井上理津子のレビュー一覧
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TVで見たことがあった猫本屋さんの開店記。ぼんやりした夢が形になって滑り出していく過程が近しくてでも第三者的な記者目線で綴られていく。
・良かった点
書くプロの文章なので、時系列とか焦点とかスッキリして大変読みやすい。あとTVでは(当然)ふんわり夢叶えました〜ぽく編んであったけど、本は運営のお金やトラブルやらまで書き込まれててああやっぱ大変でだからこそ店が宝物なんだなあと思った。あと作中で紹介された本を読んだら良かったのも得した気分。
・無理かなぁと思う所
パラレルキャリアで行こうと思うと自分の休みが取れなそうな所。最初軌道に乗せるまでが踏ん張り時なのはもちろん分かるし、好きでそんなの苦にならないんだろうけど、根がぐうたらなので安易に真似できないなぁと。夫婦で協力体制とはいえすごいよ本当。
総評
思う所色々あって面白かったです。こういうネットにはできない本屋近くにあったら楽しいだろうなあと思う。 -
Posted by ブクログ
葬儀に係わる人たちについて書かれた本。
例えば、病院で亡くなった場合家まで業者が連れ帰ってくれるのだが、そのまま葬儀の話になったりする。
身近な人が亡くなると心がいっぱいでよく考えられなくなるし、言われるままに葬儀を執り行ったりする場合もある。
しかし必ずしもその葬儀社で頼む必要はないのだ。
葬儀の形やサービスなど、業界の仕組みをこの本で少し知ることにより、家族や自分の葬儀をどうしたいか話すのも必要なのではないかと思う。
まずは葬儀に関する専門学校の学生インタビューから始まる。
人が亡くなるとどういったことが行われるのか、どういった人々がかかわるのかがわかりやすい。
今と昔の葬儀社の違いや、東と西の風習の違いなども面白い。
感染症のことなども知らなかったので参考になった。
湯灌・納棺・復元師。
亡くなった人を綺麗にして棺に納める。この復元師というのがまたすごかった。
状態が悪い人を見られるように、その人らしく整えていく。
復元とはまた違ったエンバーマーという職業も初めて知った。
エンバーミングとはアメリカの南北戦争で遺体を長距離輸送するために開発された技術だそうだ。
特殊な薬液などを使い防腐処理を施すらしい。
日本では死亡してから50日以内に火葬しなければならないとのことだが、その期限いっぱいまでまるで眠っているかのように保存しておくことが可能らしい。
火葬場についての記述もあった。
特に裏側は知ることはないので、興味深く思った。
火葬方式に違いがあること、東と西では拾うお骨に差があること、従事する人に対する世間からの目や遺族からかけられた言葉などがあった。
どの職種の人も、この本に出てくる人は皆亡くなった人に寄り添い遺族に寄り添う。
東日本大震災にかかわった人の尽力なども描写されている。
本編にはなくあとがきに霊柩車の運転手の方の話しもあった。
文庫版のあとがきには、最初の単行本から3年たったこともあり、現在のことが補足されていた。
改めて自分がどういう葬儀をのぞむのか、家族をどうやって送りだしたいのか考えるきっかけになった。 -
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ネタバレ会社にある本。
朝早くいって10分ぐらい読み進めている。
志望校だった学校が出ていて、身近に感じた。またそこに書かれている授業内容もほぼ初めて知ることが多く参考になっている。
葬儀業界の見本市が描かれている。湯灌についての記述があり、最近あった御体の状態が悪い個人様とご家族を思い出した。ご家族は、湯灌前後の変化に大変喜ばれていたのが印象に残った。エンバーミングを実施できる施設は日本で数か所ほどとベテランの社員に聞いた。日本ではなくなってから火葬するまでの日にちが少なく、エンバーミングの必要性は低いかも知れない。しかし、外国の方で亡くなった場合長期輸送に耐えられるようにエンバーミングをする必要がある思う。外国人労働者の増加に伴い需要は今後増えていくのではないだろうか?
