伊吹有喜のレビュー一覧

  • 風待ちのひと

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    哲司39歳、銀行員、出世コースから外れ、外資に勤める妻の年収の方が多くなった。うつ状態になり休職することになった。三重の田舎に家を建てた母が死に、その家の始末に来た。喜美子39歳、息子に死なれ、あちこち転々としていた。たまたま会った哲司を助け、家の片付けを手伝うようになった。自称オバチャン

    ある種の完璧な小説だった。

    ヒッチハイクをする喜美子を説明するプロローグ、悩みを抱えた哲司。彼を助けてあげる喜美子。こうなったらいいな、こうなったらいやだなと読む者を振り回すストーリー。素晴らしい。

    喜美子は理想のタイプの女性だなと思うのと、どんな事があっても、人間は再生できる、やり直せると深く思った

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    2022年09月28日
  • ミッドナイト・バス

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    高宮利一は新潟東京都間の長距離バスの運転手。東京には料理屋を営む志穂という恋人がいる。彼女と踏み込んだ関係になろうと決めると、間が悪いことに息子が新潟の家に帰って来た。とても具合が悪く、仕事も辞めたようだ。娘は結婚を考える相手がいるが、彼の母親がかなりの曲者。そして別れた妻の具合もよくないようだ・・・

    この家族以外にも様々な人物が物語に入り込んできて、ミルフィーユのような多重な話になってゆく。

    素晴らしく良かった。自分が完全に利一に同化して没入してしまった。渋い家族小説の傑作でもあり、恋愛小説でもあった。

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    2022年08月29日
  • 風待ちのひと

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    著者の作品を読むのは雲を紡ぐに続いて2回目です。エリートコースを歩んできたサラリーマンが、うつ病になり、妻にも浮気され男としての自信を失い、自殺するつもりで亡くなった母の住んでいた街、美鷲(おそらく三重県の尾鷲市)に訪れます。休職期間中のその街での出会いや恋愛を綴った、切なくも優しいストーリーです。
    哲司も喜美子もお互いを好きなのに常識のある人間だからこそ先に進めない感じがなんとも切ない。
    雲を紡ぐを読んで、夫婦や親子関係の機微を描写するのが上手な作家だなと思っていましたが、その魅力が存分に詰まった一冊で、今まで読んできた小説の中でも1番と言っていいくらい好きな本です。少し日々の生活に疲れてし

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    2022年08月21日
  • 情熱のナポリタン BAR追分

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    シリーズ3巻目。少しずつ雰囲気が変わり、確かに食べ物が登場する話なのだが、それだけでなく、というより、そのことを忘れるくらい、人物の重みが増している感じ。書き下ろしの2編が心に残る。「蜜柑の子」が特によかった。

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    2022年07月23日
  • 地の星 なでし子物語

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    単行本の発刊では2冊目だが、発表されたのはこっちが後。「天の花」の方がポプラ社の文芸PR誌である「asta*」で2013年の7月号から14年の9月号まで連載されたものの加筆、修正版に対してこちらは2014年の10月号から16年の6月号までの連載の加筆、修正版。発刊順で逆読みするのが、作者の意図にも沿っておりいいとする人は多いようだが、私は連載順に読んで、その意図は全く分からないし、理解できない。連載順の時系列順で読んだ方が、この「地の星」での耀子にようやく寄り添える。やっと、やっとかい!長かった・・・ さあ、次は完結篇?「常夏の光」の連載も昨年(2020年)末に終了しているそうで発刊が楽しみ。

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    2022年05月27日
  • 風待ちのひと

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    ネタバレ

    伊吹さん。今年に入ってすでに7冊目。今回は自分の年齢と似たアラフォーの主人公・哲司と喜美子のカタルシスWITH恋愛の話し。哲司はエリート銀行マン、妻との関係は冷え切り、心身の不調から休職。静養がてら、母が住んでいた海辺の町・美鷲を訪れる。同い年の喜美子は、明るく世話好き。夫と息子を亡くした心に辛い傷を負っていた。喜美子の健気さと懐に入り込む愛嬌が何とも愛らしい。完全に喜美子が気になる。哲司には喜美子が必要だが妻との諍いから辛い展開に。最後は久しぶりに涙が出た。伊吹さんの本で一番感情移入したベスト本。⑤↑

