ブックライブの書店員おすすめレビュー

少年・青年マンガ のおすすめレビュー

  • ブックライブ書店員

    家庭は子どもにとって最小単位の社会である。その社会が荒れ果てていたら、どうすればいいのだろう。子どもにできることは何もなく、ただ環境に順応していくしかない。たとえ、その環境が異常だったとしても。

    兄は不良で、母はどこかずれていて、自分は不出来。そして、家はプレハブ。極貧家庭で育ち、兄と母に振り回され、だんだんと変調をきたす春人。早く兄と母から逃げ出したくて、大人になることを望んでも、9歳の春人にはまだ長い道のりが必要だった。

    《ほぼほぼ実話》と書いてある通り物語は淡々と進み、誇張表現を選ばない。同作者の『100万円の女たち』や『俺はまだ本気出してないだけ』と同様に、悲劇を悲劇として消化せず、一つの出来事として記述する。特に今作はその表現が光り、自分1人ではどうにもならない不条理に対して麻痺し始める春人の感覚とリンクする。セリフにも絵にも何も無駄がないことで漂う冷たい温度感は、彼の家族ないしは社会への不信感だろう。彼にしか描けない、強い作品だ。

    2024年08月21日
  • ブックライブ書店員

    かすり傷、打撲、突き指、出血…クラスメイトの矢野くんは、いつも何かしらの怪我をして登校してくる。一体今日はどんな怪我をしてしまうの? なんでそんなに怪我してしまうの? ああ~~~気になって仕方がない!!
    「私に手当てさせてください!」——って、この感情は恋なの…!?
    ヒロインの心配性から始まるピュアでまぶしい、愛にあふれた高校生活が幕を開ける——!

    席替え、ドッジボール、修学旅行、文化祭の打ち上げ、テスト、バレンタイン、先輩の卒業式、三角関係…大人になった今だからこそ、もう二度と経験できないであろう高校生活に想いを馳せてしまうことは多い。その中で、自分の高校生活はキラキラなんてしてなかった気がする、と少し切なく思うときもある。
    でも、大丈夫。矢野くんたちの普通の日々は、そんな乾きかけた心を潤し、甘酸っぱくて、時にほろ苦くて、でもやっぱりあたたかい高校生活を追体験させてくれる。
    「青春感じたいな」「ちょっと疲れたな」そんなときに読みたい、最高に尊いマンガです!!!
    ※ちなみに私は野球部の羽柴くんが大大大好きです!!!

    2024年07月30日
  • ブックライブ書店員

    この世界では少し不思議とされる存在たちの暮らしを描いた短編集。群像劇のように様々な妖怪が現れ、その妖怪たちが他の妖怪、人、様々な存在と交流し、生きる。その一瞬を切り取った作品集です。
    この作品の素敵な点は、登場人物のすべてがまるで生きているかのような存在感を放っている点です。コマ割り、髪の毛の動かし方、視線の見せ方。脇役一つをとってもその人にはその人の暮らしがあって、考えがあることがわかるようなキャラクターの見せ方に、作者のキャラクターに対するこだわりややさしさを感じます。
    この作品集の中で私が一番好きな作品は「となりに」です。芸術系の大学に通う大学生、丸山のお話なのですが、少しずつ暮らしの解像度が上がっていくテンポの良さや、丁寧に描かれた生活音はマンガとして心地よく、リズム感を感じます。また最後に見せる丸山の人間的なかわいらしさは、テンポよく物語が進んだ後にちょっとした脱力感を感じられ、私はふふっと笑ってしまいました。
    日々の暮らしが単調な気がする、少し自分の世界の見え方の解像度を上げたい!という方はぜひ読んでみてください!

    2024年07月30日
  • ブックライブ書店員

    16世紀初頭のフィレンツェ。この時代、女性が画家になることは前例としてあまりなく、主人公のアルテは画家工房に弟子入りを志願するも、断られ続けてしまいます。このマンガは、そんなアルテが女性画家としてどのように生きていくのかを描いた作品です。そのテーマだけでも十分面白い作品なのですが、この作品、焦点はそれだけではありません。
    様々な面白さがあるのですが、その中でも私はアルテが貴族生まれであることに悩むシーン(7巻)が好きです。この作品は、女性であることを理由に仕事を任せてもらえなかったり、あるいは勉強させてもらえなかったりといった逆境をアルテがどう乗り越えていくのかに焦点を当てることが多いのですが、このシーンはそれとは少し異なります。「貴族であった」という自分の過去が人に比べて恵まれているということ。それを本当の意味で自覚したアルテは、今までの困難を否定されたような感覚に陥ります。そこからアルテはどう立ち直っていくのか。今の自分に自信がない、もっと自分を好きになりたい。そんな人におすすめのマンガです。

