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後宮の奥深くに住みながらも夜伽をしない特別な妃、「烏妃」。彼女は不思議な術の使い手で、頼まれれば依頼者の差し出す代償と引き換えに、呪殺、祈祷、失せ物探しと何でも引き受けてくれるという。そんな彼女のもとへ、あるとき皇帝がやってくるところから始まる、中華風ファンタジー兼ライトミステリー小説。
コバルト文庫出身の作家だからなのか、少女小説のような雰囲気もあってとても読みやすいです。硬質な烏妃の姿と言葉が非常に印象的で、美しい表紙イラストと相まって、あっという間に本の世界に引き込まれます。また、どの巻も連作の短編で構成されており、いずれのお話も謎解き短編として充分楽しめますが、共通して描かれる烏妃と皇帝のささやかな交流が二人の孤独をかえって際立たせているようで、大きな伏線と思われる二人の関係とそれにまつわるさまざまな謎とともに、先が気になってつい読み進めてしまいます。個人的には、衣装や風景を表現する作家の文章力を強くアピールしたい! ぜひ読んでみてください。
Posted by ブクログ
そもそもはTVアニメから嵌ったこの「後宮」シリーズ(1巻〜2巻までの内容は放送回として配信中)。原作を①〜⑦まで纏めて“箱買い”するほどの心酔――入れ込み様ではあったが、結果として原作小説はアニメ以上の質感。ここ(3巻)まで一気に(実質4日で)読み切ってしまった。
前作までの感想でも書いてはいるが、①〜②に関しては主人公である烏妃「寿雪」を中心とした、彼女に関わる人たちの為人を、後宮内で起こる摩訶不思議な事件に絡めながら、或いは切っ掛けに、寿雪との関係性も含め緻密に描き切っていく譚。つまるところ「紹介」を踏まえた“序章”、と言えなくもない。
彼女たちの諸々の素性や気質に触れ、深く知るたびその魅力に気付かされ、そして惹かれていく。
それはまさにこのシリーズを更に読み進めていく上で必要不可欠な“下地”を、読者に積ませているという感覚でもあろうか。無論この3作目を即座に手にした時点で、かく言う私もしっかりと“地ならし”――完全に魅了――されてしまった証なのだろう。
さて肝心の今作だが……少しばかりテイストが変わったと感じさせる。それは決して悪い意味ではない。謂わば新たなフェーズに差し掛かったという印象だ。
例えば「寿雪」とは何者――本来のあるべき姿、どうあるべき者なのか。なぜ“烏妃”として選ばれたのか。幾多の謎めいたものが彼女にはいまだ秘められている。それらを穿ち、解き明かすべく物語も進んでいくだろうことを期待させる――このままでは終われない。留まり続けることは不可避であることを予期させ、意味し、新たな段階に入ったという布石を匂わせる。
まさに物語の“スケール感”が変わったという感覚だ。
そして勿論、“面白さ”はそのまま変わることなく、作者が拘る“理”に従い、神秘的かつ圧倒的中華幻想譚は綴られていく。
引き込まれます
全体的に薄暗い不思議な世界の話に飲み込まれて、たんたんと読み進みました。それぞれの口にしたくない過去を抱えて優しくできるのがなんだか嬉しいです。
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