火葬場の話も参考になった。
本の中で今後の未透視について、市場は縮小するのではないかという内容があり、確かにと思った。
今日は会社の最終出勤日、さいごにこの本を読み終えてよかった。葬儀業界に就職して良かったと思った。 -
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葬儀に関わるいろいろな場面でお世話をしてくれる、その道のプロの人々へのインタビュー。
昨年前半に自分と妻の親3名が相次いで他界し、連続で葬儀を行うこととなったのですが、その際に、葬儀社のスタッフの皆さんにはとても親身で細やかな心遣いをしていただいたことを思い出します。また、納棺師さんのプロ技にも感心しましたし、火葬場スタッフの方の対応や説明も分かりやすく丁寧でした。
遺族・親族は大なり小なりオタオタしているので、こういう場で心強いプロの人々が支えてくれるのは、なんとも心強いものです。
・・・・・ま、しかし、戒名代はなぁ・・・(※宗派による ※個人の見解です)。 -
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ネタバレ「性」を売るということは
そのまま、命を売るということだ――
精神を削り、捨て、私は何も感じてないと
嘘をつき、ついた嘘のぶんだけ消耗し
ひたすらに擦り減っていく。
心も体も。
常に命がけの病気と背中合わせで
守ってくれるものは何もなく、
時として、剣より強いペンにさえ
面白おかしい玩具のように表現される。
なぜ、そこにいるのか?
なぜ、そこでしか生きられないのか?
真剣に向き合っている本。
著者の結論としての
「行くなら金を落とせ」という言葉も
一つの真実だとは思うけれども
命を削って売らなければ
生きられない世の中はどこかが
なにかが、歪んでいるとしか思えない。 -
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飛田ほど異様な街は、この日本にそう多くはない。21世紀の法治国家においてそういう街が公然と存在していること自体が本来おかしな話なのだが、日本一の高さを誇るあべのハルカスの徒歩圏内、住宅地と商店街に囲まれたその領域が放つ異世界感も尋常なものではない。
しかし、そうした異世界も日本の近現代とは無縁でなく、異世界であるからこそかえって社会や制度の変遷に強く影響を受けながら今の姿にたどり着いたのも事実。そして当然そこに住む人働く人がいて、彼らが綿々と紡いできた営みの帰結でもある。飛田を知ることは、日本が歩んだ近現代の歴史の一側面を知ることでもある。ただ性的な関心や倫理的な正義感だけでは語り尽くせない射程を飛田はもっている。
ところが、飛田を知ろうとしても、飛田に関する文献資料はその知名度に比して驚くほど少ない。域内に百数十ある「料亭」はウェブサイトすら持たないし、関係者も多くを語らない。一般的なメディアで飛田が取り上げられることはほとんどない。もちろん域内での写真撮影が厳禁なのはご存知の通り。
そんななかで、10年という長期に渡って広範な文献資料と多くのインタビューを収集し、飛田の歴史からそこに集う人々までを描写した本書は単なるルポとしてだけでなく、日本の近現代を読み解くための資料としての価値も極めて高い。ノンフィクションとしてのつっこみの甘さは指摘されているものの、その後出版された料亭経営者自らによる手記を除けば、ひととおりまとまった唯一の文献であると言える。そして、その存自体が非合法である以上明日すぐにでも消滅するかもわからない飛田の記憶を、散逸してしまう前にこうして残しておくことは意義のある行為だろう。
とはいえ、飛田という土地の異様さや異世界感は、本書を読むよりも実際にその地を訪れた方がよほどよくわかる。飛田の光景を見れば、普段眠っている倫理観や問題意識が湧き上がってくる。日本の近現代を見直すうえで、飛田はいちどは訪れておくべき土地だと思う。 -
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先月読み終わってから久しく間が空いてしまったが、
