井上理津子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
葬儀に関わるいろいろな場面でお世話をしてくれる、その道のプロの人々へのインタビュー。
昨年前半に自分と妻の親3名が相次いで他界し、連続で葬儀を行うこととなったのですが、その際に、葬儀社のスタッフの皆さんにはとても親身で細やかな心遣いをしていただいたことを思い出します。また、納棺師さんのプロ技にも感心しましたし、火葬場スタッフの方の対応や説明も分かりやすく丁寧でした。
遺族・親族は大なり小なりオタオタしているので、こういう場で心強いプロの人々が支えてくれるのは、なんとも心強いものです。
・・・・・ま、しかし、戒名代はなぁ・・・(※宗派による ※個人の見解です)。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「性」を売るということは
そのまま、命を売るということだ――
精神を削り、捨て、私は何も感じてないと
嘘をつき、ついた嘘のぶんだけ消耗し
ひたすらに擦り減っていく。
心も体も。
常に命がけの病気と背中合わせで
守ってくれるものは何もなく、
時として、剣より強いペンにさえ
面白おかしい玩具のように表現される。
なぜ、そこにいるのか?
なぜ、そこでしか生きられないのか?
真剣に向き合っている本。
著者の結論としての
「行くなら金を落とせ」という言葉も
一つの真実だとは思うけれども
命を削って売らなければ
生きられない世の中はどこかが
なにかが、歪んでいるとしか思えない。 -
Posted by ブクログ
飛田ほど異様な街は、この日本にそう多くはない。21世紀の法治国家においてそういう街が公然と存在していること自体が本来おかしな話なのだが、日本一の高さを誇るあべのハルカスの徒歩圏内、住宅地と商店街に囲まれたその領域が放つ異世界感も尋常なものではない。
しかし、そうした異世界も日本の近現代とは無縁でなく、異世界であるからこそかえって社会や制度の変遷に強く影響を受けながら今の姿にたどり着いたのも事実。そして当然そこに住む人働く人がいて、彼らが綿々と紡いできた営みの帰結でもある。飛田を知ることは、日本が歩んだ近現代の歴史の一側面を知ることでもある。ただ性的な関心や倫理的な正義感だけでは語り尽くせない射 -
Posted by ブクログ
先月読み終わってから久しく間が空いてしまったが、
これくらい時間が必要だった1冊。
北海道にいた頃は、せいぜい「北方領土問題」と「アイヌ文化」
くらいしか思い浮かばないくらい、
地方の問題というものが身近ではなかった。
こっちにきて、それが現実的に身近に感じることが多くなった。
ニア大阪なので、まだかろうじて全てが直接的ではないものの、
「同和」「民族」そしてこの、本書でレポートされているような世界だ。
それは例えば、主人の実家に帰省する際、
通り道を隔てた地域一帯がそうだと教えられたことに端を発し、
地域を知れば知るほど、そこの歴史が見えてくるような感じである。
そしてそれが、ここで住む -
Posted by ブクログ
ネタバレ奈良生まれ、豊中住みのルポライター、井上理津子さんが紹介する「ぐるなび」登場以前の酒場紹介。
あんまりこだわりはない。
「吉田類の酒場放浪記」的な・・・。
10年ほど前の本なので、すでに閉店したお店もちらほら。
しかも、店主の年齢がかなり高いお店が多いので、店の存続以前に店主が健在であるかどうかが心配。
先述しましたが、「ぐるなび」や「食べログ」ではない、プロの手になる飲食リポートです。
しかし、吉田類さんににしても井上理津子さんにしても、「酒場」というわりには、それほど酒に拘らないような気がします。
井上さんはまだ、銘酒を色々挙げて説明してるので良いのですが、それでもトリビー的 -
Posted by ブクログ
地元・横浜を流れる大岡川沿いの黄金町は、かつて「ちょんの間」と呼ばれる飲み屋が軒を連ねる一大歓楽街だった。「ちょんの間」とは、ちょっとの間で飲み屋の2階で、客と女性従業員がいわゆる男と女の交わりをすることからついた名称。実質的な売買春だ。でもこれがなぜか売買春に当らないことにずっとなっていた。客と従業員はお酒の席で恋愛感情を持ち、そのまま2階でいちゃついて、火がついた二人がコトに及んだだけ、店側は関知していない、という理屈。
なんだそれ? と誰でも思うが、よくわからないけど、法的には通用するらしい。
女の子を持つ親は、あの辺りには絶対行ってはダメ!とよく言い聞かせていたらしい。とはいえ、横浜 -
Posted by ブクログ
色街といえば一番に浮かぶのは「飛田新地」。女性が覗いてはいけない男の世界、そんな色街を女性である著者が、取材をし書き上げた一冊。
女性がひとりで歩いていたらドヤされるとか聞くし、取材は困難を極めたことだろう。
お客として行ったことのある人への取材はまあまあ詳しくされているけど、中の人は語りたがらないのか語ることが御法度なのか、飛田の真の姿が見えず少し物足りなさを感じた。
全てを見せないからこその飛田の魅力なのかもしれない。
女の子のいてるお店に上がるのは無理だけど、飛田新地の端に位置する遊郭として使われていた建物を利用した料理屋「鯛よし百番」へは一度行ってみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ師弟百景
~〝技〟をつないでいく職人という生き方~
著者:井上理津子
発行:2023年3月1日
辰巳出版
初出:
月刊誌「なごみ」(淡交社)
1~11:2020年1-6月号、2020年8-12月号
12、13:「GetNavi web」2022年3月、8月各公開
14書き下ろし
15、16:「GetNavi web」2023年1月、2月各公開
かなり話題になっている本。きっと売れていることだろう。16職種、その師弟を16組32人取材している。連載11組、追加取材5組。
庭師、釜師、仏師、染織家、左官、刀匠、江戸切子職人、文化財修理装潢(そうこう)師、江戸小紋染職人、宮大工、江戸木版画彫師