SF(国内)作品一覧
-
3.9
-
-
-
-
-
-
-
-
-
3.8
-
-
-
5.0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
3.6塩の霧に閉ざされて立ち枯れする森と、凶暴化した異形の動植物に囲まれた地キヌーヌ。化け物に姿を変えられ、図らずも殺人に手を染めた青年・金目(キンメ)は、彼を騎士と呼び慕う不思議な少女・シエラとの出会いによって自我を取り戻す。彼女の周囲からは霧は遠ざけられ、草原は穏やかな風と陽光に満ち溢れるのだった。金目は己を化け物に変えた主人パナードへの復讐を誓うが、理想郷を目指すパナードの執念の前に苦戦を強いられる。そして急速に成長するシエラの身体は、世界の原理そのものと繋がり始める。清新な抒情と稀有の想像力に彩られた、著者の初長編にしてSFファンタジーの傑作。
-
-【書籍説明】 二十三世紀、地球は宇宙へ進出し、異星人と交流するようになった。 異星人の中には友好的な種族もいれば、好戦的な種族もいる。地球征服を企む異星人に対抗して、地球防衛軍が組織された。 近藤勇をリーダーとする試衛館グループは地球防衛軍に参加して戦功を立て、勇は防衛軍提督に、土方歳三は新選隊隊長に抜擢された。 インド南部で発生した感染症が、あっという間に全世界に拡がり、人類絶滅の危機に襲われた。 各国の科学者・医学者はワクチン開発に全力を注いだが、ワクチンには重大な副作用があるとわかった。 その時、異星人種族の一つネリガンがワクチン開発に協力し、人類は滅亡の危機から逃れることができた。 だが、異星人ヴァルキリや地球人医科学者は、ネリガンを侵略者と決めつける。運輸貿易商の坂本龍馬もその一人だ。 歳三もしだいにネリガンに対する疑いを深めていく。 歳三と龍馬はネリガンの侵略作戦を見破ることができるのか?感染症を終息させ、ネリガンの地球侵略を防衛することができるのか?
-
-【ご購入の前に】本電子書籍には、紙版収録のイラストが収録されておりません。 あらかじめご了承ください。 学校なんか、家族なんか、世界なんか、壊れてしまえばいいって思ったこと、あるだろう? ぼくは、壊してしまったんだ、実際に―。 廃墟も同然に崩壊した地区。しかし国道をはさんだ反対側には、もとのままの街が無傷で残る。 頻発する謎の地震―M震でモザイク状に崩壊した東京をさまよい歩く少年、リュウ。 野球帽とサングラスで素顔を隠したリュウはやがて、M震で家族を亡くした少年たちのグループに合流する。 生き残るための戦いと逃亡の日々の中、リュウの奇妙な告白に、グループのリーダー大輔は…。
-
-【ご購入の前に】本電子書籍には、紙版収録のイラストが収録されておりません。 あらかじめご了承ください。 なにかを理解すること、理解してもらうことなんて本当にできるんだろうか―。 惑星グレイストームで暮らす高校生・遙は、街で出会った少女ヴィオレッタとともに、原住種族ウルボアイの村近くにある巨大な「門」を訪れた。 その場所は、ウルボアイと奇妙な交流をもつ謎の種族クランガの領域であった。 クランガの抜け殻が、人類と星間戦争を続ける異星種族キラーバグの姿に酷似していることに気がついた遙。 〈門〉で得た宇宙創世のヴィジョンは、遙の心に新しい意志を芽吹かせた。 驚きに満ちた本格SF長篇。
-
4.0
-
-
-
-
-
