あらすじ
さまざまな人たちが集まるそのデパートの屋上では、いつも不思議な事件が起こる。飛降り自殺、殺人、失踪……。だが、ここに、何があっても動じない傑物がいた。人呼んでさくら婆(ババ)ァ、讃岐うどん店の女主人である。今日もPHSの忘れ物が一つ。奇妙なことにそれが毎日、同時刻に呼出音だけ鳴るのだ。さくら婆ァの手が空いた時間帯に、まるで何かをつたえたいかのように……。早世したミステリー界の異才が残した珠玉の連作「屋上」推理、熱いリクエストに応えて待望の電子化!
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Posted by ブクログ
「はじまりの物語」「波紋のあとさき」
「SOS・SOS・PHS」「挑戦者の憂鬱」「帰れない場所」「その一日」「楽園の終わり」「タクのいる風景」
デパートの屋上にあるうどん店の主・さくら婆ァ。そのデパートの屋上ではいつも不思議な事件が起こる…。飛び降り自殺、殺人、失踪。何があっても動じないさくら婆ァの名推理。
最初は明るい感じかと思ったけど、すぐにやり切れないような事件と真相が…。好みの展開で良かった。
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〈再登録〉デパートの屋上で起きる数々の事件を解決するのは「屋上の主」こと、うどん屋の店主・さくら婆ぁだった…
一つの事件が別の事件の引き金になる…という構成は、「メイン・ディッシュ」などと似ています。この作品では語り手が稲荷神社の狐だったりベンチや観覧車だったりしますが。
デパートの屋上という特殊な空間に集まった人間ドラマという感じがしました。明かされる真実は残酷なものばかりですが、さくら婆ぁの内に秘めた優しさに救われます。
〈追記〉令和の今ではデパートの屋上も失われた風景になってしまいました。屋上が憩いの場であった時代を忘れずにいたいものです。
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デパートの屋上が舞台の連作短篇集。
主人公は屋上名物のうどんを作る店主さくら婆ア。
けれど語りは、屋上にある物たちである。
稲荷社のお狐様や観覧車や地蔵尊だったりする。
屋上の風景を見てはいるけれど、何もできない。
中心にいるのが、酷いダミ声のさくら婆アで、探偵役。
その後、興行師の杜田と高校生のタクが
ある意味、助手的な役割でメインキャラになってくる。
が、どうにも苦しいのですよ。
いたるところに悪意がにじみ出ていて
そういうのを読むのは、本当に苦痛なのですよ。
こういう作品もあったのですねぇ・・・
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北森作品コンプのラスト1冊!ということで力んで臨んだところ「んむむ?読んだことあるぞこれ?」と焦るw
きっと最初の1篇だけ、なにかのアンソロジーに収録されてたのね~。ふぅ、冷や汗モンだわよww
さて、本書はとあるデパートの屋上が舞台。
探偵役はさくら婆ァw うどんスタンドの主である。
助手は常連客で興行師の杜田と高校生のタク。
それにしても、人が死ぬ事件多すぎw
このデパートに人が寄り付かなくなりそうだよ、と余計な心配をしたくなるww
まぁ、それはおいといて・・・そうやって次々と発生する事件を,屋上に鎮座まします稲荷社の使い狐,観覧車,ベンチなどのモノたちが1話ごとに語り手となり、それぞれの視点をまじえての連作短篇集。
ラスト1篇は番外編。
盛岡のデパートの屋上で事件に遭遇したタクが主人公に。
どれもなんだかやるせないお話。
でも美味しいうどんを食べに、池袋に行ってみよう!w
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連作とかオムニバスとか言うよりも、「長編連鎖ミステリ」という表現がぴったり。個々の話が綺麗に繋がって連鎖して、最後にぴったりと合う。一つ一つの話は地味なんだけど、通し読みすると良さ三倍増。
観覧車とかベンチとか、無機物が語る形式っていうのも面白いし。宮部みゆきの「長い長い殺人」の形式と同じだな。
Posted by ブクログ
「香菜里屋」シリーズの著者ね。デパートの屋上で起こる事件を屋上のうどん店の主、通称さくら婆ァが解決する、と書くと、ユーモアミステリーみたいですが、必ずしもそうではない。さくら婆ァが訳ありで暗い過去を背負ってるから。章ごとに語り手が変わるのですが、それが人ではなく、屋上の観覧車だったりベンチだったりして、その辺の書き方はさすがに上手いです。ただ、個人的には、さくら婆ァの書き込みが物足りない。すごく魅力的なキャラなのに惜しい。それは恐らく著者が男性だからではないかと思ったり。
