北森鴻のレビュー一覧

  • 深淵のガランス

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    花師と絵画修復師という二つの顔を持つ男が修復を依頼された絵画にまつわる謎を解いていくシリーズの第1弾。旗師冬狐堂が脇役として顔をだし著者お得意の他シリーズとのリンクが成り立つ世界の物語だ。そして私にとっては著者北森鴻の訃報を聞く直前に読んだ作品でもあった。また好きなシリーズが始まり続きが早く読みたい、第2弾の文庫化が待ち遠しいと思っていた最中での訃報だった。大好きな作家の死というものに打ちのめされたのはこのときが初めてだった。これまでにも好きな作品を書いていた作家の訃報を聞いたことはあった。たしかにもう新たな作品が発表されないのかと思えば哀しく残念だった。しかし北森鴻の訃報に比べれば軽い動揺で

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    2011年12月19日
  • 共犯マジック

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    ネタバレ

    いやー面白かった。連作短編集のような長編のような。人の不幸のみを予言する「フォーチュンブック」をめぐる人たちの話。そこに帝銀事件、三億円事件、グリコ・森永事件が絡んでいく。人物相関図を描きたくなるほど入り組んでるけど、それなりについていけるし、やっぱ実在の事件と絡むのがとても面白い。今もって真相は分からないんだもんな。

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    2011年12月17日
  • 狐罠

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    古美術ミステリーと聞いて、テレビの2時間サスペンスみたいなトンデモ系かと思いきや、本格的に読ませる話で、引き込まれた。

    何より、骨董に関する記述が専門的で細かいのに、知識の全くない自分でも面白く読める。蒔絵の文箱の文様の描写など、見たことがあるかのように鮮やかに頭に浮かぶ。

    ただ、知識的なものより、登場人物それぞれの個性が際立っているのことが、この話の魅力をより増している。
    主人公の冷静でいながら内に秘めた熱や、敵となる橘薫堂の品の良さをとりつくろった中に垣間見える下劣さなど、実際にそこにいる人のよう。

    一点、硝子さんの口調は疑問。筆者が男性か女性か知らずに読み始め、途中も「どっちなんだ

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    2011年11月01日
  • 暁英 贋説・鹿鳴館

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    ネタバレ

    ついについに、読み終わってしまいました。
    未完の文字が切ない。
    絵版師の二人組も出てきて嬉しい。

    はぁ…。切ないけどでも、この本が読めて良かったです。

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    2011年09月04日
  • 狐罠

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    旗師・冬狐堂シリーズ第一弾。
    目利き殺しを仕掛けられた陶子が、仕掛け返そうと決意するが、
    そこには別の思惑が入り込んでいて、骨董商や贋作者、
    大学教授から保険会社の調査員に博物館の研究員までが
    入り乱れての壮大な騙し合いに発展する。
    「なんて世界なんだ、まったく!」と陶子がボヤクほどにスゴイ。
    どこまでも追いかけてくる緊張感。
    仕掛けられた『罠』を楽しんでください。

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    2011年08月05日
  • 緋友禅 旗師・冬狐堂

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     『狐罠』『狐闇』と長編で発表された、店舗を構えない骨董商、旗師・宇佐美陶子シリーズの初短編集です。
    「 陶鬼」「永久笑み」「緋友禅」「奇縁円空」の4編ですが、どれも内容が濃いです。
    骨董の奥深さと蘊蓄、そこに関わる腹黒い守銭奴と主人公・陶子の駆け引きが魅力です。
    こんな濃い内容を短編で惜しげもなく出してしまうなんて、北森鴻はファン想いです。

     とくに好きなのは「奇縁円空」です。諸国を放浪し、生涯で12万体ともいわれる仏像を彫ったといわれている円空の謎の考察は、基本的な事実を丁寧に織り交ぜながら、またまたびっくりするような視点を最後に提示してくれました。
     
