金原瑞人のレビュー一覧
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体や心の様々な症状別に「効く」文学作品を処方し、その理由も書かれた風変りなブックリスト。
症状は多岐に渡り、「不安なとき」「心が折れてしまったとき」といった確かに本に縋りたくなるようなものから、「お茶がほしくてたまらないとき」「鍵がなくて家に入れないとき」といった本を手に取る前に他の解決法が即座に頭に浮かびそうなものもあれば、「悪魔に魂を売り渡したくなったとき」「結婚相手をまちがえたとき」といった割とショッキングな症状まで網羅されています。冒頭から読み進めていくというより、目次から気になる症状の頁を眺めていき、目に留まった文学作品はひと先ず片っ端にチェックしていく、という使い方が正しいように -
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ネタバレ〈それにしても、21世紀になって、これほど面白い小説は書かれていないのではないか〉
帯のアオリであり訳者あとがきの一説でもある。その言葉を信じて、いや、真偽を確かめるべくこの本を手に取った。なるほど、あながち嘘ではないようだ。まあ、他にも面白い小説はありそうだが。YAのような装丁だが、これは中高生には向かないのではないか。ていうか、大人向けでしょ、これ(きわどい描写もあるし)。
1935年アメリカ。大恐慌から6年が経っている。ウェストヴァージニアの小さな炭鉱町に住む若い夫婦が主人公だ。妻のエルシーはハイスクールを卒業後、しばらくフロリダのオーランドに住んでいたことがあって、炭鉱の砂埃だらけ -
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若くして結婚した二人が旅で様々な出来事に遭遇し、自分のいるべきところを見つけ出すロードムービー物。
かなり面白く読めたが、遭遇するたくさんの奇想天外なエピソードに興醒めすることもあった。やり過ぎじゃないかなと。
それにめげさせずに最後までぐいぐい読ませたのは、ワニ、雄鶏、旦那さん、奥さんの描写が秀逸で、それぞれが物語に欠かせない役割を持っていることにあると思う。
子供だけどいざという時助けてくれたワニ、神のように俯瞰して世界を見ているかのような雄鶏、真面目で誠実でたくましい夫(作者の父)、何より奥さん(作者の母)の生き生きとした描写には、読んでいて何度も笑顔になることができたし、頭の中に -
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高校生の僕クエンティンは、幼なじみのマーゴに恋している。マーゴは学校の中心にいて、イケている奴らと付き合っている。一方クエンティンの親友はベンとレイダーの二人。イケてはいない。卒業間近にクエンティンはマーゴのミッションを手伝うことになる。内容はマーゴの取り巻きに対する決別を込めた復讐だった。
その翌日からマーゴは姿を消してしまう。クエンティンのマーゴ探しが始まる。
私はクエンティンのマーゴを見つけなくちゃという焦りを、滑稽に思ったり、マーゴの意志の強さに驚いたりしながら読んだ。
途中、搜索が進展しないので中だるみに感じたが、クエンティンとベンとレイダーとレイシー(マーゴの元親友でベンの彼女)の -
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映画を観て、素晴らしかったので、原作も。
訳者あとがきにカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」をこの物語を読み終えたときに思い浮かべたと書かれていましたが、その通りだと思いました。死と隣り合わせによる生の捉え方は似たものを感じます。
これはかわいそうながん患者の子どもの話ではなく、ヘイゼル・グレイスとオーガスタス・ウォーターズの恋物語でした。決して非日常ではなく、日常の物語。そして可能性の物語。ヘイゼルは可愛くてちょっと理屈っぽく偏屈気味。オーガスタスはイケメンだけど象徴にこだわるキザな男の子。いちばんすてきだったのは、ふたりをめぐる友人たちの日常と、プラスして障がいをネタにジョークを平気 -
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切ない恋の物語。そんな簡単なタグでは括れない一冊。
がんに侵された哀しく切ない、二人のティーンの物語。
と聞くといかにも儚く美しい...なんてイメージを膨らませますが、
ただたまたまその境遇に置かれているだけで、他の10代と同じように、
ちょいと親に反抗してみたり、悪いことしてみたりetc
日常生活が、彼らにも同じように流れていく。
日々がたんたんと描かれていくので、
冗長に感じてしまう人も知るのかもしれないけれど、
自分は単なるお涙ちょうだいの、美しく装飾されたものでない、
ありのままが描かれている気がして、楽しく読み進んだ。
特に登場人物の使う言葉のセンスに惹かれ、
火をつけない煙草 -
Posted by ブクログ
ネタバレがんを患う若い二人、ヘイゼルとオーガスタスの恋物語。ていうか、二人の恋愛を通じて、生きること、死ぬこと、愛すること、なんかについて書かれた本。
感動の話を期待していると、どんでん返しがいくつかある。でも、いわゆる奇跡は起きない。
私は自分自身や身近にがんを患う人がいないので、がん患者のリアルがどういうものかよくわからないのだけれど、この本は結構、そのリアルにこだわっているように思う。たとえば、がん患者のトロフィーとか(いかにもアメリカらしい)、ウイッシュ(これは日本でもある)とかについて、文句なく素晴らしいものとしては描かれない。当事者はそれらについて、うさん臭く思っている話が出てくる。