    2024年07月30日
  • ブックライブ書店員

    あまりにもリアルな性のこじらせが、大人読者に刺さること間違いなし!
    舞台は、都内にある小さな映像プロダクション。そこで働く男女5人は皆、性的にこじらせた者ばかり。
    それぞれのトラウマを抱えた5人は、今日も社畜として働きながら、歪な愛を育んだり、はたまた孤独を楽しんだり。
    本当はただ誰かを愛し、愛されたいだけなのに……。
    4コマ構成でどんどん進んでいく本作品。5人のセックスパートナーがいる桃ちゃんや、女の子を泣かせてばかりの無自覚たらしな松田くんは、実際に恋の相手として自分の目の前にいたらたまったもんじゃありませんが、なぜこんなにもこじらせたのか、過去が明らかになるにつれ、憎めなくなってきます。私もこじらせ仲間として、最終的に桃ちゃんに感情移入しまくってしまいました……。
    苦い恋愛に涙した経験がある方も、性的なことに苦手意識がある方も、どなたのトラウマも受け入れてくれる作品だと思います! この作品に共感された読者の皆さん、これからの幸せを心から願っています……!

    2024年07月29日
  • ブックライブ書店員

    愛とはいったい何なんだろうか。
    ドンは純粋で人を疑うことを知らない。そんなドンと同級生だった鉄矢は、アメリカ大使の病弱な娘エミと出会い、3人で遊ぶようになる。鉄矢はエミに惹かれるが、エミは純心で不思議な魅力を持つドンに惹かれていく。だがある夜、鉄矢が悪友と焚火をしていたところ、その火が木々に燃え移り、森の中にあったエミの家にまで延焼し、エミの父が死んでしまう。その一部始終を見ていたドンは、鉄矢の罪をかばって少年院に入る。それから2年後、ドンはエミとの二十歳の約束を果たすために少年院から抜け出す。ドン脱走の知らせを聞いた鉄矢の猜疑心は止まるところを知らず……
    Khaki「違う月を見ていた」という曲がある。このマンガが好きなメンバーが、言葉を全部逆にして曲のタイトルにした。このマンガのタイトルがエミとドンの関係を表すのだとしたら、この歌はエミと鉄矢の関係を表しているように思う。相手を自分のものにしたいと強く願う愛情では、同じ月は見られない。ドンのように相手の幸せを純粋に願うことで、初めて同じ月を見ることができる。鉄矢もそんなドンに感化され、変化が現れる。嫉妬と劣等感に飲み込まれた鉄矢が「違う月を見ていた」と過去形で語る変化を見届けてほしい。

    2024年07月19日
  • ブックライブ書店員

    どんなスポーツでも圧倒的な才能を見せつけてしまう天才小学生、綾瀬川次郎。
    彼は才能に恵まれすぎているが故に、常に孤独でした。本気でやればやるだけ、その才能を見せつけられた周りの人間を挫折させてしまうのです。

    そんな中、弱小の少年野球チームに入って初めて、「スポーツが楽しい」という感情を理解することができました。勝てなくても良い、皆で楽しめれば良いと思っていた綾瀬川でしたが、その圧倒的な運動の才を目の当たりにした大人たちによって、綾瀬川の運命は狂ってしまいます。

    「本物の天才」という存在は、こんなにも周りの人間を狂わせてしまうものなのか……と恐ろしくなる作品です。光が眩しければ眩しいほど、影は暗くなる。そんな言葉を体現したかのように、綾瀬川に出会ってしまったことで純粋な子供たちが曇っていく姿も苦しいです。そしてなにより、ただ皆で楽しみたいだけなのに、自分の才能のせいでそれが叶わない綾瀬川の人生が切なくて仕方がありません。

    「天才」とは何なのか、「仲間」とは一体何なのかを考えさせられる作品です。あなたも一緒に、綾瀬川の才能に魅せられてみませんか?