3.8その日、探偵ヴィッキーを訪ねてきた依頼人はふたり― ひとりは聖歌歌手の少年。そして、もうひとりは血の匂いをほのかに漂わせた謎の男。 依頼は同じ、ある失踪した神父を捜しだすこと。 調査をはじめた彼の目前で、事件は起きた。 異形の猿人がおこなった狂気の犯行。頭部をねじ切られ、指を食いちぎられた無惨な死体。 この街があるかぎり、わたしは不死であり、無敵であり、この街を呪い続けるだろう― “クトゥルフの呼び声”と名乗り、探偵の元に届けられた警告の手紙。 それは、快楽の街に君臨する大いなる犯罪者パパ・フラノへの挑戦なのか? 第2回日本SF新人賞受賞作「ペロー・ザ・キャット全仕事」と同様、 近未来フランスを舞台としたネオ・エンタテインメント。 ※本作品は、「ボーイソプラノ」を加筆修正した新装版です。
-
-
-
3.6
-
3.5
-
4.3
-
3.7
-
4.4突然の火星緑化をもたらしたのは一人の女性の無意識だった…。地球・火星をめぐる近未来恋愛SF作品。第5回日本SF新人賞受賞作。 「俺、クローンだよ」「キョウイチも?」「も?」「うん。わたしもクローン」…。医療ナノマシン機器メーカーに勤務するキョウイチは、仕事のために訪れたカウンセリング施設で、研修生のユンとその恋人マークに出会った。キョウイチは、天衣無縫なユンに次第に惹かれていく自分に気づく。そしてこの懊悩は、お互い共に、“オリジナル”ではないことを知り頂点を迎える。やがてユンは、臨床心理エンジニアとして赴任するマークと一緒に、火星へと旅だった。その半年後、火星は突如として緑の星に変貌し、独立運動を背景とする反乱が勃発する。キョウイチは連絡の途絶えたユンたちを探すため、軍に同行し、火星へと赴く。そこは、思念が現実化する、異様な世界であった…。第5回日本SF新人賞受賞作。
-
3.4一人、また一人、消えてゆく・・・・・・。この船は、いったい・・・・・・何なのか? 少年少女たちの活躍を瑞々しく描いて選考委員を唸らせた、SFミステリーの傑作! 第5回日本SF新人賞佳作入選作。 核戦争による現代社会の崩壊後、少年・圭太は、父やその仲間とともに大型漁船で日本を脱出し、南太平洋に浮かぶ海上基地フロート・ナインを目指していた。だが船は嵐に遭い、座礁してしまう。そんな彼らの前に現れた、巨大な豪華客船―。救世主のように思われたその船は、調査に訪れた大人たちを載せたまま、忽然と姿を消してしまう。それから二年、謎の「箱船」は、何度か圭太たちの前に姿を現すが、大人たちは誰一人帰ってこなかった…。意を決して「箱船」に乗り込んだ子供たちは、なんと、船が完全に無人であることを知る。「この船は、いったい…何なのか?」全篇に漂う切実な寂寥感の中、少年少女の活躍を瑞々しく描いて選考委員を唸らせた、SFミステリーの傑作!第5回日本SF新人賞佳作入選作品。
-
3.0その粘体(アメーバ)は吸収と成長を続け、東京を、日本を、世界を壊滅させた。そして・・・・・・。奇想SFの極北! 第9回日本SF新人賞受賞作。 動物を食らい、人を食らう。皮だけ残し、その内側を満たす。あらゆる場所に棲息できる。増殖性を合わせ考えると、種としての「粘体」は、不老不死だ。全滅させられず、一粒でも残れば、そいつが食せる獲物があれば、増殖していく。いくら退治しようとしても、できるものではない。粘体と人間のどちらが勝者となるか、わかりきった茶番劇だ。最初は見るもおぞましい形に変貌した犬の発見から始まった。当初は南極にだけ存在していた、猛烈な食性を持つ粘体細胞の、暴走。極地研究所雪氷部員として南極に派遣されていた伊吹舞華は、ジャーナリスト目黒丈二とともに、絶望的なサバイバルに身を投じるが…。第9回日本SF新人賞を受賞した、奇想SFの極北。
-