これくらい時間が必要だった1冊。
北海道にいた頃は、せいぜい「北方領土問題」と「アイヌ文化」
くらいしか思い浮かばないくらい、
地方の問題というものが身近ではなかった。
こっちにきて、それが現実的に身近に感じることが多くなった。
ニア大阪なので、まだかろうじて全てが直接的ではないものの、
「同和」「民族」そしてこの、本書でレポートされているような世界だ。
それは例えば、主人の実家に帰省する際、
通り道を隔てた地域一帯がそうだと教えられたことに端を発し、
地域を知れば知るほど、そこの歴史が見えてくるような感じである。
そしてそれが、ここで住む時間が長くなればなるほど、
その歴史がいかに複雑で一筋縄ではいかず、
共存することがいかに難しいかを、あらゆる状況から考えさせる。
そんななか、(訂正)2012年ダヴィンチ7月号にて2012年上半期のBOOK OF THE YEARにて本書を知り、今までどこかで触れてはいけないような気持ちになっていたパンドラの箱を、ついに開けてしまったような心境で読み進めていった。
ちなみに、正直あまり触れたくなかったのだが、やはり身近な人間に
聞いてみたくてだんなさんにこの地域のことを尋ねてみたが、
意外にもだんなさんは知らなかった。(あとからあれこれ検索している姿を見て、おいおい、この歳で興味持ってくれるなよ、と内心おだやかではなかったが)そんなものなのかな。
10年にわたって取材されたと言うそれは、
著者は女性なのだか、とにかくよくここまで足しげく通い、まとめてくださったととにかく感服。事実ご自身も何度も、タイプの違う怖い思いを、とにかく何度も体験されているのに、最後まで遣りきり仕上げたこの1冊は、とても価値があるし、だからこそ読み応えのあるものになっていると思います。
女性ゆえに足を踏み込んではいけない場所のようにも思うし、
女性だからこそ、知っておくべき場所なのか。
そこには「男」と「女」がいて、
生きていく人間の姿があります。
とにかく禁断の場所というのは今の時代も変わらないらしく、
そういう意味ではおそらくこの街を、実際歩いてみることはわたしには
なさそうだけど、街を知る貴重な作品だと思います。
興味深く印象的だったのは、229Pの記述。
折りしも「慰安婦問題」で連日名前を聞いていたときだったので、
橋下さんの発言の根幹にある部分を、少しだけ垣間見ることができて
納得するとともに、だからこそもっと丁寧に発言してほしかったと今でも
その考えは変わらない。 -
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ネタバレ奈良生まれ、豊中住みのルポライター、井上理津子さんが紹介する「ぐるなび」登場以前の酒場紹介。
あんまりこだわりはない。
「吉田類の酒場放浪記」的な・・・。
10年ほど前の本なので、すでに閉店したお店もちらほら。
しかも、店主の年齢がかなり高いお店が多いので、店の存続以前に店主が健在であるかどうかが心配。
先述しましたが、「ぐるなび」や「食べログ」ではない、プロの手になる飲食リポートです。
しかし、吉田類さんににしても井上理津子さんにしても、「酒場」というわりには、それほど酒に拘らないような気がします。
井上さんはまだ、銘酒を色々挙げて説明してるので良いのですが、それでもトリビー的なノリで。
(日本)酒・焼酎は銘柄のうんちくなど語るのですが、ビールはやっぱり「トリビー」的な扱い。
それがボクとしては少し残念。
最も、居酒屋や普通の飲み屋に行って、店員に「ビールはなんですか?」と聞いても答えられない場合が多いしね。店側からしてそうなんだから仕方ないか。
アサヒスーパードライには金を払いたくないんです。それだったら第三のなんとかの方を選ぶ。
「ぐるなび」などと決定的に違うところは、料理よりも店の歴史や店主の人となり・魅力なりを紹介しているところ。
これはやはりプロの手になるものでしょう。
煙と宴会の嬌声などが充満しているところは苦手ですが、ふらりと一人で寄りたい店が多数紹介されています。