    2024年07月02日
  • 元・売れないアイドル、現・プータローのすみれちゃん、31歳。
    そんな彼女の従兄弟の高校1年生 雄星(ゆうせい)には野望がありました。
    それは、すみれちゃんと組んで同人アイドルの頂点を目指すこと!!
    アイドル時代に売れなかったすみれちゃん。それは活かす側の能力がなかったから。
    すみれちゃんには才能がある!それを証明するために雄星が立ち上がります。

    早速すみれちゃんを焚き付けコスプレ写真集を作成。
    初回50部はすぐ完売。これが話題になり、SNS(雄星が勝手に運営していた)はプチバズり!!
    新作写真集もすみれちゃんが売り子をしたことで売上アップ!!
    さらに、ファムファタ任三郎なるプロダクション社長からスカウトが!!
    果たしてすみれちゃんは令和の世でリベンジをかませるのか…。
    どうなる、すみれちゃん…!?

    元アイドルの再生物語と聞いて、復讐を誓う展開や芸能界のきな臭い裏話、重いヒューマンドラマなどを想像していませんか?
    その想像、間違っています。

    まず主人公である「すみれちゃん」が元アイドルという肩書からは程遠い自堕落生活を送っているキャラクター。
    ヒロインでありながら、酒、タバコ、パチンコに溺れる日々。さらには改造原チャリに乗ってバイトのスナックに出勤…。
    すみれちゃんのクズっぷりにいっそ清々しさを感じます。
    それでいてグラビア番長と呼ばれていたボディは健在!!
    こんな衣装での撮影は嫌だと言いながらも、雄星にノせられて次第に表情を作っていく様は、ゾクっとします。

    そしてすみれちゃんを売り出すことに熱心な雄星。
    彼は決してグラビア好きやアイドルオタクなどではなく、ビジネスとしてすみれちゃんを売り出すことを真剣に考えているのです。
    というのも雄星にとって「すみれちゃん」という存在は憧れの存在。
    だからこそカッコ悪くいてほしくないという思いがあったのです。

    そう考えると彼の優れた市場分析・企画・ブランディング力は全てすみれちゃんのために必死に研究した結果と言えます。
    雄星、すみれちゃんのこと大好きじゃん!!

    さらにファムファタ任三郎なるプロダクション社長も、クセが強い…というよりも、クセしかないキャラクター。
    自身でもコスプレもしている彼女の「私は80歳になっても人を惑わす自信がある」という言葉の力強さ。
    彼女の登場によって物語が大きく動きそうな気配があります。

    物語はライトな読み口ではありますが、その中に垣間見える心情描写に引きこまれます!!
    成り上がり物語としてはもちろんのこと、登場キャラ全員クセが突出しているので、キャラ推しとしても楽しんでいただけるのではないでしょうか。

    すみれちゃんがどう化けていくのか、雄星の夢は叶うのか!?
    注目です!

    2024年07月01日
  • ブックライブ書店員

    わけもわからずむしゃくしゃすること、特別他人の視線や言動に酷く傷つく日のこと、空回りして一人で溺れてしまうこと、もう全てどうでもよくなってしまうこと。心に沈殿していた不安が逆立つ短編が5話収録されている。
    陰鬱で陰湿で張り付くような不快感がまとわりつくストーリーを余すことなく紙に載せ、主人公が持つ強迫観念や哀訴が読者に迫ってくる。
    読んでいる間は息が荒くなるような不安に押しつぶされそうになるのだが、不思議と読み切ると爽快な気分になる。これを劇薬デトックスマンガと呼びたい。

    2024年07月01日
  • ブックライブ書店員

    この作品をどう受け取ればよいのか。性、性欲、性別、セルフイメージ、少女。これらの言葉が頭の中をぐるぐるした。
    冴えない亀川洋平と眉目秀麗な室田慧、そして三谷結衣は幼稚園の頃から一緒だった。しかし小6の夏、洋平は校舎の陰で慧と結衣がキスする姿を目撃してしまう。それからというもの、洋平は結衣が近づくだけで鼻血を出し、慧を拒絶した。二学期明け、慧は引っ越し、2人の前から忽然と姿を消した、はずだった。高校で髪を長く伸ばし、女子制服を身にまとう姿で出会うまでは……。
    「僕は男を降りただけで女になりたいわけじゃないから」
    慧は同級生の女の子たちにそう言い放つ。慧が女性らしい見た目になったのは、社会に蔓延する男らしさが合わなかったからであり、決して女性になりたかったわけではない。それでも、同級生の男子は加害したくなるかわいい女みたいな男として、女の子は加害性を感じない女の子みたいな男として、慧を見なす。慧は、洋平だけではなく読者の性に対する先入観や固定観念までも振り回そうとしてくる。
    ここまで性別という枠組みを瓦解しようとするマンガは、後にも先にも出てこないだろう。マンガはここまで表現できるのだ、と押見修造先生の読者への挑戦に似た信頼を丁寧に読み解きたい。

