井上理津子のレビュー一覧
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多くの人が生きている間に自分の親の死を経験しなければならないので、読んでいる人のほとんどが自分の経験を思い出したり、まだご両親が健在の人は自分の親に対する態度を顧みたりすると思います。
ここに書かれている話は、本当にごく一般的な話だと思います。特にひどい!とも素敵!でもなく、世間一般の普通の家族のお話。
完璧に親孝行できた!いつも完璧な娘息子でいられた!なんて人いないでしょうし、親が元気な時に、いつか死ぬんだと考えながら接している人もいないと思います。
だからその時に、多かれ少なかれ後悔が残るのですが、全ての人が「親を送る」ことに関して初めてなので仕方がないと思います。
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ネタバレ絶滅危惧個人商店
著者:井上理津子
発行:2020年12月15日
(「ちくま」2018年12月号~2020年5月号連載)
筑摩書房
著者は「さいごの色街 飛田」の著者としても知られる。長い間、大阪でライター生活をしていたが、2010年から東京へ。今回も、東京の個人商店18箇所を取材し、紹介している。このタイトルから、もはや商売として成り立たず、後継者もいない、消えていくことが必定というような商店にノスタルジックにスポットを当てているように思ってしまいそうだが、中身はだいぶ違う。多くの店が昔よりは儲かっていないものの(構造不況的)、ちゃんと現役の商売として成り立っているし、後継問題を抱えてい -
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井上理津子著「さいごの色街 飛田」という本を読みました。
大阪のある街について深く掘り下げた本は決して多くない(ややこしいので掘り下げにくいのでしょう)のですが、先日読んだ「大阪アースダイバー」同様、この本も結構、頑張って取材している本でした。
飛田をマスコミで取り上げる際、所詮は「きれいごと」に終わるものが殆ど全部。この本も、最初はそういう類かと思っていたのですが、違いました。
文献などの資料で書かれた部分はもちろん、ガードが堅い飛田に体当たり取材して得た貴重な証言なんかもあって、勉強になります。
「飛田新地料理組合」の幹部が貸してくれたテレビニュースのDVDを見たら、差別問題に詳しい桃 -
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ネタバレあとがきに思っていたことがほぼ全て書かれていた。
純粋な疑問として、なぜ消費センターや警察に相談しないのかと思うことがあったが、私の無知が原因だった。
この世の仕組みから零れ落ちてしまう人たちがいる。
零れ落ちるという言葉が適正ではないかもしれないが。
飛田が舞台なので女性がメインだが、男女問わず両親などの幼い頃から青年期まで社会とはどんなところかを教えてくれる存在の不足がずっと続いてしまう。
連鎖は一度走り出したら止まらないのかもしれない。
遊郭の成り立ちを知りたいと思い関連する本を読んでいるが、そういう意味では遊郭そのものの成り立ちとは違うが飛田遊郭の成り立ちが参考資料を元にとても丁 -
購入済み
女性にオススメ
初めてこういった分野に足を
踏み入れてみました。
内容は総じてソフトな印象で
幸いでしたね。ノーマルな志
向の?女性向けの一冊だと思
います。 -
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今日は仕事で、後継ぎがいない個人商店になんとか後継ぎを見つけられないかという話をしていました。いろいろ今の日本を取り巻く問題は山積していますが、コロナで働き方を見直す人が多くなっていることは光明です。
私にも、惜しまれつつ閉店したお寿司屋さんの思い出の味があります。生まれたときから親しんだその味をもう一度味わいたくて、ナイトスクープでご主人を探してもらおうか、いやもう亡くなっただろうな、あんなに繁盛していたのにどうして誰も継がなかったのかなと切なくなります。
ちょうどこの本を読んでいたところなので、余計になにもかもが胸に響いているみたい。
東京の佃煮屋さん、豆腐屋さん、銭湯…全部で18軒の -
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女性作家さんが描く色街の真実。
物語の中に出て来る遊郭は知っているが、今でも実在し、しかも女性が突撃取材をすると言うルポタージュは衝撃的。
普通の風俗でも、中でどのようなことが行われているのか、女性が知る由もない。そんな中で法的には違法とされる飛田を包み隠さず、描く今作はまさしく私にとって、知りたい世界だった。
仕事柄、宴会コンパニオンさんと一緒になる機会が多い。その度に自分では出来ないと思う仕事だと思う。コンパニオンと飛田の「女の子」とでは全く事情が違うとは思うけど、やはり飛田の「女の子」も自分では出来ない仕事。
ここ数年で「女の子」の働く理由は変わってきたようだが、作者が取材を続けていた当 -
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「東京広しといえどもああいう町はどこにもない。」
ひょんなことから飛田に行き、衝撃を受けた。あんな空気を、今まで吸ったことがなかった。心臓がバクバクした。そして、今まで聞いたこともなかった飛田新地のことを知らないといけないと思い、読んだ本。ブログの面白半分な情報よりは、女性目線、10年かけた取材、という所から歴史を知る手がかりになった。
女の子と、やり手婆。風俗というと黒服で強面の男性、という印象だったが、客引きが女性のしかもおばさんであることに驚いて、そこが理解できなかったが、この本を読んで女の子とやり手婆の信頼関係があることを知った。売り、買い。性というものがこういう使い方をされることはや