3.0日本近海を取り囲んだ謎の物質「悪環」。壊滅状態に陥った日本で「孤児」たちはいかに戦い、生き抜いていくのか? 第4回日本SF新人賞受賞作。 海岸線を襲う、見えざる電離性放射線、その名も「デヴィルレイズ」。列島をぐるりと取り囲んだ謎の海面物質「悪環」が放散するウィルスによって、日本は壊滅的な打撃を被った。食料不足、エネルギー枯渇、円の大暴落、自殺者の増加、果てには国家非常事態宣言。実質的な「鎖国」状態に陥ったこの日本で、天間ルナ、有働仁ら“孤児”たちは如何に戦い、如何に生き抜いていくのか!?破滅後の世界を描く圧倒的な筆力と、魅力的な登場人物達の存在感。選考委員長・筒井康隆氏をして、「作品が孕んでいる熱気はただごとではない」と言わしめた、第4回日本SF新人賞受賞作、堂々刊行。
-
3.0この物語のもっとも悲劇的な側面。それは、被害者が、胎児であることーーーーーー。謎のウィルスに冒された合衆国。弁護士カイヨウの調査は、巨大な陰謀につきあたる・・・・・・。近未来ハードボイルドの傑作! 第5回日本SF新人賞佳作入選作。 新生児に先天的な脳障害を引き起こす「ゲノム・ウイルス」。この新種ウイルスによって甚大な被害を被ったアメリカ合衆国では、自然出産を禁止し、体外受精や胎児のDNAスクリーニングが義務化されようとしていた。そんな中、遺伝子関連問題を専門に扱う弁護士ルドルフ・カイヨワは、ある病院の不正卵採取疑惑を調査するうちに、大きな陰謀に突き当たることとなった。彼は友人の私立探偵オタや、依頼人の美女ローラらとともに謎に迫るが、やがて自らの出生にまつわる秘密にもかかわることとなっていく…。選考委員各氏から、群を抜くリーダビリティーと、エンターテインメントとしての完成度を高く評価された、近未来ハードボイルドの傑作。03年、第5回日本SF新人賞の佳作に入選。
-
-Trick or Treat----‼ ハロウィンに響き渡る、死と破滅の叫び。上っ調子な世界の横っ面をひっぱたく、破天荒なHEROES、登場‼ 第7回SF新人賞受賞作。 前世紀末のバブル景気をいっそう発展させ、歪な経済大国としての繁栄を続ける日本。しかし、先進国としては唯一、自前のサイボーグ部隊を持たないため様々な局面において外交上の不利を忍び続けていた。そんな中、米軍サイボーグ部隊「UNDEAD HEROES」に対し、日本のハイテク公安「封鎖技研」の長、臀壮一の暗殺指令が下された。ハロウィンを間近に首都・新東京への潜入を果たした彼らの前に、臀は、戦闘アンドロイド「タケル01」を伴って現れる。すべては、「UNDEAD HEROES」を新東京におびき寄せ、「タケル01」の圧倒的な戦闘力によりサイボーグの時代に終焉を告げるための策略——臀による、諜報世界の常識に対する挑戦だったのだ!!そしてここに、今まで誰も見たことがないサイボーグvsアンドロイドの壮絶な戦闘がはじまる! Trick or Treat----‼ ハロウィンに響き渡る、死と破滅の叫び。上っ調子な世界の横っ面をひっぱたく、破天荒なHEROES、登場‼
-
-一九六八年、日本人青年医師に、ルソーの魂が降臨した。彼は『エミール』の理想を実現すべく、理想の子供を育てることを決意し、孤児院を創設する。集められた子供たちは、“世界の救い主”を作り出すための、実験体であった…。天使が舞い、混沌が支配し、血と精液にまみれた溟い幻想が憩う、濃密な作品世界。全く新しい才能の誕生! 第8回日本SF新人賞受賞作品。 人々は、今あるこの世界が、根底から作り変えられることを望んでいるんだ。いつの時代もそうだった。しかし、それは容易なことではない。だから、必要とされるのは、現状との闘いから変化が勝ち取られることではなく、現状を作り出した源にまで遡って作り変えられることだ。地下の王国が、父たちの歴史を飲み込んでしまう、そんな矛盾した革命だ。気づかぬうちに起源を置き換えてしまう。闘い自体が無力化されることを望んでいるのだ。それができるのは、ただ一人の子供だけだ。その子は子にして親なんだ。天使が巨人を産み、巨人が世界を産んだように。子孫にして父祖、結果にして原因、その両者を結ぶものだ。その子は、やがて《世界の救い主》になるだろう。