    2024年07月01日
  • ブックライブ書店員

    地味で目立たない中学生「メイ」と、中性的で美形な「叔父さん」の同居生活がはじまります。

    2人の共通点は「かわいい人間性」。
    そして、愛と思いやりにあふれる2人。
    何気ない瞬間のメイの一言に、心を救われる周りの人間たち。
    メイの心には、しっかりと母の優しさが受け継がれていました。

    優しさと愛にあふれ、内面から可愛いなんて最強すぎやしませんか。
    まさに「かわいすぎる人よ!」というタイトルがピッタリ。
    「!」までもピッタリ。

    だれにも惜しみなく優しさを向けられるメイ。読み進める度に心が浄化されます。
    じーんわりと心に染みるあったかストーリーです。

    1人も悪い人間が登場しないところも、おすすめポイントです。
    ぐったり疲れた夜のお供にぜひ。

    2024年06月20日
  • ‟男らしくない”という理由で、彼女に浮気されフラれた教師・久慈弥九朗(くじ やくろう)。
    子供のころから色白で華奢…男属性とは無縁な26歳。
    モデルでインフルエンサーで文武両道で“生物学部”部長の女子・阿加埜(あかの)。
    生徒からの相談に困る久慈に対し彼女は唐突に性淘汰論を展開しその場を納得させてしまいます。そして久慈に生物学部の顧問になること、さらに性淘汰論からさらに彼がモテるために自分と付き合うフリをすることを提案します。

    彼女の言葉の説得力に心がゆらぐ久慈。
    生徒と教師の関係でラブが発展してしまうのか!?
    生物学の知識がふんだんに散りばめられ学ぶこともできてしまう、ラブコメ作品!

    クジャクのオスについてご存知でしょうか?
    この物語のキーとして阿加埜が解説をしてくれたクジャクの話をご紹介します。

    クジャクのオスは長くてキレイな尾羽を持っています。
    ですが、長い尾羽のせいで空を飛ぶのは苦手、派手なので天敵にも見つかりやすい。
    邪魔なだけの尾羽。それでも何故この尾羽が重要なのか…?
    それはメスに好かれるから!!
    メスにとってオスらしいオスの体であるからなのです。

    そこから発展する性淘汰論!!
    難しい話なのでは…!?と不安になった方、大丈夫です。
    あくまでクジャクの話ですから!

    ジェンダーなんて気にしない時代と言われ、多様性を扱った様々な作品がある中で、生物学に基づく恋愛論でぶっ叩いてくるところに清々しさを感じます。
    また様々な恋愛の問題に対し高説を垂れる阿加埜は一見恋愛のプロのようですが、実は一番ピュアで奥手。とあるキッカケで好きになった久慈にアタックするも、やり方を間違えているのが可笑しいのです。

    キャラクターも可愛らしいですし、会話のテンポも良く学びを得つつも思わず笑ってしまう。
    イチオシのラブコメ作品です。

    2024年06月07日
  • ヤクザに殺し屋として育てられ、人の愛を知らずに生きてきた少女、ねずみ。
    偶然出会った普通の青年、碧(あお)から一目惚れであると告白され、とまどいつつも恋に落ちるねずみ。
    彼女は自分の仕事を隠し共に暮らし始めますが、碧はねずみの仕事現場を目撃していたのです。
    そのことが組織にバレ、碧を殺すように命じられるねずみですが…。

    プリクラ機の中での殺人シーンから、幼少期のねずみの肉体を弄ぶヤクザと、物語の冒頭から凄惨なシーンが続きます。
    主人公ねずみの可愛らしさ、人殺しを生業としながらも失わない純粋さ。
    それ故に彼女の壮絶な生い立ちが際立ちます。
    闇の底に沈んだような、暗く鈍い光を湛えるねずみの瞳。
    それが碧と出会ってから大きく変化します。

