宮下奈都のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あすわの境遇も抱えている悩みも、自分と重なるところが多いからこそ、一緒に元気になっていこうねという併走するような気持ちで読んだ。
こんなに魅力的な人達に囲まれているのはあすわの人徳があってこそだと思うし、私にはここまで毎日の暮らしを支えてくれる人間関係は正直ないかもしれないけど、それでもやっぱり、自分の暮らしも、身の回りの大切な人たちのことも、これからどうしたいかも、見直すきっかけを貰える本だった。
ドリフターズリストの扱われ方が意外な方向に進んでいったのも、この物語がありきたりに感じなかったことに一役買っていそう。
私は影響されやすい方なので、こういう本を読むとやっぱり豆茹でたくなる。 -
Posted by ブクログ
読み終わってからしばらく経つけど、ふとぼんやりする時はこの本のことを思い出してる
良い本だったな…
これまで読んだ宮下奈都作品の中で1番沁みた
1人の少女が大人になっていく過程を描いた作品
初めて恋した時の目で追う感覚や、社会人になって思っていた仕事ができなかった時の焦燥感だったり、それぞれの段階であぁ分かる…と思いながら読みました
解説にも書いてあったけど、宮下奈都は心情の丁寧な描写が本当に上手だなあと思う
丁寧で繊細でしっとりとした本
お父さんの「いい目を養うには良いものをたくさん見ること」から、もっとガシガシ本を読もうとも思いました
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Posted by ブクログ
ちょっと昔に失恋したときにすすめられた本。
今はほんっまに大丈夫なんですけど、古本屋さんで出会ったので、読んでみました。
宮下奈都さん、大好き。
静かな文章を書くんだと思って読んだから、元気の良い文体にちょっとびっくり。
あすわが受けた傷はとんでもないものだと思うんだけど、辛くなりすぎなくてよかった。
悲しい時、感受性が豊かになる気がする。
そんな時に出会った人やモノは、自分の人生について考えるきっかけになる。
自分の人生って、大きい目標や資産形成の話じゃなくって、
何が好きで何が嫌いか、今まで見過ごしていたもの、やってみたいこと、みたいに、人生にはいろんな切り口があること。そんなことに気 -
Posted by ブクログ
宮下奈都さんってこんなに面白い人だったのか。
お子さんたちもだいぶ面白い。宮下さんと毎日過ごしてたら、そりゃユーモア受け継ぐよなと(本人の元々持ってるものももちろんある)。
ふふっと楽しく読みながらも、自分の子育てや暮らしについて考えさせられてた。
失敗や後悔を極端に恐れて、すごく神経質に暮らしているけれど、もっとのびのびと暮らせた方が、こどもにとってもいいんだろうな。
「あれだけ楽しんだのだから置いていかれても本望、と思えるくらいに楽しめばいいんじゃないか」って言葉とか、いろんなことが起きるたびの考え方とかが、なんか神経質になってしまっている自分を変えられるヒントになる気がした。
心 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初正直退屈だなと思ったけど、最後まで読み終えて良かったなと思える作品
大きな事件とかが起きないけど、心にスッと染み渡るような文章が多い。
仕事や生活で感じるちょっとした違和感の言語化が上手!
「会社を出れば、風はやわらかい。部屋の鍵を開けるとき、私は自由だ。〜何をするにも私はひとりで、〜自分の爪先のあたりだけを見ていればいい。」という表現がめっちゃしっくりきた。
ただ、この本の主人公自己肯定感が低めなゆえに結構な恋愛体質で、そこだけあんまり共感できなかった。付き合う前に自分の部屋でご飯食べようって言ってくる男、私なら惹かれないなー!!と思いながら読んでた笑笑
でもこの人の他の作品も -
Posted by ブクログ
「生きるのに意味などない。さびしいわけでもむなしいわけでもなく、ぱーんとそれが、わかる。竜胆梨々子が生きるのは、ほんの何人かの、梨々子がいなくなったら悲しむ人のためだけだ。」
「持ち時間が尽きるまで手ぶらでせっせと暇をつぶして過ごすのだ。」
梨々子が最後にたどり着く境地に、普通の主婦として共感。それだけでいい、と思うと、人生が気楽になる気がする。
普通に過ごす毎日に、ふいに「他に何もいらないと思える充実感」に包まれる、そんな幸せに辿り着けるなら、確かに人生他に何がいるだろう。
でも子育ての難しさは考えさせられた。子供が運動会の徒競走で1人だけ走らなかったり、学校で1番好きな時間は下校だと言っ -
Posted by ブクログ
「羊と鋼の森」で本屋大賞を受賞した小説家、宮下奈都さんが、家族で福井県から北海道の僻地へ1年間山村留学をした経験をつづったエッセイ。
北海道の十勝は、2番目に高い山の近くにあるそうで、過疎化がすすんでいるようだ。小学校と中学校は合同で、各学年1~2人程度しかいない。宮下奈都さんの子どもは当時、中学3年と1年の男の子と小学4年の女の子だ。
今でいうところのフルリモートワークができる作家という職業だからできたアレンジだが、山間部はインターネットもろくにつながらず、テレビも映らず、最寄りのスーパーが車で40分というので、生活自体は不便だ。ただ、村や学校関係の人々がみんな温かく家族を迎えてくれたようだ