伊吹有喜のレビュー一覧
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リストラ対象になったサラリーマンが、クビをかけて畑違いのバレエ団の公演をマネージメント。そこで出会うダンサーたちの、華やかさからかけ離れた境遇や、ひとつの舞台に向けた真剣勝負に、『縁の下の力持ち』としてどこまでも裏方のまま奔走する彼。
公演の目玉となる世界的トップダンサーに、もう一人の『力持ち』として付き従うのは、こちらもリストラ対象のトレーナー。持てる知識と経験を駆使して、若く熱い闘志で支えようとする彼女。
二人とも、職にしがみつくために出向いたはずなのに、立場そっちのけでダンサーたちのために、自分に出来る最大限の事をしようとする。そんな彼らを、読み手はひたすら応援してしまう。
脇役であるは -
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母親に疎まれ学校ではいじめられ自己肯定感が低い耀子が、祖父に引き取られ遠州峰生の名家・遠藤家の別邸、常夏荘で暮らし始める。
その始まり、立海との出会いのシーンが幻想的で魅力的で、一気におはなしの世界に引き込まれた。
耀子と立海が一緒に過ごした常夏荘の日々が輝いている。立海の可愛らしさといったらない、頬が緩む。
耀子の世話をしてくれる祖父。
『自立と自律』「どうして」ではなくて「どうしたら」を考えるのだと教えてくれた家庭教師の青井。心を配ってくれる常夏荘の人々。
今まで与えられなかった愛情や物も戸惑いながら受け取り、耀子は変わっていく。
いつもひとりぼっちだった耀子が人との繋がりによって救われ -
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とても切ない物語でした。
「あの夏は子どもたちが、子どもでいられた最後の時だったのかもしれない」
この一言に尽きます。映画化されたら予告編にこの一文を使ってほしい!
『なでし子物語』も大好きだったけれど、また別の意味で心に残る大好きな一冊になりました。二作目の『地の星』でいきなりな展開になって、なんで?どうして?なぜにそうなってしまうの?とちょっとしたパニックになってしまったけれど、時系列的には『なでし子物語』と『地の星』の間にあたる今作を読んで、なるほど‥‥あんなことやこんなことがあって、あーなってこーなったのね‥‥と納得できました。
それにしても、あんなことやこんなことが切ない‥‥切なすぎ -
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あぁ 良かったなぁ
その心地よい余韻が続く
そして、
その作品がずいぶん前に
世に出されたものであり、
なんと
その続編が出ている
そのことを 知った時には
あぁ また あの「場所」に行くことができる
その思いが また嬉しい
イギリスの児童小説を
専門にしている知人がいるのですが
彼(彼女)たちは 至上のモノは
サトクリフさんであり、フュージョンさんであり
ランサムさん、アトリーさん
むろん それはそれでよいのでしょうが
この「なでしこ物語」の紹介をしても
まず 「日本のものでしょ」と木で鼻をくくったような
表情になり 話が拡がっていかない
本当に残念なことである -
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ネタバレ評判のよい作品なのはわかっていましたが、長く積ん読していて、ようやく読めました。
たくさんの方に読んでほしいと思う反面、あまり広まってほしくないような、世間の垢に触れず大切に大切にしてほしいようなお話でした。
愛を与え合う、愛を育むことは、本当に本当に大切で、だれかに大切に扱われたことは、その後のその人の人生にどんなに強く影響することか。それは、子どもでも、大人でも同じです。
ヨウヨとリュウカ、ずっとずっとこのままがいいです。ようやく子どもでいられるようになった2人なのに、もっとゆっくり子どもの時間を過ごしてほしかった。そうさせてあげたかったです。
続編が2冊出ていますが、私はこのお話だけでい -
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現在不遇の状況にある元フォトグラファーの立花浩樹と、浩樹の住むシェアハウスでたまたま出会った失意の男たちのリスタートを描く、ついてない人々の再生物語。
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かつて秘境を訪れありのままの自然を撮るTV番組で人気を博した写真家の立花浩樹だったけれど、バブル崩壊によりネイチャリング・フォトグラファーという肩書きを失ったあとは転落も速かった。
仕事だけでなく、家も失くし恋人も離れていった。バブルに踊らされ自分を見失っていたことに気づいたときは、後の祭りだった。
厭世的になり、自堕落な生活を送っていたある日、入院中の母親から知人を撮影するように頼まれた。気が進まないながら引 -
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ネタバレ以前読んだ「なでしこ物語」の続編。小学生だった耀子は、28歳。18歳で龍治と結婚し、一女の母になり、常夏荘の女主人「おあんさん」となっていた。
えっ?そんなに早く結婚していたの?しかも立海と結婚すると思ってたのに龍治と?!とちょっとショックだった。
峰生の有力者、遠藤家もバブル崩壊を経て、経済的に大変な状況に。代々、お高くとまっているはずの遠藤家のおあんさん、耀子も峰前の集落のスーパーで働き始める。だが、過疎化が進む集落で、そのスーパーさえも閉店の危機に。
閉店にしてはいけない。アイデアを出せと、同年代の店長に発破をかけられて、お客様へのお弁当の配達や送迎、ミネパン(撫子の形のパン)、 -
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読みながら何度も表紙の絵を眺めました。出逢えて良かった、と思える作品でした。
学校でいじめにあっている四年生の耀子と一年生の立海。友だちがいない二人は、お互い友だちになりたくてもうまく表現できなかったり、またいつもみたいに嫌われたらどうしよう‥‥と、もう一歩が踏み出せなかったり。その気持ちに読んでいて本当に胸が痛くなりました。
立海の家庭教師の青井に耀子も勉強を教わるようになり影響を受けていく。
自立、かおを上げて生きること。
自律、うつくしく生きること、あたらしいじぶんをつくること。
『どうして』と自分を責めずに『どうしたら』と前に進もうとする、世界中のみんなが自分を悪く言っても自分だけ -
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「良かったなぁ」しみじみとそう思える作品。
登場人物3人がそれぞれ自分だけの重荷を抱え周囲の人と関わりながら、少しずつ、静かに前に進んでいく。
読み進める程にどんどん物語に引きこまれていきました。
自分のことをグズでバカで何も出来ないと思い込んでいた不登校の耀子。でも決してグズじゃない。丁寧で言葉にするのに時間がかかるだけ。
青井先生の言葉が優しく心に沁みる。
そんなふうに受けとめて、言葉にするまで待ってあげられる大人が、今いったいどれだけいるだろう。
耀子が青井先生と出会えて本当に良かった。立海と耀子も出会えて良かった。
とても温かい物語。また読み返したい一冊です♪ -
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三人の出会いがそれぞれの人生を少しずつ動かしていく温かい物語。登場人物の視点に移りながらの展開。
それぞれ重荷を抱え周囲の人と関わりながら、少しずつ、静かに前に進んでいく。
読み進める程にどんどん物語に引き込まれていきました。クスッと笑えて面白くて、子供の頃の懐かしい感覚を思い出しました。そして心もほっこり。
自分のことをグズでバカで何も出来ないと思いこんでいた耀子に、青井先生がかけた言葉が優しく心に沁みる。
耀子が青井先生と出会えて本当に良かった。立海も耀子と出会えて良かった。
とても温かい物語。
良かったなぁ。しみじみとそう思える作品でした♪また読み返したい一冊。
『自立、かおをあげ