-
-騒がしい(ゴーディー)日曜日(サンディー)に、事件は起こる・・・・・・。第6回日本SF新人賞受賞作。表紙カバーのイラストは安倍吉俊。 監視システム「千手観音」によって、統合的な治安維持が進んだ日本で発達した新型のテロル。それは、生きている人体に仕込んだ爆弾―擬態内臓による、自爆攻撃であった。警察の機動隊爆発物対策班に所属する心経初は、擬態内臓を除去することを任務としている。すなわち、「対象」の人物を捕捉して、生きたまま「解体手術」を施すという仕事。成功イコール「対象」の死を意味するこの仕事を、機械的に淡々と進める心経であったが…。オリジナリティ溢れる独特のセンスが選考会で高く評価され、22歳という史上最年少の受賞者が誕生した。鮮烈のデビューに読書界の衝撃必至。第6回日本SF新人賞受賞。
-
3.0
-
-地球潜入なんて、簡単だと思っていたのに―― 滅びゆく同胞のため新天地を求めて地球へやってきた宇宙人のニケは、名古屋にある大須商店街で行方不明の仲間を探している最中に、宇宙船の鍵を失くしてしまう。 仕方なく大須商店街で捜索活動を続けるニケ。猫の体を借りての地上生活は危険が多く、鍵も仲間も見つけられずに戸惑うばかりの毎日だった。 地球人など下等で野蛮だと思っていたが、動物行動学を研究しているハカセや、コンビニの学生アルバイトでメガネ、同じくギター女子の梨世、変態チンピラのミキオ、ホームレスのキュータロー、野良猫のカモメ、そしてメガネたちが働くコンビニエンスストア『24』に集う人々など、ちょっとクセのある人間たちや他の地球生物と触れ合ううちにニケの心は少しずつ変わってゆく。 ニケは仲間を見つけられるのか、そして地球は新天地となりうるのか。 これは、ニケと出会った人たちが織りなす、ほのぼの群像コメディ。
-
3.3惑星ズヴゥフルVの宇宙港の片隅に、小さな店“ゑゐり庵”がある。 今は昔、地球人らしき初代店主が、この星でソバの栽培に大成功。以来、宇宙屈指のソバが食えると有名な名店だ。ところが、やって来るのは、どういうわけか、奇妙キテレツな客ばかり。今日も巻き起こる大騒動の顛末は…… 卓抜なアイディアとあふれるユーモアで綴った連作が待望の復活! ボーナスとして、ケッ作「包茎牧場の決闘」等3編をくわえた、カジシンの宇宙SF集。 〈解説・星 敬〉
-
4.0「馬の首」と呼ばれる暗黒星雲には、犬に似た知的生物が住む星があった。 ところがここで戦乱が勃発、戦闘は急速にエスカレートしていく。 この機に乗じて一儲けをたくらむ行商人「戦争婆さん」もその波に呑まれ、4人の息子たちがひとり、またひとりと戦渦に巻き込まれていく。 彼らの運命は、一大宇宙船の趨勢を決定づけることになるのだが…… 戦果の悲惨さ、滑稽さ、カッコよさ、すべてを内包して疾走する、筒井康隆第2長編SF。 〈解説・日下三蔵〉
-
-K団地の13号館で、どうにも説明のできない奇妙な事件が起こった。5歳の子供が階段の途中から転げおち、おちたとたんに消えていなくなった。消えた瞬間を、母親も団地の誰も見ていない。だが、耳を澄ましていると、5階と4階のあいだ、階段の裏側あたりから、子供の泣き声がかすかに聞こえてくる! どこがどうなっているのか、誰も知らない秘密のどんでん返しがこの建物にはあるのだろうか……? 変わり映えのしない日常生活の中で起きた不思議な事件を描く表題作の他、SFでアジアの世界観に挑んだ初期の意欲作全5編を収録。詳細な解説を付した決定版!
