古市憲寿のレビュー一覧

  • 奈落

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    残酷で悲しい。
    これほど救いようのない話ってあるだろうか。
    いっそ意識がないほうが、、なんて思ってしまう。

    密かに意識し合っていた彼との初めてのキスが
    相手に「腐ったザクロのような臭い」と思われるなんて
    地獄以外のなにものでもない。
    こんな表現を思いつく古市さん、すごい。

    古市さんの小説を読むのは平成くん以来、2度目。
    とんでもないことを淡々と書く作家さんだと思う。
    とても好みなので、ひとつ前の作品、
    「百の夜は跳ねて」も読みたい。

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    2020年04月27日
  • 百の夜は跳ねて

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     木村友祐さんの『天空の絵描きたち』のパクリと言われていたけど全然違う。同じくビルの窓清掃員が主人公だけど、大きな要素ではあるもののどちらかというと物語の背景として扱われていて、本筋は老婆との交流だ。とても奇妙な話で面白かった。おばあさんが、痴呆症なのかコミュニケーションが成立しているのか定かでない感じが生々しい。

     ただ、一人称の話なのにお婆さんのことをずっと「老婆」と記述していたことが引っ掛かる。一人称にしては突き放しすぎな感じがする。

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    2020年04月24日
  • 古市くん、社会学を学び直しなさい!!

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    社会学とは何か、を対話の中で探っていく
    この営み自体が社会学なんじゃ?

    個人の体験と学問が密接に関わっているのが社会学の面白いところ

    社会学を研究する上で大切なことは、古典を読むことと自分の関心を知ること

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    2020年04月22日
  • 奈落

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    ネタバレ

    奈落には底がないのではないか。
    そう思った。

    痛い。ただひたすらに、痛かった。
    底辺だと思った現実にはまだ底があって、何度も何度も叩き落とされる。活路かもしれないと思った先が更なる苦悶の始まりで、読んでいて途中で苦しくなるほどだった。

    誰ひとり自分の気持ちを理解してくれない。
    一筋の光すら閉ざされる。
    しかも、自分のしたことが正義だと疑わない人の、何と多いことか。

    さらに言えば、私だって明日どうなるかわからないのだ。
    ステージからではなくとも、明日交通事故に遭って全身不随になる可能性がないわけじゃない。
    もしくは自分の近しい人が、そうなる可能性だってある。

    その時、周囲はどうするのか?

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    2020年03月29日
  • 百の夜は跳ねて

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    これが芥川賞候補作かぁ。
    帯にあるように、確かに「青春小説」な感じがする。
    何者にもなれない自分から旅立ち。

    ただ、「これ、結局、何のために・・・?」が残る。
    途中で、「ふーん、そういうことか」と分かるけど、
    「で、何のために?」がどうしても残る。

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    2020年03月15日
  • だから日本はズレている

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    若者からの視点を切り口に日本の社会問題を考察した書。古市氏はテレビで見るような毒舌キャラとして知られており、本書では少々弱めだが、ところどころ見受けられ、独特の視点がかかれていて興味深い。

    「学歴は結局重要」「若者に社会は変えられない」「クールジャパンは無意味」など現実的な立場から持論や批判を展開している。

    「2040年の日本社会」も興味深い推察であった。かろうじて先進国の地位を維持しつつも、少子高齢化や海外への人材流出、東南アジアの発展などによって日本の権威は劇的に衰退する。非常に現実的な内容であった。

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    2020年03月05日
  • 保育園義務教育化

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    お母さんになった途端、誰からも文句を
    言われないストライクゾーンが極度に狭まって
    しまう。
    →わかる!お母さんなのに…と
    悪い意味で使われる。
    でも、個人的にはお母さんになってから、
    「私はお母さんだから、こういう行動をしなくちゃ」
    と逆にがんばれたり、他人に優しくなれたように
    思う。

    個人的には
    “5章 草食男子が日本を滅ぼすというデマ”
    が面白かったです。

    あと子どもを幼少期、
    ヨーロッパで育てていた時期があったけれど
    その国から日本に帰ってきたときに
    子連れ母に対して、若者や中年の方の
    対応にがっかりすることが多かったし、
    公共の乗り物などもほんとに優しくなかった。
    ホームから改札へ

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    2019年12月19日
  • 百の夜は跳ねて

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    老女の依頼は 部屋の盗撮なんですが
    犯罪や好奇心というよりは
    記録のためというのが 
    現代の気分によく合ってる気がします
    インスタの切り取りみたいでしょ
    さらっと飄々としてでも明るさもある
    なかなか面白い小説でした

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    2019年12月18日
  • 百の夜は跳ねて

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    全体的に内容が薄いように感じた。
    展開があまりなく、画竜点睛も粗雑である。
    しかし、自分の心の中で聞こえる声とを折り重ねながら書いていたのは新鮮であった。

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    2019年12月02日
  • 国家がよみがえるとき 持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由

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    ファンタジーなだけではない
    フィンランドを知るにはよい一冊
    (2015年発行なので現状は
    また変わっているかもしれないが)

    当たり前だけど光があれば影もあるんだなと思う。
    しかしスウェーデンに統治され、
    ロシアに統治され、晴れて独立国となって
    まだたったの100年

    急激な近代化(農業社会から情報化社会へ)も
    たかだか60年そこらの出来事なんだよなあ。

    福祉の詳細については描かれていなかったが、
    昔から教育を主軸にしてきたことはわかるし
    とても羨ましく思った。
    「余裕」と創造性の関係、あるよなあ。

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    2019年11月24日
  • 誰の味方でもありません(新潮新書)

