あらすじ
出会いはひととき、思い出は永遠。
ビアバー《香菜里屋》からメニューが消えた訳とは。
そして、ついに明かされるマスターの過去――。
ミステリー史に輝く傑作、感動の完結!
突如、ビアバー《香菜里屋》からメニューが消えた。
マスター工藤と同じ店で修業したバーマンの香月は、
友の変化を耳にし、かつて二人が経験した悲しい出来事を思い出す。
工藤が待ち続けた人物が、ついに現れたのか――(「終幕の風景」)。
連作短編ミステリーの金字塔、感動の最終巻!
未完の「双獣記」も収録。
解説 大矢博子
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
シリーズ最終。もちろん良かった。ただもう、始まりは、無い。待てども、次は無い。それでも。待ちたいと思わずにおれない。シリーズを通して、やはり名作!
Posted by ブクログ
ああ、読み終えてしまった。
新装版、次はないのかなぁ。あってほしいなぁ。
今回、工藤の過去、香菜里屋の由来が明かされる。
あまりにも切ない。
香菜里屋の常連客たちにも、様々な転機が訪れて、その結果、去って行く人も出て、終わりに向かう予感に満ちていく。その旅立ちはおめでたいこともあるし、先へ進むということなのだけど、やっぱり別れの寂しさはつきまとうから。
とはいえ、他シリーズからのあの人この人の登場はファンには嬉しくて楽しい。
みんなが愛して待ち続ける限り、(新刊は出なくても)、香菜里屋は、いつでもそこにある。
さぁ、次は蓮杖那智先生を待ってますよ、新潮社さん!
Posted by ブクログ
目次
・ラストマティーニ
・プレジール
・背表紙の友
・終幕の風景
・香菜里屋を知っていますか
・双獣記
前回読んだときは単行本だったけれど、今回は文庫本。
未完の「双獣記」も収録されているので、ちょっとお得感。
さて、香菜里屋シリーズの最終巻から読んだため、登場人物たちの人間関係がよく分からなくて、そして急激な最後の展開についていけなくて、シリーズを最初から読みなおした。
そして再びの最終巻。
やっぱり最後の展開は唐突過ぎると思うの。
工藤が待っていたという香菜からの連絡。
それを匂わせるような描写がないかと最初から読んでいたけれど、今作になって初めて明かされた工藤の過去がすべてだった。
他のシリーズの主人公である宇佐見陶子や蓮杖那智が出てくるのも、単なる作者のお遊びではなくて、作家として自作を畳んでケリをつけたのかな、と思えてくる。
それは作者の早すぎる死と関係があるのかないのかはわからないけれど。
今までいろいろと食べ物屋を舞台にした小説を読んできましたが、工藤の料理が一番美味しそうに感じられる。
手のこんだものもあるけれど、大抵は丁寧に作られてはいるけれどそれほど凝ってはいない。
それが素材の良さと、工藤の腕で絶品料理になる。
もっと彼の料理と謎解きを味わいたかったなあ。
それから「双獣記」。
なんと大好きな飛鳥時代が舞台です。
神秘の力を持つ厩戸皇子対異形の飲んだくれ蘇我蝦夷の戦いになるのでしょうか。
ええ、もちろん蝦夷が善です。
仏教の持つ力を使って権力を手中に収め、何ならこの世をぶっ潰そうとするのが厩戸皇子。
とりあえず彼の人外の手下は、威怒(いぬ)、佐流(さる)、吉路(きじ)。
え?厩戸皇子は桃太郎なんか?