-
-
-
3.0
-
2.5
-
3.0
-
3.3ある日男の仕事机の上に虫サイズの宇宙船が飛来する。そこから虫よりも小さな動くものがたくさん出てきて男へのミサイル攻撃を始めるSF小説『机上の戦闘』。温泉のマッサージ椅子から逃れられなくなってしまう表題作『問題温泉』。不思議でユーモラスかつ少し怖い13の小説を収録。 本作用に表紙イラストを椎名誠が描き下ろし。巻末には、「対談 椎名誠×目黒考二」「電子書籍版あとがき」「椎名誠の人生年表」を掲載。 <目次> ブリキの領袖 考える巨人 狸 机上の戦闘 料理女 鳥人口伝 飛ぶ男 熱風 問題温泉 Mの超能力 三角州 じやまんの螺旋装置 アルキメデスのスクリュウ 十三編自作解説 対談 椎名誠×目黒考二 電子書籍版あとがき 椎名誠の人生年表
-
4.0シーナワールド最高傑作の「新装版」。 戦慄せよ! この「未来」に 驚愕せよ! この「世界」に 想像せよ! この「物語の背景」を 壮絶な戦争が終わりを告げてから、二十年近くが経過した地球。 都市や道路は破壊され、化学兵器や放射能に汚染された海や森には、異体進化した危険生物たちが蠢動する。 この文明も国家も崩壊した終末世界で、物資と食料を狙い跳梁跋扈する組織略奪団や「北政府」と呼ばれる謎の勢力と闘いながら、たくましく生きる男たちがいた――。 シーナワールドの真骨頂ともいうべき、独特の言語感覚によって描きだされた圧倒的世界観は、一九九○年の単行本発売と同時に、世間を震撼させた。 その傑作SF小説が二十年以上の時を経て、「新装版」で復活! 巽孝之氏による解説も、“一九九三年版”と“二○一三年版”の二本を収録。
-
-【エブリスタ小説大賞2015-2016 徳間文庫冒険エンターテインメント小説賞大賞受賞作!】 最強の美少女ハッカー《ゴースト》を追い詰めた。しかし逮捕まであと一歩のところで轟音が鳴り響き、気を失って……。目が覚めると「俺」が眼前にいた。ガラスに映った俺の姿はゴーストになっている。──なんと、魂が入れ替わってしまった! 早く原因を突き止めなければ。特別認定犯罪者対策機関「特対」のレドは、魂交換者(ソウルトランサー)のゴーストと共に犯罪者の巣くう「迷宮街」へと乗り込む! 投稿小説賞総なめの期待の俊英が放つ爆笑SFアクション!
-
3.840年の時を超えて大きな話題になった表題作「アメリカの壁」を含む傑作短編集。 1977年に発表された「アメリカの壁」に登場する孤立主義者のアメリカ大統領が、トランプ大統領を想起させることから、「トランプ政権 予言の書?」と新聞に取り上げられたり、ネット上で「いま読むべき作品」「現実がSFに近づいた」といった声が相次ぐなど、大きな話題に。 ●「アメリカの壁」あらすじ● ときは冷戦時代。ベトナム戦争以降のアメリカは国外問題への関心を急速に失いつつあった。「輝けるアメリカ」「美しいアメリカ」というスローガンを掲げて当選した大統領は、国内問題には熱心だが、対外政策はどこか投げやり。 そんなときアメリカは突然、出現した「壁」に囲まれ、外部との交通、通信が一切、遮断されてしまう。しかし、なぜか大規模なパニックは発生せず、「アメリカは生きつづけるだろう」と語る大統領のもと、アメリカ国民は意外に落ち着いていた。 「どう考えたって・・・・・・これはおかしい」 アメリカ国内に閉じ込められた日本人ライターは、そんな状況に不審に感じて調査を始める。 「アメリカは、“外”の世界に、ひどくいやな形で傷つき、萎縮(シュリンク)しはじめた。そいつは認めるだろ? 今の大統領は、その方向をさらに強め、妙な具合にカーブさせた。彼は “幸福な新天地時代”のアメリカのノスタルジイに訴え、そこからの再出発を考えているみたいだった」 「たしかにアメリカにとっては、“すてきな孤立”だ」 そして男がたどりついた真相とは。 表題作の他に、アンデスのマヤ文明遺跡から出土した棺のなかのミイラがいざなう不思議な時間旅行「眠りと旅と夢」や、「鳩啼時計」「幽霊屋敷」「おれの死体を探せ」「ハイネックの女」といった傑作SF5篇も収録。 電子版オリジナル解説では、小松左京の家族である小松実盛氏が各作品の背景を詳細に紹介。テーマにこだわらず1977~78年に発表された作品を集めた結果、ミステリあり、コミカルタッチあり、ホラーありとバラエティにとむ本書収録作の位置づけや、同じテーマを扱った他の作品を案内。日本が生んだ最高のSF作家、小松左京の豊潤で広範な作品世界に関する格好の入り口となっている。 また、初めて公開される自筆メモや、プロの漫画家として活躍した時期もある著者の一コマ漫画を特典画像として収録。
-
4.0
