あらすじ
2010年、48歳の若さで亡くなった北森鴻さん。「旗師・冬狐堂」は古美術に造詣が深かった北森さんが精魂傾けて取り組んだ、まさに代表作といえるシリーズです。旗師とは店舗を持たない古物商のこと。旗師・冬狐堂こと宇佐見陶子は、銀座の画廊で見たタペストリーに魅せられ、現金で全作品を買う約束をする。しかし期日になっても作品は届かず、それどころか作者は死に、作品は消えていた――。騙しあいと駆けひきの骨董業界を生き抜く美貌の一匹狼を描く古美術ミステリ、ここに開幕!
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このシリーズの最初が分からずww
民俗学もそうだけど、こういうのも面白いなー。まぁ似た分野であるんだろうけど。
他作品とのリンクはうれしい。
それにしても、見知った地名が出てきくるのは、母校の先輩だからだろうかw。
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「旗師」宇佐見陶子シリーズの3作目です。
前作と違う出版社から出ているのは何故なんでしょうか。
シリーズ物は当然同一出版社から、
と何となく思い込んでましたがそうでもないのか。
今回は4篇の連作集です。
それぞれ違うジャンルの美術品にまつわるミステリーで、
相変わらず陶子さんがトラブルに巻き込まれて飛び回ってます。
業界内で名前を知られるようになってきたからですが、
半分は美術品に対する好奇心からみずから飛び込んでますね。
カメラマンの硝子さんや練馬署の犬猿コンビも健在です。
『奇縁円空』篇では暗い時代の話もあって重めですが、
「円空仏」に関する記述がたくさんあって大変勉強になりました。
『「永久笑み」の少女』篇では古墳内部の描写が幻想的でした。
謎解き自体はどれもそんなに複雑ではないのですが、
全体を通して主に陶子の美意識というか目利きがすごいです。
感想は、やっぱり骨董の世界って恐ろしい、でした。
大変興味はあるんですけど。
もう、美術品に対する執念が凄過ぎて。
素人としては、ますます敷居が高くなってしまいました。
作品を生み出す側は、ほとんど宗教的とも言えるのめり込み方だし、
流通させる側の駆け引きには薄ら寒くなるものがありました。
コレクターの家族の心情なども、大金が絡むとむべなるかな・・・。
でもそれらの執念が、やはりこのシリーズの醍醐味なんですよね。
普段接することの無い世界を垣間見られて、今回も大満足でした。
Posted by ブクログ
『狐罠』『狐闇』と長編で発表された、店舗を構えない骨董商、旗師・宇佐美陶子シリーズの初短編集です。
「 陶鬼」「永久笑み」「緋友禅」「奇縁円空」の4編ですが、どれも内容が濃いです。
骨董の奥深さと蘊蓄、そこに関わる腹黒い守銭奴と主人公・陶子の駆け引きが魅力です。
こんな濃い内容を短編で惜しげもなく出してしまうなんて、北森鴻はファン想いです。
とくに好きなのは「奇縁円空」です。諸国を放浪し、生涯で12万体ともいわれる仏像を彫ったといわれている円空の謎の考察は、基本的な事実を丁寧に織り交ぜながら、またまたびっくりするような視点を最後に提示してくれました。
円空の木仏に似たもんなんて、素人にも作れるなんて思っていましたが、ピカソの絵なんて子供でも描けると主張するくらい浅はかだったことがわかりました。
Posted by ブクログ
もしかしたら前にも読んだことがあるのかしら?とも思わなくもないですが。
この人の本はさくさく読めて良いですね。
陶子さんは、凄腕だの目利きだのと言われていると書かれているわりには、結構贋作を掴まされてたり、手付けではなくいきなり前金で全額払ったりと抜けている部分が多すぎて、この人物像はちぐはぐな気がします。
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4作短編『陶鬼』萩焼、休雪のイメージなんやろかねぇ。『「永久笑み」の少女』はにわ『緋友禅』古美術ではなく現代友禅作家作品『奇縁円空』円空仏
