宮下奈都のレビュー一覧

  • いつか、アジアの街角で

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    好きな感じの短編集だった。
    特に好きだなと思ったのは、宮下奈都の「石を拾う」と角田光代の「猫はじっとしていない」だった。
    心の底から突き上げてくる怒りをマグマと表現していたり、喪失感からくる寂しさを埋める旅をしてみたり、心の模様を石や猫をモチーフにして上手に描いているところが良かった。
    好きになった作者の他の作品も読んでみたいと思った。

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    2025年02月07日
  • ふたつのしるし

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    なかなか良かった。
    この物語には2人の「ハル」が出てきます。1人目は少し周りに合わせるのが苦手なハルです。2人目は優等生だけどその裏で気持ちを隠している遥名。途中までは何の関わりもない2人ですが2011年の震災を経て繋がっていく。解説を読んで最後にタイトルの意味がわかった時、素敵だと感じました。

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    2025年01月28日
  • スコーレNo.4

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    一人の女性の成長を描いた小説。4章からなり、器量の良い妹に嫉妬する少女時代、学校になじめない学生時代、疑問を抱きつつ過ごすOL時代、専門分野を見出す社会人時代、という感じで、主人公の人生が発展していく。
    主人公は容姿も能力もごく平凡な女性で、本人も子どものころからそれは自覚している。成長に従い、恋愛を経験したり、親の人生に思いをはせたりする。姉妹間で嫉妬心や競争意識を持つのは割と普遍的だが、比較されて見劣りする方はずっと劣等感を持ち自己肯定感が持てなかったりする。
    子ども時代の恋愛の話は感情移入できず、またこの著者の表現が表面的で慣れるまで頭に入ってこない部分も多かった。後半は会話中心で助かっ

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    2025年01月28日
  • 静かな雨

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    宮下奈都のデビュー作。上質な難解さがある。調味料を付けずに素材の良さだけを活かした料理と言ったら良いのだろうか。記憶ができない女性と男性との二人の生活。そこに新しい世界が築けられるのか?でも、タイトルの「静かな雨」のごとく、じわりじわりと地面にしみていくように二人の世界が築けられていく。この作品は読んだだけでも価値があると思った。それは『羊と鋼の森』を始めとする感動小説を世に出していく作家の原点だから。

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    2025年01月26日
  • たった、それだけ

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    今まで、逃げちゃダメだ、諦めちゃダメだと、自分を追い込んでいたことに気づいた。
    逃げも諦めも、自分や誰かを守るための行為なのに。
    逃げて何が悪い。今はそう思える。

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    2025年01月18日
  • いつか、アジアの街角で

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    *あの街の空気が呼びおこす遠い記憶と、かすかな希望、そして――
    人気女性作家6人による、心に染みる珠玉のアジア・アンソロジー*

    どの作家さんのお話もそれぞれの特徴が良く出てるけど、
    全編一様にアジア調の空気が漂っているので統一感もありつつ、
    独特な浮遊感も楽しめる不思議な短編集。

    特に良かったのは、中島京子さんの「隣に座るという運命について」。
    ふわふわと柔らかくて、キュートな登場人物たちと優しい読後感が好き。

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    2025年01月06日
  • いつか、アジアの街角で

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    6人の作家さんによるアンソロジー
    アンソロジーは買ったことがなかったのですが装丁のマンゴーかき氷に心奪われて手に取りました。

    「停止する春」心に刺さる。また読み返したい
    「チャーチャンテン」読んでいてワクワクした
    「猫はじっとしていない」蜃気楼のような空気感のある話

    私はこの3つがとても好みでした。台湾、香港旅行好きな方におすすめです。
    なんとなく敬遠していたアンソロジーでしたが読んだことのない作家さんの魅力を知るきっかけになってたまにはこうやって新しく本を開拓していくのもいいなと思いました。

    台湾で食べたマンゴーかき氷はほんとうにおいしかった。。また行きたいなぁ

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    2025年01月28日
  • いつか、アジアの街角で

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    6作家の短編集。

    どの作品も作家さんならではの内容でした。

    大島真寿美のチャーチャンテンがいちばんテーマにも合って良かったな。著者作、最近見かけないな、そろそろかしら。

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    2024年12月18日
  • たった、それだけ

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    一気に読んでしまった。
    謎解きのような要素もあり、色々な登場人物の立場から描かれていてあの時こういう感情だったんだと当事者と他者との比較をしながら読めた。
    最後はどうか幸せな巡り合わせがありますようにとかすかな希望が持てる気持ちの良い本でした。

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    2024年12月01日
  • はじめからその話をすればよかった

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    宮下奈都さん、実在するワンさぶ子の印象が強かったけれど(今実家にいるのも白柴なので)、著作名見たらいくつか読んでいました。
    気持ちの良い作品書かれるなぁ…と思っていた。
    エッセイも面白かったです!ご家族や周りへ向ける視線がおおらかで良いなぁと思いました。
    国宝に住んでらしたところ、クスクス笑いました。近所も国宝。
    掌編が載ってるのもよかった。ひゅっとなるけど「あしたの風」が好き。