-
-記憶にないはずの記憶が突如として脳裡に浮かぶという不思議な現象は、相手も場所も選ばなかった。誰かと会うとか、どこかに行くとか、とにかく何かのきっかけがあれば、いきなり脳裡に湧き出てくるのである。その記憶の情報量は一定していなかった。人の顔や名前、日時から場所に至るまで鮮明に思い出すこともあれば、顔だけしか思い出さないこともある。(おれは二重人格になってしまったのだろうか)おれは大いなる不安に駆られた。おれのなかにもうひとりの人格があって、おれの知らない間に行動しているとしたら?(「見知らぬ知人」より) 奇想天外なアイデアが満載、SFドタバタ・コメディ短篇集。 *加害妄想 *不思議な能力 *沈みゆく人間 *風呂から風呂へ *社外モニター *記憶喪失の男 *つまずき地獄 *幻覚の男 *快楽の報酬 *妻の異変 *無情の雨 *見知らぬ知人 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-得体の知れない恐怖。ぞくっとしたおれは、思わず身を震わせた。ここは、おれのアパートのトイレだ。パンツを降ろして和式便器にまたがり、ふんばろうとした途端に、殺気を感じたのである。必死に心を落ち着かせ、恐るおそる天井に視線を向ける。「うわっ。さ、錯覚じゃないっ」それは……一本の剣であった。ひと振りの剣が、その鋭い鋒(きっさき)をおれに向けて、トイレの天井からぶら下がっていたのだ。(「ダモクレス幻想」より) 奇想天外なアイデアが満載、SFドタバタ・コメディ短篇集。 *ダモクレス幻想 *第二走者 *挫折の果て *幸福地獄 *不運の星 *瞳の奥に… *懐中時計 *ロールプレイング・ワイフ *揺り返し *至福の時 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-おれの目は信じられない光景を見ていた。巨大な広間。階段。そして、二体の一眼生物。大井の部屋の前は廊下になっているはずなのに、おれの眼前に広がっている空間は、誰がどう見ても廊下ではなかった。「こ、これは『賢者の石』だ……これだよ」彼は言い、テーブルの上に無造作に積み重ねられているゲーム・ソフトのパッケージをひとつ、おれに手渡した。(「木造アパート・アドベンチャー」より) 奇想天外なアイデアが満載、SFドタバタ・コメディ短篇集。 *木造アパート・アドベンチャー *超人の代償 *反逆の日 *世にも奇遇な物語 *一生に一度の日 *壁の恋人 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-「実は、クローンの研究をしているんだ」おれの耳許で囁くように言う。「ク、クローン? そういえば、イギリスで羊のクローンを誕生させることに成功したニュースが流れたけど、あれと同じようなものなのか」おれが興味津々に言うと、「ちっちっち」彼は舌を鳴らし、口の前で人差し指を左右に動かした。「あんなものは、とてもクローンなんて言えないよ。ただ同じ遺伝子を持っているというだけ。年齢の離れた双生児を人為的に作っただけじゃないか。おれたちが研究しているのは、そんなレベルのもんじゃない」(「クローン・クローン」より) 奇想天外なアイデアが満載、SFドタバタ・コメディ短篇集。 *天邪鬼 *シンデレラ現象 *愛しの悪妻 *ストーカー *クローン・クローン *刺青綺譚 *堪忍袋 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-おれに夜盲症……いわゆる鳥目の気があることは、以前から薄々感じていた。しかし、まさか聴力まで低下していたとは。鳥目ならぬ鳥耳とでも言えばいいのだろうか。正直なところ、おれは全く自覚していなかった。さらに! 驚くべきことに、明暗がおれに影響を及ぼすのは視力や聴力だけではなかった。試しに暗闇のなかで大好物の辛子メンタイコを食べてみたところ、まるで味が感じられなかった。灯りを消してトイレにはいると、大便をしても臭くなかった。暗闇で手の甲を抓っても、少しも痛くない。(「暗闇エレジー」より) 奇想天外なアイデアが満載、珠玉のショート・ショート作品集。 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-神Aは全文を、それこそ目を皿のようにして眺めるが、適切な文字列を見つけることができない。一点、気になったのは〈荒ららげた〉である。いまやほとんどの人間が〈荒ららげた〉ではなく〈荒らげた〉と言っているから、〈ら〉をひとつ取って〈投げれない〉に挿入してもよさそうな気もする。