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デパートの屋上が舞台のミステリ連作短篇集。
この屋上でいくつかの不可解な事件が起こる。
屋上には、このデパート地階にある讃岐うどん専門店が出すアンテナ・ショップがある。良心的な200円台という安さで、正真正銘の手打ちうどんを提供する。だから、昼休みになると、近所のサラリーマンやOLでごった返す。
そんな人気うどんスタンドをひとりで切り盛りするおばちゃんが、この物語の名探偵役。通称「さくら婆ァ」。男前な女傑。屋上を仕切っている。
北森作品は読み始めて間もないが、読後感がやさしく、温かい。犯罪が描かれているにもかかわらず、だ。どうしてだろう、と考えてみた。
著者・北森鴻さんは、しばしば料理の達人を登場させる。<ビア・バー香菜里屋・シリーズ>のマスター・工藤も、『メイン・ディッシュ』のミケさんもそうだった。そして、このうどん屋の「さくら婆ァ」もそうだ。多くの客を唸らせている。彼らの作る料理の美味しそうなことといったら、食べてみなければ、いや読んでみなければわからない。
このスペシャルな料理に、まずはやられる。おいしい料理に心和まない人はいないだろう。
腹は鳴くが……もうひとつ、北森作品に共通しているのは、いずれの料理人たちの心にもとげが刺さっているところだ。どこか翳がある。彼らは人に言えない悲しみを秘めているのだ。事件にかかわる人々の悲しみを、彼らも実感として知っている。そんな悲しみを抱えているからこそ、彼らは人に対してやさしくできるのだと思う。思いやりあふれる彼らの言動は、事件当事者たちの凝り固まった心を解きほぐす。名探偵とは、事件の謎を解くだけの存在ではない。被害者の心情をも理解する。ときには加害者にも。そんな彼らが悲しみや苦しみから立ち上がろうとする凛とした姿は、読み手の心に清々しさをもたらしてくれるのではないだろうか。凛とした姿と書いたが、実際の探偵役たちは、場末の小さなバーのマスターであり、女に拾われた居候のフリーターであり、デパート屋上のうどんスタンドのおばちゃんなのである。彼らの外貌と、明晰な頭脳やさりげないやさしさとのギャップが、これまた微笑ましく、やはり読み手の心をつかむ要因になっているのだろう。
また、わかったような感想。不細工。かっこ悪い。反省。べるさん、ご紹介ありがとうございました。
Posted by ブクログ
この小説凄いです。
屋上にある、遊具やベンチ、ありとあらゆるものが(人には聞こえない声で)喋る、喋る、喋る!!!
物語も短編連作なので、小休止を置けますね。
Posted by ブクログ
そのデパートの屋上では、いつも不思議な事件が起こる。飛降り自殺、殺人、失踪。ここに、何があっても動じない傑物がいた。人呼んでさくら婆ァ、うどん店の主である。今日もPHSの忘れ物が一つ。奇妙なことにそれが毎日、同時刻に呼出音だけ鳴るのだ。彼女の手が空いた時間帯に、まるで何かを伝えたいかのように…。屋上の名探偵さくら婆アの奮闘ミステリー。
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北森さんの作品の中では軽めですが、キャラと背景がよいです。時代に取り残されたような屋上と、他の人だったら描かないようなうどんスタンドにいる過去にわけありの頭のきれるおばさんが主人公。杜田とタク、その他の登場人物も世の中の主流から外れた感じで全体的にたそがれた感じがよかったです。
Posted by ブクログ
デパートの屋上で発生する数々の事件を、「稲荷社の使い狐」、「観覧車」、「ベンチ」など無生物の視点から描いた連作短編集。救いのない話が並び、後味が悪く、忘れがたいインパクトを与える作品。ある短編の脇役が、次の短編で重要な役割を果たす構成は見事だが、全体的な構成は少し散漫に感じる。個々の短編の完成度は高く、どれも一定の面白さだが、香菜里屋シリーズほどの深みはない。裏京都シリーズよりは上だと感じる。北森鴻の短編作品としては及第点ギリギリの出来か。★3。
○ 始まりの物語
稲荷社の使い狐が語り手。デパートの女性店長の自殺、店長の子どもの万引き、いじめといったネガティブ要素が満載な作品。いじめられていた西尾隆一という少年の飼っていた子猫の命が助かることだけが救いだが…この少年の存在は、あとの話の伏線になっている。
○ 波紋のあとさき
観覧車が語り手。「始まりの物語」で黒幕だった警備員の中岡という男が殺害される。中岡と仲がよかったペットショップの「るみちゃん」という少女が、宗教にはまってしまうなど、この話もブラック要素満載。事件の真相は、中岡が自身の悪巧みを原因とする事故で死んでしまったというもの
○ SOS・SOS・PHS
「波紋のあとさき」で宗教にはまってしまったるみちゃんから、PHSを使ったSOSがあったが、宗教団体に殺害されてしまう。るみちゃんの活躍で、集団自殺を防ぐことはできたのだが…。るみちゃんの死が、この話のやるせなさを引き立てる。
