北森鴻のレビュー一覧
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ネタバレ「空木精作」という男が殺害される。「空木」は,親の遺産で生活をしている生活感のない男。動機も,凶器も見つからない。原田と又吉という刑事は,ひょんなことから空木が残したノートを見つける。ノートは,空木が調査していた事件について書いているように思われた。それぞれの短篇の中で少しずつ「空木精作」の正体が描かれる。島海恭司は,「空木」を訪ね,栄光商事が輸入した違法オイルで妹が死亡したとして,「空木」に,「持田」がどこいるか,突き止めるのを手伝ってほしいという。「空木」は,自分こそが持田であり,自分の生活を確保するために,「持田」を名乗っている者を殺害する必要があると考え,殺害の計画を立て,進めていく
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ネタバレ紅神楽という劇団の看板女優であるネコさんこと紅林ユリエ。劇団の座付き作家の師匠こと小杉隆一,そしてネコさんの同居人のミケさんこと三津池修。この三人のキャラクターを中心に,伊能,泉谷,谷口,滝川といった大学生達の話が紛れ込み,二つの話が交錯していくという設定。ひとつの大きな話をつくる11の短篇。個々の作品の感想などは以下のとおり。
○ アペリティフ
エピローグ。雪の日に街を歩く謎の男
○ ストレンジ テイスト
劇団紅神楽の次回公演のミステリ劇「未明の家」が完成しない。網野屋という店に店主の妻とその愛人がやってくる。そして,店主か,愛人のどちらかが死ぬ。料理店の店主が犯人なのか?被害者なの -
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過去から届く謎の手紙。
主人公がなにがしかの罪を犯していることは、早々にほのめかされているけれど、実はこの手紙は本当に、実験的な青春小説でした、というオチが用意されているのではないかとか、勘ぐってしまった。
読み進めながら、犯人をいろいろ推理してははぐらかされるという、王道の推理小説。
しかし、後半、いきなり自分が立っている天地がぐるんとひっくり返る。
ぐるん、ぐるんが何度も。
そうか、これがメビウス小説なんだ!
面白かったです。
ただ、若桜妙子は気味が悪かったなあ…
こんな感じの人、いろんなイベントで見かけますよね、ここまで狂気でないにしても。
有名人は大変です。
しかし、この作品の登場 -
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私、北森氏のファンなんです。
特に異端の民俗学者・蓮丈那智(女性ですよ)と旗師・冬狐堂の。
なので初めてノンシリーズを読んだじゃないかな~もしかして。
本書もそうでしたが、北森氏のすごいところは、なんといっても複雑に絡み合うプロット!
読んでいて先が見えないのよ、ホント。
それと、本書にも民俗学的な部分も織り込まれているし。
あと、ラストの驚愕な真実には、お~~となってしまいました。
過去と現在、それから手記などをうま~くミスデレクションへと導いていたり。
やられた~っていう感じがします(笑)。
ますます北森氏ファンになったことは言うまでもありません。
まだ北森氏作品を読んでいない方には是非お -
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クールでホットで粋でダサい。
故郷を持たないテッキとバリバリ博多っ子のキュータ。
二人の共通点は女性の好みくらいか。
それでも、こんなに息の合ったコンビはいない。
長浜で屋台のおやじをやっているテッキは、30歳にまだなっていないというのに、枯れた風情。
結婚相談所で働くキュータは、もうそろそろ30代に手が届くかという歳なのに、とにかく刹那的。計画性というものが全くない。
たいていキュータが事件をテッキのところに連れてくる。
で、一つの事件をキュータ視点から、テッキ視点から、交互に語る。
やってることはハチャメチャなのに、なぜか淋しいんだよ。彼らが。
好き勝手やっている彼らを見ていて、なぜ -
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ネタバレ本屋でPOPに惹かれて手に取った一冊。
いやはや予想外に面白かった!これだから本屋徘徊はやめられない(^_^)
災厄のみを予言するという「フォーチュンブック」が若者の間で爆発的にヒット、その影響で自殺者が多発したことからついには発売禁止にまで至り、社会現象となっていた。
そんな中ある書店でたまたま同じ日にフォーチュンブックを手に入れた7人の男女、運命の黒い糸に導かれるように彼らはそれぞれの犯罪に手を染めて行くのだった。
帝銀事件、グリコ森永事件、3億円事件など…昭和の事件史を勉強したいと思える内容でした。
この作家さんは初めてでしたが、連作短編を全部読むと長編ミステリーになるという作風のよ -
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ネタバレ「アペリティフ」から「メイン・ディッシュ」「特別料理」にいたるまで11編の美味しい物語が連なっている、ミステリーの連作短編集。前半では一編ごとに舞台が変わり少し混乱したが、読み進めるごとにたくさんの伏線が繋がってくる。「ええっ、そういうことだったの?」と、何度も前を読み返してみたり。実に面白かった。登場人物がみな個性的に生き生きしているのも良かった。
劇団の看板女優である「ネコ」のところに素性の知れない男「ミケさん」が転がり込むところから物語が始まる。この設定、以前読んだ「植物図鑑」とよく似ている。彼の料理の腕前が素晴らしいってこと、彼の真の姿が物語の大きな鍵になる点も同じだ。ただ、「メイン