北森鴻のレビュー一覧

  • 凶笑面 蓮丈那智フィールドファイルI

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    民俗学者の蓮丈那智と助手の内藤三國がフィールドワーク先で出会う事件の数々。
    最初は、各話の前半に入る民俗学のくだりに苦戦したものの、慣れてくると中々味わい深いです。万人にはお勧めできないけど、刺さる人には刺さる良作です(=面白いよって意味です)。

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    2024年06月29日
  • パンドラ’S ボックス

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    北森鴻の短篇&エッセイ集『パンドラ'S ボックス』を読みました。
    北森鴻の作品は、昨年11月に読んだ『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』以来ですね。

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    短編の名手・北森マジックの原点! デビュー作を含む、初期傑作7編!

    画壇の若き寵児(ちょうじ)が突然、不可解な焼身自殺を遂げた。その死に秘められた驚くべき秘密とは?(「仮面の遺書」)
    大阪府警に届いた殺人を告白する手紙。少女の死体を古墳の稜墓(りょうぼ)に埋めたというのだ。捜査は、専門家による発掘調査を終えてからと命じられた刑事は……(「踊る警官」)。
    大胆な着想と鮮やかな謎解き! 
    デビュー作を含む初期短篇7作と、エッセイ7編を収録。
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    2000年(平成12年)に刊行された作品…… 初期の未収録短編を集めてそれぞれに詳細な自解を加えた一冊です。

     ・作者口上
     ■仮面の遺書
     ・短編デビューまで
     ■踊る警官
     ・長編デビュー前後
     ■無残絵の男
     ・トリック嫌い
     ■ちあき電脳探てい社
     ・錬金術師・1996
     ■鬼子母神の選択肢
     ・『狐罠』のころ
     ■ランチタイムの小悪魔
     ・作家というお仕事
     ■幇間二人羽織
     ・作家交遊録
     ・カッパ・ノベルス版 あとがき
     ■怪説 はざま隆治

    画壇の寵児が突然の自殺を遂げた!その死に秘められた謎とは?(『仮面の遺書』)……警察に届けられた殺人者からの告白文。その衝撃の内容から、日本の古代史の謎にメスが!?(『踊る警官』)、、、

    大胆な着想と、鮮やかな謎解き! 読者に息つく暇さえ与えぬ、卓抜なストーリー展開! 短編の名手が放つ、デビュー作から今日までの珠玉の短編七本を収載! さらに、各々の短編に合わせ、作家の肉声をユーモアと哀感をこめて書き下ろしたエッセイを掲載! フィクションとノン・フィクションが絶妙に融合したクロス・オーバー・ノベルス、ここに誕生。

    初期の作品とエッセイが綴られた作品集……短篇7篇とエッセイ7篇が交互に収録されています、、、

    エッセイでは、デビュー頃の仕事の様子や若いころにハードな仕事をしていた様子が語られており、興味深い内容でしたね……短篇では、デビュー作で犯人の職業ならではのトリックが印象深い『仮面の遺書』と、犯人の真の目的が明らかになる衝撃的なエンディングと大阪弁が印象に残る『踊る警官』が面白かったですねー 北森鴻の作家としての幅広い才能を垣間見ることができる一冊でした。

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    2024年06月16日
  • 触身仏 蓮丈那智フィールドファイルII

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    ネタバレ

    蓮丈先生が骨折したり襲われたり容疑者扱いされたり、何なら三國くんも容疑者扱いされたり(でもご褒美チューはあった)と主役コンビがピンチに陥る話がそれなりにあってびっくりした2巻。
    1巻では今後サブキャラになるのかなと思っていたキャラから被害者となってさっさと退場していた印象だったが、2巻は新しく助手が増えたり(そして退場しない)狐目さんの出番も増えたりと、こちらの予想をいい意味で裏切ってきて面白かった。

    民俗学の話としても、即身仏と道祖神の話や敢えて風化するよう作られた五百羅漢の話など、印象的な話が多かった。
    ぞわっと怖さを覚えたのは、新興宗教の話。
    他の話に比べて身近に起きそうという怖さが。
    それに後味が微妙に悪く、あるキャラを救えなかった点にやるせなさを感じた。
    事件としては前述の即身仏の話が好きかなあと。
    この話は珍しく殺人未遂で済んでるが、民俗学の話が二段構えだったのと、トリックがいい意味で結構大胆だったので。

    あと、三國くんの有能さが見える話があったのもよかった。
    普段は頼りない感じなんですけど、例の暗号メッセージに対して適切に動けていた点と最後の話の根回しの良さに痺れました。
    その前にボコボコにされてたんですけどね、彼……胃痛に負けず頑張ってくれい。

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    2024年05月14日
  • 孔雀狂想曲

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    骨董屋雅蘭堂(がらんどう)に持ち込まれる謎や事件を、店主の越名集治が持ち前の鑑定眼と推理力で解決していきます。ちょっぴりハードボイルド感もある、骨董にまつわる謎解きミステリといったところでしょうか。
    越名は相当な目利きだけど、商売はそれほど上手くなくお店はいつも閑古鳥状態だったり、ひょんなことからバイトに雇う羽目になった相棒役の女子高生安積との掛け合いなど、ユーモア感もあります。

