北森鴻のレビュー一覧
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著者は1961年生まれ。
2006年発行。95年デビュー。
佐月恭壱という痩身で作務衣姿の花師が銀座の店へ花を生けに行くところから始まる。
懇望されて生けに行っても気に入らなければ帰ってしまう。じつは絵画修復師という面も持ち、納得のいく紹介に限って引き受けている。
贋作事件に巻き込まれる可能性が高いからだった…
やや耽美的なムードのあるミステリ。
画伯の知られざる名品かと思われる作品の修復を依頼され、分割された様子を調べていく経緯。
個人が発見した古墳の壁画を修復するために洞窟に入り込み、絵と同化するような情熱で取り組むシーンなど、熱意を持って描かれていて、引き込まれます。 -
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久しぶりの冬狐堂シリーズ。蓮杖那智に匹敵するキャラが宇佐美陶子。
ともにかっこいい魅力的な女主人公。
冬狐堂が目を患った。網膜はく離の一歩手前だという。骨董品を扱う仕事にとって、目は命。
それを試すような日本人形の仕事に関わった。その謎を解き、勝利を手にする冬狐堂。
陶子の相棒ともいえる女カメラマンに関わる物語もあり。
そして、かつての夫プロフェッサーDが人形の謎を追って失踪した。それを探す陶子。
短編ではあるけれど、どれも物語に華があり、ストーリーが面白く展開される。
このシリーズを読むたびに骨董品にあこがれる。
おととい鎌倉に散歩に出かけた。
たくさんある骨董品屋を眺めながら、冬狐堂シリ -
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2009年2月18日購入
冬狐堂ものの第二作。
こちらも大変面白い。
第一作よりも物語としてもまとまっている。
ある方向から強く光を当てたかのような
キャラの描き方に思えるのが不思議だ。
何というか女性がプライベートと称しつつ
眉毛を落としていないような
不自然な感じは何なのだろう?
いやもちろんそれは魅力なのだけれど
なんだか時分とはだいぶ違う感覚なのだと思う。
知ってる人の中では京都のA山さんが
わりとこんな感じだったかとも思う。
自分の感想を読み返してわかったがこの人の作品は
作品の世界に入らないと楽しめないのである。
まあ当たり前の事なのだが
その作業の負担が非常に大きいの -
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2009年2月18日購入
かなり5に近いが最近5が多いので自粛。
とはいえかなり面白かった。
狂乱廿四孝に比べると
ずいぶん文章が読みやすい。
きっとこの人は短編が上手なのだと思う。
カナリヤシリーズもそうだし。
短編でないと登場人物が収拾がつかなくなるのだろう。
この本の最後の話はことに面白かった。
こってりである。
伏線もきちんと張ってあって
ラストまで納得の展開。
その他の話がどうも将棋の投了のところで終って
素人にはほんとに詰んでいるのかよく分からない感じが残っただけに
これが最後でよかったと思える。
うんちくもたいへん面白い。
古美術はほんとうにそれらしく思えるから
小説家に -
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初期の頃の北森鴻の短編と人気作家になるまでのエッセイが収録されてる作品です。と、言う事で短編だけちょっと書きますね
「仮面の遺書」
1990年クリスマス・イブの夜に河原で燃えた男がいた。三年たった今ビルには彼の遺作の作品が正確に複写されていた。ある日そのビルの前で眺め続ける全身青の服装の男がいた。そのビルの前で働く依子は、その男に気付き声をかけた・・。
「踊る警官」
大阪府警本部長宛に一通の手紙が届いた。そこには、数年前に行方不明の女子高生をY塚山御陵に埋めたと告白した事が書かれていた。大阪府警は、捜査に乗り出すが・・・。
「無残絵の男」
大政奉還が終わり江戸が東京に地名を変えた -
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市で競り落とした二つの青銅鏡。冬孤堂の旗師・宇佐見陶子は、その青銅鏡を手に入れてから、予期せぬ出来事が・・・。
競り落とした青銅鏡の一つがすり変えられてた。そのすり変わった青銅鏡は、陶子を魅了したのだが、後日その物を引き取りに来た。事情をしり返したのだが・・・。
市に参加して競り合った男の死。青銅鏡を市に出した骨董業者は、行方知れずに・・。その業者は、帰って来て陶子に絵画を売ったのだが、その絵画を元に陶子は、罠にはまる。陶子は、贋作作りの汚名を着せられ骨董業者の鑑札を剥奪されてしまう。売りつけた業者も死んでしまう。罠を仕掛けたのは誰か?満身創痍の陶子は、仲間の力を得て捜査をする。この真相は -
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ネタバレデパートの屋上が舞台のミステリ連作短篇集。
この屋上でいくつかの不可解な事件が起こる。
屋上には、このデパート地階にある讃岐うどん専門店が出すアンテナ・ショップがある。良心的な200円台という安さで、正真正銘の手打ちうどんを提供する。だから、昼休みになると、近所のサラリーマンやOLでごった返す。
そんな人気うどんスタンドをひとりで切り盛りするおばちゃんが、この物語の名探偵役。通称「さくら婆ァ」。男前な女傑。屋上を仕切っている。
北森作品は読み始めて間もないが、読後感がやさしく、温かい。犯罪が描かれているにもかかわらず、だ。どうしてだろう、と考えてみた。
著者・北森鴻さんは、しばしば料理の