感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この手の本には 目がない
ついつい 手が出てしまいます
本当に大事なものは
目に見えないんだよ
そのことは
「職人」さんの世界では
ごくごく当たり前のこと
いろいろなところで
耳にしてしまう
「後継者が居ない」
そんなことを吹き飛ばしてしまう
力強い一冊です
つい数十年前には
ごくごく当たり前のことであったことが
いまでは…
それゆえに話題なっている
なにか釈然としない
気持は残ります
Posted by ブクログ
宮大工や陶芸など職人からイメージするものから洋傘や絵画修復までさまざまな分野の師弟が紹介されている
弟子になるきっかけ
師匠の教え方
師匠のまた師匠との出会い
多くの師弟が描かれ、この本の何倍もの濃密な師弟の関係が日本中にあることを想わせる
伝統と革新に感銘を受ける弟子と、弟子に真摯に向き合う師匠
日本の底力はまだまだあるなと感じた
Posted by ブクログ
いつも聴いているpodcastの番組に著者の井上理津子さんがゲスト出演していて紹介していた著作です。
内容は、今日に続く“職人” の世界を舞台に、“伝統的技芸”を伝えていく師弟関係の「今」を紹介した著作です。丹念な取材で描き出された“職人の世界”のエピソードはどれもとても興味深いものでした。
登場する職人芸はどれも素晴らしく見事なものですが、それを自分が修行で会得するのは、並大抵の決意では無理ですね・・・。
Posted by ブクログ
師弟百景
~〝技〟をつないでいく職人という生き方~
著者:井上理津子
発行:2023年3月1日
辰巳出版
初出:
月刊誌「なごみ」(淡交社)
1~11:2020年1-6月号、2020年8-12月号
12、13:「GetNavi web」2022年3月、8月各公開
14書き下ろし
15、16:「GetNavi web」2023年1月、2月各公開
かなり話題になっている本。きっと売れていることだろう。16職種、その師弟を16組32人取材している。連載11組、追加取材5組。
庭師、釜師、仏師、染織家、左官、刀匠、江戸切子職人、文化財修理装潢(そうこう)師、江戸小紋染職人、宮大工、江戸木版画彫師、洋傘職人、英国靴職人、硯職人、宮絵師、茅葺き職人。
知らない職種もあった。宮絵師というのは初めて聞いたし、文化財修理装潢師というのもどんな仕事かは大体分かるが、正式名称はこういうのかと知った。装潢の「潢」は紙を染める意味のようだ。
職人の師弟関係というと、師匠が言葉でほとんど教えず、見て覚えろという態度で、最初は下働きばかりさせるイメージがあるが、この本を読むと、そういう人もいるが、最近の師匠は結構、最初から教えているようことが分かる。もちろん、そうでない人もいるが。あとがきにも、どちらかというと饒舌だったと書かれている。ただ、師匠の弟子時代は、昔ながらのそうした師匠が多かったようにも感じさせられた。
釜師や刀匠など、弟子は「無給」が当たり前という。弟子仕事が終わってから深夜までアルバイトをして生活費を稼いでいる。なかなか厳しいが、本人たちはそうは思っていないようだ。とくに工芸の世界は「芸術」でもあり(あるいはそれに近くもあり)、職業として最初から成り立つわけではないだろう。
例えば、刀匠についている弟子はまったくの無給で、コンビニのアルバイトで生計維持。一方、鍛冶には「炭切り三年、向こう槌(づち)五年、沸かし一生」といわれる厳しい修行が待っている。「積み沸かし」という鋼を熱する工程では、グツグツといういい音がするらしい。鋼に含まれる炭素などの不純物が熔けて流れ出る音。これに耳を澄ますのだという。非常に重要な工程だそうだ。一生が修行なのか・・・
そんな厳しい修行をこなしながら、弟子は5年で刀匠の資格試験(文化庁)に一発合格したという。この弟子が師匠を評し、師匠は形に対するセンスがずば抜けていると言う。叩くとき「ちょっとここ取ってみな」とアドバイスされ、そうるすとスッとした形に変わったり、全然違うものになったりするらしい。なんともカッコイイ話。読んでいるだけで惚れ惚れする。
江戸木版画彫師、つまり、今でも浮世絵が描かれ、彫り師が存在するというのも驚きだった。洋傘職人という仕事にも、やはり驚き。
この本、話題になっていて、売れているのも理解できる。素晴らしい。著者は各章、取材も構成もまことにきっちりしている。下調べも丁寧。まさに職人技。井上理津子さんに、弟子はいるのだろうか。次の師弟百景はそれが読みたい。