伊吹有喜のレビュー一覧
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哲司39歳、銀行員、出世コースから外れ、外資に勤める妻の年収の方が多くなった。うつ状態になり休職することになった。三重の田舎に家を建てた母が死に、その家の始末に来た。喜美子39歳、息子に死なれ、あちこち転々としていた。たまたま会った哲司を助け、家の片付けを手伝うようになった。自称オバチャン
ある種の完璧な小説だった。
ヒッチハイクをする喜美子を説明するプロローグ、悩みを抱えた哲司。彼を助けてあげる喜美子。こうなったらいいな、こうなったらいやだなと読む者を振り回すストーリー。素晴らしい。
喜美子は理想のタイプの女性だなと思うのと、どんな事があっても、人間は再生できる、やり直せると深く思った -
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著者の作品を読むのは雲を紡ぐに続いて2回目です。エリートコースを歩んできたサラリーマンが、うつ病になり、妻にも浮気され男としての自信を失い、自殺するつもりで亡くなった母の住んでいた街、美鷲(おそらく三重県の尾鷲市)に訪れます。休職期間中のその街での出会いや恋愛を綴った、切なくも優しいストーリーです。
哲司も喜美子もお互いを好きなのに常識のある人間だからこそ先に進めない感じがなんとも切ない。
雲を紡ぐを読んで、夫婦や親子関係の機微を描写するのが上手な作家だなと思っていましたが、その魅力が存分に詰まった一冊で、今まで読んできた小説の中でも1番と言っていいくらい好きな本です。少し日々の生活に疲れてし -
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単行本の発刊では2冊目だが、発表されたのはこっちが後。「天の花」の方がポプラ社の文芸PR誌である「asta*」で2013年の7月号から14年の9月号まで連載されたものの加筆、修正版に対してこちらは2014年の10月号から16年の6月号までの連載の加筆、修正版。発刊順で逆読みするのが、作者の意図にも沿っておりいいとする人は多いようだが、私は連載順に読んで、その意図は全く分からないし、理解できない。連載順の時系列順で読んだ方が、この「地の星」での耀子にようやく寄り添える。やっと、やっとかい!長かった・・・ さあ、次は完結篇?「常夏の光」の連載も昨年(2020年)末に終了しているそうで発刊が楽しみ。
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ネタバレ伊吹さん。今年に入ってすでに7冊目。今回は自分の年齢と似たアラフォーの主人公・哲司と喜美子のカタルシスWITH恋愛の話し。哲司はエリート銀行マン、妻との関係は冷え切り、心身の不調から休職。静養がてら、母が住んでいた海辺の町・美鷲を訪れる。同い年の喜美子は、明るく世話好き。夫と息子を亡くした心に辛い傷を負っていた。喜美子の健気さと懐に入り込む愛嬌が何とも愛らしい。完全に喜美子が気になる。哲司には喜美子が必要だが妻との諍いから辛い展開に。最後は久しぶりに涙が出た。伊吹さんの本で一番感情移入したベスト本。⑤↑
これがデビュー作なんだね。 -
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立場が違うが境遇が似ている耀子と、立海の物語。二人が仲良く遊んだり勉強するのはとても微笑ましい。
耀子の境遇はほんとにつらい。先生がいじめられるのは耀子にも責任があると言っていたが、おじいちゃんが、しつけができていないのは、耀子の責任ではない、親や自分たちの責任だと言っていた。耀子のいじめの状況は読んでいてつらくなった。
ただ、目をつぶってやりすごし、終わるのを待つ、、、小4の女の子なのに、そんながまんをするなんて、、、そしてそれを言うことができない。
立海と仲良くなって、青井先生のもとでお勉強や遊びをすることでだんだんと自分の可能性を信じることができるようになっていく。耀子ちゃんはほんとに素 -
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リストラ対象になったサラリーマンが、クビをかけて畑違いのバレエ団の公演をマネージメント。そこで出会うダンサーたちの、華やかさからかけ離れた境遇や、ひとつの舞台に向けた真剣勝負に、『縁の下の力持ち』としてどこまでも裏方のまま奔走する彼。
公演の目玉となる世界的トップダンサーに、もう一人の『力持ち』として付き従うのは、こちらもリストラ対象のトレーナー。持てる知識と経験を駆使して、若く熱い闘志で支えようとする彼女。
二人とも、職にしがみつくために出向いたはずなのに、立場そっちのけでダンサーたちのために、自分に出来る最大限の事をしようとする。そんな彼らを、読み手はひたすら応援してしまう。
脇役であるは -
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母親に疎まれ学校ではいじめられ自己肯定感が低い耀子が、祖父に引き取られ遠州峰生の名家・遠藤家の別邸、常夏荘で暮らし始める。
その始まり、立海との出会いのシーンが幻想的で魅力的で、一気におはなしの世界に引き込まれた。
耀子と立海が一緒に過ごした常夏荘の日々が輝いている。立海の可愛らしさといったらない、頬が緩む。
耀子の世話をしてくれる祖父。
『自立と自律』「どうして」ではなくて「どうしたら」を考えるのだと教えてくれた家庭教師の青井。心を配ってくれる常夏荘の人々。
今まで与えられなかった愛情や物も戸惑いながら受け取り、耀子は変わっていく。
いつもひとりぼっちだった耀子が人との繋がりによって救われ -
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とても切ない物語でした。
「あの夏は子どもたちが、子どもでいられた最後の時だったのかもしれない」
この一言に尽きます。映画化されたら予告編にこの一文を使ってほしい!
『なでし子物語』も大好きだったけれど、また別の意味で心に残る大好きな一冊になりました。二作目の『地の星』でいきなりな展開になって、なんで?どうして?なぜにそうなってしまうの?とちょっとしたパニックになってしまったけれど、時系列的には『なでし子物語』と『地の星』の間にあたる今作を読んで、なるほど‥‥あんなことやこんなことがあって、あーなってこーなったのね‥‥と納得できました。
それにしても、あんなことやこんなことが切ない‥‥切なすぎ -
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あぁ 良かったなぁ
その心地よい余韻が続く
そして、
その作品がずいぶん前に
世に出されたものであり、
なんと
その続編が出ている
そのことを 知った時には
あぁ また あの「場所」に行くことができる
その思いが また嬉しい
イギリスの児童小説を
専門にしている知人がいるのですが
彼(彼女)たちは 至上のモノは
サトクリフさんであり、フュージョンさんであり
ランサムさん、アトリーさん
むろん それはそれでよいのでしょうが
この「なでしこ物語」の紹介をしても
まず 「日本のものでしょ」と木で鼻をくくったような
表情になり 話が拡がっていかない
本当に残念なことである