    短編八篇のタイトルとその話の種となる骨董品
    ・ベトナムジッポー・1967
    ・ジャンクカメラ・キッズ
    ・古九谷焼幻化
    ・孔雀狂想曲•••孔雀石が話の種です。
    ・キリコ・キリコ•••江戸切子。
    ・幻・風景•••小説家が残した風景画。
    ・根付け供養
    ・人形転生•••人形=ビスク・ドール。

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    2024年05月02日
  • 香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉

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    北森鴻の連作ミステリ短篇集『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』を読みました。
    『桜宵 香菜里屋シリーズ2』に続き、北森鴻の作品です。

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    出会いはひととき、思い出は永遠。
    ビアバー《香菜里屋》からメニューが消えた訳とは。
    そして、ついに明かされるマスターの過去――。
    ミステリー史に輝く傑作、感動の完結!

    突如、ビアバー《香菜里屋》からメニューが消えた。
    マスター工藤と同じ店で修業したバーマンの香月は、
    友の変化を耳にし、かつて二人が経験した悲しい出来事を思い出す。
    工藤が待ち続けた人物が、ついに現れたのか――(「終幕の風景」)。
    連作短編ミステリーの金字塔、感動の最終巻!

    未完の「双獣記」も収録。
    解説 大矢博子
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    2011年(平成23年)に刊行された作品…… 三軒茶屋の路地裏にあるビアバー《香菜里屋》のマスター・工藤哲也が、客が持ちかける相談事や謎を、解き明かす安楽椅子探偵もの、香菜里屋(かなりや)シリーズの第4作(最終巻)です。

     ■ラストマティーニ
     ■プレジール
     ■背表紙の友
     ■終幕の風景
     ■香菜里屋を知っていますか
     ■解説 大矢博子
     ■双獣記

    香菜里屋シリーズ完結編…… 当店の裏メニュー、それはお客様が持ち込む謎と、その解決です、、、

    ビアバー香菜里屋は、客から持ちこまれる謎がマスター・工藤によって解き明かされる不思議な店…… 常連客は、工藤による趣のある料理とともにこの店を愛していた。

    だが、その香菜里屋が突然たたまれてしまう…… そして若かりし頃の工藤の秘密が明らかになる、、、

    シリーズ完結編…… 未完となった「双獣記」も収録。

    常連客たちが各々の事情で去って行き、工藤もある理由から店を畳み、姿を消してしまう…… 工藤の過去や人間関係、そして《香菜里屋》の名前の由来などが、それぞれの作品で明らかになっていく展開で、シリーズ集大成に相応しい作品でした、、、

    工藤の人生における悲しみや苦しみ…… それを乗り越えて《香菜里屋》を開いたことは、彼にとって救いだったでしょうね。

    《香菜里屋》は、待つための場所だったんですねー 他のシリーズのキャラクターも登場しているようですが、北森鴻の作品はあまり読んでないのでわかんなかったですね、、、

    個人的に好みなのは、正確無比な腕を誇る老バーテンダー・谷川が、香月圭吾の注文に応えてつくったマティーニが失敗した謎を探る『ラストマティーニ』かな…… バーマンのプライドや潔さが感じられて共感できました。

    シリーズとは全く関係ないのですが、意外と印象に残ったのは、未完に終わった作品『双獣記』かな…… 飛鳥時代を舞台にしたファンタジーですが、ここから面白くなりそうな第二部で途絶えてしまっています、、、

    うーーーん、残念…… 北森鴻の作品は歴史を題材にした作品も面白そうなので、機会があれば読んでみたいですね。

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    2023年11月02日
  • 支那そば館の謎~裏(マイナー)京都ミステリー~

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    現寺男である元泥棒の主人公が巻き込まれる事件を昔のスキルを使って解決しようとしてみたりする…読みやすくてサクサク読めてよかった。

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    2022年12月15日
  • 狐闇

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    骨董商を主人公の上質な2時間ミステリードラマを見ているような一冊。
    古代から明治維新、そして現代につながる歴史ミステリー。

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    2022年12月02日
  • 深淵のガランス

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    腕利きの職人である主人公の魅力と、絵画修復のディテール、あるいは夜の街の雰囲気で読ませる。主人公と仲間たちの関係性に魅せられる人は多そう。ただ、ミステリとしては出来がいいとは言いかねる。解決があいまいで、終わってもすっきりしない。そういう意味では短めの「凍月」がいちばんきれい。

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    2022年09月10日
  • 孔雀狂想曲

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    骨董品店の店主にしておくには惜しいほどの探偵っぷり。
    ここまで卓越した推理力は、骨董品店の店主には入らないような気がするが。

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    2022年09月11日
  • 花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1〈新装版〉

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    毎回、工藤が作る食べ物の描写が秀逸!
    すごい美味しそうに感じた。
    連作短編という作りになっており、その中でとりわけ好みの内容だったのは「終の棲み家」。そして全体的に馴染みのある場所やら駅名が出てくるので、読んでいて楽しかった。ミステリー小説だけれど切り口がよくあるミステリーと少し異なってる?ような気がしてなかなか面白いと思った。

