井上理津子のレビュー一覧

  • 葬送の仕事師たち(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    葬儀業界で働く人々を題材にしたルポタージュ。ハードカバーの頃から気になっており、文庫化は正に渡りに船。葬儀社、湯灌師、エンバーマー、火葬場…と様々な【葬送】の仕事に密着取材した全六章構成の本作。誰しもに訪れる【死】と365日向き合う精神的にも肉体的にも過酷な業務ながら、故人と遺族に対し真摯に向き合う【仕事師】たちの姿に目頭が熱くなるばかり。自殺者の遺体を前に「救えたかもしれない命」と語る復元師とエンバーマー両名に大きく心を打たれた。怖気が立つほど壮絶な仕事師たちのプロ意識を語る言葉を今の私は持っていない。

    0
    2018年06月20日
  • さいごの色街 飛田

    Posted by ブクログ

    10年以上に及ぶ飛田での取材に基づいたルポ。筆者は豊中の人で、ところどころ「綺麗な北から、ごちゃついた南への視点」を感じてしまったのは、私の私情からだろうか。貧困の末に飛田でしか生きられない女。非合法と知りながら黙認する社会や男。構造がつらい。

    0
    2018年04月18日
  • 葬送の仕事師たち(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    葬儀に関わるいろいろな場面でお世話をしてくれる、その道のプロの人々へのインタビュー。

    昨年前半に自分と妻の親3名が相次いで他界し、連続で葬儀を行うこととなったのですが、その際に、葬儀社のスタッフの皆さんにはとても親身で細やかな心遣いをしていただいたことを思い出します。また、納棺師さんのプロ技にも感心しましたし、火葬場スタッフの方の対応や説明も分かりやすく丁寧でした。
    遺族・親族は大なり小なりオタオタしているので、こういう場で心強いプロの人々が支えてくれるのは、なんとも心強いものです。

    ・・・・・ま、しかし、戒名代はなぁ・・・(※宗派による ※個人の見解です)。

    0
    2018年02月13日
  • 親を送る

    Posted by ブクログ

    まだと思いながら、両親の事は気になっており、手に取る。著者の実体験をベースに、母、痴呆の父を送る話。延命、葬式、兄弟などの意見の相違など流れを読むことで体験でき参考になる。女性目線だからだろうか、動揺しつつも、淡々としている場面もあり、私ならもっとオロオロしてしまうだろうな。

    【学】
    入院はさせない方がいい
    葬儀も想定しておいた方が良い

    0
    2017年10月25日
  • 旅情酒場をゆく

    Posted by ブクログ

    日本全国24の旅情酒場、井上理津子さんの紀行文、うまき酒と肴、素晴らしき人たちとの出会い・・・、読むとすぐにでも出かけたくなる、そんな思いにさせてくれる作品です。出雲蕎麦に「上撰隠岐誉」をふりかけて食べるw、東京23区唯一の地酒「丸眞正宗」をじっくり味わう、伏見と灘の酒を飲み比べてみる・・・、旅情酒場、いい響きです(^-^) なんだか滝田ゆうさんの世界が見えて来るようです。

    0
    2017年09月08日
  • さいごの色街 飛田

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「性」を売るということは
    そのまま、命を売るということだ――

    精神を削り、捨て、私は何も感じてないと
    嘘をつき、ついた嘘のぶんだけ消耗し
    ひたすらに擦り減っていく。
    心も体も。

    常に命がけの病気と背中合わせで
    守ってくれるものは何もなく、
    時として、剣より強いペンにさえ
    面白おかしい玩具のように表現される。

    なぜ、そこにいるのか?
    なぜ、そこでしか生きられないのか?
    真剣に向き合っている本。

    著者の結論としての
    「行くなら金を落とせ」という言葉も
    一つの真実だとは思うけれども
    命を削って売らなければ
    生きられない世の中はどこかが
    なにかが、歪んでいるとしか思えない。

    0
    2022年03月05日
  • さいごの色街 飛田

    Posted by ブクログ

     飛田新地のルポ。10年かけて、紆余曲折ありながら着実に情報を集めて形にした一冊。

     性を搾取する場所があるなんてとんでもないというスタンスで取材をはじめる。しかしそのスタンスが取材を経るにつれてどんどん変容していくところが面白い。

     本書の最後は「興味半分で行くな、お金を落としていけ」と締める。

     今も昔も女性が色街で働く理由は「お金」である。売りたい側買いたい側が存在し続ける以上このような場所はなくならない。
     
     

