惹かれる描写がもっと見たかったかもしれないです。
その分映像したらとても映える作品だと思います。主演は有村架純ちゃんかなーなんて、妄想しながら読むのも楽しいです。
サラサラと読みやすく、読後感も良かったので、同作者の『彼方の友へ』も読んでみようと思います!
Posted by ブクログ
学校で飼うことになった犬とその世話係に携わった人物達の短編集。どの話も青春を感じるしその当時を生きていた人にとっては、当時の流行っていたものの描写があるので懐かしくなると思う。メインとなる男女がいるのだか、これがまた焦ったくて早くくっつけ!って思ってしまう。そこがいいのだけど。
Posted by ブクログ
時代の流れを感じる本 青春感が溢れていた
犬の一生も人の一生もあっという間
コーシローが大好きな人と過ごせて眠るように最期を迎えられたのがよかった
Posted by ブクログ
5編とも青春を感じさせる物語だった。
人間模様もとてもよかったんだけど、個人的には犬のコーシローの視点が印象に残った。コーシローは捨てられて以降、学校の中で育てられていく。だけどなんとなく、人間がコーシローを見守るのではなく、コーシローが生徒を見守っているような、そんな感じがした。
ずっと学校にいるコーシローにとっては毎年いろんな生徒と出会うけど、3年たってしまうともう会えない人たちがたくさんいる、というのは少しさみしいのかもしれない。でも最期はみんなとの楽しい思い出を胸に旅立てたのなら、幸せだったのかなと思う。
もう最後の方は完全にコーシローの方に感情移入してしまった。
とてもいい作品でした。
Posted by ブクログ
優しい物語だった。
昭和、平成、令和と時代背景と自分の過去を重ねて懐かしさでいっぱいになった。
自分の高校時代は勉強しかしなかったから、若いうちにもっといろんな経験をしたかったな、と半ば憧れのような気持ちを抱いた。