    特殊な生い立ち・環境で過ごすねずみと比例し、あまりに “普通”の碧。
    逆にこの物語の中では異様さを感じてしまいます。
    碧が明るければ明るい程、物語の中に落とす影は濃く感じるのです。

    ねずみの幸せを願いつつ、絶対このままハッピーエンドにはならない…という予感を感じながら読み進めると、やはり大きな障壁が訪れます。
    ねずみの誕生日に碧が手配してくれたディナーデート当日、突然入った殺しの仕事。
    そこにいたのは組織に捕らえられた碧。
    ねずみが自身の手で彼を殺すか、二人とも殺されてしまうのか…!?
    こんな絶望があって良いのか!?と思ってしまいますが、物語はそこで終わりません…。
    さらなる衝撃の展開が待ち受けているのです…。

    精神的にも、肉体的にもハードな展開が繰り広げられるノワールストーリーではありますが、そんな中で命をかけた二人の愛がどうなるのか…!?
    注目の作品です!!

    2024年06月07日
  • ブックライブ書店員

    2024年に幾田りらさん、あのちゃんなど豪華キャストを迎えてアニメ映画化したことで人気が再燃した、浅野いにおさんのSFマンガ。巨大な円盤「母艦」が空中に浮かぶ異質な状況で繰り広げられる、女子高生たちの日常がおかしくも切なくて、ずっと彼女たちがクソ平和な世界で暮らせるようにと祈りながら読みました。いちばん好きなシーンは、主人公の門出が、思いを寄せている担任の先生に、凰蘭のことを「私にとっておんたんは、「絶対」なんです」と言うところ! 「絶対」だと言い切れる唯一無二の存在がいるって、なんて幸せなことだろうとじーんとしてしまいました。すぐにふざけてしまう2人ですが、親のことやこれからのことになると、茶化さずにお互いのことを思っているところが、私がこのマンガを愛する理由です。また、そんな平和な日常を過ごす中で、門出たちを巻き込んで物語はどんどん進んでいきます。なぜ、「母艦」はあの日突然東京の空に現れたのか、侵略者とは何者なのか。最後まで読み切った後、あまりの面白さに放心状態になること間違いなしです。

    2024年05月30日
  • ブックライブ書店員

    「試合中にこんなことを考えているの?」「これが選手の視点?!」「この動きにそんな意味が?!」
    このマンガを読んだことでサッカーの見方が180度変わった。サッカーはこんなにも奥深い。
    主人公の青井葦人は、愛媛の熱いサッカー少年。苦い中学最後の試合後、プロのユースチームの監督である福田達也にスカウトされる。「世界へ、連れていってやる。」と。胸を高鳴らせながら東京に行った葦人だったが、待っていたのは入団試験だった。愛媛では一目置かれた少年も、所詮井の中の蛙で…。
    マンガらしい派手な描写はあまりないかもしれない。だが、その分リアルで、葦人やライバルのサッカーにかける汗臭い情熱が真摯に伝わってくる。葦人はシングルマザーの家庭で裕福ではない。それでも夢を応援してくれる母親や兄、仲間など温かい人たちに胸を打たれる。
    サッカー非経験者でもわかりやすいように、サッカーのルールやポジションごとの役割を解説してくれる。戦略や選手の動きはこう見るのか!という発見もあり、実際の試合を見たくなること間違いなし!

    2024年05月23日
  • ブックライブ書店員

    オススメのマンガがあります! 5巻収録の46話を読んだとき、「あぁこの作品を読んでいてよかった」と思いました。
    主人公の白山は田舎に住むラジオリスナー。彼がラジオを聴き始めたきっかけが「うるさかったカエルの鳴き声を紛らわすため」というのがもうクスリときました。田舎のカエル、スゴイ大きな声で鳴くよね。この作品は地味な白山と、彼女の三田さんとの様子を描いたものです。
    この作品の魅力は、じんわりとした既視感なのかな、と思っています。もちろんマンガなので、ありそうでなさそうな要素は多い。でも、この作品を読んでいると、家族との会話や学校での様子など、なんだかふとした瞬間にその場の空気感をリアルに思い出すことがあります。体育館での集会で整列している三田さんの扉絵を見て、高校の体育館のにおいを思い出したんですよね。こんなことはじめてだったので「すごいマンガなのかもしれない…」と感じました。是非体感してほしいです!

