古市憲寿のレビュー一覧
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展望台に上って、街を見るのが好きだという古市憲寿さんの俯瞰的歴史の本。小、中学校の歴史の教科書の捉え方とは全然違う。固有名詞のほとんど出てこない歴史本。もちろん受験とは無縁だ。
通史もテーマ別の日本史もおもしろい。
コメと農耕の日本史で、江戸時代になってやっと「見渡す限り水田」の風景が珍しくなくなったと知った。今まで弥生時代=現在の水田風景みたいなイメージでとらえていた。
日本という国名にしても、中国目線の国名だと。極東を意味する一般名詞か。なるほど。
古市さん特有のおちょくりも度々登場する歴史本。
のせられて最後まで挫折なく読んでしまった。 -
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以前『誰も戦争を教えられない』という古市さんの本を読んだ。戦争博物館を訪ねて、各国が戦争体験をどう保存し展示しているかを語るエッセイだ。テレビで見かける古市さんも面白いが、エッセイの古市さんも面白い。炎上を想定内にして、自分の考えをさらっと書くからだろう。それは誰も傷つかないような言葉選びをするNHKのアナウンサー的な世の中になるとつまらないと思っている。
中島みゆきさんが、「失敗と成功の境界線を引くレフェリー気取りの奴、あたしレフェリー以外は全部支持する」と言っていたという。
SNSのみならず社会全体が正義をふりかざす昨今。古市さんが言うように、槍玉にあがった人は叩きのめされて、これで社会はよくなるのだろうか。
被害者不在の議論には加わらないという姿勢もいい。
来世を信じて、やり残したことは来世でやればいいと思ったら、オリエンテーリングのような観光地巡りの旅をやめることができたともあった。
「誰の味方でもない」というスタンスをもち、無類のチョコレート好きで中島みゆきさんの大ファンであることがよ〜く伝わってきた。
エッセイの最後のつぶやきコーナーが村上春樹さんのようで秀逸。 -
Posted by ブクログ
古市さんの本を読むのはこれが2冊目。小説でフィクションなのだけど、古市さんは現代社会のネタを盛り込んでくるので勉強になるし、体験談かと思うほどリアル。
この作品は同性愛がテーマだけど、主人公が男が好きなのではなく、港くんが好きだといったセリフが心に残っている。私の周りには同性と付き合った子がたくさん居て、そういう性的志向の子が近くにいるのだから受け入れよう、理解しようと考えていた。私には「その人だから好き」「人として好き」というストレートな感情が欠けていた。あまり難しく考える必要は無かったんだな。古市さんはメディアだと言葉がキツイ印象があったけど、小説では心理描写が丁寧であたたかい。 -
Posted by ブクログ
広島、パールハーバー、南京、アウシュビッツ、香港、瀋陽、沖縄、シンガポール、朝鮮半島38度線、ローマ、関ヶ原、東京…。本書は社会学者、古市憲寿氏が現地を旅して考えたことを綴ったものであります。
新世代の社会学者、古市憲寿氏が本書で選んだテーマはズバリ『戦争』でありました。僕自身もまた、古市氏と同様、戦場に行ってドンパチをやったことも無ければ、戦時下で生活をしたことも無い、あるフォークソングの歌詞で言うところの『戦争を知らない子どもたち』の一人ではありますが、それでも、断片的に祖父や、母方のおじなどから戦地での話を聞いていたり、取材などで戦場に行っていた、なんていう経歴を持った方と会って直接話を聞いていたりしていたりはしているので、学校教育で習ったことなどを除いてまったく何も知らない、ということはおそらく無いであろうと、そんな認識でございます。
本書の内容を大まかにまとめてみますと、『古市氏と行く戦争記念博物館の旅』といったものでしょうか。『負の世界遺産』の代表格といえる『アウシュビッツ強制収容所』を初めとする国内外の戦争に関する博物館、記念館に古市氏が足を運んでは、そこであったであろう出来事や、来し方行く末について考察を重ね、また現地で古市氏が遭遇した様々な出来事についてもここでは書き留められております。僕が古市氏の書いた書籍のスタイルに慣れたのは本書からで、かつて読んでここでも紹介をさせていただいた『絶望の国の幸福な若者たち』や『僕たちの前途』の2冊は、正直なところ、相当読むのに苦労してしまいました。
本書を読んで古市氏が行っていたことは(考えることはおそらく別なことであろうが)僕がやりたかったことでもあり、(時間はかかるかもしれませんが)いつかやってやろうということに他ならないものでもあり、その辺のところは素直に『羨ましい』とさえ感じるほどでありました。最後のほうになると、日本人ならば誰もが一度は耳目にするであろう古戦場、関が原の地で出会った『ノーモア、セキガハラ』と『ユーモア、セキガハラ』の2つの看板と事象に吹き出しつつも、古市氏の言う
『僕たちは、戦争を知らない。そこから始めていくしかない』
という言葉は、先の戦争(太平洋戦争。もしくは大東亜戦争)から何世代も時が流れ、その間に自国が戦火にさらされることが無かった我々の「偽らざる現在」なんだろうなと、そんなことを考えておりました。
補章として収録されている古市氏と『週末ヒロイン』で有名なアイドルグループ、ももいろクローバーZとの対談を通して、僕自身もまた戦中、戦後に関する細かい知識が欠如していたことを認識して呆然となったり、巻末に収録されている『戦争博物館ミシュラン』を読みながら
「あぁ、こことこことここには一度足を運んでおこう」
と思う一方で、人間の持つもっともダークな部分が浮き彫りになる戦争というものが、それと同時に映画や小説を初めとする様々な芸術やエンターテイメントのテーマとして取り上げられる「キラーコンテンツ」になっているという「矛盾」に思いを馳せるのでありました。
本書は2015年7月25日、講談社より『誰も戦争を教えられない (講談社+アルファ文庫 G 256-1)』として改題、文庫化の上、再販されました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれだけ世代間格差が叫ばれ、少子高齢化が社会問題になっているのに、圧倒的に不利益を被っているはずの当の若者たちは「幸福」と思っている。
主題が面白い。
古市さんが世に出てからは社会学者ということで興味があった。意外にも浜崎あゆみの歌詞の考察みたいなことをしている番組を見て、面白い人だなと思っていた。
もう今の若者とも違くなってるのかもしれないけど(本書を読んだ後に若者って括るのも微妙だけど)、身近な社会が楽しければ概ね満足っていうのはかなり当たっていると思った。
私は著者よりある程度下の世代だけど、周りの人たちの多くは国や経済などの大きい社会にはあまり関心がないように思う。酷いなぁそれって他人事みたいな感じ。
それでいて仲の良い友達とお金のあまりかからない遊びができる日々を楽しんでいるように思う。社会を動かそうとはしない。
だからと言って不満や不安がない訳ではない。お金はあまり持っていないし。ただ今より良くなる未来が想像できないから、今で概ね満足と認識してるイメージ。「さとり世代」って言葉が表してる感じ。
「相対的剥奪」って言葉が印象的だった。
そう思うと、あまり変わってないのかなと思う。
ただ今概ね満足だったとしても、未来や有事の際に困ってしまう現若者は多いと思う。この不安を抱えて生きていくのが今やこれからの若者たちなんだろうな。