北森鴻のレビュー一覧

  • 狐罠
    旗師・冬狐堂シリーズ第一弾。
    目利き殺しを仕掛けられた陶子が、仕掛け返そうと決意するが、
    そこには別の思惑が入り込んでいて、骨董商や贋作者、
    大学教授から保険会社の調査員に博物館の研究員までが
    入り乱れての壮大な騙し合いに発展する。
    「なんて世界なんだ、まったく!」と陶子がボヤクほどにスゴイ。
    どこ...続きを読む
  • 緋友禅 旗師・冬狐堂
     『狐罠』『狐闇』と長編で発表された、店舗を構えない骨董商、旗師・宇佐美陶子シリーズの初短編集です。
    「 陶鬼」「永久笑み」「緋友禅」「奇縁円空」の4編ですが、どれも内容が濃いです。
    骨董の奥深さと蘊蓄、そこに関わる腹黒い守銭奴と主人公・陶子の駆け引きが魅力です。
    こんな濃い内容を短編で惜しげもなく...続きを読む
  • 蜻蛉始末
     北森鴻の中で一番好きな作品です。

     題材になった藤田組の偽札偽造疑惑なんて歴史があることも知りませんでしたが、維新の有名人も裏で糸引いているしで、けっこう大きな疑獄事件みたいです。
    北森さんは山口出身なので、この長州出身の財界の豪傑特別な思い入れがあったんじゃないしょうか。 
     偽札を偽造する...続きを読む
  • 狐罠
     古美術ミステリーの大傑作です。

     詐欺なら騙すほうが一方的に悪いが、こと古美術に関しては鑑識眼がない騙されるほうが悪い。
     店舗を持たない骨董商(旗師)の冬狐堂・宇佐美陶子は、まんまと同業の骨董商に騙され贋物をつかまされるが、贋物をつかまされたという噂がたてば自らの信用に関わるので、訴えることも...続きを読む
  • 深淵のガランス
    東銀座に事務所をかまえ、花師と絵画修復師の二足の草鞋を履く
    佐月恭壱は「確かな筋」から受けた仕事でありながら
    何故かトラブルに巻き込まれる。
    美を巡る世界に巣食う魑魅魍魎はどこにでも顔を出す。

    オリジナル(原作者)と同様の心を持ち、それ以上の腕がなければ
    成し得ない修復の技。
    ミクロとマクロの作業...続きを読む
  • 狐闇
    事の起こりは競り市で青銅鏡を手に入れたこと。
    しかしそれは盗品で、持ち主に返すことになるのだが、
    それはただの青銅鏡ではなかった。

    そして青銅鏡を盗んだとされる男が自殺し
    競り市の主催者から買い取った絵画が消え
    贋作を捌いているという汚名を着せられ鑑札を失う。
    更に競り市の主催者が強盗に殺された。...続きを読む
  • 狐罠
    ★あらすじ★宇佐見陶子シリーズ第一弾。店舗を持たず鑑定眼だけを頼りに骨董を扱う旗師・宇佐見陶子は、橘薫堂の店主から贋作を掴まされてしまう。プライドを傷つけられた陶子は、かつての夫・プロフェッサーDの協力を得て「目利き殺し」の罠を仕掛ける計画を立てる。同じ頃、橘薫堂の外商であった田倉俊子が遺体で発見さ...続きを読む
  • 狐闇
    ★あらすじ★宇佐見陶子シリーズ第二弾。青銅鏡を競り落としたことから、陶子は飲酒運転による交通事故や贋作売買など様々な疑惑をかけられ、遂には鑑札を失ってしまう。自分を陥れた罠の正体を探るうちに辿りついた「税所コレクション」とは?陶子に協力する民俗学の専門家として、蓮丈那智も登場。
    ★感想★罠にかけられ...続きを読む
  • 瑠璃の契り 旗師・冬狐堂
     旗師・宇佐見陶子が主役のミステリー第2弾で、一話ごとに陶子の過去が明らかになっていく。 トリックのためのミステリーの場合、先が読めた時点で興が冷めることもあるが、北森鴻の作品にはそれがない。膨大な取材に基づくと思われる緻密な書き込みと、その中に投げ込まれる一点の虚構。その舞台で魅力的な人物が動き出...続きを読む
  • 狐罠
    北森鴻さんの長編を初めて読んだ。あれあれ、という感じで進んでうぅん、とうならされた。最後がなんかあっさりしているのはこの主人公ならではで、えっと現実に戻れた。
  • 緋友禅 旗師・冬狐堂
    もしかしたら前にも読んだことがあるのかしら?とも思わなくもないですが。
    この人の本はさくさく読めて良いですね。
    陶子さんは、凄腕だの目利きだのと言われていると書かれているわりには、結構贋作を掴まされてたり、手付けではなくいきなり前金で全額払ったりと抜けている部分が多すぎて、この人物像はちぐはぐな気が...続きを読む
  • 支那そば館の謎~裏(マイナー)京都ミステリー~
    『不動明王の憂鬱』
     有馬次郎と折原けいの発見した水死体。被害者は関東の暴力団員。地上げと銭湯にまかれたビラに隠された謎。

