北森鴻のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ある雪の日、劇団女優のユリエはミケさんという男と出会い、一緒に暮らし始めた。
プロ顔負けの料理の腕を持っているミケさんは、劇団が遭遇する事件も見事に解決に導いていく。
しかし、過去を明かさない彼には誰にも言えない秘密があった。
ミケさんこと三津池修とは何者なのか――。
連作短編集ですが、二つのストーリーが交互に語られるうちに中盤で絡み合い、一つの本流の謎へとつながっていく…その展開にもまた二重三重の仕掛けが施され、最後まで気を抜けませんでした。
登場人物たちも、みんな魅力的でした。
おいしそうな料理を作りながら飄々と推理をしてみせるミケさんの佇まいも素敵。
サバサバした性格のユリエも好感が -
Posted by ブクログ
ネタバレ博多・中州の屋台を営むテッキと結婚相談所の調査員キュータが、2人に持ちこまれる事件を解決していく連作短編集。
高校時代からの腐れ縁であるテッキとキュータが謎を解決していくのですが、2人の性格が好対照でとてもいい味を出しています。
冷静沈着で頭脳派のテッキと感情で突っ走るタイプの憎めないキュータは一見デコボココンビですが、それぞれが足りない部分を補完しているような、お互い欠かせない関係性が魅力的です。
後味のよろしくない苦みの強い事件も多いですが、2人のテンポの良い会話で軽い読み心地となっています。
たいてい事件の背景にはヤクザが絡んでいて、しかもキュータが突っ走って事件を複雑化させてしま -
Posted by ブクログ
「フォーチューンブック」という1冊の本を中心に、実際に起きた事柄を織り交ぜながら虚実ないまぜにしながら物語は進んでいく。
連作と内容紹介には書かれているが、読んでいて普通の長編を読んでいるような感覚だった。
自主規制を版元がしたために都会では入手しにくくなっていた本。
地方都市松本で偶然に「フォーチューンブック」を手に入れた人たちのその後が描かれている。
知らず知らずのうちに絡み合っていた運命・・・運命と呼んでいいものかわからないけれど・・・は、それぞれの人生を大きく狂わせていく。
最後の1行が終わっても、まだ物語は終わらない。
残された人たちは、さらに「フォーチューンブック」によって人生を翻 -
Posted by ブクログ
ネタバレ〇 概要
明治政府に招かれた雇われ外国人の一人,エルウィン・フォン・ベルツのもとで給仕として働き始めた葛城冬馬の成長と,冬馬とベルツが遭遇した事件が描かれた短編ミステリ。
〇 総合評価 ★★★☆☆
小説巧者の北森鴻らしく,5つの短編のそれぞれが,史実と虚構を織り交ぜ,読み応えのある作品になっている。ミステリとしては,それほど完成度が高くないが,ベルツを始めとしたお抱え外国人たちは個性的。各作品で名前を変える市川歌之丞も非常に魅力的なキャラクターとして描かれている。主人公の葛城冬馬も十分魅力的。なにより,史実がうまく虚構に織り交ぜられており,ある程度の日本史の知識があれば,聞いたことがある -
Posted by ブクログ
ネタバレデパートの屋上で発生する数々の事件を、「稲荷社の使い狐」、「観覧車」、「ベンチ」など無生物の視点から描いた連作短編集。救いのない話が並び、後味が悪く、忘れがたいインパクトを与える作品。ある短編の脇役が、次の短編で重要な役割を果たす構成は見事だが、全体的な構成は少し散漫に感じる。個々の短編の完成度は高く、どれも一定の面白さだが、香菜里屋シリーズほどの深みはない。裏京都シリーズよりは上だと感じる。北森鴻の短編作品としては及第点ギリギリの出来か。★3。
○ 始まりの物語
稲荷社の使い狐が語り手。デパートの女性店長の自殺、店長の子どもの万引き、いじめといったネガティブ要素が満載な作品。いじめられて -
Posted by ブクログ
ネタバレ叙述トリックが駆使された作品。読者を驚かせることを主眼として書かれており、まさに「驚愕の真相」と言える構成だが、その反面、リアリティに欠ける部分が目立つのは否めない。
「阿坂龍一郎という作家が女性である」という叙述トリックは、多くの読者が気付く可能性が高い。しかし、ほとんどの人は、小椋という音楽教師が阿坂龍一郎になったと考えるだろう。ところが、真相はその一歩先を行き、阿坂の正体は手紙で「キミ」と書かれている少年の母親だった。
烏丸芳江という人物こそが小椋という音楽教師で、手紙に書かれている「僕」という一人称の正体が「夏川麻美」である。夏川麻美は阿坂龍一郎に殺害され、埋められている。そして