【感想・ネタバレ】謎とき 世界の宗教・神話のレビュー

あらすじ

歴史を学ぶにも、現代を考えるにも、これだけはおさえておきたい知識がゼロからわかる!
「聖書」、ゾロアスター教、北欧神話、『論語』……
個性豊かな12人の専門家に、古市憲寿が読者に代わって理解の「ツボ」を聞いた!
各宗教・神話の基礎がわかる解説マンガ付き!

【本書の内容】
なぜキリスト教は「長持ち」したのか――佐藤優
ロシアの指導者はなぜ絶対的な力を持つのか――三浦清美
イスラム過激派のテロがなくならない理由――飯山陽
ゾロアスター教が世界宗教に脱皮できなかった理由――青木健
ヒンドゥー教にとっての「神」とは――沖田瑞穂
ジャイナ教はなぜ不殺生を徹底するのか――堀田和義
古い時代の儒教と朱子学はどう違う?――渡邉義浩
玄奘はなぜインドへ向かったか――吉村誠
北欧神話の巨人とは?――松本涼
『万葉集』が最も日本的で、最も中国的である理由――上野誠
日本仏教はなぜ多様なのか――碧海寿広
人びとは宗教から遠のいていくのか――岡本亮輔

構成:斎藤哲也 マンガ:ヤングみやざき

【本文より】
この『謎とき 世界の宗教・神話』は、「本」を通じて世界の宗教や神話の不思議を解き明かそうとする一冊だ。
なぜ「本」なのか。それは多くの宗教が聖典を持つからだ。何かの宗教を理解しようとする場合、『新約聖書』や『コーラン』などの聖典に当たるのがよさそうに思える。
だがここに大きなハードルが立ちはだかる。一人で聖典を読み通すのは、とんでもなくたいへんなのだ。何せ現代と常識や価値観の違う時代に書かれた文章である。現代人から見れば飛躍や矛盾も多い。特にその宗教の信者でないなら、なおさら取っつきにくい。
ではどうすればいいのか。大切なのは「補助線」だと思う。宗教書に限らないが、古典を読むには前提知識が必要である。前提知識という補助線があるかないかで、一気に難解な本も読みやすくなる。
というわけで、一二人の研究者に宗教書や神話の「読みどころ」を聞いてきたのが本書である。結果的に、一冊でキリスト教からイスラム教、ゾロアスター教から北欧神話まで一二の信仰についてざっくりと把握できる良質な入門書になったと思う。良質すぎて、実際の聖典に当たらなくても、読んだフリができるほどである。――「はじめに」より

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

キリスト教やイスラム教などメジャーな宗教だけでなく、我々にも馴染みの薄い宗教や神話についても書かれています。
一つ一つの章は取り留めがない感じで読んでいてもそこまで頭に入らない感じがするのですが、最後の『おわりに』の内容が各章の内容に繋がっているのがとても面白いと思いました。
これだけが全てではないと思いますが、人類の歴史を既存の宗教をベースに大枠で捉えることができると言う意味では良い本だと思います。

0
2024年08月21日

Posted by ブクログ

古市憲寿さんの解説が好きで手に取った本です。
読み終えて評価をみると意外にも低めで驚いてる。

日本人は無宗教者が多いと感じる一人で、私もその無宗教者である。
だからこそそこに憧れ知りたいという気持ちがいつもあります。一つの見方を知っても、数多あるその考え方をまた知りたくなり際限ないものだと感じます

まず、一つのテーマが宗教でありますが、漫画で始まるのがとても良い。とっつき易いし文字より頭に残るからその後の解説が楽しみになった状態に持っていける。
そしてその解説だが、その道の研究者が古市氏と対談し広げていく形式。
以前は対談式がは本じゃなくてもと思っていたが、年々その良さを感じているところにこの本で、対談ならではの良さを痛感した。
また古市氏の広げ方もさすがと思う。こ難しかったりマニアックすぎたりしない、そうさせないように誘導しているようだ。

あんまり興味ないなといったテーマもあったけど、成程そうだったのかと思えて読んでよかったと思える。

0
2024年02月23日

Posted by ブクログ

取っつきにくい宗教を極限まで分かりやすく、面白く解説した書である。
導入には漫画、そこから専門家が解説に入るが、一つ一つの宗教に対し、専門家が違う。また、それに対して、古市氏が素朴な視点で質問していくので、それが絶妙で良い。「その宗教、一言でいうとどんな感じ」的な質問をしていく。少し乱暴にも見えるが、読者にとってはそれが分かりやすい。