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    ネタバレ

    古市さんの本はこれが初めて。
    とても面白く読みました。
    意外にも芥川賞を逃した事にガッカリしたり、チョコレートを食べすぎて虫歯だらけだったり、ダイエットの事を気にしたりと、読みながも思わずクスッとしてしまいました。
    小説も読んでみようと思います。

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    2019年11月23日
  • 誰の味方でもありません(新潮新書)

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    ネタバレ

    古市憲寿さんを初めて見たのは日曜朝にやっているワイドナショーだと思う。遠慮のない発言をするくせ者コメンテーターという印象があった。

    迎合しない切れ者をどう捉えるかは難しい。

    最近、ホリエモンの著書が売れ筋であるが、どうも同じ臭いを感じてしまう。
    それは、何か。この人は上から目線で人を小馬鹿にしているのではないかと思わせるものだ。
    皆がAだと言っているものを、平然とBだ。と言える神経は、多く人の気持ちを軽んじているように感じるし、どうせ皆頭が悪いのだから相手にしないと舐めているように感じられる。
    実際は、自分に劣等感があって、有能な人に対する嫉妬心がそう思わせているのだと思う。それと同時に、

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    2019年11月17日
  • 保育園義務教育化

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    よくテレビで見る辛口のストレートにずばっと言う人だと思ってたが、これを読んで改めてすごい方なんだと感じた。
    結婚もしてないし子供もいないけど、ここまで語れるのがすごい。
    特に一章二章には共感しました。
    世の中の親は教育費がかかるのは、高校大学だとおもってそれまでに一生懸命貯めることに専念して、学資保険とか入ってるけど、人生の成功は6歳までかかってる。脳みそが出来上がるまでの乳幼児時期という大事な時期に、もっと教育費を使うべきというのに納得。意欲忍耐という非認知能力は大切だと思う。
    三歳児神話を信じている団塊世代、
    国を動かす、政治家さんや働く男性にも読んでもらいたい

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    2019年11月08日
  • 誰の味方でもありません(新潮新書)

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    テレビでよく見る古市さんの文章。週刊新潮に連載してたものに、加筆したもの。
    テーマは何でも。
    雑誌の連載なので、一つのテーマの文章が短く読みやすい。
    古市さんの視点は面白いし、同年代のため、共感が持てることもあり、楽しく読めた。

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    2019年11月04日
  • 誰の味方でもありません(新潮新書)

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    週刊新潮連載~乙武の不倫騒ぎ・東京五輪のスタッフは忍者とワンタッチ着物の衣装で・「村人」でも「旅人」でもなく「観光客」という生き方・トライ&エラーで巧くなる・呪いは気にしたときに始まる・観光名所は写真に敵わない・夏休みの宿題を後回しにしていた人ほど大人になってからの肥満率が高い・すべてがゆっくりだから昔の日本ぐらいに速めても良い・結婚や離婚の自由度が上がるのは良いこと・外国人の少なさや規制の多さで東京は排他的な田舎そのもの・中国ではキャッシュレス・身の丈に合う広さ高さ・年長世代の破壊力は侮りがたい・応援上映・防衛省は稲田下ろしに忙しく・週刊誌は噂を広めることに存在意義・韓国の反日ニュースに敏感

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    2019年10月25日
  • 保育園義務教育化

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    出産してから初めて読んだ本がこれでよかった!
    ポエ、あなたを誤解していました!
    ポエ、全国のお母さんの味方!
    ポエ、ありがとう。
    まさかあなたに共感する日がくるとは。がはは。
    うん。お母さん神話、はやく消えてくれ日本よ…。

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    2019年10月03日
  • 社会の抜け道

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    社会は革命で一気に変わるのではなくて、社会の中にある、ちょっと楽しい抜け道みたいなところを、気づいた人が通ったり使ったりしていくうちに少しずつ変わる、という考えに納得。

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    2019年06月20日
  • 誰の味方でもありません(新潮新書)

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    古市さんのエッセイ!
    テレビでは歯に衣着せぬ物言いで炎上しがちな彼ですが、エッセイはほどよく気が抜けててチャーミングでなんだか憎めない。夜中にチョコレート食べすぎてたり、とぼけながらちょくちょく誰かをいじってたりして面白い。笑
    村上春樹のエッセイ読んでるときの感じに近いかも。
    価値観は独特で少数派だと思うけど、私も世間の大多数より圧倒的に古市さん寄りなので、得られる共感も大きかった。
    「仮に結婚するとしても、パートナーと玄関は分けたい。家に帰った時に誰かが自分を待っている姿を想像すると、ぞっとしてしまう。」←頷きすぎて前転した。
    あとは、生まれ変わりを信じれば楽に生きられるということ。焦ったり

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    2022年03月13日
  • 絶望の国の幸福な若者たち

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    脚注まで隅々読もうとすると情報量が多い。そこがこの本を読む読まないの分かれ道になりそう。
    古市さんがどうしてここまで取りざたされているのか正直わからなかったのですが、本書を読んでなるほどと納得。エッジの効いた物言いで問題に切り込みつつも、全体の問題がどこにあるかわかりやすく説明してくれる様に、好き嫌い分かれるなーと思いつつ、解毒剤だけど劇薬感ある古市さんの文章は好きです。

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    2019年05月27日
  • 国家がよみがえるとき 持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由

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    "フィンランドはもう福祉国家じゃないよ" 文中に出てきたフィンランド人の言葉。そもそも「北欧」と強引に一括りにされたもののイメージをすべての国にほぼ同一に当てはめて考えていたけれど、もちそんそれぞれの国に別の歴史文化価値観があって。フィンランドという国であっても、外から見えるものと、数値と、Aさんのいうことと、Bさんの言うこと、それぞれ全く違っていて。隣の芝生は青く、数値と実態は必ずしも一致しないことを念頭において色んな世界を見て考えないといけないなと思わせてくれる本だった。

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    2019年05月08日