金原瑞人のレビュー一覧
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前作『天才たちの日課』の男女比を反省した著者は、女性アーティストに絞って新たに一冊書きあげた。ライフとワークのバランスに思い悩み、性差別と闘いながらクリエイティビティを発揮してきた女性たちの言葉に打たれる小伝集。
ブログの書籍化であり、日課にフォーカスしたトリビア的な内容だった前作とは全く別物。このためにインタビューしたアーティストも多く、コンセプトも構成も「日課」から飛びだして「生き方の多様性」へと広がった続篇になっている。
女性作家やアーティストを紹介するガイドとしても楽しく、特にジャネット・フレイムとジーン・リースの人生が強烈で本を読んでみようと思った。西洋人中心だが、アフリカン・アメリカンの比率は前作より高いかな。出版当時現役の人も前より多い。人選について強いて言うなら、作家はエンタメ系の人もいるのに、音楽家はハイカルチャーの人ばっかりで少し残念。ここにフィメール・ラッパーとかいたら面白かったはず。
読みながら書きとめた言葉がいくつもある。「俳優はほかのどんな職業にも増して時間の奴隷だ」と言ったタルーラ・バンクヘッド、「書くこと以外はぜんぶ楽しい」と言ったドロシー・パーカー、「ハリウッドでいいデザイナーであるためには、精神科医とアーティストとファッションデザイナーと仕立屋と針山と歴史家と看護婦とバイヤーの全ての役を兼ね備える必要がある」と言ったイーディス・ヘッド。「どんなものを手に入れようとも、すべてのものを、世界を手に入れるべきだと思うから。なにもあきらめるべきではないと思う。人生に取り組むために必要なのは、猛烈な貪欲さだと思うの」と語るグレイス・ペイリー。そして、タマラ・ド・レンピッカの恰好良すぎる「奇跡なんてない。あるのは自分が作るものだけ」。
また、やはり結婚をめぐる諸問題は一大トピックにならざるをえない。特に同業者と結婚したケースで、自分の仕事には理解と支援を求めながらも妻の創作活動は妨害する夫たちにうんざりする。若いころのコレットが夫に執筆を強要され、監禁されて書いた小説を夫名義で出版されていたというのも知らなかった。画家アリス・ニールの「よい妻がいたら、私はもっと成功していたはずです。いかにも男性優位主義者的な発想ですが、これが私の前に立ちはだかってきた社会の現実なのです」という言葉は、『龍彦親王航海記』を読んでから私のなかで地味に頭を離れない「〈家庭内編集者〉〈家庭内秘書〉としての妻」という問題を端的に表していると思った。
軽快な語り口で一人一人の分量も数ページだし、さくさく読み進められるが、ケイト・ザンブレノの『ヒロインズ』や山崎まどかの『真似のできない女たち』に通じるスピリットのある本だった。女ことばを使いすぎず、その人らしい口調で自然に読める訳文がとてもありがたい。これは作品のテーマ上、とても大切なことだったと思う。面白くて一気に読んでしまったけど、毎日一人分ずつ読んでいくのでもよかったなぁ。 -
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ネタバレ第3部 〈完結編〉
堕ちた神父に煽動された暴徒たちによって愛馬を殺され、魔女として捕らえられて火刑に処される寸前でかろうじて異界へ逃れる…と、初っ端からまたしても満身創痍すぎるワーシャ。あまりにも強大で邪悪な敵に対し、17歳の少女がたった1人でどうやって立ち向かえばよいのか(やめておけばいいのに、なぜ何度もわざわざ危険な目に遭うのか…)。 孤立無援の苦しい旅の中で、初めて現れた小さな仲間(キノコの精)や馬たちとの交流が微笑ましい。そして、再会した冬の王とのロマンスも。。
クライマックスは、ルーシの諸公国が結束して敵国タタールの襲来を打ち破ったクリコヴォの戦いという史実に基づいているが、ワーシャはロシアの土着の精霊(チョルト)たちに呼びかけ共に戦うことで見事勝利に導く、というエンディング。 ふと、今のルーシ(ウクライナを含むロシア)で同じ民族で殺し合っているのを、チョルトたちはどんなに嘆いているだろうと思った。『神などいない —— あるのは信仰だけ』という悪霊の台詞に納得。
誤訳なのか原文のミスなのか、文中に語句の重複があったり、人名の入れ違いのために話の辻褄が合わない箇所がいくつか見受けられたのは残念だったが、トントン拍子に刊行してくれて有難かった。
壮大なファンタジーがあっという間に完結してしまって寂しくもあり、ワーシャと冬の王の後日譚や姪のマーシャを主人公にした続編が出たらいいな。実はバーバ•ヤガーと海の王(⁉︎)の血をひいてたというのも唐突だったので、そのあたりのルーツも気になるところ。 -
