古市憲寿のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作は、読みようによっては救いのない物語だ。
人気絶頂だった17才のミュージシャンが、ライブ中の事故で全身不随となり6139日目から話が始まる。
外界に対して何も意思表示できない体になってしまい、意識の有無さえも判断できない状態にある藤本香織。
だが、彼女の意識ははっきりしている。
意識が体の中に閉じ込められている。
家にいることに耐えきれずに、家を飛び出してミュージシャンになった彼女だった。
しかし、事故後には姉、母が彼女の財産を引き継ぎ、更には嘘を塗り固めた美談を騙るようになった。
動かなくなった体を父が弄る。
かつて共に語り合った男友達は、自分が音楽性を蔑んだ女と結婚する。
ただ時間だけが過ぎていく。
この体になってから時間感覚だけが鋭敏になった。
事故前の年月と、事故後の年月が等しくなってなお、彼女は未だに事故後の姿を見たことがない。
1990年代の終わりから、2020年まで。
ケータイからスマホへ、
イラク戦争もあった、
東日本震災もあった。
時折、社会学者としての著者の主張が差し込まれる。
多すぎる国会議員であるとか。
この小説の目的は、障害者に対する世間の考え方についての問題提起だろう。
本当は、障害が治ってほしくない家族。
しかし、本人がどう思っているのかは誰にもわからない。
このラストを全くの救いがないと読むか。
それとも本人にとっては救いと読むか。
どちらになるかは読者の主観だが、彼女にとってどちらなのかは彼女にしかわからない。
一気読みさせる程よい分量と内容だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ奈落には底がないのではないか。
そう思った。
痛い。ただひたすらに、痛かった。
底辺だと思った現実にはまだ底があって、何度も何度も叩き落とされる。活路かもしれないと思った先が更なる苦悶の始まりで、読んでいて途中で苦しくなるほどだった。
誰ひとり自分の気持ちを理解してくれない。
一筋の光すら閉ざされる。
しかも、自分のしたことが正義だと疑わない人の、何と多いことか。
さらに言えば、私だって明日どうなるかわからないのだ。
ステージからではなくとも、明日交通事故に遭って全身不随になる可能性がないわけじゃない。
もしくは自分の近しい人が、そうなる可能性だってある。
その時、周囲はどうするのか?
もしくは自分が良かれと思ってしたことが、ただのエゴではないと誰が言い切れる?
そんなことを思って、そしたらひたすら痛くてズンっとお腹のあたりにいろんな想いが渦巻いて止まらなかった。
そして古市さんの著作は、時代時代の固有名詞がバンバン出てくるところが特徴的だなぁと思う。
「今」の作家さんだなぁと感じます。とてもとても好きです。 -
Posted by ブクログ
お母さんになった途端、誰からも文句を
言われないストライクゾーンが極度に狭まって
しまう。
→わかる!お母さんなのに…と
悪い意味で使われる。
でも、個人的にはお母さんになってから、
「私はお母さんだから、こういう行動をしなくちゃ」
と逆にがんばれたり、他人に優しくなれたように
思う。
個人的には
“5章 草食男子が日本を滅ぼすというデマ”
が面白かったです。
あと子どもを幼少期、
ヨーロッパで育てていた時期があったけれど
その国から日本に帰ってきたときに
子連れ母に対して、若者や中年の方の
対応にがっかりすることが多かったし、
公共の乗り物などもほんとに優しくなかった。
ホームから改札へあがる
エレベーターに乗るのも後回しとか。
常に控えめにいなければならないかんじ。
こんな日本で、少子化にならないわけないって
ずっと思っていた。
少子化対策を本気でやってないのが
よくわかる。
あと駒崎弘樹さんという方のことも
初めて知って
興味を持ったので著書などが
あれば読みたいと思いました。