あらすじ
単位取得をめぐり、殺気立つキャンパス。民俗学者・蓮杖那智の助手・内藤三國は、最近学生たちからやたら写真を求められることに首をかしげていた。どうやら学生たちの間では、ある条件のもと撮影した内藤先生の写真を身に着けておくと、単位を落とさないという噂が広まっているらしい。そんな折、内藤は那智の命により、ある村を凶事から守るという人形〈御守様〉の調査のため、小さな山村へと赴く。しかし、そこで待ち受けていたのは、驚くべき事件だった(「憑代忌」)。歴史に不滅の名を刻みつつも、いまだ謎のヴェールに包まれた、東洲斎写楽。蓮丈那智は、古文書の調査に訪れたはずの四国で、その浮世絵の知られざる秘密へ足を踏み入れることになる(表題作)など全4篇を収録する本格民俗学ミステリー。
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Posted by ブクログ
この連作は、民俗学の思考実験。その守備範囲の広さ、深さ、再読だが非常に読み応えあり。ホームズとワトソンの枠組みを利用した構成に、読者はミクニに同化していく。小品ながら野心的。
続く未完の長編が楽しみ。
Posted by ブクログ
民俗学者の蓮丈那智と助手の内藤三國のシリーズ第3弾。
相変わらず内藤は、殴れられたり急な呼び出しで右往左往したり、大変な目にあってます(笑) 狐目の教務部主任も度々登場します。
安定の面白さです。
Posted by ブクログ
佐江さんはレギュラーになったのですね。
彼女が優秀な分、三國くんの情けなさが気になってしまうという……直感は正しいんですけども。
表題作ではいいところまで推理してたのに、結局ひっくり返されてしまうし……可哀想。
驚いたのは、狐目の彼のお名前がここで判明したこと。
永遠に明かさないものだと思っていたから、かなり驚いた。
個人的には『湖底祀』が好き。
「ひっくり返り方」が見事だったので。
表題作は、タイトルでオチが分かってしまうのと、絡繰箱の正体が分かると、美術史にある程度明るい人だと芋蔓式に分かってしまうのが、自分としてはちょっと物足りなさを感じてしまった。
驚きが少ないという……