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17年前の夏、人気絶頂のミュージシャン・香織はステージから落ち、すべてを失った。残ったのは、どこも動かない身体と鮮明な意識、そして大嫌いな家族だけ。それでも彼女を生かすのは、壮絶な怒りか、光のような記憶か、溢れ出る音楽か――。生の根源と家族の在り方を問い、苛烈な孤独の底から見上げる景色を描き切った飛翔作。
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Posted by ブクログ
わたしとはまるで違う。
欲しいものも、美しいと感じるものも、生き方も。
窮屈でたまらないこの家族と町から
一日も早く逃れたい。
わたしが居るべき場所はここじゃない。
音楽が救ってくれた。
歌手として生きる道を選んだ。
ついに手に入れた、自由。
みんながわたしを求めている。
わたしはいま、生きている。
念願のステージだった。
そこから、落ちた。
ー
目を覚ましたとき、
わたしに残されていたのは、
動かない身体と、鮮明な意識。
そして、大嫌いな家族。
その日から、わたしは、
死んだように生きている。
生きているのに死んでいる。
伝えたいことばも感情も、
歌いたいメロディもたくさん浮かぶのに、
口は動かない。
声も出ない。
目も指も動かない。
食事もできない。
なんにも、できない。
当たり前にできていたことが、
なにひとつ、できない。
それでもわたしは、生きています。
だれか、わたしを、
ここから救い出して。
・
・
“最後まで救われないらしい…”
覚悟して読み始めたけど。。
他人事とも思えないから、こわい。
自分に起きないとは言い切れないから、こわい。
結果、
いまを、精一杯生きるしかないという境地に。
すきもきらいも、
ごめんもありがとうも、
いま、伝えないと。
いまを、生きないと。
明日も同じだなんて保証は、どこにも無いから。
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