北森鴻のレビュー一覧

  • 桜宵 香菜里屋シリーズ2〈新装版〉

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    シリーズ第2弾。
    東京は三軒茶屋の裏路地にあるビアバー《香菜里屋》。決して立地条件が良い訳ではないのに客足が途切れないのは、美味しいビールと料理が楽しめる隠れ家のような安らぎの場だから。
    いつものようにマスターの工藤が優しい笑顔で訪れるお客たちを出迎えてくれる。
    工藤が「少し変わった物を作ってみたのですが」と言いながら勧める創作料理にまず間違いはない。お客の好みを知り尽くした男の饗しに、皆必ずや満足するはず。

    今回も工藤と常連客たちの推理合戦が楽しめた。工藤と常連客たちの仲の良さはいつ読んでも心地よい。
    ビアバーだけに推理合戦後の後味はちょっと苦めだけれど。
    そして今回も工藤作の料理の数々は

    0
    2021年05月09日
  • 花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1〈新装版〉

    Posted by ブクログ

    スピーディーに問題が解決されて、自分の考える視点とは別の角度で謎が解けたとき新たな考え方を見つけられた気がした。ビアバーの料理は美味しそうで、仕事終わりに工藤さんのような人に話を聞いてもらえたら悩みや不安が吹き飛ぶだろうなと思った。人生において全て知ることが重要なのではなく、憶測でとどめることも必要なのだと感じた。

    0
    2021年03月26日
  • 花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1〈新装版〉

    Posted by ブクログ

    #北森鴻を忘れない―。著者没後10年の昨年を機に、旧作が幾つか復刊されている。この<香菜里屋シリーズ>もその内のひとつ。三軒茶屋の路地裏にひっそり佇むビアバーのマスター・工藤が常連客の持ち込む様々な謎に名推理を光らせる、所謂【安楽椅子探偵】もの。孤独死を遂げた老俳人の過去を追う表題作は昭和史ミステリーとトラベルミステリー、双方の趣を兼ね備えた秀作で、今作の中で頭ひとつ以上抜きん出ている。それ故に、他の収録作品はどうしても見劣りしてしまう。後日談となる「魚の交わり」は少々蛇足的だが、トリッキーさが一際光る。

    0
    2021年03月06日
  • 花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1〈新装版〉

    Posted by ブクログ

    初北森鴻作品。短編集ということもあって手に取ってみました。短編集だけど、繋がりもあってそういうところも私のツボに…表題である最初の話から引き込まれて一気読みでした。帯の『人生に必要なのは、とびっきりの料理とビール、それから、ひとつまみの謎。』という文句も私を惹きつけた一因です。

    0
    2021年02月21日
  • 共犯マジック

    Posted by ブクログ

    昭和史に残る大事件を、不幸を予言する「フォーチュン・ブック」なるもので数珠つなぎにした荒唐無稽な連作で、「…いや、それはないだろう」と突っ込みを入れながらも各話の関連性をそれなりに楽しめた。
    世間って狭いよね、では済まない悪夢の因果率を引き起こすのが「フォーチュン・ブック」らしい。
    松本市で売った本がこの出来事の元凶というなら、全国各地、いや世界中に散らばったコレが一体どのくらいの悪意や不幸をまき散らしたのか…フィクションながら想像するに恐ろしい話である^^;

    0
    2021年01月18日
  • 親不孝通りラプソディー

    Posted by ブクログ

    博多を舞台にした「親不孝通りディテクティブ」の主人公、テッキとキュータの高校時代を描いた話です。「親不孝通りディテクティブ」の会話にでてきた『美人局に嵌められたキュータが計画、実行した強盗事件』とその顛末について描かれています。強盗事件に地元のヤクザ、一年前に山口県で起きた現金強奪事件等が絡み、追われる身となってしまったキュータとそれに巻き込まれるはめになったテッキ、そして彼等に関わる人間達の思惑(地元の裏社会だけでなく北のあの国が関わる話も出てくる。)が交差しながら解決に向かう様子が面白かったです。しかし関係者が多くなりすぎて、若干ややこしくなってきた面とスケールが大きくなりすぎてしまった印

    0
    2020年12月30日
  • 共犯マジック

    Posted by ブクログ

    2度読んで、初めてちゃんと理解できる本。
    人間関係が複雑で、読み返さないとちょっと理解しにくい。
    でも続いていく意外な繋がりに、一気に読んでしまう。