蝦夷は厩戸皇子や蘇我馬子に追いやられ住む場所のなくなった者たちに居場所を与える。
それが吉備。(今の岡山県)
そこが襲われ、信頼していた手の者が鬼になったと聞き、吉備へ急ぐ蝦夷。
ってところまでで終わってしまった。
歴史を見れば、蝦夷は負けです。
それをどうやって世界の破滅を防がせるのか。
そして多分主人公になるはずだったかもしれない鞍作那由他(くらつくりのなゆた)。
まだ少年で、鞍作止利(くらつくりのとり)の弟子でしかないので、今後どう化ける予定だったのか。
ああ、本当に読みたかったなあ。
Posted by ブクログ
香菜里屋シリーズのラスト。
ずっとシリーズを読み進めていく中で存在していたものがなくなる虚無感。
全体を通してトリック重視ではなく人間的であったように感じる。
未完の作品は面白かったがために未完であることが悔やまれる。
Posted by ブクログ
最後、香菜里屋はなくなってしまって工藤のその後も描かれていないけど、だからこその余韻が生まれているような気がする。
収録されている未完の「双獣記」の続きが読みたい!誰かあの時代を得意とする伝奇作家が書いてくれないかしら。夢枕獏?高橋克彦?
Posted by ブクログ
ラストマティーニ/プレジール/背表紙の友/
終幕の風景/香菜里屋を知っていますか
永遠に変わらないものはない。少しずつ変化し、気づくと大いなる変革になっている。
変わってほしくないけど、新しい姿を見せてほしいと思う。
不思議な感覚
Posted by ブクログ
北森鴻の連作ミステリ短篇集『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』を読みました。
『桜宵 香菜里屋シリーズ2』に続き、北森鴻の作品です。
-----story-------------
出会いはひととき、思い出は永遠。
ビアバー《香菜里屋》からメニューが消えた訳とは。
そして、ついに明かされるマスターの過去――。
ミステリー史に輝く傑作、感動の完結!
突如、ビアバー《香菜里屋》からメニューが消えた。
マスター工藤と同じ店で修業したバーマンの香月は、
友の変化を耳にし、かつて二人が経験した悲しい出来事を思い出す。
工藤が待ち続けた人物が、ついに現れたのか――(「終幕の風景」)。
連作短編ミステリーの金字塔、感動の最終巻!
未完の「双獣記」も収録。
解説 大矢博子
-----------------------
2011年(平成23年)に刊行された作品…… 三軒茶屋の路地裏にあるビアバー《香菜里屋》のマスター・工藤哲也が、客が持ちかける相談事や謎を、解き明かす安楽椅子探偵もの、香菜里屋(かなりや)シリーズの第4作(最終巻)です。
■ラストマティーニ
■プレジール
■背表紙の友
■終幕の風景
■香菜里屋を知っていますか
■解説 大矢博子
■双獣記
香菜里屋シリーズ完結編…… 当店の裏メニュー、それはお客様が持ち込む謎と、その解決です、、、
ビアバー香菜里屋は、客から持ちこまれる謎がマスター・工藤によって解き明かされる不思議な店…… 常連客は、工藤による趣のある料理とともにこの店を愛していた。
だが、その香菜里屋が突然たたまれてしまう…… そして若かりし頃の工藤の秘密が明らかになる、、、
シリーズ完結編…… 未完となった「双獣記」も収録。
常連客たちが各々の事情で去って行き、工藤もある理由から店を畳み、姿を消してしまう…… 工藤の過去や人間関係、そして《香菜里屋》の名前の由来などが、それぞれの作品で明らかになっていく展開で、シリーズ集大成に相応しい作品でした、、、
工藤の人生における悲しみや苦しみ…… それを乗り越えて《香菜里屋》を開いたことは、彼にとって救いだったでしょうね。
《香菜里屋》は、待つための場所だったんですねー 他のシリーズのキャラクターも登場しているようですが、北森鴻の作品はあまり読んでないのでわかんなかったですね、、、
個人的に好みなのは、正確無比な腕を誇る老バーテンダー・谷川が、香月圭吾の注文に応えてつくったマティーニが失敗した謎を探る『ラストマティーニ』かな…… バーマンのプライドや潔さが感じられて共感できました。
シリーズとは全く関係ないのですが、意外と印象に残ったのは、未完に終わった作品『双獣記』かな…… 飛鳥時代を舞台にしたファンタジーですが、ここから面白くなりそうな第二部で途絶えてしまっています、、、
うーーーん、残念…… 北森鴻の作品は歴史を題材にした作品も面白そうなので、機会があれば読んでみたいですね。