    『異教徒の晩餐』
     殺害された有名版画師。現場にのされた三本の鯖寿司、切り裂かれたバレンショ。有馬次郎が調査に赴いた翌日殺害された古本屋。

    『鮎の踊る夜に』
     大非閣に訪れ...続きを読む
  • 深淵のガランス
    ゼミを思い出す。
    『深淵のガランス』は作品(元ネタ)があるのか題名がしっくり来なかった。
    深淵の〜の言語イメージに付随して視覚的に赤がくるとは思えない。
    表紙はもっと深い赤がよかったなぁ。
    双識ぽいイメージ。
    狐さん出てきて!
  • 暁の密使(小学館文庫)
    仏教の力が弱まってきた明治時代。
    原点にもどり、チベットの経典を求めて険しい道行をする主人公。
    純粋な仏道のためだけにチベットを目指しているのだが、
    開国し国力を強めようとする日本の思惑に結局振り回されてしまう。
    主人公と同行する人達も癖があり、惹きつけられる。
    面白い。
  • 顔のない男

    多摩川沿いの公園で、後頭部から打撃を加えられた後から、さらに攻撃を加えられ全身を骨折した死体が発見された。空木精作は、周辺住民・友好関係が無い男だった。どういう人間だか解らないまま捜査は続けられる。空木の自宅で後追い捜査をしてた、原口(ベテラン刑事)と又吉(新米刑事)の二人の刑事は、一冊の大学ノー...続きを読む
  • 孔雀狂想曲
    短編集。
    骨董品屋雅蘭堂を舞台に骨董品をめぐって事件が起こる。
    相当な鑑定眼がある店主が抜群の推理力で事件を解いていく。
    冬狐堂で出てきた市も出てきてなんだか繋がりを感じておもしろい。

  • 狐闇
    いや〜面白かった。
    店舗をもたない古物商(旗師)の女性陶子が主人公。
    競り市で手に入れた魔鏡で運命がかわる。
    魔鏡に隠された謎。
    明治初期の壮大な計画が、今、現在にも影響を与えているのが面白い。
    何事にも屈せず真実を追究しようとする女性の強さが良い。
  • 狐闇
    k_32)冬狐堂シリーズ長編の第二弾。おもしろかったです。続きが気になって、また夜更かし。休日だからいいんだけど。
    前回読んだ「狐罠」もおもしろかったけど、こちらの方が好き。壮大な歴史の話と骨董を絡めて書いてあって、いろんな点で興味深い。日本史好きの方がどう思われるか、ちょっと興味があります。私は歴...続きを読む
  • 支那そば館の謎~裏(マイナー)京都ミステリー~
    という訳で・・・この作品で久方ぶりに行きたくなったんだよねww

    嵐山( ̄∀ ̄*)/ 

    そうなのです。

    この作品の舞台は嵐山は大悲閣。

    謎を解く主人公は大悲閣の寺男にして、元大怪盗というアルマジロ・・・もとい、有馬次郎くん。

    周りのキャラクターに翻弄させられる姿がなんともユーモラスで、起こっ...続きを読む
  • 支那そば館の謎~裏(マイナー)京都ミステリー~
    内容(「BOOK」データベースより)
    僕の名は有馬次郎。京都でも指折りの貧乏寺、大悲閣千光寺の寺男だ。怪盗と呼ばれた過去もあったが、縁あって慈悲深い住職に拾われ、表の世界の住人となった。厄介なのは、寺に奇妙な事件ばかりが持ち込まれること。持ち前の身軽さと裏の人脈を駆使、住職の智恵をお借りして、解決に...続きを読む