    0
    2020年09月14日
  • 共犯マジック

    Posted by ブクログ

    人の不幸を占うという「フォーチュンブック」を松本の書店で手にした7人。
    それぞれに不幸が訪れる。
    森永・グリコ事件、三億円事件なども出てくる。
    登場人物が多くて、理解するのが大変だった。
    はじめのフォーチュンブックを買った7人をしっかり覚えておくと、サクサク読み進められる

    0
    2020年08月30日
  • メイン・ディッシュ

    Posted by ブクログ

    中盤から二つの物語が混じり合うミステリー小説。
    なんといっても、毎タイトルで一つの料理にまつわるオチが出てくるところが特徴的だ。
    あまり聞いたことのない料理やよくある料理でも美味しくなる一工夫が紹介されているのも面白い。
    主人公とミケさんの距離感が素敵だった。

    0
    2020年06月10日
  • 狂乱廿四孝/双蝶闇草子

    Posted by ブクログ

    明治初頭の歌舞伎界を舞台に幽霊画を発端とする連続殺人が勃発―。この粗筋だけで既に面白そうな要素がてんこ盛り。江戸情緒の残り火が醸す情景や活き活きとした登場人物達が魅力的でこれだけでも十分に楽しめるが、肝心なミステリーの謎解きも健在で贅沢この上ない。トリックに多少の強引さは感じたが、デビュー作でこのクオリティとは恐れ入る。澤村田之助という悲劇の役者についてより知りたくなった。著者の急逝により、過去と原題が交信するタイムパラドックス的設定の続編が未完のまま収録なのが残念。著者の作品をもっと読んでみたくなった。

    0
    2020年05月03日
  • なぜ絵版師に頼まなかったのか

    Posted by ブクログ

    タイトルを見た時に、アガサ・クリスティへの
    オマージュか?と思ったのですが、どうやら色んな作家さんの
    有名な作品名をもじっただけのようです。でも面白い(^◇^;)
    「なぜ絵版師(えはんし)に頼まなかったのか」
    「九枚目は多すぎる」「人形はなぜ生かされる」
    「紅葉夢(こうようむ)」「執事たちの沈黙」の5編を収録。
    明治のお雇い外国人として東京帝大で医学を教えたベルツと、
    その弟子となった葛城冬馬たちが遭遇する数々の事件を描いた
    軽めな時代ミステリですね。
    シリーズ化している他の作品のようなミステリを
    連想してはいけません。
    カバーイラストからもわかるように軽い内容なので
    箸休めにちょうどいいと思

    0
    2019年12月17日
  • 支那そば館の謎~裏(マイナー)京都ミステリー~

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    京都一の貧乏寺・嵐山の古刹大悲閣の寺男、有馬次郎に奇妙な事件が持ち込まれる。
    元広域窃盗犯の有馬の直感は鋭く、新聞の記者の折原けいや住職の助言も得、時には裏社会の情報を利用しながら事件を解決していく。

    ミステリーですが、かなりコミカルでユーモアたっぷりの連作短編集。
    どの話も京都ならではの文化や料理がキーになっているので興味深いです。

    非現実なトリックやロジックを使った脱力してしまいそうになるバカミスの話もあるので、物足りなく思う人もいるかも。
    「異教徒の晩餐」や「支那そば館の謎」のトリックはどうなんだろう…私はあまり納得できないな~。

    大悲閣は実在するそうなので、いつか行ってみたいです

    0
    2019年05月02日
  • なぜ絵版師に頼まなかったのか

    Posted by ブクログ

    おじがいるのに天涯孤独にされてしまった主人公。
    日本大好きな医学部教授の元に奉公する事に。

    5話の連続短編で、小さかった主人公は
    最後には二十歳過ぎた大学生に。
    不思議な話であったり、医学に関係する話であったり。

    最初の話は、地味な仕返し、とも言えます。
    2話目はそこまでして持って帰って
    植民地にしたかったのか、と。
    3話目は落ちの頑張る気持ちは分かりますが
    その後の事を考えると、大変なものがあるかと。
    ちょっともやっとするのが4話目ですが
    この時代を考えると、こうなる事も。
    そして最後の5話目は…忠誠心というのは
    すごいものだな、と。

    そしてすべてに関連して、主人公の友人(?)は
    結局

    0
    2019年02月01日
  • 親不孝通りラプソディー

    Posted by ブクログ

    「鴨ネギコンビ」のキュータとテッキの高校時代。
    羽目を外したキュータは美人局に嵌められ金に窮し〈狂犬〉キョウジと共に信用金庫の裏金を強奪する。
    警察の射撃訓練場で拾った弾丸を現場に残し、捜査を撹乱させるが、彼らの計画はいつしか歯車が狂い始めた。
    高校生たちのいたずらはヤクザ・警察・脱北者グループをも巻き込んだ大事件へと発展し・・・。