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▼大昔に岩波少年文庫でこのシリーズは楽しんだ記憶が。今回この新版は、作者のお子さんが手を入れて、「現在だと差別的と言われる箇所」をざっくりカットしたそうで。なるほど、「ちびくろサンボ」状態で、今のご時世だと展開がむつかしかったのかもしれませんね。こういうの悪くないと思います。ただ、確かに作者の子供、とかそういう権利者が自分で手を入れないと難しいかもです。
▼娘(8)に読み聞かせながらで通読。反応は悪くない。やはり面白いですね。個人的には「マエモウシロモ」という動物がなかなか爆笑ものだった。そして、ドリトル先生というキャラがすっとぼけていて、これは良いキャラだなあと思いました。いわゆるイギリス紳士っていう感じでもあります。 -
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交通事故に遭った少女ビアンカが、同じ病院内にいる子どもたちと共に「マインクラフト」というゲームの世界を探検し、現実と向き合っていく物語。ある4年生の2学期のベスト本。
ゲームの世界に「現実逃避」するのではなく、むしろゲームの中に現実の悩みを持ち込み、仲間と共に向き合っていくというところがおもしろかった。病院内の仲間たちそれぞれが悩みや不安を抱えており、それがモンスターとなってゲームの中に現れる。彼らはそれに気づいていて、目を逸らしたい現実に向き合おうとしていく。それがゲーム攻略の鍵ともなるからだ。そうした点が、マインクラフトをプレーしたことのない自分のような読者も引き込んでいく、力のある作品だった。
「このゲームそのものーーゲームのなかのものすべてと、ここで起こったことすべてーーが、わたしがつくり出したものだ。これはわたしの抱える問題がデジタルの現実になったものなんだ。マインクラフトって、世界を作るゲームだよね? わたしはすさまじい世界を作ったってわけ。」
交通事故に巻き込んでしまった親友のロニーの姿をした村人の存在も、読者を最後まで引っ張っていく魅力的な存在。それがプレー中のロニーなのか、ただのゲームキャラの村人なのか。ロニーだと信じ続けるビアンカと、ただの村人だとみなすアントンとエズメの間に溝を生み、彼らの関係を複雑にしていく。だからこそ、対立を繰り返す中で芽生え、深まっていく友情に感動を呼び起こす。ラストシーンはすばらしかった。 -
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スパクルである、1017の視点も入ってきて、話がいろいろ複雑になっており、話の展開が早い。
プレンティス総統のトッドへの気持ちが凄すぎて、怖い。
ノイズを使って相手をコントローしたり、攻撃したり、、、恐ろしい。
トッドの成長ぶりがすごい。最初の頃のトッドは、ノイズを、制御することもできず、考えたことがダダ漏れで、行動にもそれが出ていたが、自分を制御することができるようになる。
ヴァイオラと出会ったからなのか、戦うようになったからなのか、プレンティス総統と一緒にいるからなのか、いろいろなことに影響され、人は成長するんだな。。
最後が、そんな最後でいいの?こんな最後なの?ジェットコースターの途中から放り出されたような気持ちになってしまった!
このシリーズは、本当に面白かった!! -
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ネタバレ第2部
生まれ育った村を追われる形で、首都モスクワへと辿り着くワーシャ。 途中、盗賊と戦って攫われた少女たちを救出したり、宮廷に渦巻く陰謀に巻き込まれたり、自らの出自にまつわる因縁の魔術師との対決、という怒涛の展開。
当時、ロシアの一定の身分の女性はテレムと呼ばれる小高い住居に篭って暮らし、自由に外を歩くことさえ許されなかった。 年頃になれば、結婚して夫のテレムに移りそこで子を産み育てるか、もしくは出家して修道院に行くか…自由奔放なワーシャにとってはどちらも監獄と同じである。 馬に乗って1人旅立ち、寒さや飢えや身の危険に晒されたとしても広い世界を見たい!というワーシャの望みは叶うのか。
ふと『ピーターパン』の中で、人間が「妖精なんかいない」と言うたびに妖精が1人死んでいく…という話があったのを思い出した。 ロシアの土着の精霊たちや、キリスト教の神でさえ、目に見えないものに対する信仰というのは人間の心に深く根ざしながら、一方で簡単に揺らいでしまう不確かなものだ。
それは、死を司る冬の王マロースカであっても同じで、不死の存在である自らをこの世につなぎ止めるために若い娘を利用してきたが、いつの間にかワーシャを愛してしまったことで力を失い…という切ない展開。 自分の感情に戸惑いながら、ワーシャにどう接したらよいか悩んだりする意外な人間臭さ(ツンデレ)が微笑ましい。 マロースカはまた冬が来たら力を取り戻すの? それとも完全に消滅してしまったの…? 第3部が楽しみ。