○ 挑戦者の憂鬱
「SOS・SOS・PHS」で、るみちゃんの行方を探すために働いた佐古下という男が犯人である事件。語り手はピンボール。ピンボールにハマるタクという少年が、命を狙われる。ロクさんという男も登場する。ピンボールのハイスコアを出した佐古下が、ハイスコアがある事実を隠すためにピンボール台を破壊しようとするが、動機がばれないように、タクを狙ったと見せかけたというのが真相
○ 帰れない場所
バグパイプという楽器が語り手。『挑戦者の憂鬱』で怪我をしたロクさんという男が失踪したという事件。真相は、ロクさんは過去に人を殺害してしまったことがあり、バグパイプを演奏している姿を見て、そのことを思い出し、失踪してしまったというもの
○ その一日
『帰れない場所』で語り手だったバグパイプをめぐる話。語り手は地蔵。バグパイプを演奏していた男が楽器を忘れてしまう。バグパイプを演奏したのは地蔵に聴かせるためであったが、バグパイプの持ち主は、妻に殺害されており、妻は愛人と愛人の子をはめて、アリバイを作ろうとしたという話。こちらもかなりダークな話。楽器をロッカーに入れなかったのは、バーゲンの日だったから
○ 楽園の終わり
さくら婆さんのうどんの売店のスタンドが閉鎖されるという話。『始まりの物語』でいじめられていた西尾隆一という少年が体を鍛え強くなったが、少女を殺害してしまったという話。これも相当やるせない話である。最後に杜田がかつて、さくら婆さんの子どもが事故で死んだ原因を作ったことを伝える。
○ タクのいる風景
さくら婆さんも登場しない。盛岡のデパートの屋上に出かけたタクの話。デパートの売却のために工作をするタカさんという人が出てくる。タカさんの娘の大野昌子がひき逃げされてしまったことから、タクはタカさんが犯人と推理するが、真相は、大野昌子の自殺騒ぎは、爆弾の被害者を出さないための狂言であり、ひき逃げは全くの偶然だったというオチ。これもやるせない話である。
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再読5回目。
面白いなー。この人の作品には、なぜだかいつも美味しそうな物が出てくる。本筋には関係ないのだけど、それがあることで物語の統一感が出てくるというか。食べてみたい、さくらスペシャル。
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北森さん好きの人から評価が高い作品、というイメージがあったので購入してみた。だってわたしも北森ファンだもん。でも北森さんの個人認定割こう傑作はやっぱり「孔雀狂想曲」か「狐闇」だなあ。
たしかに屋上に置かれた物たちが語り手となったり、さくら婆ァの過去や興行師杜田、やんちゃな高校生タクなどの人間味あふれるユーモラスな描写や、容赦がない言葉達、もの悲しい過去などは北森鴻らしい。それをうまくまとめるのなんて、まさに北森鴻なのだ。
でも、なんか物足りない。もっともっと踏み込んで欲しかった。それはきっと物を語り手にしてしまったせいなのかもしれないが、もっと…!と求めるそれ以上の物をいくつも書いている作家さんだから。
ただ、解説はもの凄くいい!ああ、池袋ね。今度行こう、と思ってちょっと得した気分になったものだ。
Posted by ブクログ
デパートの屋上のモノ達目線で語られていく、短編連作。
さくら婆ァ、杜田のキャラは強烈のようでいて、思ったほどでもない。
後半に行くにつれ、マイルドになっていく。
全体に暗め。
文体が、ではなくて、ミステリーの内容が。
Posted by ブクログ
舞台はデパートの屋上のみ(最終章以外)。
語り手は屋上にある稲荷の狐だったり、ベンチだったり、
観覧車だったり、ピンボールゲームだったり、屋上自体だったり。
(最近、モノ主観の小説ばっかり読んでる気がするな…)
うどん屋の名物店員「さくら婆ァ」が
屋上で起こる様々な事件に触れる連作短編ミステリー。
やくざの杜田をうどん1杯で使いっ走りに使う
「さくら婆ァ」の豪快さがもの凄い。
Posted by ブクログ
良くも悪くも、あまりにも、北森作品らしい。 つまり、キャラの魅力はふんだんにあるが、謎解きに関しては、推理というには根拠が弱く、推測の域を出ない印象しか持てないということ。
などと、手厳しいことを言いつつ、実は私は北森氏の大ファンなんですが。 だって、ミステリと言えども『小説』ですもの、こんなに人物が描ける作家を、嫌いなワケないじゃないですか(笑)
胸が痛くなるようなストーリーが多かったけれど、痛快さを感じさせる3人のキャラ設定で、救われましたから。
Posted by ブクログ
北森さんは、やっぱり好きだよ。
少し後味が悪いのが良いね♪
好みからすれば、桜闇のシリーズのほうが好きだけど、ストーリー展開としてはこちらが上かなぁ。