宮下奈都のレビュー一覧
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読み始めてすぐ、「ああ、これはストレンジ・アイの小説だ」と思った。ストレンジ・アイは、とある漫画で使われていた表現で、つまりは普通の人が見ることのできないものを見る能力がある人のこと。主人公の外村くんは、スーパー調律師である板鳥さんがピアノを調律する姿を見て、その音に森を想い、森を見た。普通の人が「ああ、ピアノの音だな」と思うところを、外村くんはまったく違うものを見たのだ。もうそれだけで、外村くんに「この子は尋常じゃない」と感じた。ストレンジ・アイという才能を持つ主人公が、一歩一歩、目指す何かを掴もうとする姿。それを、ことばにして見せてくれたものなのだ。なんかもう、すごい世界なのだ。
それにし -
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十勝・大雪山国立公園にあるトムラウシに夫の一言で一年限定で移住することになった宮下さん5人家族の話。トムラウシをカムイミンタラ(アイヌの言葉で、神々の遊ぶ庭)と形容するところから本のタイトルは来ている。p12
日記形式。福井から移住。
<面白いところ>
北海道の山行きを他人事のように語っているところ
育ち盛りの3人の子どものいうことなすこと(中三・中一・小四)
子どもたちを突き放して冷静に見ているところ
行事で、子どものように木にのぼってはしゃぐ校長先生
コミュニティに積極的に入ろうとするけれど、小さいのでその必要はなかったりする
当事者視点だったり、第三者の視点で痛快に語っていたりする
5 -
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まず調律師って地味な仕事だと思ってた。
でも読み進めるうちに気づく。調律師って、ピアノと弾く人の間に立つ人なんだって。部屋の空気も、持ち主の性格も、ぜんぶ拾い上げて音に変えていく大事な仕事。
そんなピアノの調律師に魅せられた外村くんが新人として壁にぶつかる姿、しんどかった。経験がすべての世界で、クレームを受けながらもふて腐らずに調律師の勉強を続ける。その直向きさに、なんか見習わなきゃって思わされた。最近、異業種に転職したあたしには、余計に刺さったのかもしれない。
「才能って言うのはさ、ものすごく好きだって気持ちじゃないか」
才能があるかないかで測ろうとしちゃうけど、ほんとうは「好き」を -
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高校の体育館のピアノ調律に偶然居合わせた青年が、その音に強く惹かれ未経験ながら調律師を目指す物語。
様々な背景を持つ先輩調律師たちと、顧客の双子との出会い。この双子を映画では上白石姉妹が演じたそうで、これも観てみたくなった。
偶然の、でも必然のような音の森との出会い。それを『森の匂いがした』という1文で始める。『夜が少し進んだ。僕は十七歳だった』で最初のシーンが切れる。
なんて美しい文章。
解説にある『温かく静謐な筆致』という言葉がすべてを表しているのでそれ以上書けないけれど、この本を本当に大事にしたいと思った。
音を整えどんなに微調整を繰り返しても、ここでゴールとならない。ピアノの調律が -
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ネタバレピアノの音の粒を一つひとつ聴き分けるように、仕事や音楽、人との向き合い方を丁寧に学び、迷いながらも自分なりの美意識や調律師としての在り方を見つけていく成長物語だった。最後まで一流になったという達成感ではなく、調律という仕事には終わりがなく、これからも音を聴き続けていくという余韻の残るように感じた。その静かな終わり方がこの本の良さだと思う。
haruka nakamura/♫Still Life(full album)
空気感や自然を思わせる演奏に加え、アップライトピアノのハンマーが弦を打つ音や鍵盤が動く気配があえて残されているのが魅力。読みながら聞くと、調律師の仕事をより身近に感じられる。 -
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だいすきな宮下さんのエッセイ。
ぜんぶ食べ物にまつわるもので、宮下さんの食に対するこだわり、想い、いろんなものを感じられた。
読んでる期間は普段よりも料理に力が入った。たのしく作って、たのしく味わって、元気になる。
そして、豆がとても好きなんだなぁとここで改めて知った。
初めて宮下さんの作品を読んだのは「太陽のパスタ、豆のスープ」だった。それは豆が主題だったけど、やっぱり宮下さんは豆が好きだったんだな。
当たり前だけど、作品には作者のエッセンスが滲み出る。そういうことを強く感じられた。
最近宮下さんエッセイ多くないですか?そろそろ長編読みたいです!ずっと待ってます。