【感想・ネタバレ】凶笑面 蓮丈那智フィールドファイルIのレビュー

あらすじ

「異端の民俗学者」と呼ばれる蓮丈那智の研究室 には数々の依頼が舞い込む。助手の内藤三國と共に那智が赴くと、なぜか調査は事件へと変貌する。激しく踊る祭祀の鬼。凶々しい笑みの面の由来。丘に建つ旧家の離屋に秘められた因果。三國が遭遇した死亡事故の顛末。才能と美貌を兼ね備た那智の推理は深淵に潜む真実を炙り出す。過去と現代を結ぶ殺人事件に民俗学的考察が冴え渡る5篇。北森鴻の代表シリーズ、待望の再始動。

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Posted by ブクログ

大学の授業で民俗学を学び、ミステリーのゼミに入っている私にとっては読まなければと思っていた1冊。新装版?で出ていたので早速購入。伝承に基づいているだけでなく、ミステリーとしても成り立っていて面白かった。シリーズ全て読破したいです。

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2024年07月28日

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ネタバレ

好きな作家さんの本。再読。
民俗学って言葉を最初に知った本だったと思う。
前回は不帰屋が印象的だったけど、今回は最後の邪宗仏が好きだなと思った。

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2024年09月14日

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民族学との組み合わせ、想像が尽きず面白い。
遺跡とか考古学好きなので、学術的な文章も割と読み進められる。
シリーズ化してるから、読破したいな

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新潮文庫以来の再読。
各編に出て来る、今で言えばトンデモ説すら本当にあるのかどうかわからない。事件に巻き込まれることも、横溝正史を思わせながら、あっさりと解決へと向かう。
ミクニは、読者の分身であり、また那智の対話または思考の手助けになっているのかも。謎と事件に巻き込まれてながら、巻き込まれてしまわない那智に泳がさられ、定型にはまらない作品群。
那智は、真実に向かって進むため、現地に赴き文献やフィールドワークをする地道な作業の繰り返し。必ず真実に辿り着くとは限らない。それでも続けていく。
若い頃、柳田國男などを読んだ時の、知らない世界を垣間見る心踊る気持ちの昂ぶりを再認識した。

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2025年02月09日

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 型破りながら鋭い洞察力を持つ才色兼備な民族学者の蓮丈那智が助手の内藤三國と実地調査のために訪れた土地で次々と殺人事件に遭遇する民俗学ミステリーで、五編の短編で語られる伝承の掘り下げや蓮丈那智の民俗学的考察から導かれる真相まで面白い要素が満載だった。是非シリーズを追いかけていきたい。

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2025年01月28日

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「異端の民俗学者」と呼ばれる蓮丈那智。
彼女の研究室には、数々の依頼が舞い込んでくる。助手の内藤三國と共に調査に赴く先では、何故か調査は事件へと変貌。
才能と美貌を兼ね備えた那智の推理で暴かれる真相とは……。


民俗学者の那智と、助手の三國がフィールドワーク調査に赴いた先で遭遇する事件を、民俗学的な考察を交えながら解決する民俗学×ミステリ小説。

ミステリとしてだけではなく、推理・考察の過程で出てくる宗教儀礼や伝承などの話も興味深く、その話もう少し詳しく知りたいなという興味が尽きません。
巻末に参考文献もたくさん載っているので、今度はそちらも読んでみたい。

真実はいったい何なのか。人の見方によって受け取り方が変わってしまうモノの由来や因果、日常の暮らしの中の文化を探求する民俗学という学問はやっぱり面白いです。

続刊も近々読む予定。

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2024年10月25日

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真実がどこにあるかをあらゆる角度で検証して見抜くが、その過程がミステリアスなところが良い。
別の見方があるのかもという話はあるが。

