金原瑞人のレビュー一覧
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第二次世界大戦下の「絶滅収容所」アウシュヴィッツで、生き延びるため同胞に鑑識番号を刺青し名前を奪う役目を引き受けたユダヤ人の男。彼はある日、その列に並んでいた女性に恋をした。「必ず生きて、この地獄を出よう」と心を決め、あまりに残酷な状況下で自らもあらゆる非人間性に直面しながら、その中でささやかな人間性と尊厳を守り抜くために重ねた苦闘と愛の物語。
希望を捨てずに、何とかして生き延びる術を探して必死にあがいたユダヤ人を責めることはできない。仮に同胞よりもいい思いをしたとしても、それは決して罪でも何でもない。結局死んだらおしまいなのだし。逆に生き残る理由を彼女に逢えたことで見つけたラリは運が良かったのかもしれない。疲れ果て諦めてもおかしくない状況で、強靭な精神を持ち続けたことに畏怖を覚える。それでも戦争のドキュメンタリーは見られなかった夫婦。そうだよね・・・普通にフラッシュバックしそう。ナチスが行ったことをこうして後世に伝える役を担ったラリの思いに報いるには、私たちが二度と同じ過ちを繰り返さないこと、ただそれだけだ。 -
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作家、芸術家、音楽家など、創作活動を仕事にしている著名人たちの"日常"を、彼/彼女らのデイリールーティンから覗いてみる小伝風ノンフィクション。
朝方の人、夜型の人、専業の人、兼業の人など、ライフスタイルはさまざま。規則正しい生活を保つためだけに別の仕事を続けている人もいたりする。
夜型の人はやはり不眠や薬物依存に悩んでいることが多く、画家のフランシス・ベーコンが入眠時に古い料理本をくり返し読んでたというのは、心を穏やかにする方法として共感できるし、作風とのギャップで余計に切ない感じがした。「数学者はコーヒーを定理に変える機械だ」と言ったポール・エルデシュのように開き直る人もいたけど。
ボーヴォワールとサルトルのようなパートナー関係にも注目せずにいられない。直近で読んだ『龍彦親王航海記』から、やはり澁澤と矢川澄子のことを連想してしまう。自分と同じく作曲家だった妻の仕事をやめさせたグスタフ・マーラーや、ともに作家志望の夫と「片方がフルタイムの仕事に就いて生活費を稼ぎ、片方は創作に専念する生活を一年ごとに交代する」と約束しながら、先に売れて専業作家になってしまったカーソン・マッカラーズなど、創作者夫婦の苦悩が印象に残った。
「日課」とは違うんじゃないかと思いつつ、度肝を抜かれたのはマリーナ・アブラモヴィチ。博物館で座り続けるパフォーマンスのため、夜中に体内の水分をだしきるルーティンを守り、昼間トイレに行かなくてよい体を作り上げたという。パフォーマンスを習慣化し、自分の体を素材にして見せる人の異質さが光っていた。 -
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漂野凪さんの「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」のオーナーそろりさん…この「森の生活」の著者ソローからのネーミング…ということで、興味を持ちました。だけど、私って海外作家さんの作品には苦手意識があって…でも、この作品はわかりやすくってよかったです(いつか、そのうちに…海外作家さんの小説も読みたいとは思ってるんですけどね(汗))。
著者のソローさんは、仕事をやめ森にこもって自給自足の生活を始めます。本当に必要なものは以外は求めず、自然の恩恵を受けながらその日その日を流れるように、自身のペースで生活することに…。だけど、社会を遮断して生きていたわけじゃなく…だからこそ、奴隷制度などに反対の意志を示すためにも税金をあえて未納にしていたため逮捕されちゃったりもします。それで悲観して…とはならないところが、ソローさんのいいところかな!囚われの身であっても身を任せてあえて外に目を向けるっていうのもいいですよね。
・この世界で生きることは苦行ではなく、遊びなのだ。シンプルに賢く生きてさえいれば。
・愛より、富より、名声より、真実がほしい。私は本当の豊かさを楽しめる貧しさがほしい。
・夢の指し示す方向に自身を持って進み、自分の思い描いた生活をすればー
普段は思いもよらない成功を手にすることができる。
・天国は頭上にもあり、足元にもある。
ちょっとだけ、私がいいなって思った箇所を抜粋しました。心が豊かであれば最低限の生活でも、本当の豊かさを得られるって、解釈でいいのかな…。共感できるところと、それでもやっぱり生活するにはやっぱりお金もないと…とか、思っちゃうんですよね(^-^;) -
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やったことがないからあくまで想像だけど、各国の背景のみならず、時代や宗教などまで絡んでくるだけに、ただ右から左へ訳せばよいというものではなく、目に見える遥か上の労力が必要となるに違いない翻訳という作業。基本的には自分が気に入った作品を訳するとはいえ、並々ならぬ決意的なものが裏には存するはず。となると、その翻訳者自身が評する場合、批判的なものにはなり得ない。知る限り、書評はポジティブなものが大半だし、本書の趣旨に何ら反対はなく、本作も前作同様、楽しく味わわせてもらったんだけど。そして読みたい本もまたたくさん見つかり、列挙するのも大変な量だったから、本書の中に直接チェックを入れました。
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Posted by ブクログ
天才たちの日課…キーワードは「早寝早起き」「早朝からスタートダッシュ」「散歩」「コーヒー」が多かった気がする。
誰に強制されたわけでもなく、自分で決めたルーティーンを淡々と過ごしているように見える。その中で、アイデアや素晴らしい作品が生まれてくるのだろう。
ヘンリー・ミラーは決まったスケジュールを守ることが毎日の創造的なリズムを作るためには重要だと強調した。「優れた洞察力が働く瞬間瞬間を維持するには、厳しく自己管理をして、規律ある生活を送らなければならない」という言葉が印象的。
村上春樹のルーティーンは、午前4時に起き、5,6時間ぶっ通しで仕事をする。午後はランニングか水泳、雑用を片付け、読書したり音楽を聴いたりして、9時に寝る。この日課を毎日変えることなく繰り返すこと自体が重要。一種の催眠状態というか、自分に催眠術をかけて、より深い精神状態にもっていく。深い井戸の中に入っていくんだね。