現在も営業中の店を探して内容が本当なのか確かめに行きたくなる本です。 -
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地元・横浜を流れる大岡川沿いの黄金町は、かつて「ちょんの間」と呼ばれる飲み屋が軒を連ねる一大歓楽街だった。「ちょんの間」とは、ちょっとの間で飲み屋の2階で、客と女性従業員がいわゆる男と女の交わりをすることからついた名称。実質的な売買春だ。でもこれがなぜか売買春に当らないことにずっとなっていた。客と従業員はお酒の席で恋愛感情を持ち、そのまま2階でいちゃついて、火がついた二人がコトに及んだだけ、店側は関知していない、という理屈。
なんだそれ? と誰でも思うが、よくわからないけど、法的には通用するらしい。
女の子を持つ親は、あの辺りには絶対行ってはダメ!とよく言い聞かせていたらしい。とはいえ、横浜では開港150年を前に、一斉浄化作戦が決行され、今じゃ一軒もない。現在は跡地を若手アーティストに安価で貸出し、アートの街へと変貌しつつある。
いまも、こんな売買春が上のような理屈で行われているのは「飛田新地」だけだ。この本は、さいごの色街の実態を丹念に取材したノンフィクションだ。
遊廓の名残をとどめる街という説明から、花魁文化みたいなのが今もあるのかと思ったが、さすがにそれはなかった。遊廓っぽいというのは「料亭」と呼ばれる建物と、女性が玄関で正座して手のひらを添えて、お辞儀して男性客を迎えるところ。玄関は開け放してあり、男性客は外から女性を選り好みして、気に入れば店に入る。料金などの交渉は、曳き子と呼ばれるおばさんがする。女性が着る服はいたって今風のもの。女性も特別な芸事ができるわけでもないので、風俗で働いている女性と変わらない。違いは本番をするかどうかだけで、現に他の風俗から転職して飛田に来る女性も多いようだ。
閉鎖的な街だが、著者は12年にわたり取材を続け、少しずつ糸口を見つけて飛田で働く人たちの本音を聞き出していく。
料亭の経営者と曳き子のおばさんの関係、暴力団との関連性(飛田に暴力団が絡んでいない理由)、地元警察との関係、飛田という街が歩んだ歴史など興味深いが、なにより飛田の街で春を売る女性の声が面白い。なぜかあまり悲壮感がない。借金で首が回らない、金の計算ができないのが共通点みたいだが、経営者と女性たちの関係は概ね良好で、搾取されているという気がない(そこが金の計算ができないということらしいが)肉親に冷たくされた女性たちは経営者に親子のような情も抱くらしい。風俗で働くより、飛田で働く方が肉体的に楽だ、というのもほぼ共通した意見だ。男にはわからないことで、意外だった。
どこの「料亭」は慢性的な人手不足らしい。だから長く勤めてくれる女性には待遇を良くしている。募集はどこでしているのかというと、男性が読むような週刊誌とか夕刊紙にコンパニオン募集と広告を打ち、電話を待つ。または、パチンコで負けた女性に高利で金を貸して、借金を返せなくなった女性を飛田に紹介する女衒みたいな人もいるらしい。
著者は地元警察にも取材を申し込んでいる。「売春なのになぜ摘発しないんですか」とストレートに聞いている。でも警察ははぐらかすだけで「一斉摘発は難しい」と言い、時々どこかの料亭を申し訳程度に摘発するだけだ。横浜でできたのだから(というか全国でやったから飛田だけになったのだから)警察が本腰を入れれば飛田も無くせるとは思う。でも完全になあなあの文化ができている。これが良いのか悪いのか… その前に飛田を遊廓の文化を残す街と言っていいのか悪いのか…
著者は長く取材を続けたから、もしかしたら好意的に見過ぎているんじゃないかと、穿ってみたくもなるくらい、肯定的な意見が多かった。果たしてこれが飛田の全貌なのか、それとも一部なのかは判断がつかない。でも、これを読んだ人は、たぶん「飛田を潰す必要はない」という意見に傾くと思う。
自分の意見は… 自然に衰退していくのにまかせる。
読んでいくうちに、おそらくそうなっていくんだろうなと思った。