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    2022年06月25日
  • 狐闇

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    ネタバレ

    前作に続いて贋作と騙し合い、複雑な歴史背景を上手く絡めてくる点も良。
    50前で亡くなっているのが残念だが、続編や周辺作も読んでみよう。

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    2022年05月11日
  • 香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉

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    美味しい料理と謎解きで楽しませてくれた香菜里屋シリーズの最終巻。
    もう続きは読めないのだと思うと、寂しい気持ちになる。
    書かれるのは《香菜里屋》の店名の秘密、マスター工藤の過去、店に通う客たちの現在。
    多くの出会いと思い出が詰まったこの店をずっと覚えていたい。

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    2022年05月01日
  • 狐罠

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    ネタバレ

    古美術の贋作をテーマにしたミステリ。
    残念ながら著者は早逝しているよう。
    存外面白いので残念。他も美術や民俗学などあるようなので良んでみよう。

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    2022年04月30日
  • 花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1〈新装版〉

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    美味しい料理とビール、そして日常の謎。
    その謎を解き明かすのは「香菜里屋」のマスター・工藤。
    彼が語る真相には驚きと悲哀が満ちている。
    静かで美しい世界観が魅力の連作ミステリーは思いの外ほろ苦い。
    特に表題作の印象が強く、驚嘆と言い様のない寂しさを同時に味わえる。

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    2022年01月11日
  • 支那そば館の謎~裏(マイナー)京都ミステリー~

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    ギャグ混じりの連作短編推理物。シリーズ第二作だが、筆者は亡くなったので、もう続編は無い。住職の正体が気になるが、もう想像するしかない。

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    2021年11月27日
  • ぶぶ漬け伝説の謎~裏(マイナー)京都ミステリー~

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    京都を舞台に元盗人が推理を繰り広げるギャグ混じりのミステリーもの。十兵衛の料理は美味しそうで良い。ストーリーとお笑い要素は今一つかな。

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    2021年11月09日
  • メビウス・レター

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    作家である主人公を追い詰める、「過去」からの手紙。登場人物が多くないことも読み手の想像や推理を掻き立てます。
    過去と現在が入り混じるまさに「メビウスの輪」のような複雑なストーリー。そして過去と現在が重なった先は驚きのラストでした。
    自分の頭の中で整理して道を切り拓きながら読み進めていくので、作者の作り出す世界に放り出されるような感覚になりました。
    主人公の目線で感情的に読んでも面白いし、作者の挑戦状を受けて論理的に読み進めるのも面白いと思います。

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    2021年08月12日
  • 桜宵 香菜里屋シリーズ2〈新装版〉

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    ネタバレ

    シリーズ第2弾。
    東京は三軒茶屋の裏路地にあるビアバー《香菜里屋》。決して立地条件が良い訳ではないのに客足が途切れないのは、美味しいビールと料理が楽しめる隠れ家のような安らぎの場だから。
    いつものようにマスターの工藤が優しい笑顔で訪れるお客たちを出迎えてくれる。
    工藤が「少し変わった物を作ってみたのですが」と言いながら勧める創作料理にまず間違いはない。お客の好みを知り尽くした男の饗しに、皆必ずや満足するはず。

    今回も工藤と常連客たちの推理合戦が楽しめた。工藤と常連客たちの仲の良さはいつ読んでも心地よい。
    ビアバーだけに推理合戦後の後味はちょっと苦めだけれど。
    そして今回も工藤作の料理の数々は想像するだけでお腹が減る。特に桜飯が食べてみたい。
    5編のうち『犬のお告げ』『旅人の真実』が面白かった。
    今回初登場のカクテルバー香月のバーマン・香月も気になる存在。

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    2021年05月09日
  • 花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1〈新装版〉

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    スピーディーに問題が解決されて、自分の考える視点とは別の角度で謎が解けたとき新たな考え方を見つけられた気がした。ビアバーの料理は美味しそうで、仕事終わりに工藤さんのような人に話を聞いてもらえたら悩みや不安が吹き飛ぶだろうなと思った。人生において全て知ることが重要なのではなく、憶測でとどめることも必要なのだと感じた。

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    2021年03月26日
  • 花の下にて春死なむ 香菜里屋シリーズ1〈新装版〉

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    #北森鴻を忘れない―。著者没後10年の昨年を機に、旧作が幾つか復刊されている。この<香菜里屋シリーズ>もその内のひとつ。三軒茶屋の路地裏にひっそり佇むビアバーのマスター・工藤が常連客の持ち込む様々な謎に名推理を光らせる、所謂【安楽椅子探偵】もの。孤独死を遂げた老俳人の過去を追う表題作は昭和史ミステリーとトラベルミステリー、双方の趣を兼ね備えた秀作で、今作の中で頭ひとつ以上抜きん出ている。それ故に、他の収録作品はどうしても見劣りしてしまう。後日談となる「魚の交わり」は少々蛇足的だが、トリッキーさが一際光る。

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    2021年03月06日