あらすじ
花師と絵画修復師、2つの顔を持つ男
画壇の大家の孫娘の依頼で佐月は、いわくつきの傑作を修復することに。パリの街並の下に隠されていたのは!? 表題作ほか2篇
感情タグBEST3
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この人の骨董や民俗系、さらには今回の絵画修復とか、文化財系の知識は歴史学科出身というのが大きいのか。。。
それだけでここまでのものをかけるというのか。。。
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絵画修復の裏側に迫る面白さに引き込まれる。そして著者の得意な連作短編の形態ではあるが、実は長編的な展開。そして他のシリーズに出てくる名物キャラも登場するファンとしてはたまらない。
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花師と絵画修復師という二つの顔を持つ男が修復を依頼された絵画にまつわる謎を解いていくシリーズの第1弾。旗師冬狐堂が脇役として顔をだし著者お得意の他シリーズとのリンクが成り立つ世界の物語だ。そして私にとっては著者北森鴻の訃報を聞く直前に読んだ作品でもあった。また好きなシリーズが始まり続きが早く読みたい、第2弾の文庫化が待ち遠しいと思っていた最中での訃報だった。大好きな作家の死というものに打ちのめされたのはこのときが初めてだった。これまでにも好きな作品を書いていた作家の訃報を聞いたことはあった。たしかにもう新たな作品が発表されないのかと思えば哀しく残念だった。しかし北森鴻の訃報に比べれば軽い動揺でしかなかった。北森鴻が死んだ。それを知らせる文字を目にした瞬間の衝撃に私は言葉を失った。もう新たな北森作品が世に出ることはない。そんな哀しみが存在することが信じられなかった。もう読めなくなってしまう。あとは遺された作品を惜しみながら読んでいくしかない。先日、発行された蓮丈那智シリーズの最新刊はせめてもの慰めだがもっと読みたかった。読み残しの存在にすくわれながら私はこれからも彼の作品を読み続けていく。北森鴻の突然の訃報から間もなく二年が経つ。今もまだこの断絶を忘れることはできないが一読者として冥福を祈っている。
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東銀座に事務所をかまえ、花師と絵画修復師の二足の草鞋を履く
佐月恭壱は「確かな筋」から受けた仕事でありながら
何故かトラブルに巻き込まれる。
美を巡る世界に巣食う魑魅魍魎はどこにでも顔を出す。
オリジナル(原作者)と同様の心を持ち、それ以上の腕がなければ
成し得ない修復の技。
ミクロとマクロの作業を同時進行させる精神力。
一歩間違えれば贋作者に転落する危険を伴う仕事。
恭壱が修復の作業に入った時は読み手も緊張する。
思わず息を殺して活字を追ってしまう。
恭壱と一緒にいる善ジイもすごくいい!
恭壱の修復作業に必要な道具&材料を絶対に集めて来る。
この人の情報網も侮れない。
あの、洒落にならない悪戯は最高だったわぁ~
そして何より驚いたのが、女狐女史って
あの人だったのね・・・気付くの遅かった・・・
女って・・・怖い(-。-;)
続編も読むぞ!
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ゼミを思い出す。
『深淵のガランス』は作品(元ネタ)があるのか題名がしっくり来なかった。
深淵の〜の言語イメージに付随して視覚的に赤がくるとは思えない。
表紙はもっと深い赤がよかったなぁ。
双識ぽいイメージ。
狐さん出てきて!
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絵画修復師のお話し。
凄腕の修復師なんだけど、やっぱりちょっと偏屈(笑)
それと、話自体が若干ハードボイルドかなぁ。
まっとうな人はあまり出てこない。
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ガランスはフランス語で茜色の意味を表しているそうです。
久々に読みました。
北森鴻さん。
急逝されたそうで。残念です。
私が手にとった北森鴻さんの作品たちは、
登場人物が
とんでもない人たちばかりです。
考古学者・バーのマスターなど。
職業は違えど、
全体的には似ています。
それはそれは、
スーパーな人ばかり。
今回は、花師 兼 絵画修復師。
その作品が、
真作なのか贋作なのかを
見分ける眼を持ち、
作者と同じ筆遣いを行うことの出来る
技術を持っている。
時に修復師として名を馳せたなかには、
贋作に身を染めてしまう人も存在していたり。
物語は、
そんな絵画への複雑な情熱や
絵画の復元、
修復への過程が
とても丁寧に描かれています。
ミステリーと言っても、
殺人劇ではなくて、
その絵画に込められた真実や
それを取り巻く人間の真相に迫っていくものです。
どの作品を通しても、
一貫した雰囲気があって。
重すぎずに、
綺麗で、
静かで。
もう、
新刊を読むことができなくなるのは
とても残念。
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「血色夢」の美術用語が難しくて、積読になっていたけど
ようやく読破!