”狐闇”とほぼ同じパターンの作品がありまして、なるほどなぁ、、と。文庫タイトルの緋友禅がいちばんミステリらしくて一番つまらんかったんですが(笑)、なんでピックしたかと気になった。友禅以外の3作はどれも大変おもしろかったです。短くてちょっと不完全燃焼ですが、結構楽しめました。
Posted by ブクログ
女性旗師、冬狐堂を主人公に骨董業界に起こる怪事件を巡る短編集。
蓮丈那智シリーズと双璧をなす作風で、どちらもヒロインの深い造詣と孤高の人生が格好いい、
相当な下調べが必要だったと思われる深い内容は、あたかもノンフィクションのような読み応えがあります。
Posted by ブクログ
最後の最後は少し読みづらく感じました。
新しい展開がなく、同じ場所を足踏みしているように感じました。
ホントは、自分の読解力がないだけの話かもしれませんが・・・
でも、いつもの北森作品のように緻密なストーリ展開を楽しめました。
次も北森作品を読みたくなり「桜宵」を読み始めました。
Posted by ブクログ
旗師・冬狐堂シリーズ。
人間の死と古物にまつわるミステリ。
表題の「緋友禅」がミステリとしては一番好みだったけれど、人間の情念の深さにぞっとするのは「陶鬼」。
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骨董業界とミステリーの相性がいいのだ。 ちょっとプロットが複雑になりすぎるきらいがあるので、 これくらいのライトボリュームはいいかもしれない。
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骨董をあつかう旗師という未知の世界にハマった。
小品ごとのメインの骨董品に主人公陶子が食いつく理由がよくわかる描写で、特に緋友禅のタペストリーなんか見近にであえないかしら…とか真剣に考えた(苦笑)
次作“瑠璃の契り”も先ほど読み終わり、切り子椀への憧れがつきぬ今このひとときです。
Posted by ブクログ
旗師・冬狐堂シリーズ第3弾にして初の短編集。
「陶鬼」では陶工、「「永久笑み」の少女」は盗掘屋の掘り師、「緋友禅」は染物職人、「奇縁円空」は銘木屋の職人芸にまつわる四篇で構成されているが、どの話も専門的であっても素人にも分りやすい..が奥は深い。
「緋友禅」での相棒カメラマン、横尾硝子とともにあの手この手で攻める泥仕合の描写も未だに忘れられない。
Posted by ブクログ
シリーズ第3弾(前2作は講談社から出されてます)
本作の主人公は旗師(店舗を持たない美術商)
冬狐堂という屋号を持つ宇佐美陶子(うさみとうこ)。
知らない世界を覗き見てるみたいで始終ワクワクしました。
そして登場する作品達のなんと魅惑的な事。
それに反して取引に纏わる裏の世界のなんと恐ろしい事。
人間の欲の深さと執念は、まさに魑魅魍魎。
作品の作り手の思いもまた時に純粋で時に悪意に満ちている。
しかしジっと動かずに獲物を狙う冬の狐のごとく
ずるく、賢く立ち回り、陶子がその思いを拾い上げる。
古美術に対する陶子のブレナイ姿勢がなんとも凛々しい。
「緋友禅」が一番興奮したかもしれない。
相手を追い詰めていく過程がドキドキしました。
好きなのは「奇縁円空」
真作と贋作を見分ける手がかりを求めて動き回ったり
円空自体に焦点を当てて迫っていくところは
ものすごく興味深いです。
Posted by ブクログ
北森 鴻 は、いいですね。
旗師の宇佐見陶子が、様々な問題に巻きこまれ(というより、自分で招いているような気がしますが)ながら、謎を解き明かしていく物語です。
ミステリに分類されるものかもしれませんが、ヒューマンドラマのといったほうがよいかもという気がします。
漫画で言うと、人間交差点のような・・・
Posted by ブクログ