     円空の木仏に似たもんなんて、素

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    2017年08月15日
  • 蜻蛉始末

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     北森鴻の中で一番好きな作品です。

     題材になった藤田組の偽札偽造疑惑なんて歴史があることも知りませんでしたが、維新の有名人も裏で糸引いているしで、けっこう大きな疑獄事件みたいです。
    北森さんは山口出身なので、この長州出身の財界の豪傑特別な思い入れがあったんじゃないしょうか。 
     偽札を偽造する場面の鬼気迫る描写が、とくに気に入ってます。
     
     

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    2017年08月15日
  • 狐罠

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     古美術ミステリーの大傑作です。

     詐欺なら騙すほうが一方的に悪いが、こと古美術に関しては鑑識眼がない騙されるほうが悪い。
     店舗を持たない骨董商(旗師)の冬狐堂・宇佐美陶子は、まんまと同業の骨董商に騙され贋物をつかまされるが、贋物をつかまされたという噂がたてば自らの信用に関わるので、訴えることもできない。
     ならば自らの手で意趣返しするしかない。これが狐が仕掛けた罠だ。
     
     相手は老舗の老親父でさながら古狸なので、狐と狸の化かし合いです。
     
     古美術に関する蘊蓄満載で、オススメのミステリーは聞かれたら真っ先にこれをすすめて、北森ファンを増やしています。
     これを面白くなかったと言った友

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    2017年08月15日
  • 深淵のガランス

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    東銀座に事務所をかまえ、花師と絵画修復師の二足の草鞋を履く
    佐月恭壱は「確かな筋」から受けた仕事でありながら
    何故かトラブルに巻き込まれる。
    美を巡る世界に巣食う魑魅魍魎はどこにでも顔を出す。

    オリジナル(原作者)と同様の心を持ち、それ以上の腕がなければ
    成し得ない修復の技。
    ミクロとマクロの作業を同時進行させる精神力。
    一歩間違えれば贋作者に転落する危険を伴う仕事。
    恭壱が修復の作業に入った時は読み手も緊張する。
    思わず息を殺して活字を追ってしまう。

    恭壱と一緒にいる善ジイもすごくいい!
    恭壱の修復作業に必要な道具&材料を絶対に集めて来る。
    この人の情報網も侮れない。
    あの、洒落にならな

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    2010年08月13日
  • 狐闇

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    事の起こりは競り市で青銅鏡を手に入れたこと。
    しかしそれは盗品で、持ち主に返すことになるのだが、
    それはただの青銅鏡ではなかった。

    そして青銅鏡を盗んだとされる男が自殺し
    競り市の主催者から買い取った絵画が消え
    贋作を捌いているという汚名を着せられ鑑札を失う。
    更に競り市の主催者が強盗に殺された。

    確実に陶子を巻き込んで何かが動いている。
    謎が謎を呼び、更に深まる謎。
    そこに手を差し伸べ、共に戦ってくれたのは
    硝子さんであり、蓮杖那智先生であり、雅蘭堂の越名であり、
    そして癒し役で、香菜里屋の工藤も出てきます♪
    北森オールスターズ勢ぞろいです!

    魑魅魍魎の親玉級の命を掛けた化かしあい。

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    2010年08月09日
  • 瑠璃の契り 旗師・冬狐堂

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     旗師・宇佐見陶子が主役のミステリー第2弾で、一話ごとに陶子の過去が明らかになっていく。 トリックのためのミステリーの場合、先が読めた時点で興が冷めることもあるが、北森鴻の作品にはそれがない。膨大な取材に基づくと思われる緻密な書き込みと、その中に投げ込まれる一点の虚構。その舞台で魅力的な人物が動き出すとき、事件の解決すらも作品の構成要素のひとつでしかない。一瞬のカタルシスとその先にあるひりりとした味わいまでも、すべてが計算しつくされている。 扱う材料は、「雛」「ゴーキー」「切子」「生き人形」。ミステリーとしては「クピド」が面白いが、陶子を知るには「苦い狐」もよろしい。

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    2014年06月08日
  • 狐罠

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    北森鴻さんの長編を初めて読んだ。あれあれ、という感じで進んでうぅん、とうならされた。最後がなんかあっさりしているのはこの主人公ならではで、えっと現実に戻れた。

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    2009年12月22日
  • 緋友禅 旗師・冬狐堂