    「親不孝ディテクティブ」の続編でありながら、前日譚となっています。

    キュータは若いころからお調子者で女好き、テッキのクールな佇まいも変わらず。
    二人とも、暴力団と戦ったり、銀行強盗したり、女とすぐに懇ろになったり…こんな高校生いるかよ!と思いつつ、博多弁の軽快

    0
    2018年09月25日
  • 緋友禅 旗師・冬狐堂

    Posted by ブクログ

    店舗を持たない骨董業を営む旗師・冬狐堂こと宇佐美陶子は、銀座の画廊で見たタペストリーに魅せられ、現金で全作品を買う約束をする。
    しかし作者は死に、作品は消えていた―。
    騙しあいと駆け引きの骨董業界を生き抜く美貌の一匹狼を描く古美術ミステリー短編集。

    前作とは異なり、今回は陶子ひとりで事件を解決に導いていくエピソードが多かったのですが、表題作の「緋友禅」では友人のカメラマン硝子さんとのコンビが見られて満足でした。
    もたれ合わないけどお互い信頼しているという二人の関係性がいいんですよね。
    このお話は真相が早く読めてしまうほどシンプルな謎解きとなっていますが、文章にみなぎる凄みや緊張感が心地よかっ

    0
    2018年07月18日
  • 狐罠

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    骨董商の「旗師」宇佐見陶子は、同業者の橘薫堂(きくんどう)の主人・橘から贋作のガラス器をつかまされる。
    プライドを傷つけられた彼女は報復を決意するが、目利きの橘の目をごまかすことは容易ではない。
    そこで彼女は、別れた夫のつてを頼り、贋作の天才・潮見老人に協力を求める。
    一方、橘薫堂に勤める女性が殺され、陶子も殺人事件に巻き込まれてしまう。

    骨董の世界を舞台にした、古美術ミステリ。
    骨董業界という特殊な業界の事情をわかりやすく描いているのでとても読みやすかったです。

    贋作をつかまされるのは見る目が無いから、つまり騙される方が悪いという非情なルールがまかりとおる業界。
    そんな素人の想像を絶する

    0
    2018年06月17日
  • メイン・ディッシュ

    Posted by ブクログ

    ある雪の日、劇団女優のユリエはミケさんという男と出会い、一緒に暮らし始めた。
    プロ顔負けの料理の腕を持っているミケさんは、劇団が遭遇する事件も見事に解決に導いていく。
    しかし、過去を明かさない彼には誰にも言えない秘密があった。
    ミケさんこと三津池修とは何者なのか――。

    連作短編集ですが、二つのストーリーが交互に語られるうちに中盤で絡み合い、一つの本流の謎へとつながっていく…その展開にもまた二重三重の仕掛けが施され、最後まで気を抜けませんでした。

    登場人物たちも、みんな魅力的でした。
    おいしそうな料理を作りながら飄々と推理をしてみせるミケさんの佇まいも素敵。
    サバサバした性格のユリエも好感が

    0
    2018年05月09日
  • 親不孝通りディテクティブ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    博多・中州の屋台を営むテッキと結婚相談所の調査員キュータが、2人に持ちこまれる事件を解決していく連作短編集。

    高校時代からの腐れ縁であるテッキとキュータが謎を解決していくのですが、2人の性格が好対照でとてもいい味を出しています。
    冷静沈着で頭脳派のテッキと感情で突っ走るタイプの憎めないキュータは一見デコボココンビですが、それぞれが足りない部分を補完しているような、お互い欠かせない関係性が魅力的です。

    後味のよろしくない苦みの強い事件も多いですが、2人のテンポの良い会話で軽い読み心地となっています。

    たいてい事件の背景にはヤクザが絡んでいて、しかもキュータが突っ走って事件を複雑化させてしま

    0
    2018年03月08日
  • なぜ絵版師に頼まなかったのか

    Posted by ブクログ

    明治時代、いいなぁ。実在の人物に重ねて物語を紡ぐなんて、すごく自由な発想。そんで、面白い。面白いよ。

    0
    2018年02月28日
  • 支那そば館の謎~裏(マイナー)京都ミステリー~

    Posted by ブクログ

    再読5回目。
    ちょっとマイナーな京都を舞台にした、ちょっとB級(という表現でいいのかどうか⁉)のミステリー短編集。わたしは、こういうの、大好物です。

    0
    2018年02月11日