    島本理生「波打ち際の蛍」を読んだときのことも思い出しました。こんな恋愛小説があるんだ、と。
    個人的に辻村深月が苦手で、なぜ皆さんこうヒョイヒョイ読めるんだろう、ドMなのか…?と思う。わたしはいつ読んでもキツいけれど

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    2024年11月17日
  • 田舎の紳士服店のモデルの妻

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    10年を通した梨々子の考え・気持ちをずーっと読むことができて、きっとこの先もいろいろあるけど生きていくんだって思える物語だった。

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    2024年11月10日
  • 誰かが足りない

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    「誰かが足りない。いつからか私もそう思っていた気がする。それが誰なのかはわからない。知っているはずの誰か、まだ会ったことのない誰か。誰なんだろう。いつ会えるんだろう。わからない。ずっと誰かを待っていることだけはわかっているのに。足りないのは、もしかしたら、私──。私はいつかの私を取り戻したいのではないか。あるいは、まだ見ぬ私に新しく出会いたかったのではないか」

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    2024年10月24日
  • いつか、アジアの街角で

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    アジアというか東南アジア大好きな私にとって、なんとなくふわっと面白い短編集でした。

    一番好きだったのは、「月下老人」

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    2024年10月23日
  • 誰かが足りない

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    6つの短編集。どの主人公にも共感できたし、皆んな何かしら葛藤しながら生きているんだな、と。
    うーん、、しかし全体的にあんまり深い印象が残っていないのは、日常に溶け込んだ話すぎたからか?

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    2024年10月13日
  • ふたつのしるし

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    ネタバレ

    第1話 1991年5月
    渡辺孝代
    一年二組の担任。

    横山寧々
    小学一年生。

    柏木温之
    ハル。小学一年生。

    容子
    ハルの母。

    慎一
    ハルの父。

    浅野健太
    小学一年生。

    塚谷阿佐美
    小学一年生。

    大野遥名
    中学一年生。ハル。勉強ができるのに隠して、眼鏡をかけてきれいな顔が目立たないようにしている。

    大野聡
    遥名の兄。AB型のRh(-)というめずらしい血液型。

    香澄
    遥名のクラスメイト。クラス委員。

    洋司
    遥名の父。

    里桜
    中学一年生。


    第2話 1997年9月
    温之
    中学一年生。下の歯が抜けた。

    花井
    小学校の同級生。こけしみたいな女の子。

    健太

    遥名
    大学一年生。聡

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    2024年10月13日
  • いつか、アジアの街角で

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    私も同じ経験をしているので、「停止する春」は当時の事を思い出すと同時にあれから月日が流れて今居る自分の居場所、気持ちも含めて共感出来るものがあった。

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    2024年10月07日
  • 静かな雨

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    忘れても忘れても ふたりの世界は失われない_

    優しい雨に打たれたような読後感…

    傷ついて
    失って
    抱えて
    心を手当てして

    抱えているものは
    自分で乗り越えていくしかないけれど
    僕の世界に 大好きな彼女がいて…
    彼女の世界にも ちゃんと僕も存在していて…

    たとえ
    彼女が1日経てば
    その日の出来事を忘れてしまっても
    日々が何も残していかないわけではない…

    生きていれば 誰にでも直面する厳しい現実_

    静かに
    繊細に
    柔らかく
    丁寧に
    美しく

    ふたりの適度な距離感と
    人を想う温かさを感じられる素敵な物語でした

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    2024年10月05日
  • いつか、アジアの街角で

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    表紙のイメージからてっきり「食べ物」「旅」のアンソロジーかと勘違い。実際は台湾や香港を感じられるアンソロジーでした。

    特に好きだったのは、
    「隣に座るという運命について」 
    幽霊疑惑のエイフクさんとのクスリとなるエピソードが好きでした。大学生が描かれており、懐かしい気持ちにもなりました。

    「チャーチャンテン」 
    初読みの作家さん。何だか“縁”を思わせるストーリーも、作品に漂うごちゃごちゃしてるけど安心感のある雰囲気も、とても心地よくて好みでした。

    「停止する春」 
    「あぁ、これは…」。心が痛むのに読まずにいられない。言葉が自分のなかに爪痕を残していくような妙にあとを引く感じ。島本さ

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    2024年09月26日
  • いつか、アジアの街角で

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    星3.5
    有名女性作家たちが書いたアジアを舞台にしたアンソロジー、と思ったら実際アジアに行った話は角田光代さんのだけだった。アンソロジーのいいところは、普段手に取ることのないようなジャンルの物語を読めること。この中にも、私がいつもは読まないような不思議な話がいくつかあった。
    角田さんの話に出てくる迪化街は去年ぶらぶらして歩いたので、不思議な話でもどこか納得してしまった。また、私は猫にあまり興味がないのだが、角田さんの猫の描写はくすっと笑ってしまった。
    表紙のマンゴーかき氷の絵が好き。

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    2024年09月18日
  • ふたつのしるし

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    優等生の女性と不器用な男性の運命的な出会い。
    結末までの話の持って行き方はやや強引に感じたが、文体が美しく、宮下奈都さんらしさを感じられる作品。

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    2024年08月16日