「凍月」での若かりし佐月恭壱、つくづく女を骨抜きにする男だなーと。笑
個人的には、表題作の「深淵のガランス」が好きでした。
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著者は1961年生まれ。
2006年発行。95年デビュー。
佐月恭壱という痩身で作務衣姿の花師が銀座の店へ花を生けに行くところから始まる。
懇望されて生けに行っても気に入らなければ帰ってしまう。じつは絵画修復師という面も持ち、納得のいく紹介に限って引き受けている。
贋作事件に巻き込まれる可能性が高いからだった…
やや耽美的なムードのあるミステリ。
画伯の知られざる名品かと思われる作品の修復を依頼され、分割された様子を調べていく経緯。
個人が発見した古墳の壁画を修復するために洞窟に入り込み、絵と同化するような情熱で取り組むシーンなど、熱意を持って描かれていて、引き込まれます。
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腕利きの職人である主人公の魅力と、絵画修復のディテール、あるいは夜の街の雰囲気で読ませる。主人公と仲間たちの関係性に魅せられる人は多そう。ただ、ミステリとしては出来がいいとは言いかねる。解決があいまいで、終わってもすっきりしない。そういう意味では短めの「凍月」がいちばんきれい。
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本人は裏稼業のつもりはないのだろうけれど、絵画修復にまつわる後ろめたい感じや、修復の仕事がどうにも訳ありなものばかりで、ヒンヤリと暗いムードを醸し出してる。
かっこいいし影もあるし、仕事の腕はどちらの仕事も天才肌だし、周りにも濃いキャラが何人もいるというのに、なぜかまったく文中の人物の佇まいを想像できず。
香菜里屋のマスターは、まるで実在の人物のように思い浮かぶのになあ。
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絵画の話、修復内容のこと、少しわたしには難しかったのだけど
それでも、北森鴻さんの小説にのめりこんでしまうのは
解説のピーコさんも書いているように、主人公に惹かれているから
クールで格好いい、色々な小説で色々な格好良さを感じるのだ
これからも、本屋さんで見つけては買ってしまうだろうな
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途中までしか読めずに返却。
北森氏の作品にはちょっと気取ったミステリアスイケメン&レディが多い気がするが、このシリーズの主人公もそういうタイプ。清涼院みたくやりすぎるとちょっと気持ち悪いけれど、北森さんくらいのだとイヤミなく読み進められる。
美術品を主軸にしたミステリというのも好感度が高い
(あんまりないから
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作者の作品としては、標準レベルか。 しかし、よく勉強して作品を書く作家であったなぁ、と思う。 必ずしもファンというわけではなく、また熱心な読者でもなかったが、結構好きで作品を手に取っていた作家だけに、物故したのは何とも残念。 しかし、一度読んだことがある作品かどうか、書店に行ってもにわかに判断がつかないのは、ちと難儀。
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北森氏得意の職人シリーズの新版。相変わらずのオタクな知識の展開で読者をグイグイ引き寄せる筆力はさすが。ただ、題にもなっているガランスの意味が理解できなかった自分が悲しい。ピーコの解説がよかった。途中で、おっ~冬狐堂が出てくるかな…と期待したが、残念。
Posted by ブクログ
久しぶりの北森作品。
相変わらず、かっこよくって面白かった。
新しいキャラ佐月恭壱が登場する。
佐月恭壱とは、絵画修復師を営む天才。
北森作品は、こういうかっこいいヒーローがどんどん登場してぐいぐい魅せつけるわりに、
結構マニアックな話に持っていくところがなんともファンにはたまらない。
骨董品、考古学、歴史学につぎ、今度は、絵画。
ヒーローたちは、味付けであり、実のところ本当の素材は、人間の作り出した尊敬すべき叡知であると思う。
朱大人父娘や前畑といったこれまた興味深いキャラに、
絶対に陶子だと思われる謎の女。
長々と北森作品を読んできてよかったと思わせてくれる。