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幼くして両親を失い、牧師である伯父に育てられた青年フィリップ。不自由な足のために劣等感にさいなまれて育ったが、いつしか信仰心を失い、芸術に魅了されてパリに渡る。しかし若き芸術家仲間と交流する中で、自らの才能の限界を知り、彼の中で何かが音を立てて崩れ去る。やむなくイギリスに戻り、医学を志すことになるのだが……。誠実な魂の遍歴を描いたS・モームの決定的代表作を新訳。
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Posted by ブクログ
フィリップの人間臭さに魅了された。コンプレックスの呪縛、何者かになる為紆余曲折し、ようやく見付けた芸術の道へのあっけない断念や、悪女ミルドレッドへの執着、自分自身の欲求を周囲のしがらみから婉曲することでさらにややこしくしたり。 あー、モームも普通の人間なんだなと親近感がわいた。 ストーリ―中で、月と...続きを読む六ペンスがほんのり絡んでいるのもお洒落。 じっくり読みたい小説なので、下巻もゆっくり。
モームは月と六ペンスも面白いがこちらの人間の絆も最高。古典とは思えないくらい読みやすい。 特にパリに行ってからどんどん面白くなる。敷かれたレール通りに聖職者を目指したものの、神を信じてない自分に気づき、自ら選んだ道で人生を模索し始める。 他者の人生と自分の経験を通して人生の意味に行き着く場面は圧巻。...続きを読む この本が出版当時から支持を集めていたのが意外。人生の意味に悩む現代人にも読まれるべき一冊だと思う。 上巻は下巻への伏線の位置付けという意味で⭐︎4。 最初は自意識が強くて周囲と馴染めないフィリップにかつての自分を重ねてしまってうわぁと思いながら読んでいたが、段々と頭で考えている癖にいざとなると感情に任せてしまうところとか、学校を退学してドイツに行き、しかも画家を目指してパリに行く所とか、行動力がありかなり大胆で勇気があるなあという印象に変わった。しかもなんだかんだ周囲と人間関係も築けて、周りの気もかけてあげて良い奴だなと思う。
まだ途中 モームは大好きだけどたまに共感しすぎて読むのが苦しい 作中で登場はしないけど言及される、元事業家で家族を捨てて画家になった男って「月と六ペンス」に出てくるストリックランドなのか…!?とオタク的なアツさを感じた
モームが自身を振り返るために書いた半自伝的小説。 とても内省的で自虐的な描写が多い。 ぶつかって砕けて、もがき迷いながらも人生の意味を模索している。 重く深かったので、毎日少しずつ。時間がかかった。下巻でフィリップはどうなるのか…
冒頭は正直読むのがしんどい箇所だった。しかし後半からはかなり面白く一気に読めた。モームの自伝的小説であり、モームのことが好きな自分としては楽しめた。 職業を公認会計士→画家→医者と二転三転して、人生について考えていくフィリップのことが気になっていく。
主人公の考え方や言動から、育ちや環境、コンプレックスによる課題の多さが目立ち、ときに安直で辛辣な観察力により惑わされた。 また、この時代の暮らし、差別、格差による人々の心の貧しさも目につく。 主人公の半生を余すところなく書いているため、読んでいて苦しく、不快なところも多いが、興味深い点やなぜか...続きを読む読み進めたくなる魅力がある。 それは一人ひとりの暮らしや価値観と心情が痛いほどに表現されているからか? 粘って下巻まで読んでみる。 この先どうなってゆくのか..
裏表紙の紹介には「誠実な魂の遍歴」とあるが、誠実かどうかは別にして、内省的な主人公の青年らしい葛藤の遍歴ではある。純粋であり傷つきやすく何度も壁にぶち当たる。好きな美術の道に進み、挫折を味わったものの成長の糧となった時期を過ごしたと言ってよい。下巻が楽しみ。2022.4.8
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