北森鴻のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
北森鴻が亡くなって、もう半年以上経つのですね。訃報を耳にしたときは本当にショックでした。大好きだった「香菜里屋シリーズ」ももう読めない。そしてこの「佐月恭壱シリーズ」は「旗師・冬狐堂シリーズ」と同じ世界で展開される(ということは「民俗学者・蓮丈那智シリーズ」とも同じということ)、花師と絵画修復師の物語で、これも続きが気になるところなのにもう読めないのですね。
修復師の物語というと、藤田宜永の『壁画修復師』や、篠田節子の『贋作師』、細野不二彦の漫画『ギャラリーフェイク』などを思い出しますが、職業そのものが不思議な雰囲気をまとっていて心引かれる感じがします。まして、この本は主人公は花師(花屋や華道 -
Posted by ブクログ
骨董をテーマにした連作ミステリー短編集です。
冬狐堂シリーズ同様、取引に纏わる裏世界と
人の欲の深さと、同業者との騙し合いなどがあり
殺人事件が起こったりもする。
主人公は下北沢で開店休業状態の雅蘭堂店主の越名集治。
決してイケメンではないのに、温かい。
作品や人に対する接し方が紳士なのですよ。
常に正面を向いて、真っ直ぐなんですよ。
この人好きです!
他のキャラもよく描かれていて、時にワクワク、
時にハラハラしながら楽しく読めました。
北森作品を読むなら、ここから入った方がいいかも・・・
解説が北森作品が好きだぁ~と言ってるような内容で
北森作品のシリーズやキャラについての説明が
わかり -
Posted by ブクログ
捨てたはずの過去から届く手紙が主人公をじわじわ追い詰める。
それに加え編集者が殺され、人妻のストーカーが周辺を徘徊し・・・
やっぱりこの方の書く物語は面白いです。
つくづく惜しい人を亡くしました。。。
本作の文体を模写をして、読後感想。
ねぇ、キミ、どうしてそんなに足早に居なくなってしまったんだい?
こんなにもすばらしく悲しい物語を紡ぎだして読者を魅了しておいてサ。
阿坂が酒に溺れる姿がどうしてもキミに重なってしまって切なかったよ。
飲まずにはいられないくらい何に追い詰められていたんだい?
そこまで追い詰めてしまったのが僕らなのだとしたら、僕たちは罪びとだ。
ごめんよ、キ -
Posted by ブクログ
シリーズ第3弾(前2作は講談社から出されてます)
本作の主人公は旗師(店舗を持たない美術商)
冬狐堂という屋号を持つ宇佐美陶子(うさみとうこ)。
知らない世界を覗き見てるみたいで始終ワクワクしました。
そして登場する作品達のなんと魅惑的な事。
それに反して取引に纏わる裏の世界のなんと恐ろしい事。
人間の欲の深さと執念は、まさに魑魅魍魎。
作品の作り手の思いもまた時に純粋で時に悪意に満ちている。
しかしジっと動かずに獲物を狙う冬の狐のごとく
ずるく、賢く立ち回り、陶子がその思いを拾い上げる。
古美術に対する陶子のブレナイ姿勢がなんとも凛々しい。
「緋友禅」が一番興奮したかもしれない。
相手