伊吹有喜のレビュー一覧
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「なでし子物語」の3冊目。
前巻から10年経っていて、28歳になった耀子が娘・瀬里とともに龍治と離れて常夏荘で暮らした1年のお話。
遠藤家は時代の流れの中で凋落し、常夏荘も見る影もなくなってしまった中でパートの仕事に出る燿子。
かつてなりたいと望んだ自分になれているのかと自問する燿子の姿は、かつて青井先生から教えられた「自立」と「自律」がずっと胸に刻まれ続けていることを示していて、この物語の芯を表す。
その「自立」と「自律」を目指して燿子がパート先でもがく話は、山あり谷あり一筋縄ではいかない展開に加え、幼い頃互いに遠くから見合っていた由香里との関係が解れていく様が心地良い。
少ししか描かれな -
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この前読んだ「なでし子物語」の続編。
前巻から8年経っていて、18歳になった耀子が誰にも告げずに常夏荘を後にするところから始まる物語。
耀子が思い出すのは、その4年前、久し振りに立海が峰生を訪れた、そして突然やってきた龍治も加わった、その夏の出来事。
それぞれが複雑な思いを持つ3人が、龍治が暮らすガレージで打ち解けていくでもなく繋がっていく様子がとても良い。
格好つけていても龍治が立海や耀子を気にかけているのが見え隠れするところが微笑ましくも切ない。
終盤はドキドキ&驚きの展開だが、龍治の姿は当時の若者だと誰もが憧れたような格好良さ。耀子が龍治を意識していくのはよく分かるが、立海のほうはちょ -
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主人公が自分と歳が同じで境遇も似通っていたので、どっぷり感情移入してしまった。
五十歳を目前にしても惑ってばかり、離れた歳の恋人志穂のことも大事に想うばかりに傷つけてしまうも、やっぱり未練がましく思うあたりの心情が分かってしまう。
その辺が歳を重ねても成長できてないんだなあ。しかし最後はどうしても上手いこといって欲しいと願ってしまう。
四十五十は洟垂れ小僧、六十七十働き盛り…という引用されたものがズシンと響く。人間成長の先はまだまだで長いんだ。
最後の
もう一度人生を前に進ませよう。というリイチの想いに勇気を貰えた気がする。犯罪を冒したわけでもないけど、誰でも大なり小なりの挫折はある。再 -
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ネタバレ青柳誠一
有明フード&ファーマシューティカルズ(有明F&P)に勤めている。総務部第七グループの課長。妻に逃げられた。リストラ候補。敷島バレエ団に出向。
脇坂英一
青柳の入社当時上司で、現在は取締役。青柳の仲人を務めた。
青柳悦子
青柳の妻。旧姓は根本。愛称はネモちゃん。かつてはともに脇坂の下で働いていた。都内の短大を卒業後、縁故採用で入社した。
青柳佳奈
誠一の一人娘。
密かに両親の復縁を願っていた。
高野悠
世界的バレエダンサー。世界中の女性から『黒髪の貴公子』『世界の恋人」と呼ばれている。突如ホテルの部屋に入ってきたグラビアアイドルと揉み合い腰を負傷した。あだ名はハ -
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あなたは、『たしかに自分は今、何もかも保留、宙ぶらりん、先送り中だった』という今を生きていませんか?
この世を生きていく中には、楽しいこと、やりたいことがある一方で、嫌なこと、やりたくないこともたくさんあると思います。これは誰だって同じです。前者だけしかないという方がいたらそれはとても幸せで前向きな人生なのだと思います。誰にだって多かれ少なかれ、またその時々の状況によって嫌なこと、やりたくないことというものはあるはずです。そして、当然の感情として、そんなことごとを後回しにしたい、そんなことがあること自体を考えないでいたい、そんな風に考えると思います。
しかし、残念ながら人の人生が有限である