キリスト教は、佐藤優が解説。聖書の解釈について。『新約聖書』に「ヨハネの黙示録」という文書がある。預言者が神の啓示を見聞きしたことを書いた預言の書ということだが、「ヨハネの黙示録」は後半になってズレてくる。それは、「事後預言」という裏技を使っているからだという。詳しく分からないが、たとえば私が、歴史書を後から書き加えたというような所作だ。佐藤優はキリスト教のカルヴァン派の信仰をもっているが、それ以外の解説者は、必ずしも信仰者ではなく、どちらかというと学者が多い。

こんな話も。ギリシア正教について。どうしてキエフ・ルーシは東方のギリシア正教を受け入れたのか。トップのウラジーミル聖公は、ユダヤ教、ローマ・カトリック、ギリシア正教、イスラームという四つの宗教から誘いを受けており、それぞれに調査団を派遣。そうやってしっかり調べてギリシア正教がいいと決めた、と。神の儀礼が非常に美しいからだというのがその理由だと。素朴にも感じるが、こうした理由は何となく共感する。他に、仏教は死後についての説明能力が高い宗教だとか、美しさとか、死についての説明能力というのは、宗教では重要だというのは、何となくだが分かる。

『すごい神話』の著者、沖田瑞穂氏。古い神話が、『天空の城ラピュタ』や『鬼滅の刃』など、現代のさまざまな物語にも息づいているという話。これは面白い。人間は物語を生み出さずにはいられないし、すべてのことは物語によって把握されている。さきほどの話とも重なりますが、おそらく人間の心理のなかには特定の神話を生み出す装置みたいなものがあって、それが時代や地域を超えて、時に変形されたり反転されたり、あるいは新しい要素を加えられたりしながら、神話を生み出し続けてきたのだという。このことは、それぞれの宗教に共通する世界観や価値観があるという事にも通ずる。同じような話は、松本涼氏の北欧神話でも。なぜ北欧神話はゲームやアニメ、マンガなどで頻繁に参照されるのか。北欧神話の世界観は『ファイナルファンタジー』や『ヴァルキリープロファイル』などのゲームにも組み込まれている。

宗教の雑学的な知識欲を満たしてくれる本でもあるし、人間の真理について考えさせられる本でもある。その割に、お気軽感もあり、入門書としても読みやすい本だ。

0
2024年12月19日

Posted by ブクログ

世界の様々な12の宗教のエッセンスを、著者の古市憲寿さんがそれぞれの宗教の専門家の先生との対談を通して解説した本。3大宗教だけでなく、ゾロアスター教、ジャイナ教といった日本人にはあまり馴染みのない宗教や、北欧神話、西遊記も入っているし、万葉集、禅といった日本人に身近なものも入っている。各宗教の解説はごく基本的な内容だが、わかりやすいしバランスが取れている。各章の冒頭のマンガもいい感じ。

0
2024年12月06日

Posted by ブクログ

世界宗教とか伝統宗教というものは、所謂創始者とされる人物はいる(またはいたとされる)が、その人の教えが全てではない。弟子とか後世の人が何百年もかけて継ぎ足していったものの集合体が聖典であり教義である。
…ということがよく理解できた。宗教とは、ある種の集合知なんだな。だから、矛盾も大いにある。
「イエスってそんなこと言った?」みたいな疑問は大体これで解消される。

聖書
ロシア正教
『コーラン』
ゾロアスター教
インド神話
ジャイナ教
『論語』
『西遊記』
北欧神話
『万葉集』
『禅と日本文化』
『聖と俗』

以上、12の対話。
エッセンスがまとまっていて読みやすくかつ読み応えがあった。とくにロシア正教、インド神話、北欧神話のまとめがありがたい。
ただチョイスに疑問符が浮かぶテーマもある。万葉集とか『禅と日本文化』とかはこのラインナップでは浮いているように感じる。

0
2024年09月25日

Posted by ブクログ

世界の様々な宗教や神話などについて、マンガを交えながらそれぞれの専門家に質問をするという形式で、分かりやすく解説した一冊。
専門家も結構身も蓋もない事をあっさりと語ってたりするので、わからなくてしょうがないという正直なところもあって良い。

0
2024年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宗教と神話
とタイトルにあるが、神話から離れたものも紹介している。
目次を羅列してみると

聖書
ロシア正教
コーラン
ゾロアスター教
インド神話 マハーバーラタ
ジャイナ教

↑ここまではいわゆる宗教
↓ここからは神話?と言うわけでもない
どういう選別なのかよく分からない

論語
最遊記
北欧神話
万葉集
禅と日本文化
聖と俗

後半は思ってたのと違うけど、
各書籍についてそれぞれの専門家が分かりやすく説明してくれているのはありがたい。
また、毎回古市さんが入門書はありますか?
と聞いて、素人が読むのに最適な本を紹介してくれるのが嬉しい。
読みたいと思う本が増えた。

