北森鴻のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「異端の民俗学者」と呼ばれる蓮丈那智。
彼女の研究室には、数々の依頼が舞い込んでくる。助手の内藤三國と共に調査に赴く先では、何故か調査は事件へと変貌。
才能と美貌を兼ね備えた那智の推理で暴かれる真相とは……。
民俗学者の那智と、助手の三國がフィールドワーク調査に赴いた先で遭遇する事件を、民俗学的な考察を交えながら解決する民俗学×ミステリ小説。
ミステリとしてだけではなく、推理・考察の過程で出てくる宗教儀礼や伝承などの話も興味深く、その話もう少し詳しく知りたいなという興味が尽きません。
巻末に参考文献もたくさん載っているので、今度はそちらも読んでみたい。
真実はいったい何なのか。人の見方 -
Posted by ブクログ
香菜里屋シリーズ第2弾。
新装版になっての再読です。
初めて読んだ十数年前、
ビアバーに行きたくて仕方なかったです。笑
キッチン常夜灯ではないけれど、
ビアバー香菜里屋に行きたい!と
当時の私は思っていました。
マスターの工藤と、
お酒と謎を楽しむお客様。
だけど、決してお洒落な謎ではなくて、
その謎はどこか苦くて切ないものだったり。
本作のお気に入りは、「約束」です。
工藤が自分の店を出て、別のお店に出かけるという。
「桜宵」は初めて読んだときは綺麗な話だと思いましたが、38歳になった今、これは許せない!という思いに。苦笑
大好きな北森さんの本が新装版として世に出るのはとても嬉しい -
Posted by ブクログ
〈再登録〉デパートの屋上で起きる数々の事件を解決するのは「屋上の主」こと、うどん屋の店主・さくら婆ぁだった…
一つの事件が別の事件の引き金になる…という構成は、「メイン・ディッシュ」などと似ています。この作品では語り手が稲荷神社の狐だったりベンチや観覧車だったりしますが。
デパートの屋上という特殊な空間に集まった人間ドラマという感じがしました。明かされる真実は残酷なものばかりですが、さくら婆ぁの内に秘めた優しさに救われます。
〈追記〉令和の今ではデパートの屋上も失われた風景になってしまいました。屋上が憩いの場であった時代を忘れずにいたいものです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読むまでは蓮丈先生って男性だと思ってました。
女性でしたか。
ただなかなかな性格の先生なので、助手の三國くんの胃が心配である。
民俗学の話も殺人事件も両方味わえる贅沢なお話。
岡山県民としては、初手から地元ネタで嬉しかったと言う。
依頼人が高確率で亡くなるし(何なら会う前に死ぬ)各話が短編ゆえに登場人物が少ないこともあって、犯人は割と分かりやすい。
亡くなる方が、今後ライバルになるのかなあとか想像してたら、あっさり退場するという、そちらの方に驚いた。
殺人事件としてはシンプルかなと。
興味深かったのは民俗学の方。
特に不帰屋は解釈がごろっと変わったのが面白くて印象に残った。
それが殺人事件 -
Posted by ブクログ
-------------------------
人生に必要なのは、
とびっきりの料理とビール、
それから、
ひとつまみの謎。
三軒茶屋の路地裏にたたずむ、
ビアバー「香菜里屋」。
この店には今夜も、
大切な思いを胸に秘めた人々が訪れる――。
優しく、ほろ苦い。
短編の名手が紡ぐ、
不朽の名作ミステリー!
-------------------------
12~3年前に読んでいて、
実家にあるはずなのですが…
どうしても読みたくて新装版購入しました。
というか、新装版があることに驚きと喜び。
三軒茶屋や電車でよく通っていたし、
利用することもあったので、
とても馴染み深くて。
そん -
Posted by ブクログ
ネタバレ北森さんを初めて知ったのはおそらく20年程前で。
久しぶりに北森さん作品を読みたくなり、手に取りました。
-------------------------
義兄が遺した不思議な”音のメッセージ”。
音源を巡る「うさぎ」が、
旅路の果てに見たものは……
旅情豊かに描いた連作長編ミステリ
鮎川賞作家最後の贈りもの
-------------------------
飛行機墜落事故で命を落とした義兄。
兄が最期に残した、うさぎ宛てのメッセージ。
生前「うさぎ」と呼ばれていた妹が、
兄のPCに残されていた音源を頼りに、
生前の足跡を辿るお話です。
連続の短編となっており、
最期にひとつの結末に -
Posted by ブクログ
目次
・ラストマティーニ
・プレジール
・背表紙の友
・終幕の風景
・香菜里屋を知っていますか
・双獣記
前回読んだときは単行本だったけれど、今回は文庫本。
未完の「双獣記」も収録されているので、ちょっとお得感。
さて、香菜里屋シリーズの最終巻から読んだため、登場人物たちの人間関係がよく分からなくて、そして急激な最後の展開についていけなくて、シリーズを最初から読みなおした。
そして再びの最終巻。
やっぱり最後の展開は唐突過ぎると思うの。
工藤が待っていたという香菜からの連絡。
それを匂わせるような描写がないかと最初から読んでいたけれど、今作になって初めて明かされた工藤の過去がすべてだった -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・蛍坂
・猫に恩返し
・雪待人
・双貌
・孤拳
《香菜里屋》に集まる人は、皆それぞれに鬱屈を抱えながら、マスターの工藤に心をほぐしてもらって前に進む。
取り返しのつかない選択でさえ、工藤に話を聞いてもらって、美味しい料理とビールがあれば、なんとか前に進んでいける。
苦い後味の話もあるけれど、時系列と人称が複雑な割に最後に明るく終わる『双貌』が面白かったかな。
だけど『孤拳』が白眉。
5歳しか年の違わない叔父と姪。
幼なじみの恋人同士のような二人の日々。
見ようとしなかっただけで、最初から終わりが来ることはわかっていた。
だから互いに口にせず、大切にしてきた想い。
それは『孤拳』とい -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・花の下にて春死なむ
・家族写真
・終の棲み家
・殺人者の赤い手
・七皿は多すぎる
・魚の交わり
以前、シリーズの最終巻を読んでしまったので、最初から通読することに。
連作短編のミステリなので、短編一作を読んでも話は分かるが、店の常連やマスターとの会話でゆるく話が繋がってもいるので、やはりこれは順に読むべき作品と思った。
舞台は、今でこそ珍しくはないビアバーの香菜里屋。
それぞれアルコール度数の違う4種のビールを置き、客の様子を見ながら絶品の料理を提供してくれる。
そして、客の持ち込むちょっとした謎をマスターの工藤が解き明かしてくれる、というもの。
アシモフの『黒後家蜘蛛の会』を彷