宮下奈都のレビュー一覧
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調律について少し詳しくなった気がする。小説は、自分が知らない世界について少し詳しくなれるのがいいなとなんだか初めて思った。
失敗しながら、調律の先輩たちに認められ、自分の目指す姿を見つけていく過程がよかった。秋野さんがこの小説のスパイスだ。板取さんにはもっと触れてほしかったけど、このくらいが神様っぽくてよいのかも。
主人公の純粋さ、素朴さがよかった。解説にもあったけど主人公の見た目や細かい生い立ちなどが描かれないまま、調律やピアノを通して主人公の形がくっきりしていくのが不思議だった。あと、わからないことをわかったふりしないのがいい。見習いたい。笑
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Posted by ブクログ
婚約解消をされた主人公の明日羽が、やりたいことをやろうとドリフターズ・リストを作り、どのように実行して行くかを描いた物語。
冒頭は婚約者から突然婚約解消を言い渡され、どん底に落ちてしまう様子に、このあとどう挽回して行くのかと引き込まれた。
しかし、特に何か大きな出来事が起こるでもなく、リストの内容も細かく夢のあるようなものではないし、思ったような展開にはならず途中からだれてきてしまった印象。
彼女の周りのロッカさん、郁ちゃんなどは個性豊かな人物像でインパクトはあったが、それゆえに主人公が薄く見えてしまった。
ただ、人生どん底に落ちることがあったとしても、周りの人に助けてもらえる恵まれた -
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ネタバレTikTokで失恋したら読むべき本として紹介されていて、タイトルに惹かれて読み始めた。
ドリフターズ・リストを作ることで良くも悪くも、何かをする動機を得られることで失恋の痛みを苦し紛れにも忘れることができることができたのかなと感じた。でも、そのリストは「不可能リスト」自分ができないからリストにするものであるからリストにこだわりすぎることもまた良くない。難しいなと思う。
私も失恋した、その出来事が頭の大部分を占めしまっているからまずはリストを作ってみようと思う。
正直、京や恵、郁ちゃん、お兄ちゃんとロッカさんやお父さんの視点でのあすわを見てみたかった。主人公視点の物語で、終始あすわの考えに -
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これは、、
美しい文章と感傷的な二篇だった。静かな雨というタイトルに相応しい、心に染み入る本。だけど恐ろしい。
静かな雨
こよみさんという人がとても好き。自分がしっかりしてて、この人しか持ってないなと感じさせる魅力があって、賢くて面白くてとても強い。
そして何より打ち込んで極めるものがある。
p.48
「迷っているうちは進まない方がいいよ」
「ほんとうに迷っているときは、進もうと思ってもどっちが前だか後ろだか、わかんなくなっちゃってるの。」
p.57
「ーーーあたしたちは自分の知っているものでしか世界をつくれないの。あたしが実際に体験したこと、自分で見たり聴いたりさわったりしたこと、考えたり -
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豪華作家たちのアジアにまつわるアンソロジー
『アジア』とタイトルにある割には台湾と香港しか出てこないけど 笑
人は香りや味や音や言葉や、そして一瞬の風景でふっと過去の記憶の中に連れていかれることがある
どのストーリーもそんな郷愁に誘われる
若い頃、香港にハマっていた奈美子
当時のパーティで妊婦さんのお腹を生まれて初めて撫でた
その時のお腹の中の子、ケリーが日本で勤め始めたと聞く
『友達になってあげて』と古い友人に頼まれたけれど…
奈美子が知っている香港の熱い情熱と勢いと自由
それは25歳も年の離れたケリーが育ってきた香港の環境とはかけ離れていた
ぎこちない2人
でも2人の中にはそれぞれ、愛 -
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やさしい世界
決してHappyな状況でも境遇でもないし
むしろ少し哀しみを持ち合わせているけど
それぞれが 自分自身を受けとめて
ゆっくり じんわりと
上昇しているような。。。
希望を感じるし 望みながら読んでいて
何故か藤井風のキラリが頭の中で
流れた
サマータイム。ではなく
やさしい世界であってほしい
彼らが 日々 小さな幸福を
積みあげられるような
見方を変えたら
感じることを変えたら
見える風景も 拡がるんだよね
狭い枠の中では
一方通行の見方では きっと苦しさが
目立ってしまう
私は時々 とても狭いから
この お話を読んで
あぁ、そうか…と気づいた
目まぐるしく 急ぎ気味の日