【感想・ネタバレ】人間の絆(下)(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

イギリスに戻ったフィリップの前に、傲慢な美女ミルドレッドが現れた。冷たい仕打ちにあいながらも青年は虜になるが、美女は別の男に気を移してフィリップを翻弄する。追い打ちをかけられるように戦争と投機の失敗で全財産を失い、食べるものにも事欠くことになった時、フィリップの心に去来したのは絶望か、希望か。モームが結末で用意した答えに感動が止まらない20世紀最大の傑作長編。

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Posted by ブクログ


フィリップの愚かさ、醜さにイライラことも多い

客観的に見れば愚かでも、自分の内側にもある嫌な部分、過去の失敗がチラつくので不思議と他人事には思えない。

自分ではコンロトールできない大きな流れに
翻弄されながら、もがく姿も今の自分と重ねてしまう。(フィリップは比べられないぐらい悲惨)

裏切り、裏切られ、救われ、救い 絡れながら
それでも生きていく。

いくつも大切な一節がある、
繰り返し読みたい一冊。

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2025年10月17日

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ネタバレ

主人公フィリップの、10歳〜30歳くらいまでの物語。幼少期に両親を亡くす不幸に見舞われながらも若さゆえの大志と自信を抱いて運命を切り開いていくかと思いきや、思うようにいかない現実を知り、挫折を繰り返しながら大人になっていく。

作品の中でフィリップは神を拠り所にしない自我を獲得していくが、主人公を見守る神のような視点から物語は語られる。

不条理の権化ミルドレッドが何度も介入し、さまざまな運命に翻弄され、自分ではどうすることもできないことがあることを知りフィリップは成長していく。
経験したことは力となり、人生を少しづつ織り重ねながら、そのときそのときに価値を感じることを大切にしていけると良いと感じた。

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2025年07月23日

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下巻は非常に面白かった。ミルドレッドとのいざこざ、株で大損をしたことによる極貧生活、医師としての活動、叔父との関係など様々なことを通じて、フィリップが人間として変化していく模様を描いている。

印象に残った箇所は数多くあるものの、一つあげるとすれば最後の箇所である。
>自分にできるのは、人のよいところを受け入れ、人の過ちに耐えることしかない。死を目前にしたイエスの言葉が記憶によみがえった。

あれほどキリストや牧師になることを否定したものの、最後は隣人愛のような考えに至っていく過程が非常に面白い。

ペルシャ絨毯のように複雑模様を織りなすことが人生も良いが、普通に平凡な人生を歩むこともまたそれで良いと柔軟な考えをしていくそれこそが人間模様だなと感じる。

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2025年05月29日

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ミルドレッドに振り回される主人公にイライラしながら早く手を引きなさい!と思いながら読んだ。文学作品はどうしようもない女性に振り回されがち??フィリップは理性的かと思いきや激情型で、ツッコミを入れながら一日で読んでしまった。
どうしようもない恋愛、身にならない画学生としての生活、医者として患者の生死に向き合う日々、友人たちの死、そして困窮した生活を通して自身の人生哲学を深めていく。フィリップは自身の人生からこの答えに行き着いた。すべての経験が彼の人生を形づくり、一つとして無駄なことはない。人生の意味とはそういうことなんだと思った。誰もが生きて成長して死ぬ過程で、様々な境遇で違う経験をして、そこにもいろんな濃淡がある。であれば私は、自分にできることを精一杯やっていきたいと思う。それで良いんだと思えた。
今ここではないどこかへの冒険を夢見ていたフィリップが最後に選んだのがサリーとの結婚生活だったというのも嬉しい。

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2025年04月19日

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フィリップの生い立ちから少年期、青年期、壮年期を描く
淡々とかつシンプルに、それでいて丁寧に
ここまでの大作になると物語をどう収束させるのかが途中から気になって仕方なかったけど、読み終わっても納得

周りの人のせいで苦労しているようでいて、読み手からするとフィリップ自身のせいであると読み手は感じ取れ

名作を読んだなーと感じ

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2024年12月07日

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1人の青年の人生を体験できた気がします。

主人公の卑屈さや口の悪さに時々ムッとさせられましたが、誰だって言葉にせずとも心に嫌な自分が現れるときはあるわけで、これも成長の過程と思って読み進めました。
最後までどうなるのか全く想像できず、長編ですが夢中で読みました。
大切にしたい本がまた増えました。