    これがデビュー作なんだね。

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    2022年05月22日
  • なでし子物語

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    耀子に立海、そして照子。それぞれの事情を抱えた3人。シリーズ作品の1巻目なのである意味、紹介的だが、それぞれの人物がよく描かれている。そして、周りを取り巻く人々、良きに付け、悪きに付け、これも存在感があるんだよな。青井先生に小学校の同級生、ほっこりするわ。4部作で、3部まではすでに出てるそうだが、3冊目に出た「天の花」の方が次だそうでややこし・・・

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    2022年05月13日
  • 地の星 なでし子物語

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    出版が何故この順番だったのかが分かるような気がしました。1作目のなでしこ物語とは全く異なるトーンの話ですが、続編として素晴らしい物語りでした。最後まで一気に読まされ、読後感も良く満足でした。間をつなぐ天の花は、地の星と同時かそれ以前に構想されていたのでしょうが、他の2作との内容の落差が大きく、辻褄合わせに思えてしまいました。3作目も読む必要はあるもののおまけと考えた方が良いかもしれません。

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    2022年04月02日
  • なでし子物語

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    立場が違うが境遇が似ている耀子と、立海の物語。二人が仲良く遊んだり勉強するのはとても微笑ましい。
    耀子の境遇はほんとにつらい。先生がいじめられるのは耀子にも責任があると言っていたが、おじいちゃんが、しつけができていないのは、耀子の責任ではない、親や自分たちの責任だと言っていた。耀子のいじめの状況は読んでいてつらくなった。
    ただ、目をつぶってやりすごし、終わるのを待つ、、、小4の女の子なのに、そんながまんをするなんて、、、そしてそれを言うことができない。
    立海と仲良くなって、青井先生のもとでお勉強や遊びをすることでだんだんと自分の可能性を信じることができるようになっていく。耀子ちゃんはほんとに素

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    2022年03月22日
  • なでし子物語

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    感動しました。
    ひと昔前の文学作品の趣でした。手元に残しておきたい素晴らしい物語です。自立と自律。娘が通っていた女子校の校訓です。
    この作家さん、今まで読んだ本すべてが星5つです。
    続編はどちらから読もうかな?

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    2022年03月21日
  • 彼方の友へ

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    何十年たっても人の気持ちは生き続ける。そしてまた、それを引き継いでくれる新たな友が現れる。なんて幸せなことだろう。
    一方で、波津子がずっとずっと持ち続けていた、愛しい気持ち。その歳月を思うと胸が苦しくなる。

    読み終えた感動を、どう書き表したらいいのだろう?
    言葉って無力。
    でも、この感動を与えてくれたのも、言葉が紡いだ文章だった。

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    2022年03月14日
  • 風待ちのひと

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    まさにツボ、満点でした。
    哲司と同じ業界で働いていました。そして途中で道を外してジ・エンド。音楽ではクラシック大好き。昨秋はショパンコンクールにハマっていました。コロナの前はオペラにもよく行きました。最も聴いているのはトラビアータ、ウィーンやパリでも聴きました。事実なのですがヴェネツィアフェニーチェ劇場は2年前コロナで泣く泣くキャンセルしました。
    ただし、生まれ育ちは平凡で、教養もお金もなく外見は貧相という点は大きな違い。おかげで生きる喜びを未だに模索中です。こんな格好いい男になりたかった。

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    2022年03月10日
  • なでし子物語

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    立海くんのおしゃべりがかわいくて、かわいくて、何度も読み返してしまいました。
    おあんさんの関西弁もすてきで、出てくる人たちの会話に引き込まれました。

    小さい頃私もこんなふうに悩んだり考えたりしていたな。と思い出させてくれる作品でした。

    ミステリーや犯罪物も面白いけど、こういうの沢山読むべきと思った。

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    2022年03月06日
  • なでし子物語

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    なかなかシビアなバックボーンを持つ
    ヨウヨとリュウカくん
    だからと言って周りの大人たちは
    ただただ甘やかすわけでもなく
    淡々と、子供たちを見守り育てていく。

    その様に自分自身救われる気持ちになるのが
    とっても心地いいい。

    つかず離れず、正しい大人の在り方を見せられた。

    すっと背筋が伸びる作品。
    続編もぜひ読みたい。

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    2021年10月23日
  • 風待ちのひと

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    伊吹有喜さんのデビュー作。四十九日のレシピが有名ですが、個人的にはこちらの方が好きです。
    オススメ!