いやしかし、やはり神としては誤用を認めるのはまずいだろう。〈れ〉の挿入先については、皆目見当もつかなかった。キューを握ったまま動けずにいると、神Bが言った。「どうした。ギブアップか。なら、私が先に撞くぞ」(「続・神々のビリヤード」より) 奇想天外なアイデアが満載、珠玉のショート・ショート作品集。 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-キューを手にした神Aは「恥ずかしい」の「かし」の間を突いた。ふたつの文字は大きくバウンドし、台の外に落ちる。「ふたつか。それくらいなら簡単さ」神Bが「むずかしい」の「かし」の間を突く。この二文字も大きくバウンドし、台の外へ落下。「引き分けだな。もう一度やろう」そのころ……多くの日本人がパソコン・モニターの前で目を白黒させていた。自分の書いた文章が次から次へと昨今の「乱れまくっている日本語」に変換されていくのだ。(「神々のビリヤード」より) 奇想天外なアイデアが満載、珠玉のショート・ショート作品集。 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-宝クジの一等当選に続いて、このホテル千人目の宿泊者、さらにはレストランでも千人目の客ときた。自分の幸運が空恐ろしくなる。だが、異常な幸運はそれで終わったわけではなかった。「あの~」と声をかけられた。「え?」顔を上げると、そこに立っていたのは、見知らぬ女性だった。美しい顔だちに加えて、すらりとしたプロポーション! 満夫好みの女性、というよりも、すべての男性の好みの女性と言えるだろう。(「幸運ホテル」より) 奇想天外なアイデアが満載、SFドタバタ・コメディ短篇集。 *わが友ポルターガイスト *異臭の町 *バミューダ空間 *感情のスイッチ *人生の扉 *幸運ホテル *空白の時間 *地下迷宮の勇者 *大気の魚 *メッカ誕生 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-由紀に透視能力が芽生えたのはジュニアがインサートされた瞬間であり、ジュニアが退散すると同時に透視能力は消え失せた。ジュニアのインサートと超能力の発露。あの見事なまでの合致は、とても偶然とは思えない。おれのジュニアこそ、通常は潜在意識下に封じこめられている超能力を解放する、言わば鍵のような存在と言えよう。(「恍惚エスパー」より) 奇想天外なアイデアが満載、SFドタバタ・コメディ短篇集。 *恍惚エスパー *三十インチに魅せられて *アラジンと魔法のタバコ *ゲートボール無宿 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-記者たちが感嘆の声を上げる。その男の姿は、まさしく異様だった。白のスーツに身を包んでいるが、その顔は……。単なる覆面だけなら大して驚くにはあたらない。しかし彼の覆面は常軌を逸していた。なんと、メロンをデザイン化してあったのだ。「マスクド・メロンさんの得意技は?」「十二支のスープレックスです」「じゅ、じゅうにしのスープレックス……」(「怪覆面マスクド・メロン」より) 溢れんばかりのプロレス愛! 抱腹絶倒のプロレス小説3篇を収録。 *怪覆面マスクド・メロン *謎の黒覆面 *太陽がいっぱい ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-「これは母親のインプリンティング薬だ。目を瞑ってこの薬を服む。そして目を開ける。そのとき最初に見る動く物体を、母親と思いこんでしまう薬なんだよ」彼は次々に別の壜に手を伸ばし、それぞれの効用を話してくれた。彼の説明によると……青は父親、黄は兄、緑は弟、紫は姉、茶は妹、黒は夫、白は妻、ピンクは恋人と思いこませる効用を持つということだった。(「インプリンティングの妙薬」より) 奇想天外なアイデアが満載、マッド・サイエンティストが開発した薬に翻弄される連作短篇「インプリンティングの妙薬」(全6話)と、悪魔と魂の契約を結ぶSF短篇「最後の願い」三部作を収録。 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-私はすぐ夢中になる性質で、当然、全力を傾けて走ります。中学三年のときの百メートル競走でもそうでした。クラスの名誉のため、私は夢中で走りました。幾多のライバルを抑えて、ようやくゴール。テープを切った! ところがその瞬間、私の目が覚めるのです。茫然として、きょろきょろと室内を見回します。確かにいままで全力疾走していたはずなのに、気がつくと寝床で寝ていたのです。