伊吹有喜のレビュー一覧
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やまびこに乗って東京に紘治郎と戻ってきたときの最後のシーン。
夜家族での会食後に美緒は紘治郎とは宿には止まらず、実家で一夜を過ごすことになったとき。それまでの美緒だったら、寂しそうな祖父に思うことはあっても行動は起こせなかっただろう。でもその時は後から一度玄関で見送った祖父を追いかけて、言葉をかけることができた。成長を実感できたのもそうだし、美緒のいいところ「周りの感情を察する力・気遣う力に長けている」が発揮されるようになったのが、いいなと思った。
「やりたいことを決めましょう、ぼやぼやしてちゃダメ。いい学校に入りましょう。つらいことがあってもちょっとのことでくじけてはダメ。そんなんじゃこの -
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前作『なでし子物語』で
すっかりその魅力にはまってしまった私。
さてさて、お楽しみの続編〜♪
っと、ここでどうやら読む順番について要注意。
勿論ラストは『常夏荘物語』で完結するとして・・・
前作の後、刊行順に読むと
『地の星』→『天の花』となる。
ただ物語の時系列順だと
『天の花』→ 『地の星』になる。
刊行順に読むと、時代が随分先に飛ぶようで、
沢山の?が出てくるのだとか・・・
どの順で読むかは好みによるのかな。
私はシンプルに時系列に読み進めることにした。
前置きが長くなったけれど、
『天の花』期待どおりでした!
やっぱり『なでし子シリーズ』好きだなぁ。
前作から少し成長した立 -
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読み始めてすぐに引きこまれ、ほぼ一気読みでした。
三重県の伝統高を舞台にした、みずみずしい青春小説です。
第一章は1988年。
通称が「ハチコウ」の高校に迷いこんだ白い犬。
引き取り手が見つからず、生徒の有志によって高校で面倒を見ることになります。
この章の主人公は高3の生徒、光司郎と優花。
迷い犬はいつも光司郎の席に座ることからコーシローと名付けられます。
男尊女卑の考えが色濃いこの時代。
進路に悩む優花、主人公2人の純粋でまっすぐな恋心、母親の強さや懐の大きさ、その全てに胸をうたれました。
2章以降は章ごとに時代が少しずつ先に進み、主人公も変わります。全ての章において主人公は高3の生徒 -
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カバーの絵を見て友達二人の底抜けに楽しい話かと思っていたら違いました。
少女向け雑誌の発行元で働く佐倉波津子の戦前・戦中・戦後。
淡い想いや固い決意、ほろ苦い別離も。
お仕事小説として佐倉の成長と活躍を応援しながら楽しみましたが、戦局悪化で夢や輝きが潰えていく雑誌「乙女の友」を彼方の友、読者のために守る過程で力を合わせる編集者の想いがとても尊くてしんみりする。
全てに静かに蓋をする様に過ごしていた佐倉の元を訪ね集う、世代を経た関係者たちがひと時掬い上げた様々な思いと物語は、やがて記憶から記録へと、遠いところに仕舞われて行く。
余韻の溢れる、いい話を読んだ気分。明治41年に創刊され、戦時 -
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この間プチ旅行に出かけたお供に読み始めたら止まらなくなってしまった。
激しく温かい気持ちで本を閉じられた。
読み始めてずっと息もできないくらい苦しくて。
美緒ちゃんは私だった。
人の顔色を伺ってしまう、言葉尻で自分に対する負の感情を感じ取ってしまう、詰められると言葉は胸の中に沢山あるのに何も言えなくなってしまう。
決めつけてかかってくる母親。
辛いよね。
苦しいよね。
好きなものが分からない、心地いいが分からない、自分がどうしたいか分からない。
自分を大切にするってことがそもそも分からない。
美緒ちゃんはホームスパンに出会った。
私は音に出会っていた。
自分の心地いいことに気付ければ、理解 -
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ネタバレ18歳の耀子が14歳の夏を回想しながら進む話。
子供達が子供達で居られた最後の夏。
照子の息子の龍治も加わり過ぎてゆく…
母照子の愛情を幼い頃に感じれず、今も確執が残ってるからつっけんどんな態度だけれど 立海や耀子、長屋の人々に対してはちゃんと誠実な対応をしてくれる事から根は優しい人なんだな、龍治。
耀子にとって立海はいつまでも幼い「リュウカ君」なのかな。弟のような、手の届かない大切な思い出の中の宝物のような。
父性を求めてしまったのか、龍治と共に歩む事に。
大切にされてこなくて、「大切にされる」という事が分からないと泣く耀子。悲しい…。
常夏荘の人達の事だと教えてあげたいなぁ。
この先 -
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ネタバレ伊吹有喜さんの本にシリーズ物があると知って手に取った1冊。
大人達の事情に翻弄される子供達。
それでも常夏荘で過ごす日々は宝物のようにキラキラ輝いて見えた。
常夏荘の優しい大人達に見守られて、少しずつ健全な心になっていく。
子供がいるせいか、間宮のお爺さんや照子の気持ちが痛いほど伝わってくる。
子どもたちはいつか全て忘れてしまう。こちらは全て覚えているのに。けれど
「そうでなけれはきっとーー子どもたちは母のもとから巣立てない。」
この言葉が私にはとても沁みた。
彼らが大きくなるにつれてどう成長していくのか楽しみ。続巻も読もうと思う。 -
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温かく優しい気持ちになる一冊。
一気に読み終えて、なおまだ余韻に浸る。
八稜高校で過ごすことになる犬のコーシローと高校生達の物語。
主軸は早瀬と塩見のストーリーだが、いくつもの時代のハチコウセイを通して、その世代の葛藤や恋愛、成長が描かれていて胸に刺さる。
コーシロー目線と高校生目線でのストーリー展開がテンポよく進み、短編でありながら、どこかでつながりを持ちつつ紡がれていく。
伊吹さんの作品は『雲を紡ぐ』に続き二作目。
好きだなぁ。
三重県四日市という伊吹さんの青春を過ごした場所や母校への愛も感じる。
青春を描いた物語がこんなに純粋に心に響いたのは久しぶり。自分の高校生時代を思い出してしま