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2024年06月13日

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ネタバレ

読むまでは蓮丈先生って男性だと思ってました。
女性でしたか。
ただなかなかな性格の先生なので、助手の三國くんの胃が心配である。

民俗学の話も殺人事件も両方味わえる贅沢なお話。
岡山県民としては、初手から地元ネタで嬉しかったと言う。
依頼人が高確率で亡くなるし(何なら会う前に死ぬ)各話が短編ゆえに登場人物が少ないこともあって、犯人は割と分かりやすい。
亡くなる方が、今後ライバルになるのかなあとか想像してたら、あっさり退場するという、そちらの方に驚いた。
殺人事件としてはシンプルかなと。

興味深かったのは民俗学の方。
特に不帰屋は解釈がごろっと変わったのが面白くて印象に残った。
それが殺人事件の動機にもトリックにもなったのが何とも……
それにゾワっとする怖さのある終わりだったのも印象的だったので。

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2024年05月10日

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ネタバレ

60ページ前後の短編5編をまとめた文庫本だが、読み進めるうちにだいぶ印象が変わる作品だった。
本書の元となった2003年刊行の同名の書籍も書き下ろし短編集ではなく、1998〜2000年の間に雑誌に掲載されたものを集めたもののようだ。そのためだろうか、1〜2話は設定や物語の方向がまだ固まっていないように思え、後半の4、5話は人気取りの目的かキャッチーな話題としてオカルト的な内容を中心に据えている。

ミステリーと民俗学は相性が良いと思うのだが、最初の1、2話では2つの要素が分離してしまっているように感じた。民俗学的なうんちくが話の本筋から浮いているようで、煩わしいだけのかさ増しのように感じた。対するミステリー部分はあっさりしすぎている印象だったので、「物語の奥行きを深める要素(:民俗学)と短編の組み合わせはダメなのか」という感想だった。
3話以降は2つの要素が上手くかみ合い、本シリーズの良さが生きてくる。私はこの3話の『不帰屋』と5話『邪宗仏』が特に面白かったと思っている。『不帰屋』は派手さはないが民俗学とミステリーがかみ合って、殺人事件と民俗学で2つの謎解きが平行して進む。寒村の湿った気味悪さも良い雰囲気を醸し出している。
4話と5話は、鉄に聖徳太子とメジャーな題材をオカルト的な方向から盛り込んでいる(それまでの地味なテーマでは連載の評判が芳しくなかったのだろうか?)。4話のテーマは大風呂敷を広げすぎであり、「本当に民俗学の守備範囲か?」とも思ったが、5話の『邪宗仏』はオカルトのような話題から入るが、(架空の話であっても)トンデモではなく手堅く収めていて上手いなと思った。
また、解説の『5編全てが本格ミステリ』という言葉には賛同できないが、最後の5話はしっかり本格ものだと言えた。この5話『邪宗仏』は5編の集大成といった感じで、キャッチーで大きなテーマから入り、本格ミステリーの香りを漂わせる華麗な推理を見せ、民俗学的テーマは手堅く締めるという綺麗な展開を見せた物語だった。
最初の2話を読み終えた時点では「次巻は無いな」という感想だったが、中盤以降の盛り上がりと最終5話の完成度で考えを改め、次巻を購入することにした。


主に中盤までだが、物語の時代背景と、大学や学者の描写は違和感が強かった。
物語の年代は3話の冒頭で『長く続く不況』に言及しているので90年代後半、連載開始時の1998年付近だろうと分かるのだが、1話を読んだ時点では「80年代なのか?」と混乱した。
学生が携帯電話もPHSも持っておらずアパートの部屋には固定電話がある、ビデオデッキの使用、内藤が公園で喫煙する(;大学ではかなり古い時代から喫煙者が少ない)、内藤が学位を持たずに教員になっている(博士課程の学生や修士号のみで教員にしていたのなんて80年代よりもさらに前ではないか??)と、「著者の大学生時代のイメージで書いていないか?」と思う描写が1話には多い。

