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寿雪の銀髪が、衆目にさらされた。その銀髪こそが、前王朝の血を引く証だった。高峻が策をもって隠してきた寿雪の秘密がしられてしまったのだ。同時に、柳寿雪は化け物を退治した美しき巫婆だという評判も城下に広がり始めていた。だが寿雪本人の魂は何処かへと去ってしまい、その肉体に宿り動かしているのは“烏”だった…。
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後宮の奥深くに住みながらも夜伽をしない特別な妃、「烏妃」。彼女は不思議な術の使い手で、頼まれれば依頼者の差し出す代償と引き換えに、呪殺、祈祷、失せ物探しと何でも引き受けてくれるという。そんな彼女のもとへ、あるとき皇帝がやってくるところから始まる、中華風ファンタジー兼ライトミステリー小説。
コバルト文庫出身の作家だからなのか、少女小説のような雰囲気もあってとても読みやすいです。硬質な烏妃の姿と言葉が非常に印象的で、美しい表紙イラストと相まって、あっという間に本の世界に引き込まれます。また、どの巻も連作の短編で構成されており、いずれのお話も謎解き短編として充分楽しめますが、共通して描かれる烏妃と皇帝のささやかな交流が二人の孤独をかえって際立たせているようで、大きな伏線と思われる二人の関係とそれにまつわるさまざまな謎とともに、先が気になってつい読み進めてしまいます。個人的には、衣装や風景を表現する作家の文章力を強くアピールしたい! ぜひ読んでみてください。
Posted by ブクログ
物語はいよいよ“結び”に差し掛かっていく。
(念の為――ネタバレではないものの、概要含め核心部に触れる記述もあり。前回同様ご容赦を)
それにしても今巻、シリーズ中最も緩急の激しい回であったかのように思える。いわばジェットコースターのような感覚。一気に空気が張り詰めたかと思えば、不意に弛緩と共に感泣を誘うような場面へと展開もする。
これがクライマックスへの序章かと言葉もない。
これまで「烏妃」として関わるべくもなかった者たちの存在――かつて禁忌と断じられていた他者との“つながり”。それらが一連の騒動(これが緩急を生むのだが)の狭間にあってより意味を深め、予期せぬ感泣を誘う。
寿雪を愛おしく想う者たちとの“つながり”。それが“日常”の尊さ、その価値をより高めていく。
それは無論、当の寿雪の心にもそれ以上のものとして宿りゆくのかもしれない。それを思うからこそ感慨もより深まっていくのだろう。
「烏妃」である寿雪が予てより強いられてきた禁忌。それを葛藤の中で破りながらも、培ってきた――寿雪当人としては“図らずも”と言わざるを得ないところもあるのだが……――人々との“つながり”。その“つながり”が、今此処で“寿雪を必死に救い守るため”にと人々を動かす源泉になっている。
「因果応報」――寿雪の心根がもたらし撒かれた種。それらが芽吹き様々な形をもって花を咲かせ、その豊潤な色香を伴って寿雪の元に還るさま。それを見て心が波立たぬは嘘であろう。
例を挙げればキリはないが、とりわけ“束の間の日常を取り戻した”寿雪に対しての「花娘」の振る舞い(心遣い)には、殊の外鳥肌が立つほどの感情に“身悶え”もした。
更にはそれらの様を綴る筆致だ。こと更押し売るでもなく“さらり”としているあたり、品と共に妙を感じさせるのだが、この品と妙がいわばこの巻での肝にもなるようだ。
また“結実”という意味では、一貫して物語の隅々に至るまで丁寧かつ緻密に描くことを徹してきた手法が、ここにきてより功を奏し“効いて”いると感じさせる。
物語が大きく動き出す中にあって、登場人物の人柄/為人、そして心情の機微などを子細に描いてきたことが、各々の“行動原理”を読みやすくしている。つまり、彼らが寿雪のために『なぜ』“動く”のか。その『なぜ』、行動を促す“背景”=根源/原動力が明確に見えてくるからだ。
手に取るようにその“なぜ”が分かるからこそ、感情移入もしやすくなるし、感慨深さも一層増す。
まさに描写の緻密さが生む功績だ。
いよいよ物語は最終局面を迎えていく。
続きが気になります
今回も予想しない展開でとにかく読み進んでしまいました。電子書籍なのでもう読み終わったのかとビックリしてしまいました。どの人物もそれぞれの正義があることに変わりがなくて、
ちょっと悲しくなります。
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