知念実希人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
友人から薦められて読んだ本。
結構なボリュームだったけどすき間時間を使ってどんどん読み進めたくなったほど面白かった。
今はもう2025年5月なんだけど、まだちらほらと「あの人コロナなんだって」っていう話を聞く。
そういった意味ではまだこの物語は続いているのだけど、一応の結末に向けて、ファンタジーでごまかすことなく、淡々と納得のいく説明をしてくれる内容に感嘆した。
コロナ禍を経て前の生活に戻ったわけではなく、知識と経験を得て新しい時代になったと思っている。
当時のことを思い出しながら、これからに向けてのことを考えることができるいい本だった。 -
Posted by ブクログ
コロナ渦のあの厳しい日々を追体験したかのような読後感。
大学病院でコロナ病棟の担当に任命された女性医師、同じ病棟の看護師、町の診療所の医師、それぞれの行動と思いが交互に描き出される。
家族を思うゆえのコロナ病棟での勤務への躊躇い、全ての原因はウイルスのはずなのに怒りの矛先を向けられる不条理、コロナ診療に当たる医療従事者への差別意識、ネットでの荒唐無稽なデマ。
あの当時の様々な出来事が克明に綴られる。医師である著者ゆえ、コロナ病棟の記述はリアルで真に迫り、まるでルポルタージュのようである。
時々刻々変わるコロナ渦の状況は、政治家の実名でその時々の政策や後手に回る行動が綴られることにより、より緊迫 -
Posted by ブクログ
水神の祟り、化け猫の憑依、といったオカルトめいた呪いのような事件。もちろんその陰にはとある病気が隠されているんだよね、とは思うけれど。それでもあまりに不可解な状況に、本当に呪いなんじゃないかという思いがぬぐい切れません。謎の解明にはわくわくします。
どれも魅力的な謎ばかりですが、「透過する弾丸」の謎が一番かな。小鳥遊の恩師の死に関わって起こったとんでもない事件。奇想天外な謎に翻弄され、絶句させられます。「正解のない問題」と判断した鷹央が最後まで解決しないというところも読みどころ。そしてこの事件に関しては、医療の知識がそれほどなくても謎を解けたのではないかと思いますが……解けませんでした。考え付 -
Posted by ブクログ
連作短編集の形式を取っているが一編毎の出来が生半端でなく素晴らしい。三編とも独立した推理小説として優れた出来栄えだ。知念実希人、ノリにノッている。
「禁断の果実」はそのトリックもさることながら結末が実にいい。作者も一人の人として何かしら思うところがあったのだろう。
「七色の猫」、これが好きだ。ある箇所で思わず声をあげてしまった。良く考えればわかる、のにわからない。そこが上手い。
「遺された挑戦状」はいよいよクライマックス。ドドン! と山場を持ってきた。これは本当に力が入っている。結末まで目が離せなかった。推理小説ファンならば逃す手はない一冊だ。