    0
    2015年08月24日
  • さいごの色街 飛田

    Posted by ブクログ

    大阪でも有名な「飛田新地」についてのドキュメンタリー。かつて友人に連れられて怖いもの見たさで訪れ、その光景にただ驚くばかりであった記憶がある。この本を読んでからまた行くかと言われると、あとがきにもあった通り物見遊山で行くところではない。表の煌びやかに見える部分に隠されて、裏の知られざる世界があるということ。そこに作者がまあこれだけ取材御法度の街を調べ上げたことに頭が下がる。

    0
    2014年02月08日
  • さいごの色街 飛田

    Posted by ブクログ

    取材禁止の大阪府ミナミの色街・飛田について、様々な資料を調べ、様々な人にインタビューして、細かに書き上げた本。こんなところがあるなんて知らなかった。現代社会の一つの側面が見える。

    0
    2014年01月12日
  • さいごの色街 飛田

    Posted by ブクログ

    飛田ほど異様な街は、この日本にそう多くはない。21世紀の法治国家においてそういう街が公然と存在していること自体が本来おかしな話なのだが、日本一の高さを誇るあべのハルカスの徒歩圏内、住宅地と商店街に囲まれたその領域が放つ異世界感も尋常なものではない。
    しかし、そうした異世界も日本の近現代とは無縁でなく、異世界であるからこそかえって社会や制度の変遷に強く影響を受けながら今の姿にたどり着いたのも事実。そして当然そこに住む人働く人がいて、彼らが綿々と紡いできた営みの帰結でもある。飛田を知ることは、日本が歩んだ近現代の歴史の一側面を知ることでもある。ただ性的な関心や倫理的な正義感だけでは語り尽くせない射

    0
    2013年09月14日
  • さいごの色街 飛田

    Posted by ブクログ

    先月読み終わってから久しく間が空いてしまったが、
    これくらい時間が必要だった1冊。

    北海道にいた頃は、せいぜい「北方領土問題」と「アイヌ文化」
    くらいしか思い浮かばないくらい、
    地方の問題というものが身近ではなかった。

    こっちにきて、それが現実的に身近に感じることが多くなった。
    ニア大阪なので、まだかろうじて全てが直接的ではないものの、
    「同和」「民族」そしてこの、本書でレポートされているような世界だ。
    それは例えば、主人の実家に帰省する際、
    通り道を隔てた地域一帯がそうだと教えられたことに端を発し、
    地域を知れば知るほど、そこの歴史が見えてくるような感じである。
    そしてそれが、ここで住む

    0
    2013年09月08日
  • 大阪 下町酒場列伝

    Posted by ブクログ

    同じ類の大衆酒場でも、東京の下町酒場とは
    また一味違った世界の酒場をよく飲んで、よく書いている。

    この表紙のおっちゃん、素敵すぎやで!

    大阪のガイドブックとして、永久保存しておく本です。

    0
    2013年04月23日
  • 大阪 下町酒場列伝

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    奈良生まれ、豊中住みのルポライター、井上理津子さんが紹介する「ぐるなび」登場以前の酒場紹介。

    あんまりこだわりはない。

    「吉田類の酒場放浪記」的な・・・。

    10年ほど前の本なので、すでに閉店したお店もちらほら。

    しかも、店主の年齢がかなり高いお店が多いので、店の存続以前に店主が健在であるかどうかが心配。

    先述しましたが、「ぐるなび」や「食べログ」ではない、プロの手になる飲食リポートです。

    しかし、吉田類さんににしても井上理津子さんにしても、「酒場」というわりには、それほど酒に拘らないような気がします。

    井上さんはまだ、銘酒を色々挙げて説明してるので良いのですが、それでもトリビー的

    0
    2013年04月02日
  • さいごの色街 飛田

    Posted by ブクログ

    地元・横浜を流れる大岡川沿いの黄金町は、かつて「ちょんの間」と呼ばれる飲み屋が軒を連ねる一大歓楽街だった。「ちょんの間」とは、ちょっとの間で飲み屋の2階で、客と女性従業員がいわゆる男と女の交わりをすることからついた名称。実質的な売買春だ。でもこれがなぜか売買春に当らないことにずっとなっていた。客と従業員はお酒の席で恋愛感情を持ち、そのまま2階でいちゃついて、火がついた二人がコトに及んだだけ、店側は関知していない、という理屈。
     なんだそれ? と誰でも思うが、よくわからないけど、法的には通用するらしい。
    女の子を持つ親は、あの辺りには絶対行ってはダメ!とよく言い聞かせていたらしい。とはいえ、横浜