(「夢中の人生」より) 奇想天外なアイデアが満載、珠玉のショート・ショート作品集。 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-彼女の受けたショックは筆舌に尽くしがたかった。つい先ほどまで、彼とは熱烈に愛し合っていたのだ。それなのに、彼女が意識を失っているうちに、彼が血まみれになって死んでいる。……いったい誰に、このような事態が想像できようか。ふと自分のからだに視線を落とす。やはり彼女のからだも血に染まっていた。(「スプラッタ・ラブ」より) 奇想天外なアイデアが満載、SFドタバタ・コメディ短篇集。 *進行性ボカシ症候群 *日替わり息子 *コタツの異常な愛情 *呪われた血 *よけいなお世話 *スプラッタ・ラブ *放蕩息子 *続・放蕩息子 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-西暦2182年、24歳の新人社員であるおれは、1997年の東京に向けてタイムマシンで出発した。過去の世界でサバイバル研修をするためだ。ところがなんと、設定ミスであの恐怖の街・名古屋に着いてしまった! 名古屋はよそ者を追放して「排他都市」を宣言し、事実上の鎖国状態にあったのだ。「ここは極楽だがや! 名古屋の極楽っちゅうとこだがや!」襲いかかる強烈な名古屋弁と名古屋文化、〈よそ者ハンター〉の魔の手から逃げ惑うが……。名古屋人である著者が愛を込めて描く長篇ナゴヤ讃歌。 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-「どうも、初めまちて。驚かせて申しわけないでちゅ。宇宙人でちゅ」おれは発狂しそうだった。なんだって、キューピーが突然現われ、動き、宙に浮き、言語を操るのだ? 正常な神経ではとうてい受け容れることはできない。しかも、おれはひと言も声を発していないのに、ちゃんと返事が返ってくるのである。「……あなたたちにも大変なことが起こりまちゅよ。ついでに未来予知ちてみたのでちゅ」(「超能力パニック」より) 奇想天外なアイデアが満載、SFドタバタ・コメディ短篇集。 *超能力パニック *突然チャック *点滅の顛末 *シャドウ効果 *回収の日 *突発性タイム・スリップ *ブスの嵐 *腕パニック ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-晴れわたった大空に、銀色に輝く巨大な物体が浮かんでいれば、いやでも人目を惹く。宇宙船が発見され、大騒ぎが起きるまで、大した時間はかからなかった。突然、「わ――――――――」宇宙船が大きな音を発し始めた。その音は世界中に鳴り響いた。不思議なことに、その音は発声源からの距離に関係なく、どこでも同じくらいの音量に聞こえるのだった。そして、それはとてつもなくうるさかった。(「うるさい宇宙船」より) 奇想天外なアイデアが満載、SFドタバタ・コメディ短篇&ショート・ショート作品集。 *シミリ現象 *森 *夜道の変身 *みんなで錯誤 *試供品 *笑う世間に *円盤がやってきて *忍耐の報酬 *クローン体質 *気前のいい人 *最後の大魔術 *パブの女 *触媒人生 *売り子 *目は口ほどに *念写男の末路 *うるさい宇宙船 *因果応報 *奇妙な銀行強盗 *宿命の刻 *殴り殴られ *おくゆかしい願い *二人三脚 *目覚まし時計 ●高井 信(たかい・しん) 1957年、名古屋生まれ。東京理科大学理学部卒業。1979年、大学在学中にSF専門誌「奇想天外」にて作家デビュー。以後、ショートショートやSFアイデアストーリーを中心に活躍。1990年代にはRPGに材をとった小説やシナリオも執筆。2000年ごろからショートショートの研究に着手。著作多数。
-
-液晶画面の中で育てるペット、電子猫は大ヒットした。『天使猫』という愛称で呼ばれるようになってテレビCMにも登場した。だがあの猫は、いつかは死ぬ。不摂生をすれば肥満にもなるし、病気にもなる。エサをやらなければ、飢える。それに、電子猫には老衰による自然死がプログラムに組みこまれているのだ。開発者であるサムは、その条件だけは譲らなかった。こうして電子猫は人間社会に大きな影響を与えたが、サムにはさらなる構想があった。誰にも明かさず、彼が密かに開発を進めていた「実験」とは……。 ●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ) 1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。