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    もしかしたら前にも読んだことがあるのかしら?とも思わなくもないですが。
    この人の本はさくさく読めて良いですね。
    陶子さんは、凄腕だの目利きだのと言われていると書かれているわりには、結構贋作を掴まされてたり、手付けではなくいきなり前金で全額払ったりと抜けている部分が多すぎて、この人物像はちぐはぐな気がします。

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    2009年10月07日
  • 支那そば館の謎~裏(マイナー)京都ミステリー~

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    『不動明王の憂鬱』
     有馬次郎と折原けいの発見した水死体。被害者は関東の暴力団員。地上げと銭湯にまかれたビラに隠された謎。

    『異教徒の晩餐』
     殺害された有名版画師。現場にのされた三本の鯖寿司、切り裂かれたバレンショ。有馬次郎が調査に赴いた翌日殺害された古本屋。

    『鮎の踊る夜に』
     大非閣に訪れた翌日に殺害された女性。被害者は真夏にも関わらず長袖を着、ゴミ箱に捨てられていた。大文字焼きに隠された秘密。

    『不如意の人』
     殺害された大学教授。藍染のプールに落とされた被害者。容疑者は折原けいが読んだ推理作家水森堅(ムンちゃん)。

    『支那そば館の謎』
     「支那そば屋のような家に住んでいる」と

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    2009年11月14日
  • 深淵のガランス

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    ゼミを思い出す。
    『深淵のガランス』は作品(元ネタ)があるのか題名がしっくり来なかった。
    深淵の〜の言語イメージに付随して視覚的に赤がくるとは思えない。
    表紙はもっと深い赤がよかったなぁ。
    双識ぽいイメージ。
    狐さん出てきて!

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    2009年10月07日
  • 暁の密使(小学館文庫)

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    仏教の力が弱まってきた明治時代。
    原点にもどり、チベットの経典を求めて険しい道行をする主人公。
    純粋な仏道のためだけにチベットを目指しているのだが、
    開国し国力を強めようとする日本の思惑に結局振り回されてしまう。
    主人公と同行する人達も癖があり、惹きつけられる。
    面白い。

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    2009年10月04日
  • 顔のない男

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    多摩川沿いの公園で、後頭部から打撃を加えられた後から、さらに攻撃を加えられ全身を骨折した死体が発見された。空木精作は、周辺住民・友好関係が無い男だった。どういう人間だか解らないまま捜査は続けられる。空木の自宅で後追い捜査をしてた、原口(ベテラン刑事)と又吉(新米刑事)の二人の刑事は、一冊の大学ノートを発見する。捜査本部にその発見を報告しないで、二人はそのノートをヒントに捜査を開始する。空木を追ってるはずだったが、次々と新しい事件に遭遇する。ノートによって出てきた事件は、別々の事件のように思えたのだが・・・。空木とは、どんな人物なのか?ノートは、どんな目的で書かれたのか?そして、原口と又吉のた

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    2009年10月07日
  • 孔雀狂想曲

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    短編集。
    骨董品屋雅蘭堂を舞台に骨董品をめぐって事件が起こる。
    相当な鑑定眼がある店主が抜群の推理力で事件を解いていく。
    冬狐堂で出てきた市も出てきてなんだか繋がりを感じておもしろい。

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    2009年10月04日
  • 狐闇

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    いや〜面白かった。
    店舗をもたない古物商(旗師)の女性陶子が主人公。
    競り市で手に入れた魔鏡で運命がかわる。
    魔鏡に隠された謎。
    明治初期の壮大な計画が、今、現在にも影響を与えているのが面白い。
    何事にも屈せず真実を追究しようとする女性の強さが良い。

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    2009年10月04日
  • 狐闇

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    k_32)冬狐堂シリーズ長編の第二弾。おもしろかったです。続きが気になって、また夜更かし。休日だからいいんだけど。
    前回読んだ「狐罠」もおもしろかったけど、こちらの方が好き。壮大な歴史の話と骨董を絡めて書いてあって、いろんな点で興味深い。日本史好きの方がどう思われるか、ちょっと興味があります。私は歴史には疎いので。北森さんは好きだなあ。別のシリーズも読んでみようっと。

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    2009年10月04日