先日、娘の授業参観で、
「何の食べ物か、伏せられていても何かがわかるような文章を書く」
というテーマで、子ども達が文章を書いていた。
これがなかなか面白く、食べ物に対する思い入れは人それぞれだなぁ…と実感。
宮下奈都さんの食べ物エッセイなら、きっと面白いはずと思い手に。
「生きることと食べることがあまりにも深く結びついているから、何のことを書いても食べることにつながってるんだと思う。」
とまえがきで書かれているけれど、
日常をテーマにしたエッセイでも、食べ物の話題があまり出てこない作家さんもいるわけで…
やはり、宮下さんがどれだけ食べることを大切にして暮らしているかということなのだと思う。
私自身も、毎日子ども達に食べさせることで頭がいっぱいの日々だったから、宮下さんの様々な想いに共感することばかり。
「うつ病だと診断されても、人に食べさせことが義務付けられている母親業とは、なんと重い任務だろうか。『とにかく食べさせること』その裁量は母親に任されている。もしも私が主治医にそんなアドバイスをされたら、逆に追いつめられてしまう気がした」
まさに…である。
三人の子どもがそれぞれの好みも違う。
それでも
「ひとりひとりのリクエストに応えながら、この朝のにぎやかなひとときがどれほど貴重で楽しいことかと思う。この子たちも、『焼いて・バター・はちみつ』などと口に出さずに自分でトーストを準備する日が来るのか。まだしばらくは誰も巣立たない子供たちの未来を想像して、胸がいっぱいになったりするのだ。」
なんだか、私自身の想いを代弁してくれているかのようで、ほんとに胸熱である。
たとえ子どもが美味しいと言ってくれなくても、美味しいものを食べさせてあげたい。
少しだけでも手間をかけて毎日のごはんを作る。
あたりまえのことだけれど、毎日するのはやはり大変だ。だけど、
今、それができることこそが
どれほど幸せなことなのか
に、改めて気づかせてくれた。
「神さまたちの遊ぶ庭」のその後の家族の様子もほんのり描かれていて、それもまた楽しい。