2009年2月18日購入
かなり5に近いが最近5が多いので自粛。
とはいえかなり面白かった。
狂乱廿四孝に比べると
ずいぶん文章が読みやすい。
きっとこの人は短編が上手なのだと思う。
カナリヤシリーズもそうだし。
短編でないと登場人物が収拾がつかなくなるのだろう。
この本の最後の話はことに面白かった。
こってりである。
伏線もきちんと張ってあって
ラストまで納得の展開。
その他の話がどうも将棋の投了のところで終って
素人にはほんとに詰んでいるのかよく分からない感じが残っただけに
これが最後でよかったと思える。
うんちくもたいへん面白い。
古美術はほんとうにそれらしく思えるから
小説家にはうってつけの素材なのかなと思う。
Posted by ブクログ
美貌の旗師冬狐堂の陶子さんの活躍がかっこいい。他の北森氏のシリーズより長編なのは気合が入っているからか。特に奇炎円空などはとても普通の作品ではない気の入れようだ。ますますはまります。
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旗師・冬狐堂シリーズの短編集。
このシリーズの長編も面白いと思うが、このくらいの長さだと勝負が早いので個人的に◎。
短編だが手を抜いてない感があって、なかなかの秀作。
Posted by ブクログ
店舗を持たない骨董業を営む旗師・冬狐堂こと宇佐美陶子は、銀座の画廊で見たタペストリーに魅せられ、現金で全作品を買う約束をする。
しかし作者は死に、作品は消えていた―。
騙しあいと駆け引きの骨董業界を生き抜く美貌の一匹狼を描く古美術ミステリー短編集。
前作とは異なり、今回は陶子ひとりで事件を解決に導いていくエピソードが多かったのですが、表題作の「緋友禅」では友人のカメラマン硝子さんとのコンビが見られて満足でした。
もたれ合わないけどお互い信頼しているという二人の関係性がいいんですよね。
このお話は真相が早く読めてしまうほどシンプルな謎解きとなっていますが、文章にみなぎる凄みや緊張感が心地よかったです。
中篇の「奇縁円空」は他の短編よりもページが多い分、力が入っているお話でした。
かつての顧客の鑑定により陶子が手に入れた円空仏は“鬼炎円空”と呼ばれるいわくつきの作品。
円空仏をめぐり事件が起こるが、それは30年前の贋作事件に端を発したものだった―。
“鬼炎円空”に秘められた謎や作者の秘密など、行き着く暇なく用意された謎と急展開の連続。
何が贋作で何が鬼炎円空なのか、読んでいるうちにごちゃごちゃしてきて少し混乱しました。
しかし、これだけの作品をものするには豊富な知識や美術眼が必要だと思いますが、豊富なバックグラウンドを秘めながらも押しつけがましくならずに物語を御し、読者をクライマックスへと力強く導いていく筆力が素晴らしいと思いました。
クールな陶子が時折見せる業の深さに惚れてしまう…。
Posted by ブクログ
骨董品を扱う旗師が事件を解決していくのですが、今まで触れたことのない分野だったのでワクワクしながら読みました。魑魅魍魎が跋扈する骨董品の世界が多少とも覗けた気がします。
三編が収録されていますが、自分は「陶鬼」が気に入りました。なんというか切迫感があるミステリーじゃないんですが、静かに迫りくる妙な感じが好きですね。たぶん古美術ならではの雰囲気が漂ってます。市に行ってみたい…。
あと、陶子さんが出来る人で素敵です。
実は硝子の方が気に入ってたりしますが…。
読む本それぞれにお気に入りの人物がいる方が楽しいので、つい好みの人物を探してしまうのです。
しかし、これには続編があるのでしょうか?陶子さんの過去が散りばめてあったので、気になりますね。
Posted by ブクログ
冬狐堂シリーズ
いつの間にか別の出版社から刊行されていた・・
確か別の本で どこかにその経緯?というか書かれていたような・・
今までこのシリーズは長編でしたが 短編集となってますね