今更でしたが…ずっと気になっていながらも積んだままになっていて。
最近、新刊のミステリーを立て続けに読んでいて、なんとなく気持ちをフラットにしたくて手に取りました。
宮下さんの文章はやはり気持ちが良い。
何気ない描写や会話の中で、納得させられたり、心が洗われたり。自分が少し優しくなれる気がする。
...続きを読む川の流れなどの風景、家屋、お店など建物の書き方も好きです。
最初は現代より少し昔の物語なのかと勘違いしてしまうほど、NO.1で描れる家庭と学校の日常は少し閉塞感がある、曇り空のような色合いだったような気がします。
こんな感じで家族、とりわけ妹との関わりを深く追っていくのかとNO.2までは思っていました。
気持ちをスッキリさせたくて読んだつもりが、ちょっと違うのかな?と思っていたら、NO.3とNO.4がとても良かった。角度か変わって、麻子が変化していくスピードがそれまでの年月をあっという間に追い越していくようだった。
ここまでが前向きな訳でもなく、妹と自分を比較して自信なげな場面ばかりだったからかもしれないけれど。
でも、その裏返しでも英語を習得して就職に繋げたり、自分の人生を投げやりにしていなかった努力は素晴らしいと思う。お金持ちではないけれど「育ち(方)」が良いのだろうと思う。祖母、両親は堅実な長女の事をしっかり理解して育てていたのだろう。七葉と紗良の性格も見極めていたし。
七葉の器量が持って生まれた資質ならば、麻子は目利きの才能を資質として授かったのだろう。
器量が良いから努力しなくても幸せになれる訳でもなく、目利きの才能だけで幸せになる訳でもない。
花開く順番が違うだけだ。
器量だけでなく、学力だけでなく、自分に持って生まれた資質を大事にして生かしながら、どこへ向かって深く深く努力していくかが大切なのかもしれない。
私ももっと早く気付きたかったな 笑
好きだなぁと思ったこと
・水色とグレーの組み合わせの洋服
・朝一番の飲み物を選べるところ
・大学の部室で、湯呑茶碗でお茶を飲みたいと思うところ
・人を擬音で表しているところ
・茅野さんと映画館の話しをするところ(外の石階段や扉の事などその光景が思い描ける描写か好き)
従兄の慎ちゃんはどうしてるんだろ…。