学者や学問の描き方も偏っていて中途半端で違和感が強い。
大学院にも行っていない人間が研究者を名乗ったり、論文を投稿し始めて半年で一丁前気取りという内藤の姿勢は明治時代でもないとあり得ない様子なので、「レポートの回答が印象に残っていた学生(内藤)が、他大学の大学院に進学・修了後に行く当てが無かったところをスカウト」の方が自然だっただろう。
那智の大学内での振る舞いにも違和感がある。研究費がなくなったら「どんな怪しいところからでも金を引っ張ってくる」「いくらでも自腹を切る」というなら”研究バカ”らしい態度だと思うのだが、持ち出しは一際せずに助手に金策(管理ではなく)を任せて自分勝手に振る舞う現役研究者など、今も昔もいるものかと思った。
また、やたらに学部の資金をくすねに行くのもおかしく「ちゃんと外部資金を取りなよ」とも思う。毎年、何度も”学部のための”お金を無心に来られれば『教務部の狐目の担当者』もイヤミくらい言いたくなるだろう。
この十分な研究費を得られず学内で補填してもらっているような描写は那智の研究者としての無能を強調してしまうだけ(『異端』なのも独自の視点を持った天才性より「考え方や文章の書き方がピンボケしているだけでは?」となってしまいかねない)なので、無い方が良かったのではないか。『凶笑面』の安久津や『邪宗仏』の佐芝のような折り合いの悪い、不利な状況になり得る有力者からであっても(なんなら警察から捜査協力した見返りをもらってもいい)必要に応じて旅費や滞在費の一部をせしめ、それでいて邪な考えを挫いて鼻をあかすくらいの方が那智のしたたかさや研究に向けるなりふり構わない直向きさ、冷徹な現実主義的側面を表現できたのではないだろうかと思った。

この違和感の強い描写だが、話が進む毎に減っていく(連載時に指摘でも入ったのだろうか)。時代を特定するような特徴的な描写はなくなり、また、後半の4、5話では大学での様子はかなりサラリとしたものになっており、アクセントとして差し挟まれる程度になっている。
上記の「後半に行くほど内容が面白くなった」だけでなく、この違和感の強い描写が急激に減っていくのも続編を読もうという気持ちにつながったように思う。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

「最近少し民俗学に興味があるんです」
そう言葉にしたら、この本を人からお薦めして頂いた。民俗学を浴びたい素人の気持ちを満たしてくれる、面白いお話だった。

ただ、わたしの読解力の問題か、知識の問題か、難しく感じるところが多々あり……読者と同じ目線で立ってくれているはずの三國くんが「そういうことだったのか!」と気付きを得ている場面でもついていけないことが多く、あまりわかっていないまま読み進めている感があった。ちゃんとわかって読めていれば、きっとより面白く感じるはずなのに、と悔しさが残った。

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2025年06月21日

Posted by ブクログ

異端の民俗学者・蓮丈那智が民俗学調査に赴いた先で出くわす血腥い事件を、持ち前の洞察力を用いて解決し「真実」を明らかにする
民俗学がテーマの本格ミステリーということだが、どちらかと言えばミステリー要素の方が強かった印象。でも民俗学要素もちゃんと盛り込まれており、何か背景を抱えていてそれに(無意識にでも)縛られている人か絡む事件を扱う上で民俗学の要素はしっくりハマって面白かった
短編集のため編ごとに刺さる刺さらないはあるが、私はそのうちの一編、とんでもなく刺さったやつがあった
長編も読んでみたい

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2025年04月11日

Posted by ブクログ

民俗学者の蓮丈那智と助手の内藤三國がフィールドワーク先で出会う事件の数々。
最初は、各話の前半に入る民俗学のくだりに苦戦したものの、慣れてくると中々味わい深いです。万人にはお勧めできないけど、刺さる人には刺さる良作です(=面白いよって意味です)。

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2024年06月29日

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