白川紺子のレビュー一覧
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ネタバレ深まっていく感じがいい
寿雪はらん家の生き残りとして身を隠し、母を殺され、烏妃に選ばれ、自分ではどうしようもないことばかりのなかで、それでも自分の足で立ち、生きのびてゆくしかないのだと、そう思いさだめて生きてきた。自分自身だけは、誰にも踏みこまれない、誰からも奪われない唯一のものだと思っていた。信じるまでもなく、当たり前のこととして、それを芯に寿雪は背を伸ばして立っていた。
いまのわたしは、わたしなのか?
わたしは、わたしを温めてくれるものに頼ることで、かろうじて立っている。が、それは、師との約束を違える、過ちなのかもしれない。それでも━━。 -
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ネタバレ4話からなる短編集。(5人の海神の娘の婚姻譚)
海神によって選ばれた島々の女(海神の娘)が託宣により島々の領主のもとに嫁ぐという婚姻システム。嫁ぐことが決まると巫女王の霊子に会って力(霊力?)を与えられる。
面白かったです。
海神の娘に選ばれるのには貴賤は関係なく、ただ海神の託宣によるのみ。
一話目の蘭の話が一番好きです。
文庫の解説から、蘭の話で一冊が構成されているのかと思い込んでおり、表紙も蘭の姿だと思っていたけど、巫女王の霊子の容姿だったようですね。(よく見ると額に印がありますね)
「後宮の烏」と同じ世界ですが、全く違う土地の話なので、後宮の烏を未読でも楽しめます。
この「海神の娘」は続 -
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ネタバレ京都くれなゐ荘二作目。
長野から必死の覚悟で上京してきたはずなのに、
兄の漣もくれなゐ荘に住み込むとは、
高校で友達もできたし、ちょっとほのぼのしてきた?
二十歳までしか生きられないというリミットがあるにしても、
自分の力をコントロールできないまま、
邪霊のところに突っ込んでいくのは無謀すぎるのでは。
一応の蠱師(まじないし)八尋の弟子として修行中だが、
いざという時に高良が助けてくれる前提なところがもやもやする。
とはいえ、自分を助けてくれた少女を、
家から引きはがしてくれなゐ荘に連れてくるあたり、
強引な性格ということなのかもしれない。
どうも邪霊の話が入ってこない。