    0
    2017年08月15日
  • さいごの色街 飛田

    Posted by ブクログ

    色街といえば一番に浮かぶのは「飛田新地」。女性が覗いてはいけない男の世界、そんな色街を女性である著者が、取材をし書き上げた一冊。
    女性がひとりで歩いていたらドヤされるとか聞くし、取材は困難を極めたことだろう。
    お客として行ったことのある人への取材はまあまあ詳しくされているけど、中の人は語りたがらないのか語ることが御法度なのか、飛田の真の姿が見えず少し物足りなさを感じた。
    全てを見せないからこその飛田の魅力なのかもしれない。
    女の子のいてるお店に上がるのは無理だけど、飛田新地の端に位置する遊郭として使われていた建物を利用した料理屋「鯛よし百番」へは一度行ってみたい。

    0
    2024年04月08日
  • 絶滅危惧個人商店

    Posted by ブクログ

    タイトル通り「個人商店」が18軒。

    自転車屋さんや靴屋さん
    時計屋さんなんかは主が「職人」だ。
    お肉屋さんに魚屋さん
    青果店の主たちは自分の目利きで
    お客さんに喜んでもらうのが楽しそう。

    魚屋の店主の
    「(仕入れに)年は関係ないじゃない」
    なんてセリフにしびれる!

    霊園で仏花やお墓参り道具を扱うお店の話
    ちょっとめずらしかったです。

    0
    2024年03月10日
  • 師弟百景 “技”をつないでいく職人という生き方

    Posted by ブクログ

     いつも聴いているpodcastの番組に著者の井上理津子さんがゲスト出演していて紹介していた著作です。
     内容は、今日に続く“職人” の世界を舞台に、“伝統的技芸”を伝えていく師弟関係の「今」を紹介した著作です。丹念な取材で描き出された“職人の世界”のエピソードはどれもとても興味深いものでした。
     登場する職人芸はどれも素晴らしく見事なものですが、それを自分が修行で会得するのは、並大抵の決意では無理ですね・・・。

    0
    2023年09月18日
  • 師弟百景 “技”をつないでいく職人という生き方

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    師弟百景
    ~〝技〟をつないでいく職人という生き方~

    著者:井上理津子
    発行:2023年3月1日
    辰巳出版
    初出:
    月刊誌「なごみ」(淡交社)
    1~11:2020年1-6月号、2020年8-12月号
    12、13:「GetNavi web」2022年3月、8月各公開
    14書き下ろし
    15、16:「GetNavi web」2023年1月、2月各公開

    かなり話題になっている本。きっと売れていることだろう。16職種、その師弟を16組32人取材している。連載11組、追加取材5組。

    庭師、釜師、仏師、染織家、左官、刀匠、江戸切子職人、文化財修理装潢(そうこう)師、江戸小紋染職人、宮大工、江戸木版画彫師

    0
    2023年06月20日
  • 夢の猫本屋ができるまで Cat's Meow Books

    Posted by ブクログ

    いつか、本屋をやってみたい。本屋で働いてみたい。この人はどうやって『猫本屋』なんてつくったんだろう。とにかく興味がわいて、知りたくて、読んでみた。読んでみたらそこにはやっぱり『夢のような猫本屋』があった。猫本屋というはっきりとしたビジョン。夢を叶えるためにはビジョンが大切なんだなと改めて気付かせてくれた。

    0
    2023年03月12日
  • 絶滅危惧個人商店

    Posted by ブクログ

    思えば昔は個人商店ばかりでした。いつのまにかチェーン店や大型店だけになってしまいました。とはいうものの、じゃあお前は個人商店を利用しているのか?と言われると・・・。
    そんな昔ながらの個人店舗を丁寧に取材したルポです。

    0
    2022年12月05日