    2024年05月22日
  • ブックライブ書店員

    スマホは現代社会の必需品だが、お腹の中には入れられたくない…。
    突然旧友のキムタケに呼び出された堺翔平は、女性の死体を捨てるよう頼まれ、断り切れず実行してしまう。捨てる際に自分のスマホも落としたことで、すぐに死体の女性の父・上遠野にバレ、誘拐される。娘を亡くした父は「きちんと死刑になるまで人を殺しなさい」と堺のお腹にスマホを埋め込み、監視し始める。警察に自首しようとした堺だったが、番頭と呼ばれる人物から「ムショが安全な場所だと思うなよ」と脅される。被害者の父と番頭、友人、全てから板挟みの堺はどうするのか…!?
    円城寺真己先生の作品の魅力は、個性的な登場人物たちだ。特に、堺の彼女である愛梨は痛快で大好きだ。番頭はもちろん、アナさんなど魅力的な悪役からも目が離せない。キムタケはなぜその女性を殺したのか、キムタケと番頭はどういう仲なのか、堺のスマホは無事摘出されるのか…。ぜひノンストップで読み届けてほしい。

    2024年05月22日
  • ブックライブ書店員

    これほど人に勧めにくい名作があるだろうか。なぜなら、とにかく品がないのだ。セックスシーンが終わったと思ったら下ネタ、下ネタが終わったらセックスシーン、セックスシーン中に下ネタ…という具合に。だが、本作はそんなおふざけもかき消されるほどディストピアな世界観だ。第三次世界大戦が終わり、優生思想に支配された日本では、特権階級以外は男女が隔絶され、奴隷のように働かされていた。そんな世界では、バーチャル上でしかセックスができなかった! 主人公の狂四郎はバーチャルの相手・志乃に本気で惚れてしまう。なんと志乃はバーチャルキャラクターではなく、実在した。それを知った狂四郎は彼女に会おうとするが……。
    一見、お下劣SFマンガだと思われてしまうが、優生思想の脆さや権威主義の過ちなど、人間の愚かさに切り込んだ作品だ。特に、12~15巻のアルカディア編は人間集団の残虐さがありありと描かれている。ここまで骨太なストーリーと下ネタを一つにまとめあげるのは、さすが徳弘正也先生としか言いようがない。余談だが、『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生は徳弘先生のもとでアシスタントをしていた。尾田先生のどんな場面でもギャグを繰り出すところは、徳弘先生の影響を感じる。

    2024年05月22日
  • ブックライブ書店員

    1976年から2016年まで、40年ものあいだ週刊少年ジャンプで連載されていた「こち亀」。
    なんとこの間1度も休載していないというのだから驚きです。
    時事ネタや雑学、生きていくうえで大切なノリと勢いは、両さんに教えてもらったような気がします。
    スカイツリーの建設についてのエピソード(174巻1話)など、今となっては歴史的に価値のある話を読むことができるのもこち亀の魅力です。
    東武伊勢崎線のホームから、少しずつ高くなっていくスカイツリーを眺めていたことを思い出します。生活や思い出の中に両さんを感じるポイントがあると嬉しい。

    全200巻と膨大なボリュームを誇る本作ですが、どこから読んでも面白いのがいいところ。自分だけのお気に入りの1冊を探してみるのも良いのではないでしょうか。
    私のお勧めは「光の球場!の巻」を収録した82巻。

    2024年05月21日
  • ブックライブ書店員

    気弱そうな主人公の八重樫ミツルは、謎のメイド・ドラエと出会い、否応なく武術の世界に足を踏み入れます。ドラエの指導のもと、多種多様なスタイルの格闘家と闘うことになるミツル。ドラエはなぜミツルの前に現れたのか、そしてドラエは何者なのか……?! 肉体的にも精神的にも成長を遂げていく主人公と、見やすく迫力のあるバトルシーンが魅力の武術漫画です。

    武術の説明は難しくなりがちですが、この作品は、武術の特徴や仕組みが大変分かりやすく簡潔に説明されており、武術に興味があれば楽しく読めること間違いありません! 作品の中で紹介される格闘術のウンチクや、日常での身体の使い方が紹介されているのも大変参考になります。武術に興味がある人にイチオシの作品です!

    2024年05月14日