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2023年10月22日

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帯が絶賛してたので購入。読み終わったあとはふーんと思ったが、じわじわとラストシーンがきいてくる名著。多分つらいことがあったり進むべき道がわからなくなった時にふと思い出して立ち直らせてくれるタイプの本なんだろうなと思った。

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2023年07月31日

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登場人物が人生について語る部分が興味深かった。
英国の紳士階級の気取った会話もおもしろい。
シンプルな文体で読みやすい。主人公に共感すると読みにくいかも。いつかまた再読したい。

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2022年11月03日

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フィリップという医者の息子が、母親を亡くす場面から始まる彼の半生を描く物語。
「月と六ペンス」でも思ったが、モームは「人間」の描写がとても上手い。
人の美しさ、醜さを現実的に表現しつつ、読む側が飽きずに読めるよう話がどんどんと展開していく。
「月と六ペンス」の主人公ストリックランドを想像させるセリフがあったりと小ネタも面白かった。

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2021年12月24日

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 フィリップの見えるか見えないかの変化が、一気にひらけてゆく様。上下巻ともに、フィリップがしがらみから解放されてゆく表現は圧巻だった。

 様々な暮らしを経験して味わった絶望感や少しの希望の中で、フィリップが生きることのこたえを見出していく。
それは万人が頷けるものでなくとも、フィリップ自身の、強い軸になってゆく。
 後半は特に哲学的要素が強いように感じた。

 読んでいて苦しく不快であったり、嫌悪感を抱いたりするのは、自分自身の経験とも否応なく重ねざるを得なかったからかもしれない。
 想像していたような小説ではなくとても戸惑ったし、主人公を好きになることはなかったが、読み終えることには自然と愛着が湧いていた。

 粘って読んで良かった。
数年おいて、また読みたい。

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2025年05月07日

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ネタバレ

評価はまだつけられないな……
「月と六ペンス」みたいにガーッと感動はしなかった。でもところどころむちゃくちゃに感情をゆすぶられたり、主人公の言動にもう本を投げ捨てたくなるほどイライラしたり、よくわからない感情で涙がでてきたり、「つまらなかった」というわけではない。でもストレートに「よかった!」とは言えない感じ。
またもう少し時間が経ってから読み直したら気持ちも変わるだろか。

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Of Human Bondage
タイトル、光文社版だと「人間のしがらみ」って訳だけど、個人的にはどっちもそうだな、という感じ
人間どうしの間にあるものは暖かい絆であるときもあるし、やっかいなしがらみであるときもある

そういう意味でも、この新潮社版のカバーデザインが好き
上巻は棘のつるでまさしく苦しみの象徴っぽいけど、下巻は葉っぱの芽吹いた希望のデザイン どうでもいいけど色もなんか好き

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2022年09月01日

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株に全財産投機して失敗する。家賃が払えず家に戻れれない。金をくれない叔父の死を願う。傲慢でひどい目ばかりあわされる女にいつまでも執着する。こどもができて自分の夢がやぶれるかと怯える。そんな男に特に若い読者は嫌悪感を持つだろう。一方で小心で欠点を気にし先の夢ばかりみている主人公に自分を重ねることだろう。失敗を重ね世間を疎ましく感じた自分が潰れずに、最後は意味ないと感じていた世間に救われる。含蓄ある話だった。2022.5.3

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2022年05月03日

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描かれているのは、読んでいて気分が悪くなるような、どうしょうもない人間の生き様。
が、人間の本質や生き方が描かれているように感じた。
人に振り回され、裏切られ、貧困にあえいでも、人に救いを求める。

読後にタイトル「人間の絆」とは何だろうかと考えさせらる。

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2022年01月22日

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フィリップの医学修業期の友人関係やミルドレッドやノラとの恋愛、特にミルドレッドの悲惨な人生に巻き込まれる絶望の日々、金銭的な限界状況下、度重なる裏切りにも拘らず最後までミルドレッドを扶助するフィリップの懊悩。
最悪の状況下、アルセニーに助けられ危機を脱出し、伯父からの遺産相続も実現し、誠実で着実な娘のサリーと結ばれる。
足の不具等のハンディを超えて医師になり自由に世界を旅する夢に向かって、生き方を模索し人間を磨く青春の物語。

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2022年08月13日

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