0
2024年04月16日

Posted by ブクログ

紙幅もそれほどあるわけでもないのに、そこで12篇に分けて各宗教を取り上げるのかと訝ったが、一応は近著「10分で名著」の流れかららしい。

漫画4Pと解説10P前後とかなり軽めの取り上げ方で、興味深い部分もあったものの、そこまでファスト化してしまうと、解説者の人的要素が霞んでしまうのはこういった専門家の取り上げ方としては勿体なく感じる。

0
2024年01月14日

Posted by ブクログ

一気に読んでしまった。読み終えてみると物足りなさは少しだけ残るものの構成もよく出来ているしこの方面に無知な私にはとても分かりやすかった。
ヤングみやざきさんのマンガも楽しい。

既に宗教や神話に詳しい方には物足りないのかも知れないけれど、それぞれの章は全体を一つに見れば日本に於ける宗教の現在を考えるためにあったようだ。
あまり堅苦しく考えないで、歴史と宗教。日本と宗教。私にはそんな視点で楽しめたので良かったです。

0
2024年01月03日

Posted by ブクログ

世界三大宗教以外についてはよくわかっていなかった。漫画を使いながらやさしく解説してくれているおかげで、何となくこういうものだという知識は得られた。

0
2023年12月29日

Posted by ブクログ

孔子の論語について知りたくて手に取ったが、他の宗教も面白く読めた。宗教について、疎い人間である自分にはピッタリの超入門書で読みやすく面白かった。古今東西あらゆる宗教があるけど、内容に違いはあるものの宗教って『信仰』が全てなのだなぁ、と。そんな怖いものでも、縁遠いものでも、特別なものでも無く、人生において何を信じて生きていくかの選択肢のひとつなんだな、と認識できた本でした。発見あり。

0
2024年12月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

進撃の巨人が北欧神話にインスピレーションを受けてたの全然知らなかった
沙悟浄はもともとは河童じゃないのも知らなかった(よく考えれば、中国には河童はいない)

各宗教の関係性とかごちゃごちゃになるのでまとめられている本がほしい

0
2024年11月26日

Posted by ブクログ

 対談方式でマンガまで挿入されており、面白くて読みやすいのだけど、興味がそそられる部分があっても深い議論はされないので(だから手軽に読めるのだが)、そのまま記憶に長く止まることなく流れていってしまう。当然のことながら面白いと思ったら掘り下げる読書をせねばならないが、その入り口としてはよくできている本だと思う。

0
2024年11月11日

Posted by ブクログ

著者と各分野の専門家との対談。
この一冊で世界の宗教・神話を理解できる訳ではないけど、気になる内容について深掘りするためのきっかけとして良い本だと思いました。
『北欧神話』、ゲームやファンタジー小説の下地になっていることもあるし、紹介されてた入門書を読んでみたい。

以下、取り上げられているテーマ。
聖書(キリスト教)
ロシア正教
コーラン(イスラム教)
ゾロアスター教
インド神話(マハーバーラタ、ヒンドゥー教)
ジャイナ教
論語
西遊記
北欧神話(エッダ)
万葉集
「禅と日本文化」
「聖と俗」

0
2024年03月03日

Posted by ブクログ

宗教・神話系の本としてはかなり分かりやすい類の本だと思うけどやっぱり自分には少し難しかった。
数百年の歴史がある宗教・神話はいくら分かりやすく砕いてもそんなに簡単には伝わらないと言うことか。

0
2024年02月10日

Posted by ブクログ

キリスト教から仏教(西遊記)までは割とサクサク読めたんだけど、最後の方になるとマニアックでペースダウン。前半各宗教の専門家からエッセンス的に講義を読めるのは良かったと思う。終わりにが復習になるのは便利だった。

0
2024年02月05日

Posted by ブクログ

キリスト教について別の本を読んでたので買ってみた。
古今東西の宗教について漫画や対談形式で解説されていくから分かりやすいし読みやすい!別個の宗教や思想だと思ってたものが実は伝わってきたものだったり…なぜ遠く離れた場所で同じような思想・信仰があったのか?が気になる方にはおすすめかも。個人的には北欧神話と西遊記もっと詳細知りたい!
参考文献とかおすすめ本を章末にまとめてもらえたらもっと最高だった。

0
2023年12月24日

「学術・語学」ランキング