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    2021年10月21日
  • なでし子物語

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    哀しくて優しい子供と大人の物語だった。

    山深い、人によっては桃源郷、人によっては牢獄な峰生の常夏荘。

    続きを早く読みたい!

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    2021年09月26日
  • カンパニー(新潮文庫)

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    リストラ対象になったサラリーマンが、クビをかけて畑違いのバレエ団の公演をマネージメント。そこで出会うダンサーたちの、華やかさからかけ離れた境遇や、ひとつの舞台に向けた真剣勝負に、『縁の下の力持ち』としてどこまでも裏方のまま奔走する彼。
    公演の目玉となる世界的トップダンサーに、もう一人の『力持ち』として付き従うのは、こちらもリストラ対象のトレーナー。持てる知識と経験を駆使して、若く熱い闘志で支えようとする彼女。
    二人とも、職にしがみつくために出向いたはずなのに、立場そっちのけでダンサーたちのために、自分に出来る最大限の事をしようとする。そんな彼らを、読み手はひたすら応援してしまう。
    脇役であるは

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    2021年09月17日
  • なでし子物語

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    母親に疎まれ学校ではいじめられ自己肯定感が低い耀子が、祖父に引き取られ遠州峰生の名家・遠藤家の別邸、常夏荘で暮らし始める。
    その始まり、立海との出会いのシーンが幻想的で魅力的で、一気におはなしの世界に引き込まれた。

    耀子と立海が一緒に過ごした常夏荘の日々が輝いている。立海の可愛らしさといったらない、頬が緩む。
    耀子の世話をしてくれる祖父。
    『自立と自律』「どうして」ではなくて「どうしたら」を考えるのだと教えてくれた家庭教師の青井。心を配ってくれる常夏荘の人々。
    今まで与えられなかった愛情や物も戸惑いながら受け取り、耀子は変わっていく。
    いつもひとりぼっちだった耀子が人との繋がりによって救われ

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    2021年09月16日
  • 天の花 なでし子物語

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    とても切ない物語でした。
    「あの夏は子どもたちが、子どもでいられた最後の時だったのかもしれない」
    この一言に尽きます。映画化されたら予告編にこの一文を使ってほしい!
    『なでし子物語』も大好きだったけれど、また別の意味で心に残る大好きな一冊になりました。二作目の『地の星』でいきなりな展開になって、なんで?どうして?なぜにそうなってしまうの?とちょっとしたパニックになってしまったけれど、時系列的には『なでし子物語』と『地の星』の間にあたる今作を読んで、なるほど‥‥あんなことやこんなことがあって、あーなってこーなったのね‥‥と納得できました。
    それにしても、あんなことやこんなことが切ない‥‥切なすぎ

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    2021年07月24日
  • なでし子物語

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    あぁ 良かったなぁ 
    その心地よい余韻が続く
    そして、
    その作品がずいぶん前に
    世に出されたものであり、
    なんと 
    その続編が出ている
    そのことを 知った時には
    あぁ また あの「場所」に行くことができる
    その思いが また嬉しい

    イギリスの児童小説を
    専門にしている知人がいるのですが
    彼(彼女)たちは 至上のモノは
    サトクリフさんであり、フュージョンさんであり
    ランサムさん、アトリーさん
    むろん それはそれでよいのでしょうが

    この「なでしこ物語」の紹介をしても
    まず 「日本のものでしょ」と木で鼻をくくったような
    表情になり 話が拡がっていかない

    本当に残念なことである

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    2021年07月07日